訪問リハビリでできること・できないこと一覧|代わりのサービスも

「訪問リハビリの人に、ついでに掃除もお願いできる?」「お風呂に入れてもらえるの?」——訪問リハビリの利用者や家族からは、サービスの範囲についてさまざまな質問が寄せられます。できること・できないことがはっきりしていないと、期待とのずれから不満やトラブルにつながることもあります。
この記事では、訪問リハビリでできること・できないことを一覧で整理し、できないことについては「なぜできないのか」と「代わりにどのサービスを使えばよいか」をあわせて解説します。利用者・家族への説明や、ケアマネジャーとの調整にそのまま使える内容です。
- 訪問リハビリでできること一覧
- 訪問リハビリでできないこと一覧と、その理由
- できないことを補う代わりのサービス
- 「条件つきでできること」の考え方
- 利用者・家族への伝え方のコツ
訪問リハビリでできること・できないこと①できること一覧
| 分野 | できることの例 |
|---|---|
| 体の機能 | 筋力・持久力・関節の動きを保つ・高める運動、痛みに配慮した運動の指導 |
| 基本動作 | 寝返り、起き上がり、立ち上がり、座る姿勢の練習 |
| 移動 | 屋内・屋外の歩行、階段、杖・歩行器・車いすの使い方の練習 |
| 日常生活動作 | トイレ、入浴、着替え、食事などの動作の評価と練習 |
| 家事・外出 | 調理、洗濯、掃除などの家事動作の練習、買い物や外出の練習 |
| 環境 | 手すりや段差など住まいの評価と助言、福祉用具・自助具の選定と使い方の指導 |
| 家族への支援 | 介助方法、見守りのポイント、自主練習の付き添い方の指導 |
| 言葉・飲み込み | 話す・聞く練習、嚥下の評価と練習、食事の姿勢や食形態の助言 |
| 連携 | ケアマネジャー・医師・ほかのサービスへの情報提供、リハビリテーション会議 |

家事の「練習」と「代行」の違いを説明するのが難しいです。

「ご自分でできるようになるために一緒に練習するのが訪問リハビリ、代わりにやってもらうのはヘルパーさんの役割」と伝えるとわかりやすいよ。目的の違いを伝えることが大切なんだ。
職種別に見る「できること」
| 職種 | 特に得意とすること |
|---|---|
| 理学療法士 | 起き上がり・立ち上がり・歩行など基本動作と移動、転倒予防、車いす・歩行器などの選定 |
| 作業療法士 | トイレ・入浴・着替えなどの生活動作、家事や趣味の活動、認知症のある人の生活の工夫、自助具 |
| 言語聴覚士 | 言葉によるコミュニケーション、失語症への対応、嚥下の評価と練習、食事の姿勢や食形態 |
訪問リハビリでできないこと一覧と理由
| できないこと | 理由 | 代わりに使えるサービス |
|---|---|---|
| 日常的な入浴の介助 | リハビリ(動作の獲得)が目的のサービスで、清潔保持の介助は目的が異なる | 訪問介護、訪問入浴介護、デイサービス |
| 掃除・洗濯・調理の代行 | 家事の代行は生活援助の役割 | 訪問介護(生活援助) |
| 買い物の代行 | 代行は生活援助の役割(買い物の練習は可能) | 訪問介護、配食・宅配サービス |
| 医療処置(点滴、褥瘡の処置など) | 看護職員などが行う医療行為 | 訪問看護 |
| 薬の管理・服薬の介助を中心とした支援 | リハビリの範囲を超える | 訪問看護、訪問介護、居宅療養管理指導(薬剤師) |
| 医師の指示のないリハビリ | 訪問リハビリは事業所の医師の指示と計画にもとづいて行う | (ケアマネジャー・事業所に相談) |
| 利用者本人と関係のない家族へのサービス | 介護保険のサービスは利用者本人のためのもの | 家族自身の医療・介護サービス |
訪問リハビリで「できない」ことの多くは、ほかのサービスの役割です。できないと伝えるだけでなく、代わりのサービスをケアマネジャーと一緒に考える姿勢が信頼につながります。
条件つきでできること
状況によっては、条件つきでできることもあります。
| 内容 | 条件・考え方 |
|---|---|
| 実際の浴室での入浴の練習 | 入浴動作の評価・練習として計画に位置づけられ、安全管理ができる場合 |
| 屋外歩行や公共交通機関の利用の練習 | 生活の目標にもとづき、計画に位置づけられている場合 |
| 訪問中のトイレの介助 | 訪問中に必要が生じた場合は対応する(動作の評価の一環としても記録) |
| ヘルパーと同じ時間帯の訪問 | 訪問介護と訪問リハビリは、介護のために必要と認められる場合に限り同一時間帯の利用が可能 |
| 医療保険の訪問リハビリ | 要介護認定者は原則介護保険。急性増悪時は6月に1回・14日間に限り医療保険 |
できないことを補うサービスの組み合わせ例
| 困りごと | 訪問リハビリの役割 | 組み合わせるサービス |
|---|---|---|
| 一人でお風呂に入るのが不安 | 浴室での動作の評価・練習、手すりや入浴用いすの提案 | 訪問介護(入浴介助)、デイサービス |
| 家事ができなくなった | 調理や洗濯の動作の練習、道具の工夫 | 訪問介護(生活援助)、配食サービス |
| 病気の管理が心配 | 体調の変化に気づいて報告、運動の量の調整 | 訪問看護、居宅療養管理指導 |
| 日中ひとりで過ごす時間が長い | 外出の練習、活動の目標づくり | デイサービス、通所リハビリ、地域の通いの場 |
訪問リハビリは、ほかのサービスと役割を分けて組み合わせることで、生活全体を支える力を発揮します。
リハ職が訪問中に迷いやすい場面と判断の目安
一覧で整理しても、実際の訪問では「これはどっち?」と迷う場面があります。判断の目安は、その行為が計画の目標につながる練習や評価かどうかです。
| 場面 | 判断の目安 |
|---|---|
| 洗濯物を一緒に干す | 干す動作の練習として計画にあれば実施。リハ職が全部干してしまうと代行になる |
| 散らかった通路を片付ける | 転倒の危険を減らす環境調整として本人・家族と一緒に行い、配置の工夫を提案する。日常の掃除は対象外 |
| 血圧が高く運動を中止した | 中止の判断と記録、医師や訪問看護・ケアマネジャーへの報告まで行う。処置は行わない |
| 家族から介護の悩みを相談された | 介助方法の助言は対応する。家族自身の体調や生活の相談は、ケアマネジャーや地域包括支援センターにつなぐ |

