【おすすめ】高齢者の着替えが楽になる自助具|OTが選び方を解説

高齢者の着替えを楽にする自助具は、「どの動作の、どこができないか」で選ぶのがコツです。靴下がはけないならソックスエイド、床の物が拾えないならリーチャー、ボタンがとめにくいならボタンエイドというように、困っている動作に合った道具を選ぶと、介助なしでできることが増えます。
一方で、合わない自助具を買っても、使われないまま押し入れにしまわれてしまうことも少なくありません。この記事では、作業療法士(OT)の視点から、着替え・整容で使えるおすすめの自助具・選び方・使い方のコツ・介護保険との関係を解説します。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
- 自助具とは何か、どんな人に役立つか
- 着替え・整容に使えるおすすめの自助具5種類
- 困っている動作別の自助具の選び方
- 自助具を使いこなすための練習のコツ
- 介護保険や障害福祉の制度との関係
自助具とは?高齢者の自立を助ける道具
自助具とは、体の動きに制限がある人が、日常生活の動作を自分でできるように工夫された道具です。手が届かない、指先に力が入らない、腰や股関節を深く曲げられないといった困りごとを、道具の形で補います。
次のような人に特に役立ちます。
- 人工股関節・人工膝関節の手術後で、深く体を曲げてはいけない人
- 腰痛や円背(背中が丸い)で、足元まで手が届かない人
- 関節リウマチや手の病気で、指先に力が入りにくい人
- 脳卒中の後遺症で、片手で着替えをする人
- パーキンソン病などで、細かい動作がしにくい人

自助具って、家族が手伝えば使わなくてもいいんじゃないですか?

家族が手伝えばできることでも、自分でできると本人の自信になるし、家族の負担も減る。毎日の着替えは回数が多いから、自分でできる動作が1つ増えるだけでも、生活は大きく変わるよ。
着替え・整容に使えるおすすめの自助具5選
1. ソックスエイド(靴下をはく)
ソックスエイドは、筒状の本体に靴下をかぶせ、ひもを引いて足を入れることで、前かがみにならずに靴下をはける道具です。人工股関節の手術後で深く曲げることを控える人や、腰痛で足先に手が届かない人によく使われます。
2. リーチャー(物を拾う・ズボンを引き上げる)
リーチャーは、先端をつまんで遠くの物を取る道具です。床に落ちた物を拾うだけでなく、ズボンや下着を足先まで下ろしたり、引き上げたりするのにも使えます。先端にフックがついたタイプは、着替えにも便利です。
3. ボタンエイド(ボタンをとめる)
ボタンエイドは、輪になった針金をボタン穴に通してボタンを引き出し、片手でもボタンをとめられる道具です。指先の力が弱い人や、片手で着替える人に向いています。
4. 長柄のくし・ブラシ(髪を整える・体を洗う)
肩が上がりにくい人は、柄の長いくしやブラシを使うと、髪を整えたり、背中や足を洗ったりしやすくなります。柄が曲がったタイプや、グリップが太いタイプもあります。
5. 靴べら(ロングタイプ)
立ったまま、または座ったまま、かがまずに靴をはける長い靴べらです。脱ぎ履きしやすい靴と組み合わせると、外出の準備が楽になります。玄関にいすを置いて座ってはくと、さらに安全です。
困っている動作別|自助具の選び方
| 困っている動作 | 主な原因 | 合う自助具 |
|---|---|---|
| 靴下がはけない | 股関節・腰が深く曲がらない、足先に手が届かない | ソックスエイド |
| ズボンや下着を足に通せない | 前かがみが難しい | リーチャー(フックつき) |
| ボタンがとめられない | 指先の力が弱い、片手しか使えない | ボタンエイド、マグネットボタンの服 |
| 髪をとかせない、背中を洗えない | 肩が上がらない | 長柄のくし・ブラシ |
| 靴がはけない | かがむとふらつく | ロング靴べら、脱ぎ履きしやすい靴 |
選ぶときは、次の4つも確認しましょう。
- 本人の手の力と握り方:持ち手が太い方が握りやすい人もいれば、軽さが大事な人もいる
- 使う姿勢:ベッドに座って使うか、いすに座って使うかで、必要な長さが変わる
- 認知機能:手順が多い道具は、覚えるのが難しい場合がある
- 服の工夫との組み合わせ:前開きの服、ゴムのウエスト、伸縮性のある靴下など、服を変える方が早い場合もある
人工股関節の手術後は、脱臼を防ぐために避けるべき姿勢(深く曲げる、内側にひねるなど)が指示されていることがあります。自助具の使い方も、主治医や担当のリハビリ職の指示に合わせて練習してください。

