訪問リハビリのサービス内容とは?具体例と1回の流れを解説

「訪問リハビリって、家に来て具体的に何をしてくれるの?」「マッサージだけ?運動だけ?」——訪問リハビリの利用を考える利用者や家族、ケアマネジャーからよく聞かれる質問です。
訪問リハビリは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅を訪問し、心身の機能の維持回復と、日常生活の自立を助けるためのリハビリを行う介護保険のサービスです。この記事では、厚生労働省の資料で示されているリハビリの内容をもとに、訪問リハビリのサービス内容を具体的に整理し、1回の訪問の流れや、職種ごとの関わり、利用までの流れも解説します。
- 訪問リハビリの目的と、サービスの基本
- 訪問リハビリで行う主なサービス内容(7つの分類)
- PT・OT・STそれぞれのサービス内容
- 1回の訪問の流れ
- 訪問リハビリを利用するまでの流れと費用の目安
訪問リハビリとは
訪問リハビリテーションは、介護保険で「居宅要介護者について、その者の居宅において、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション」と位置づけられたサービスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供する人 | 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST) |
| 提供する事業所 | 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院 |
| 指示 | 事業所の医師の診療と指示にもとづいて行う |
| 時間と回数 | 1回20分以上、原則週6回まで(退院・退所から3月以内は医師の指示で週12回まで) |
| 対象 | 要介護・要支援の認定を受け、通院が困難な人など |

訪問リハビリって、結局は運動を教えてくれるサービスなんですか?

