【利用者向け】訪問リハビリの注意点|始める前から利用中まで

「訪問リハビリを始めたいけれど、何に気をつければいいの?」「家に人が来るのは初めてで不安」——訪問リハビリは自宅で専門職のリハビリを受けられる便利なサービスですが、病院や施設とは違い、自宅という生活の場で行うからこそ気をつけたい点があります。
この記事では、訪問リハビリを利用する人とご家族に向けて、始める前・契約するとき・毎回の訪問・費用・トラブル防止の5つの場面に分けて注意点を整理します。あらかじめ知っておくと、安心して利用でき、リハビリの効果も高まります。
- 訪問リハビリを始める前に確認しておくこと
- 契約時に重要事項説明書で見ておきたいポイント
- 毎回の訪問で気をつけること・準備しておくもの
- 費用・キャンセル・交通費の注意点
- トラブルを防ぐためのポイント
訪問リハビリを始める前の注意点
医師の指示と診察が必要
介護保険の訪問リハビリは、事業所の医師の指示のもとで行います。利用前と、その後も定期的に、事業所の医師の診察を受ける必要があります(3か月に1回程度が目安)。主治医が別の医療機関にいる場合は、主治医からの情報提供をもとに進めることもあります。
ケアマネジャーへの相談から始める
介護保険で利用する場合は、ケアプランに訪問リハビリを位置づける必要があります。まずは担当のケアマネジャー(要支援の人は地域包括支援センターなど)に相談しましょう。
「訪問リハビリ」と「訪問看護のリハビリ」の違い
自宅でリハビリ職のサービスを受ける方法には、病院・診療所・介護老人保健施設などの訪問リハビリ事業所から来てもらう方法と、訪問看護ステーションの理学療法士などに来てもらう方法があります。どちらを使うかは、近くの事業所の有無や、看護の必要性などによって変わるため、ケアマネジャーと相談して決めます。

利用者さんから「誰に頼めばいいの?」と聞かれたら、どう答えればいいですか?

介護保険を使う人ならまずケアマネジャー、まだ認定を受けていない人なら市区町村の窓口や地域包括支援センターを案内すれば大丈夫だよ。
契約時に確認したい訪問リハビリの注意点
契約の前には、重要事項説明書の説明を受けます。特に次の点は、あとから困らないよう確認しておきましょう。
| 確認すること | 見ておきたいポイント |
|---|---|
| サービスの目的と内容 | どんな目標に向けて、何を練習するのか |
| 訪問の曜日・時間・担当者 | 担当者が変わる場合や、休みの日の対応 |
| 利用料金 | 1回あたりの自己負担、加算の有無、医師の診察にかかる費用 |
| キャンセル料 | 何時までに連絡すれば無料か、料金はいくらか |
| 交通費 | 通常の事業の実施地域の範囲、範囲外の場合の金額 |
| 緊急時の対応 | 訪問中に体調が悪くなったときの連絡先と手順 |
| 苦情の窓口 | 事業所の相談窓口、市区町村や国民健康保険団体連合会の窓口 |
キャンセル料の有無や条件は、事業所によって異なります。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも、事業所ごとの情報を確認できます。
毎回の訪問で気をつけること
準備しておくもの
- 動きやすい服装(伸びる素材のズボンなど)
- 普段使っている靴や杖、歩行器
- 血圧手帳、お薬手帳(変更があった場合)
- 練習するスペース(通路の物を片付ける、滑りやすいマットをどける)
- 聞きたいことのメモ
体調の変化を伝える
熱がある、眠れなかった、転んだ、薬が変わった、などの変化は、訪問の始めに必ず伝えましょう。体調によっては、運動の内容を変えたり、中止したりします。痛みや息苦しさを我慢して続けるのは危険です。
家族はできるだけ同席する
家族が同席すると、介助のしかたや自主練習の方法を一緒に学べます。毎回が難しい場合でも、月に1回程度は同席して、目標や進み具合を確認すると安心です。家族が同席できない日は、連絡ノートで様子を共有してもらう方法もあります。

自主練習をしてくれない利用者さんも多いです。

「何回やってください」だけだと続きにくいね。生活の中の動作に組み込む形で提案すると、続けやすくなるよ。家族にも目的を伝えておくのがコツだね。
費用に関する注意点
介護保険の訪問リハビリは、20分を1回として料金が決まり、自己負担は原則1〜3割です。1回の基本料金は約300単位(地域によって1単位あたりの金額が異なる)のため、1割負担の人で1回あたり数百円程度が目安です(概算)。
| 注意したい点 | 内容 |
|---|---|
| 加算 | 退院直後の集中的なリハビリや計画の管理などで、加算がつくことがある |
| 区分支給限度額 | ほかのサービスと合わせて上限を超えると、超えた分は全額自己負担 |
| 医師の診察 | 事業所の医師の診察には、医療保険の自己負担が別にかかることがある |
| 交通費 | 通常の事業の実施地域の外の場合に、事前の説明と同意のうえで請求されることがある |
家族が気をつけたいこと・できるサポート
訪問リハビリの時間は、多くても週に数時間です。残りの時間を自宅でどう過ごすかが、リハビリの効果を左右します。
| 場面 | 家族ができること |
|---|---|
| 普段の生活 | 本人ができることは手を出しすぎず、見守る。「できること」を奪わない |
| 自主練習 | 練習の時間を生活の流れに組み込み、声かけをする。無理をさせない |
| 体調の変化 | 食欲・睡眠・むくみ・転倒などの変化をメモしておき、訪問時に伝える |
| 住まい | 提案された手すりや家具の配置を、ケアマネジャーと相談しながら整える |
| 介護の負担 | 介助がつらいときは遠慮せず伝える。介助のしかたや使えるサービスを一緒に考えてもらえる |