服を変えるだけで解決することもあるんですね。

そうなんだ。道具を増やすより、ボタンの少ない服やゴムのウエストに変える方が簡単なこともある。OTは「道具」「服」「動作の方法」の3つを組み合わせて考えるよ。
自助具を使いこなすための練習のコツ
- 座って安定した姿勢で練習する最初は、背もたれのあるいすやベッドに深く座り、ふらつかない姿勢で練習します。
- 1つの動作から始めるいきなり着替え全体を自分でやろうとせず、「靴下だけ」「ズボンを足に通すところだけ」など、1つの動作から練習します。
- 同じ手順で毎回行う手順を決めて、毎回同じ順番で行うと覚えやすくなります。手順を紙に書いて貼っておくのも効果的です。
- 家族は見守りから家族はすぐに手を出さず、困ったところだけ手伝うようにします。できたことは一緒に喜びましょう。
訪問リハビリでは、OTが実際の生活の場で、本人の服や家具に合わせて自助具の使い方を練習できます。買う前に一度相談して、使い方を試してから選ぶのがおすすめです。
自助具と介護保険・障害福祉の制度
ソックスエイドやリーチャーなどの自助具は、介護保険の福祉用具(レンタル・購入費の支給)の対象にはなっていません。厚生労働省の資料では、介護保険の福祉用具は「一般的に低い価格のもの」は対象外という考え方が示されています。基本的には自費で購入します。
障害者手帳を持っている人は、市町村の「日常生活用具給付等事業」で一部の用具の給付を受けられる場合があります。対象となる用具や条件は市町村によって違うため、障害福祉の窓口に確認してください。
| 制度 | 自助具の扱い |
|---|---|
| 介護保険の福祉用具貸与・購入費 | ソックスエイド・リーチャーなどは対象外(自費購入) |
| 障害者の日常生活用具給付等事業 | 市町村が定める品目に該当すれば給付の対象になる場合あり |
| 医療費控除 | 一般的な自助具の購入費は対象にならないと考えられる |
服と動作の工夫で着替えをもっと楽に
自助具とあわせて、服の選び方と動作の順番を工夫すると、着替えはさらに楽になります。
| 工夫 | 具体例 |
|---|---|
| 服の選び方 | 前開きの上着、ゴムのウエストのズボン、伸縮性のある素材、ひとまわり大きめのサイズ、マグネットや面ファスナーの留め具 |
| 片まひの人の順番 | 着るときはまひのある側から、脱ぐときはまひのない側から(「着患脱健」) |
| 座る場所 | ひじかけのある安定したいすや、足が床につく高さのベッドの端に座る |
| 準備 | 着る順番に服を並べておく、手の届く場所に置く |
特に片まひの人は、着る順番を守るだけで着替えにかかる時間が大きく変わります。自助具・服・順番の3つを組み合わせて、本人に合った方法を見つけましょう。
訪問リハビリでのOTの関わり【実践編】
訪問リハビリでは、OTが実際の寝室や脱衣所で、いつも着ている服を使って着替えの練習ができます。病院では一人でできていた着替えが、自宅では家具の配置や服の違いでうまくいかないこともあるためです。
- 動作の観察:どこでつまずいているか(足に届かない、バランスを崩す、手順を忘れる)を見極める
- 道具の試用:事業所にある自助具を試してもらい、合うものを一緒に選ぶ
- 環境の調整:着替える場所、いすの高さ、服の置き場所を整える
- 家族への助言:手伝う場面と見守る場面を家族と共有する
着替えが自分でできるようになると、デイサービスや通院の準備、外出の機会も増えます。着替えは生活全体の自立の入口です。気になることがあれば、担当のケアマネジャーやリハビリ職に相談してみてください。
よくある質問
ソックスエイドでうまく靴下がはけません。
靴下のかかとが本体の後ろ側にくるようにかぶせる、足を入れてからひもをまっすぐ手前に引く、伸縮性のある薄手の靴下を使う、などで改善することがあります。きつい着圧ソックスは難しいため、使い方は担当のリハビリ職と一緒に確認しましょう。
自助具はどこで買えますか?
介護用品店、福祉用具の販売事業所、ドラッグストア、通信販売などで購入できます。価格は数百円〜数千円程度のものが多いです。実物を試せる店や、担当のリハビリ職に相談してから選ぶと失敗が少なくなります。
自助具は手作りできますか?
スプーンの柄を太くする、ひもを長くするなど、身近な材料で工夫できるものもあります。ただし、強度や安全性に注意が必要です。作る前にOTに相談しましょう。
食事用の自助具もありますか?
あります。持ち手が太いスプーン、曲げられるスプーン、すくいやすい皿などがあります。介護スプーン・フォークについては関連記事で紹介しています。
自助具を使うと、かえって体が弱りませんか?
自助具は、できない動作を補い、自分でできることを増やすための道具です。介助に頼るより体を動かす機会はむしろ増えます。筋力や関節の動きを改善する練習とあわせて使うのが理想です。
- 自助具は「どの動作の、どこができないか」で選ぶ
- 靴下はソックスエイド、ズボンはリーチャー、ボタンはボタンエイドが定番
- 服の工夫(前開き・ゴムのウエスト)と組み合わせると、さらに楽になる
- 股関節の手術後は避けるべき姿勢を守って練習する
- 介護保険の対象外で基本は自費。買う前にOTに相談し、試してから選ぶ
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

