訪問リハビリの費用はいくら?1回の料金と自己負担の計算例

訪問リハビリの費用は、介護保険の場合、20分1回あたり308単位(要支援は298単位)が基本です。1単位を10円として、自己負担が1割の人なら20分あたり約308円、40分で約616円が目安になります。ここに加算や地域ごとの単価の違い、負担割合(1〜3割)が加わって、実際の金額が決まります。
「月にいくらかかるの?」「ほかにかかる費用はある?」と聞かれて、うまく説明できないセラピストも多いのではないでしょうか。この記事では、訪問リハビリの費用について、基本料金・主な加算・地域区分・自己負担の計算方法・月額の計算例・負担を軽くする制度を、2026年10月時点の介護報酬をもとにまとめます。
- 訪問リハビリの基本料金(要介護・要支援)
- 費用に上乗せされる主な加算と減算
- 地域区分による1単位の単価の違い
- 月額の計算例と自己負担(1〜3割)の目安
- 交通費・医師の診察代など、ほかにかかる費用と負担軽減の制度
訪問リハビリの費用の基本|1回308単位
介護保険の訪問リハビリは、20分以上の提供を「1回」として数え、1回ごとに料金が決まる仕組みです。40分なら2回、60分なら3回として計算します。
| 区分 | 基本報酬 | 1割負担の目安(1単位10円) | 回数の上限 |
|---|---|---|---|
| 訪問リハビリ(要介護1〜5) | 308単位/回 | 約308円/20分 | 週6回まで(退院・退所後3か月以内は条件つきで週12回) |
| 介護予防訪問リハビリ(要支援1・2) | 298単位/回 | 約298円/20分 | 週6回まで |
この単位数は令和6年度介護報酬改定で決まったもので、令和8年度の期中改定でも基本報酬は変わっていません。令和8年6月からは、訪問リハビリにも介護職員等処遇改善加算(1.5%)が設けられました。

「1回」が20分なんですね。40分の訪問だと2回分になるんですか?