家族が頑張りすぎてしまうケースもありますよね。

そうだね。家族が疲れてしまうと在宅生活が続かない。「家族の負担を減らすこともリハビリの目標」と伝えると、相談してもらいやすくなるよ。
こんなときは事業所やケアマネジャーに相談を
- 転倒した、またはつまずくことが増えた
- 食事でむせることが増えた
- 急に元気がなくなった、物忘れが増えた
- 介助がつらくなってきた、家族が体調を崩した
- リハビリの目標を変えたい(外出したい、趣味を再開したいなど)
- 訪問の回数や時間を増やしたい・減らしたい
こうした変化は、計画を見直すきっかけになります。次の訪問を待たずに、早めに連絡しましょう。
トラブルを防ぐための注意点
- キャンセルは早めに連絡する体調不良や通院で休む場合は、わかった時点で連絡します。キャンセル料の条件も確認しておきましょう。
- サービスの範囲を知っておく訪問リハビリは、自分でできるようになるための練習が中心です。掃除や入浴の介助などの代行は、ほかのサービスの役割です。
- 心付けや贈り物は不要多くの事業所では、職員がお礼の品や現金を受け取ることを禁止しています。気持ちは言葉で伝えてもらえれば十分です。
- 職員への言動に配慮する大声で怒鳴る、身体に触れる、長時間拘束するなどの行為は、ハラスメントにあたることがあります。
- 不満は早めに相談する担当者との相性や内容への不満は、事業所の管理者やケアマネジャーに相談すれば、担当の変更などを検討してもらえます。事業所に言いにくい場合は、市区町村の介護保険の窓口にも相談できます。
2026年10月から、事業主には顧客などからの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)への対策が義務づけられました。介護の事業所でも、悪質な言動が続くとサービスの継続が難しくなる場合があります。困りごとは感情的にならず、窓口に相談しましょう。
よくある質問
訪問リハビリの時間に家族が不在でも大丈夫ですか?
本人が対応できれば利用できます。ただし、鍵の受け渡しや緊急時の連絡方法は、事前に事業所と決めておきましょう。
入院したら訪問リハビリはどうなりますか?
入院中は利用できません。退院が決まったら早めにケアマネジャーと事業所に連絡すると、退院後すぐに再開しやすくなります。体の状態が変わっていることも多いため、計画を見直してから再開します。
担当の理学療法士を変えてもらえますか?
事業所の体制によりますが、相談は可能です。言いにくい場合は、ケアマネジャーを通じて伝えてもらう方法もあります。
リハビリの効果が感じられないときは?
目標と、そのための練習の内容を担当者に確認しましょう。計画は定期的に見直されるため、見直しの機会に希望を伝えることもできます。
訪問リハビリはいつまで続けられますか?
利用期間に一律の上限はありません。ただし、目標を達成したら、デイサービスや通所リハビリ、地域の通いの場などへ移ることも検討します。訪問リハビリは「ずっと続けるもの」ではなく、自宅で安心して暮らせる状態をつくり、次の活動へつなぐためのサービスと考えるとよいでしょう。
訪問中にトイレに行きたくなったら?
遠慮せずに伝えてください。トイレまでの移動や動作を確認することは、リハビリの評価や練習にもつながります。
まとめ|訪問リハビリの注意点を知って安心して利用する
訪問リハビリを安心して利用するには、始める前に医師の診察とケアマネジャーへの相談が必要なこと、契約時に料金・キャンセル料・交通費・緊急時の対応を確認すること、毎回の訪問で体調の変化を伝えることが大切です。サービスの範囲を知り、困りごとは早めに相談することで、トラブルを防ぎながらリハビリの効果を高められます。
- 介護保険の訪問リハビリは事業所の医師の指示と定期的な診察が必要
- 家族は同席や声かけで、練習を生活につなげる役割を担う
- 利用はケアマネジャーへの相談から始める
- 契約時は料金・キャンセル料・交通費・緊急時対応・苦情窓口を確認
- 毎回の訪問では体調の変化を伝え、無理をしない
- サービスの範囲を知り、不満は早めに管理者やケアマネジャーへ相談
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」訪問リハビリテーション
- 厚生労働省「職場におけるハラスメント対策」(カスタマーハラスメント対策)
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