運動もその一つだけど、それだけじゃないよ。トイレやお風呂の動作の練習、家の環境の調整、家族への介助方法の指導、福祉用具の選び方まで、生活全体を支えるのが訪問リハビリなんだ。
訪問リハビリの主なサービス内容
厚生労働省の資料では、リハビリテーションの内容として、次のようなものが例示されています。訪問リハビリでは、これらを利用者の自宅の環境で行います。
| 分類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 運動療法 | 筋力増強訓練、持久力訓練、関節可動域訓練など |
| 基本動作訓練 | 寝返り・起き上がり・立ち上がり・座位保持の練習など |
| 歩行訓練 | 屋内・屋外の歩行、階段、杖や歩行器の使い方の練習 |
| ADL訓練 | 移乗、トイレ動作、入浴、更衣など日常生活動作の練習 |
| IADL訓練 | 家事動作、外出、買い物、余暇活動のための練習 |
| 環境調整・支援 | 家屋の評価と調整、福祉用具・自助具の評価と選定、家族・支援者への指導 |
| 専門的な訓練 | 高次脳機能訓練、言語聴覚訓練、摂食嚥下訓練 |
同じ資料では、訪問リハビリで実施されている内容として、筋力増強訓練、関節可動域訓練、歩行訓練(平地)の割合が多いことも示されています。一方で、リハビリは単なる機能回復訓練ではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にするものとされています。
訪問リハビリの強みは、「実際に暮らしている家」で、生活に直結した練習と環境調整ができることです。病院のリハビリ室ではできない関わりが中心になります。
PT・OT・STそれぞれのサービス内容
| 職種 | 主なサービス内容の例 |
|---|---|
| 理学療法士(PT) | 起き上がり・立ち上がり・歩行の練習、転倒予防、屋外歩行、福祉用具(車いす・歩行器)の選定、住宅改修の助言 |
| 作業療法士(OT) | トイレ・入浴・更衣などの生活動作の練習、調理や洗濯などの家事、趣味の活動、認知症の人への関わり、自助具の工夫 |
| 言語聴覚士(ST) | 話す・聞く・読む・書くの練習、失語症への対応、食べる・飲み込む(嚥下)の評価と練習、食事の姿勢や食形態の助言 |
どの職種が担当するかは、利用者の状態や目標に応じて決まります。事業所によっては、複数の職種が役割を分けて関わることもあります。
利用者の状態別に見るサービス内容の例
| 利用者の状態の例 | サービス内容の例 |
|---|---|
| 脳卒中の後遺症で片まひがある | 起き上がりや移乗の練習、装具や杖を使った歩行練習、家事動作の練習、家族への介助指導 |
| 骨折の手術後に退院した | 痛みに配慮した筋力訓練、屋内の歩行練習、転倒しにくい環境づくり、入浴動作の確認 |
| パーキンソン病がある | 歩き始めや方向転換の練習、転倒予防、薬の効く時間帯を考えた生活の工夫 |
| 認知症がある | なじみのある家事や活動を生かした関わり、トイレの場所の表示など環境の工夫、家族への声かけの助言 |
| 飲み込みに不安がある | 嚥下の評価、食事の姿勢や食形態の助言、口の体操 |
| 終末期にある | 苦痛の少ない姿勢の工夫、関節の動きの維持、家族と過ごす時間を支える関わり |
1回の訪問の流れ
- 体調の確認血圧・脈拍・体温などのバイタルサインや表情、前回からの変化を確認します。医師の指示にある中止基準に当てはまる場合は、無理にリハビリを行いません。
- リハビリの実施計画にもとづいて、運動、動作の練習、生活場面での練習などを行います。
- 環境の確認・調整家具の配置や福祉用具の使い方などを確認し、必要に応じて調整します。
- 家族への助言介助のしかたや、訪問のない日の自主練習の方法を伝えます。
- 記録と報告実施内容と利用者の状態を記録し、必要に応じて医師やケアマネジャーに報告します。
訪問リハビリでは行わないこと
訪問リハビリのサービス内容を正しく理解するために、行わないことも知っておきましょう。
- 日常的な入浴・排せつ・食事の介助を、リハビリの目的なく代わりに行うこと
- 掃除・洗濯・調理などの家事を、利用者の代わりに行うこと(家事の練習は行う)
- 医師の指示や計画にもとづかないリハビリ
- 医療処置(点滴、褥瘡の処置など)は看護職員などの役割で、訪問リハビリでは行わない
これらの支援が必要な場合は、訪問介護や訪問看護など、目的に合ったサービスと組み合わせることをケアマネジャーと相談しましょう。
訪問リハビリで大切にしている考え方
訪問リハビリでは、本人や家族の「こうしたい」という希望をもとに目標を立て、計画を作成します。厚生労働省の通知では、リハビリテーションマネジメントの考え方として、調査(Survey)・計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)のサイクルで質の高いリハビリを提供することが示されています。
- 利用者の生活の目標に沿った計画を立てる
- 開始からおおむね2週間で見直し、以降はおおむね3か月ごとに見直す
- ケアマネジャーや多職種と情報を共有し、チームで支える
- 訪問のない日も続けられる自主練習を一緒に考える
- 目標を達成したら、終了や通所系サービスへの移行を検討する
訪問リハビリを利用するまでの流れと費用の目安【実践編】
- ケアマネジャーに相談する要介護認定を受けていない場合は、市町村や地域包括支援センターで申請します。
- 事業所の医師の診療を受ける事業所の医師が診療し、リハビリの内容や注意点を指示します。
- 計画の説明と契約計画書の説明を受け、同意して契約します。
- 訪問リハビリの開始決まった曜日・時間に、リハ職が自宅を訪問します。
費用は、1回(20分以上)308単位(介護予防は298単位)で、1単位10円・1割負担なら1回あたり約308円が目安です(地域区分や加算によって変わります)。40分の訪問なら2回分として数えます。
よくある質問
訪問リハビリでマッサージだけをしてもらえますか?
訪問リハビリは、心身機能の維持回復と日常生活の自立を目的としたサービスで、マッサージだけを目的とするものではありません。筋肉の緊張をほぐすなどの関わりは、生活の目標に向けたリハビリの一部として行われます。
家の外でリハビリをしてもらえますか?
計画に位置づけられていれば、屋外の歩行練習や、近所への外出の練習なども行うことができます。生活の目標に関わる練習かどうかが大切です。
訪問リハビリは何時間くらいですか?
1回20分以上を単位とし、40分や60分など、計画に応じて時間を決めます。週あたりの回数は、原則として週6回(20分を1回として)までです。
訪問リハビリで福祉用具の相談はできますか?
できます。福祉用具・自助具の評価と選定は、厚生労働省の資料でもリハビリテーションの内容として示されています。実際の生活の場で使い方を確認できるのが、訪問リハビリの強みです。導入はケアマネジャーや福祉用具の事業所と連携して進めます。
入浴の介助はしてもらえますか?
訪問リハビリでは、入浴動作の評価や練習、環境調整、家族への介助方法の指導はできますが、日常の入浴介助を代わりに行うサービスではありません。入浴介助が必要な場合は、訪問介護や訪問入浴介護、デイサービスなどを検討します。
まとめ|訪問リハビリは自宅で「生活を立て直す」サービス
訪問リハビリは、PT・OT・STが自宅を訪問し、医師の指示にもとづいて、運動療法、基本動作・歩行・ADL・IADLの練習、環境調整、家族への指導、言語や嚥下の訓練などを行うサービスです。生活の目標に沿って計画を立て、定期的に見直しながら、自宅での暮らしを支えます。利用を考えたら、まずはケアマネジャーに相談し、「自宅でどんな生活をしたいか」を伝えるところから始めましょう。
- 訪問リハビリは心身機能の維持回復と日常生活の自立を助ける介護保険のサービス
- 運動療法、動作練習、ADL・IADL訓練、環境調整、家族指導、言語・嚥下訓練などを行う
- PT・OT・STがそれぞれの専門性で関わる
- 1回の訪問は体調確認→リハビリ→環境調整→家族への助言→記録の流れ
- 1回20分以上・308単位(1割負担で約308円)が目安
- 家事や入浴の代行は行わず、必要なら訪問介護などと組み合わせる
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(介護保険最新情報Vol.1217)
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