練習のつもりでも、気づいたら代わりにやっていることがありそうです。

だからこそ「本人が何をして、自分は何を手伝ったか」を記録に残す習慣が大事なんだ。記録を見返すと、練習か代行かがはっきりするよ。
個人の判断で範囲を広げると、ほかのスタッフが訪問したときに「前の人はやってくれた」という不満につながります。迷う依頼は事業所内で共有し、対応をそろえましょう。
利用者・家族への伝え方のコツ【実践編】
- 契約時に範囲を説明する重要事項説明書を使い、訪問リハビリの目的と、できること・できないことを最初に伝えます。
- 目的から説明する「できません」ではなく、「ご自分でできるようになるための練習が私たちの役割です」と目的から伝えます。
- 代わりの方法を示す必要な支援は、ほかのサービスで受けられることを伝え、ケアマネジャーと相談します。
- 迷ったら持ち帰る判断に迷う依頼は、その場で引き受けず、事業所で確認してから返事をします。
よくある依頼と答え方の例
| 依頼 | 答え方の例 |
|---|---|
| 「ついでにゴミを出してほしい」 | 「ゴミ出しをご自分でできるよう、玄関までの移動の練習を一緒にしましょう。日々のゴミ出しはヘルパーさんの利用もご相談できます」 |
| 「お風呂に入れてほしい」 | 「安全に入れるよう、浴室での動きを確認して練習します。普段の入浴の介助は、ケアマネジャーさんとサービスを相談しましょう」 |
| 「薬を飲ませてほしい」 | 「お薬の管理は看護師さんや薬剤師さんの役割になります。ケアマネジャーさんに相談してみますね」 |
よくある質問
訪問リハビリでマッサージはしてもらえますか?
筋肉の緊張をほぐすなどの関わりは、生活の目標に向けたリハビリの一部として行われることがあります。ただし、マッサージだけを目的とするサービスではありません。
訪問リハビリの人に、病院への付き添いをお願いできますか?
通院の付き添いは、訪問リハビリのサービスではありません。通院の介助が必要な場合は、訪問介護の通院等乗降介助や身体介護などを、ケアマネジャーと相談しましょう。
できないことを頼まれたとき、断ると関係が悪くなりませんか?
目的を丁寧に説明し、代わりの方法を一緒に考えれば、多くの場合は理解してもらえます。その場の判断で引き受けてしまうと、ほかのスタッフとの対応がずれ、かえってトラブルになることがあるため注意しましょう。
訪問リハビリで福祉用具を持ってきてもらえますか?
福祉用具の選定や使い方の指導はできますが、貸与や購入の手続きは、ケアマネジャーと福祉用具の事業所を通じて行います。試しに使ってみたい場合は、福祉用具の事業所に相談すると、訪問リハビリの時間に合わせて試用できることもあります。
要支援の人も、訪問リハビリで同じことができますか?
要支援の人は「介護予防訪問リハビリテーション」を利用します。できることの考え方は基本的に同じで、生活機能の維持・向上に向けた練習や環境調整が中心です。利用の調整は、地域包括支援センターなどの担当者と相談します。
まとめ|できないことは「ほかのサービスの役割」として伝える
訪問リハビリでできるのは、体の機能や動作の練習、日常生活・家事・外出の練習、住まいや福祉用具の調整、家族への指導、言葉や飲み込みの練習、多職種との連携などです。一方、入浴や家事の代行、医療処置などは、ほかのサービスの役割です。できないことは理由と代わりのサービスをあわせて伝え、ケアマネジャーと連携して利用者の生活を支えましょう。
- 訪問リハビリは「自分でできるようになる」ための練習と環境調整が中心
- 入浴・家事・買い物の代行、医療処置、服薬管理は、ほかのサービスの役割
- 入浴の練習、屋外歩行、同一時間帯の訪問など、条件つきでできることもある
- 契約時に範囲を説明し、目的から伝えると理解されやすい
- できないことは代わりのサービスをケアマネジャーと一緒に考える
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1213(令和6年度介護報酬改定に伴う留意事項通知の改正)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料1「訪問介護」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

