訪問リハビリの作業療法士(OT)の役割|仕事内容と事例

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「訪問リハビリで作業療法士は何をする人?」「理学療法士との違いがうまく説明できない」——訪問リハビリでは理学療法士の人数が多く、作業療法士の役割が利用者やケアマネジャーに伝わりにくいことがあります。しかし、自宅という生活の場だからこそ、作業療法士の専門性が生きる場面は数多くあります。

この記事では、訪問リハビリにおける作業療法士(OT)の役割を6つの分野に分けて整理し、理学療法士との分担、計画書の目標から見えるOTの出番、具体的な事例を紹介します。OTとして訪問に出る人、OTへの依頼を考えているケアマネジャーや事業所の人にも役立つ内容です。

この記事でわかること
  • 作業療法とは何か(法律上の定義)
  • 訪問リハビリで作業療法士が担う6つの役割
  • 理学療法士との違いと分担のしかた
  • OTが関わる具体的な事例
  • 訪問でOTが力を発揮するためのポイント
目次

作業療法とは?法律上の定義

理学療法士及び作業療法士法では、作業療法を「身体または精神に障害のある人に対し、主として応用的な動作能力や社会的な適応能力の回復を図るため、手芸・工作その他の作業を行わせること」と定めています。

ここでいう「作業」は、手工芸だけではありません。食事、着替え、トイレ、料理、買い物、仕事、趣味、地域での役割など、その人が生活の中で行うすべての活動を指します。訪問リハビリは、こうした作業を実際の生活の場で練習できるため、作業療法と相性のよいサービスです。

新人PT
新人PT

「作業療法」と聞くと、手芸や工作のイメージが強いです。

ベテランPT
ベテランPT

利用者さんや家族もそう思っていることが多いね。「生活の中でしたいこと、しなければならないことを一緒に練習する仕事です」と説明すると伝わりやすいよ。

訪問リハビリで作業療法士が担う6つの役割

役割具体的な内容
①ADL(日常生活動作)食事・着替え・トイレ・入浴・整容の動作の評価と練習、やり方の工夫
②IADL(生活関連動作)調理・洗濯・掃除・買い物・金銭管理・服薬の管理などの練習
③認知・精神面認知症や高次脳機能障害のある人の生活の工夫、意欲の低下への関わり
④住環境・道具手すりや家具の配置、福祉用具・自助具の選定と使い方、住宅改修の助言
⑤家族・介護者への支援介助のしかた、声かけの工夫、見守りのポイント、介護負担の軽減
⑥社会参加外出、趣味や役割の再開、通いの場や通所サービスへのつなぎ

①ADL:できる方法を一緒に見つける

片麻痺のある人の着替えなら、服の選び方、着る順番、座る位置を工夫します。機能の回復だけでなく、今の体でできる方法を見つけるのが作業療法の特徴です。

②IADL:家の中の役割を取り戻す

調理なら、立って作業する時間、包丁や鍋の扱い、火の安全を確認しながら練習します。家事は「家族の中での役割」とも結びつくため、自信の回復にもつながります。

③認知・精神面:失敗しにくい環境をつくる

物忘れがある人には、カレンダーや貼り紙、薬の仕分けケースなどを使い、失敗しにくい生活の仕組みをつくります。意欲が下がっている人には、本人が大切にしてきた活動をきっかけに関わります。

④住環境・道具:生活の場を整える

手すりの位置、ベッドの向き、よく使う物の置き場所など、動作と環境の両面から調整します。太柄のスプーンやボタンエイドなどの自助具も、OTが得意とする分野です。

⑤家族支援:介護を続けられる形にする

介助のしかたを伝えるだけでなく、家族の生活リズムや負担感を聞き取り、続けられる方法を一緒に考えます。

⑥社会参加:家の外へつなぐ

買い物や地域の集まりへの参加など、家の外での活動を目標にします。訪問リハビリを終えたあとの生活を見すえて、通所サービスや地域の通いの場へのつなぎも行います。

理学療法士との違いと分担

項目理学療法士(PT)作業療法士(OT)
主な視点基本的な動作能力(起きる・立つ・歩く)応用的な動作と生活・社会への適応
得意な練習筋力・バランス・歩行・移乗ADL・家事・趣味・認知面への工夫
環境調整移動のための手すり・段差・歩行補助具生活動作のための配置・自助具・作業の手順
精神・認知面運動を通じた関わりが中心精神障害・認知症への関わりも専門領域

実際の訪問では、PTもADLの練習をしますし、OTも歩行の練習をします。違いは「どこを入り口に、何を目標に関わるか」です。歩行が安定してきた段階でOTに交代する、あるいは同じ利用者をPTとOTが分担するなど、目標に合わせて組み合わせると効果的です。

計画書の目標から見える作業療法士の出番

厚生労働省の審議会資料(令和7年度の調査研究)では、訪問リハビリテーション計画書の目標として、運動機能の改善を目標にしている割合が高い一方、ADLの改善は約40%、IADLの改善は要支援者で約40%、要介護者で約20%にとどまっていることが示されています。

訪問リハビリは「活動」と「参加」を支えることが求められるサービスです。生活の中の動作や役割を目標に設定し、練習につなげることは、まさに作業療法士が力を発揮できる分野だといえます。

新人PT
新人PT

運動機能の目標ばかりになってしまうのは、なぜなんでしょう?

