訪問リハビリと訪問看護の違い|指示・料金・回数を比較

訪問リハビリテーションと訪問看護の違いは、一言でいうと「誰が、何のために、誰の指示で訪問するか」です。訪問リハビリは病院・診療所・老健などのPT・OT・STが、事業所の医師の診療に基づいてリハビリを行います。訪問看護は看護師などが主治医の指示書に基づいて療養上の世話や診療の補助を行うサービスで、看護業務の一環としてPT・OT・STが訪問することもあります。
「訪問看護ステーションのリハビリ」と「訪問リハビリ」は、利用者から見るとほぼ同じに見えます。それでも、制度上は指示の出し方も料金も事業所の種類も違います。この記事では、定義・事業所・指示・料金・回数のルール・選び方を比較表で整理します。
- 訪問リハビリと訪問看護の定義と目的の違い
- 提供できる事業所・職種の違い
- 医師の指示(診療と指示書)の違い
- 料金(単位数)と回数のルールの違い
- どちらを選ぶべきかの考え方と、PT・OT・STの働き方の違い
訪問リハビリと訪問看護の違い【比較表】
| 項目 | 訪問リハビリテーション | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 目的 | 心身機能の維持回復、日常生活の自立を助けるためのリハビリ | 療養上の世話または必要な診療の補助 |
| 事業所 | 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院 | 訪問看護ステーション・病院・診療所 |
| 訪問する職種 | PT・OT・ST | 看護師・准看護師・保健師(看護業務の一環としてPT・OT・STも訪問) |
| 医師の関わり | 事業所の医師の診療に基づき計画を作成 | 主治医の訪問看護指示書に基づき提供 |
| 介護保険の基本報酬(PT等・20分) | 308単位/回 | 294単位/回(訪問看護Ⅰ5) |
| 回数 | 週6回まで(退院後3か月以内は条件つきで週12回) | PT等は週6回まで。1日に2回を超えると減算 |
| 請求事業所数(令和7年4月審査分) | 5,680 | 16,874 |
請求事業所数は、訪問看護が訪問リハビリの約3倍です。地域によっては、訪問リハビリ事業所が近くになく、訪問看護ステーションのPT・OT・STがリハビリの主な担い手になっているケースも少なくありません。

利用者さんから見ると、どっちも「家にリハビリの先生が来る」ですよね。

そうだね。でも制度上の位置づけは全然違う。訪問リハビリは「リハビリのサービス」、訪問看護のPT等の訪問は「看護の一環としてのリハビリ」。この違いが、指示の出し方や回数のルールに表れているんだ。
定義と目的の違い
訪問リハビリテーション
介護保険法では、訪問リハビリテーションを「居宅要介護者について、その者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション」としています。リハビリそのものがサービスの目的です。
訪問看護
訪問看護は、看護師などが居宅を訪問して行う「療養上の世話又は必要な診療の補助」です。病状の観察、服薬管理、医療的な処置、排泄や清潔のケア、ターミナルケアなどが中心です。リハビリも行いますが、あくまで看護の一部という位置づけです。
訪問看護のPT・OT・STの位置づけ
介護保険の通知では、PT・OT・STによる訪問看護は、看護業務の一環としてのリハビリを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置づけです。そのため、訪問看護計画でPT等の訪問回数が看護職員の訪問回数を上回るような設定は適切ではないとされています。令和6年度改定では、利用開始時や状態の変化に合わせて、看護職員が定期的に訪問して評価することも求められました。
医師の指示の違い
| 項目 | 訪問リハビリ | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 指示を出す医師 | 訪問リハビリ事業所の医師(原則) | 利用者の主治医 |
| 指示の形 | 事業所の医師の診療に基づく指示と計画 | 訪問看護指示書 |
| 医師の診療の頻度 | 事業所の医師の診療から3か月以内に提供したものを算定 | 指示書の有効期間内(最長6か月) |
| 診療がない場合 | 別の医療機関の医師の情報提供で提供すると、1回50単位の減算(診療未実施減算) | — |
訪問リハビリは、事業所の医師が利用者を診療して、リハビリの計画づくりに関わることが前提です。主治医がほかの医療機関の場合は、事業所の医師の診察を受ける手間が発生します。一方、訪問看護は主治医が指示書を書けば始められるため、開始までの手続きは訪問看護の方がシンプルなことが多いです。訪問リハビリの指示の詳しい仕組みは、関連記事で解説しています。

主治医が開業医の先生で、訪問リハ事業所の病院と違う場合は大変そうですね。

そうなんだ。事業所の医師の診察を受けに行くのが難しい利用者さんもいる。だから訪問看護ステーションのリハビリを選ぶケースもあるね。どちらがいいかは、利用者さんの状態と通院の負担で考えよう。
料金と回数のルールの違い
介護保険で20分のリハビリを1回受ける場合、訪問リハビリは308単位、訪問看護(PT等の訪問)は294単位です。どちらも20分を1回として数え、週6回が上限です。
| ルール | 訪問リハビリ | 訪問看護(PT・OT・STの訪問) |
|---|---|---|
| 1日の回数 | 特別な減算なし | 1日に2回を超えて行うと、1回につき所定単位数の90%で算定 |
| 職種のバランスによる減算 | なし | 前年度にPT等の訪問回数が看護職員の訪問回数を上回るなどの場合、1回8単位の減算 |
| 要支援の長期利用 | 12か月超で1回30単位の減算(要件を満たせば減算なし) | 12か月超の減算あり |
| 主な加算 | 短期集中リハ、リハマネ、退院時共同指導、移行支援など | 緊急時訪問看護、特別管理、ターミナルケアなど |
利用者の自己負担の目安は、1割負担なら20分あたり約300円で大きな差はありません。費用の詳しい計算方法は、訪問リハビリの料金の記事を参考にしてください。
医療保険で利用する場合の違い
要介護・要支援の認定を受けている人は、原則として介護保険が優先されます。ただし、医療保険になる例外の範囲がサービスによって違います。
| ケース | 訪問リハビリ | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 介護保険の認定がない | 医療保険(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料) | 医療保険 |
| 末期がん・一部の神経難病など(厚生労働大臣が定める疾病等) | 介護保険のまま | 要介護者でも医療保険 |
| 急性増悪など | 医師の特別の指示で、6か月に1回・14日間を限度に医療保険 | 特別訪問看護指示書の期間(原則月1回・14日間)は医療保険 |
訪問リハビリと訪問看護、どちらを選ぶ?
どちらが優れているということはありません。利用者の状態と目的に合わせて選びます。
| こんな場合 | 向いているサービス |
|---|---|
| 退院直後で、集中的にリハビリをしたい | 訪問リハビリ(短期集中リハビリテーション実施加算あり) |
| 医療的な処置や病状の観察も必要 | 訪問看護(看護とリハビリを一体的に) |
| 事業所の医師の診察を受けるのが難しい | 訪問看護(主治医の指示書で開始できる) |
| 生活動作の練習や、福祉用具・住環境の調整が中心 | 訪問リハビリ |
| 終末期で、看護とリハビリの両方が必要 | 訪問看護(必要に応じて訪問リハビリと併用) |
訪問リハビリと訪問看護は、必要性が認められれば同じ利用者が併用することもできます。回数の制限や注意点は、関連記事「訪問看護Ⅰ5と訪問リハビリは併用できる?」で詳しく解説しています。
PT・OT・STの働き方の違い【実践編】
転職を考えているPT・OT・STにとっても、2つのサービスの違いは大事なポイントです。
- 職場の母体:訪問リハビリは病院・診療所・老健に所属することが多く、訪問看護は訪問看護ステーションに所属する。ステーションは営利法人の運営も多い
- 一緒に働く職種:訪問リハビリはリハ職中心のチーム、訪問看護は看護師中心のチームでリハ職は少数派になることが多い
- 医師との距離:訪問リハビリは事業所の医師と相談しやすい。訪問看護では主治医との連絡は看護師が中心になることが多い
- 求められる視点:訪問看護では、看護職員と連携して計画書・報告書を作るため、病状管理の視点も求められる

同じ在宅のリハビリでも、職場の雰囲気はかなり違いそうですね。

そうだね。どちらで働くにしても、看護師や医師、ケアマネジャーとの連携が欠かせないのは同じ。見学で、チームの構成や連携の仕方を確認しておくといいよ。
よくある質問
訪問リハビリと訪問看護のリハビリでは、内容に違いはありますか?
行うリハビリの内容(運動、歩行・動作の練習、福祉用具や住環境の調整など)に大きな違いはありません。違うのは制度上の位置づけで、訪問看護のリハビリは看護業務の一環として行うため、看護職員の訪問や評価との連携が求められます。
訪問看護のPT等の訪問だけを利用することはできますか?
令和6年度改定で、利用開始時や状態の変化に合わせて、看護職員が定期的に訪問して評価することが求められています。リハビリだけを目的にする場合でも、看護職員の関わりが必要です。
料金はどちらが安いですか?
介護保険の基本報酬は、訪問リハビリが308単位、訪問看護のPT等の訪問が294単位です。加算の種類や、訪問リハビリでは事業所の医師の診察代が別にかかるなどの違いがあるため、総額は利用状況によって変わります。
ケアマネジャーはどう使い分けていますか?
医療的なケアの必要性、退院直後かどうか、事業所の医師の診察を受けられるか、近くにどちらの事業所があるか、などで判断することが多いです。リハビリ職からも、目的に合ったサービスを提案できるとよいでしょう。
- 訪問リハビリはリハビリそのものが目的、訪問看護は療養上の世話・診療の補助が目的で、PT等の訪問は看護業務の一環
- 訪問リハビリは事業所の医師の診療、訪問看護は主治医の指示書に基づく
- 介護保険の基本報酬は308単位と294単位。訪問看護のPT等は1日2回超や職種バランスによる減算がある
- 厚生労働大臣が定める疾病等で医療保険になる例外は、訪問看護のみ
- 利用者の状態・目的・通院の負担・地域の事業所に合わせて選ぶ。併用も可能
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料3「訪問看護」
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1213(令和6年度介護報酬改定に伴う留意事項通知の改正)
- 羽曳野市「訪問看護の運営に関する資料」
- 厚生労働省 医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項(令和8年3月27日、近畿厚生局掲載)
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