ベテランPT
ベテランPT

運動機能は評価や説明がしやすいからね。でも「歩けるようになって何をしたいか」まで聞くのがOTの強み。目標を生活の言葉で書くと、ほかの職種にも伝わりやすくなるよ。

訪問リハビリで作業療法士が関わる事例

利用者OTの関わり変化
脳梗塞後、右片麻痺の70代女性。「また料理をしたい」台所での立位作業の評価、片手で使える調理器具の導入、調理の手順を短くする工夫週2回、簡単な副菜をつくれるようになり、家族との会話が増えた
認知症のある80代男性。服薬の飲み忘れが多い服薬カレンダーの導入、飲む時間と生活の習慣を結びつける、家族の声かけ方法の指導飲み忘れが減り、家族の確認の負担が軽くなった
大腿骨骨折後の80代女性。入浴が不安浴室での動作の評価、入浴用いすと手すりの提案、家族の見守り方法の指導見守りで入浴できるようになった

※事例は、よくある関わりをもとにした架空の例です。

どの事例も、OTが一方的に練習をするのではなく、本人の「したいこと」を出発点にしている点が共通しています。目標が本人の言葉で語られていると、自主練習や家族の協力も得やすくなります。

作業療法士への依頼が向いているケース

ケアマネジャーや事業所が担当者を決めるときは、次のような課題があればOTの関わりを検討するとよいでしょう。

  • 歩けるようになったが、家事や外出など生活の範囲が広がらない
  • トイレ・入浴・着替えに時間がかかり、家族の介助が増えている
  • 手のまひやしびれで、食事や細かい作業がしにくい
  • 物忘れや注意力の低下で、服薬・調理・金銭管理に失敗が増えている
  • 意欲が低く、日中ほとんど横になって過ごしている
  • 趣味や仕事、地域の役割を再開したいという希望がある
POINT

事業所にOTが少ない場合でも、初回の評価や計画の見直しの時期だけOTが同行し、ふだんの訪問はPTが担当するなど、職種の強みを組み合わせる工夫ができます。

新人PT
新人PT

OTが一人しかいないので、全部の依頼には応えられません。

ベテランPT
ベテランPT

そういう事業所は多いね。だからこそ、OTの視点が特に必要な利用者を見きわめて、チームでノウハウを共有することが大事なんだ。

作業療法士が訪問で力を発揮するためのポイント

  • 初回の訪問で、本人のしたいこと・しなければならないことを具体的に聞く
  • 目標は「〇〇ができる」と生活の言葉で書く
  • 実際の場所・道具・時間帯で練習する
  • できる方法が見つかったら、家族やヘルパーにも共有する
  • ケアマネジャーにOTの視点で見えた課題を報告し、ほかのサービスと役割を分ける
  • 目標を達成したら、通所や地域の活動へのつなぎを提案する

よくある質問

訪問リハビリでOTを指名することはできますか?

事業所に作業療法士がいれば、ケアマネジャーを通じて希望を伝えることができます。ただし、作業療法士がいない事業所や、人数が少なく枠がない場合もあります。

精神疾患のある人の訪問にもOTは関わりますか?

精神障害への関わりは作業療法の専門領域の一つです。医療保険の精神科訪問看護などで、作業療法士が訪問する形もあります。

OTの訪問とPTの訪問で料金は違いますか?

介護保険の訪問リハビリでは、職種による基本料金の違いはありません。20分を1回として同じ単位で算定します。

訪問リハビリのOTは、どのくらいの経験があれば働けますか?

法令上の経験年数の決まりはありません。ただし、一人で利用者宅に入り判断する場面が多いため、ADLの評価や身体のリスク管理の経験があると安心です。同行訪問などの教育体制がある事業所を選ぶとよいでしょう。

まとめ|訪問リハビリの作業療法士の役割は「生活と参加」を支えること

訪問リハビリの作業療法士は、ADL・IADLの練習、認知・精神面への関わり、住環境や道具の調整、家族支援、社会参加の支援を担います。理学療法士とは関わる入り口と目標の置き方が異なり、組み合わせることで生活全体を支えられます。目標を生活の言葉で設定し、実際の場所と道具で練習することが、訪問でOTの力を発揮するポイントです。

この記事のまとめ
  • 作業療法は応用的な動作能力と社会的な適応能力の回復を図るもの
  • OTの役割はADL・IADL・認知・住環境・家族支援・社会参加の6つ
  • PTとの違いは「どこを入り口に、何を目標に関わるか」
  • 計画書の目標は運動機能に偏りがちで、生活の目標を立てるのがOTの強み
  • 目標達成後は通所や地域の活動へつなぐ
引用・出典(公的機関)

※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

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