そうだよ。40分なら616単位、60分なら924単位。利用者さんに説明するときは「20分ごとに約300円(1割負担の場合)」と伝えると、イメージしてもらいやすいね。
費用に上乗せされる主な加算・減算
基本報酬に加えて、事業所の体制やリハビリの内容に応じて加算がつきます。主なものは次のとおりです。
| 加算・減算 | 単位数 | どんなときにつくか |
|---|---|---|
| 短期集中リハビリテーション実施加算 | 200単位/日 | 退院・退所日や認定日から3か月以内に集中的に行う場合 |
| リハビリテーションマネジメント加算(イ/ロ) | 180/213単位/月 | リハ会議などで計画を継続的に管理する場合(ロはLIFE提出あり) |
| 同加算の医師説明 | +270単位/月 | 事業所の医師が利用者・家族に説明し同意を得た場合 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ/Ⅱ) | 6/3単位/回 | 経験年数の長いセラピストを配置している事業所 |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 退院前に病院で共同指導を行った場合 |
| 移行支援加算 | 17単位/日 | 通所サービスなどへの移行を支援した実績がある事業所 |
| 介護職員等処遇改善加算 | 総単位数の1.5% | 令和8年6月から。要件を満たす事業所 |
| 診療未実施減算 | ▲50単位/回 | 事業所の医師が診療しなかった場合 |
| 同一建物減算 | ▲10%・▲15% | 事業所と同じ敷地の建物などに住む場合 |
要支援の介護予防訪問リハビリでは、利用開始から12か月を超えると1回30単位の減算があります(リハビリテーション会議とLIFEの要件を満たせば減算なし)。どの加算がつくかは事業所によって違うため、契約時の重要事項説明書で確認するのが確実です。加算の詳しい内容は、関連記事「訪問リハビリの加算一覧」で解説しています。
地域区分で1単位の単価が変わる
介護保険の料金は「単位数×1単位の単価」で計算します。1単位の単価は地域区分(1級地〜7級地、その他)とサービスの種類によって決まっており、人件費の高い都市部ほど高く設定されています。訪問リハビリの単価は次のとおりです。
| 地域区分 | 訪問リハビリの1単位の単価 |
|---|---|
| 1級地(東京23区) | 11.10円 |
| 2級地 | 10.88円 |
| 3級地 | 10.83円 |
| 4級地 | 10.66円 |
| 5級地 | 10.55円 |
| 6級地 | 10.33円 |
| 7級地 | 10.17円 |
| その他 | 10.00円 |
※どの市町村が何級地かは、市町村の案内で確認してください。たとえば埼玉県川口市は、令和6年4月から5級地(訪問リハビリは10.55円)です。
同じ308単位でも、「その他」の地域では3,080円、1級地では約3,418円になります。地域による差は、最大で1割程度です。
自己負担の割合と計算方法
介護保険サービスの自己負担は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかです。自分の負担割合は、市町村から届く「介護保険負担割合証」で確認できます。
- 1か月の単位数を合計する基本報酬(回数分)と加算・減算を合計します。処遇改善加算は、ほかの加算・減算を合計した単位数に1.5%をかけて求めます。
- 単価をかけて費用の総額を出す合計単位数に、地域区分の単価をかけます(1円未満切り捨て)。
- 負担割合をかける総額のうち、保険から給付される分(7〜9割)を除いた残りが自己負担になります。
月額の計算例
実際にいくらになるのか、よくあるケースで計算してみます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 利用者 | 要介護2、自己負担1割 |
| 利用回数 | 週2回・1回40分(2回分)×月8日=月16回 |
| 加算 | サービス提供体制強化加算(Ⅰ)、リハビリテーションマネジメント加算ロ、処遇改善加算(1.5%) |
| 地域 | その他(1単位10円) |
| 項目 | 計算 | 単位数 |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 308単位×16回 | 4,928単位 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 6単位×16回 | 96単位 |
| リハビリテーションマネジメント加算ロ | 月1回 | 213単位 |
| 処遇改善加算 | 5,237単位×1.5% | 約79単位 |
| 合計 | 約5,316単位 | |
1単位10円なので費用の総額は約53,160円、1割負担なら自己負担は月約5,300円です。同じ条件で2割負担なら約10,600円、3割負担なら約16,000円になります。5級地(10.55円)の地域では、1割負担で月約5,600円です。
※端数処理や加算の組み合わせによって実際の金額は変わります。目安としてご覧ください。

退院直後で短期集中リハビリの加算がつくと、もっと高くなるんですか?

そうだね。短期集中は1日200単位だから、1割負担で1日約200円上乗せになる。退院直後の3か月は回数も多くなりやすいから、その時期だけ費用が上がることを事前に伝えておくと、利用者さんも安心だよ。
訪問リハビリでほかにかかる費用
事業所の医師の診察代(医療保険)
介護保険の訪問リハビリは、事業所の医師の診療に基づいて計画を作ることが原則です。そのため、事業所の医師の診察を受ける必要があり、その診察代は医療保険で別にかかります。医師の診療の頻度や費用は、関連記事で詳しく解説しています。
交通費(通常の事業の実施地域の外の場合)
利用者の住まいが事業所の「通常の事業の実施地域」の外にある場合は、事前に説明と同意があれば、交通費の実費を請求されることがあります。実施地域の内側であれば、交通費や駐車料金は請求できません。
キャンセル料
キャンセル料の有無や金額は、事業所の運営規程と重要事項説明書で決められています。国の基準で一律に決まっているものではないため、契約時に確認しておきましょう。
費用の負担を軽くする制度
高額介護サービス費
1か月の介護保険サービスの自己負担の合計が上限を超えた場合、申請すると超えた分が払い戻されます。上限額は所得によって決まっています。
| 区分 | 負担の上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 住民税課税世帯で課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| うち年金収入等が80万円以下の人など | 15,000円(個人) |
| 生活保護を受けている人など | 15,000円(個人) |
医療費控除
介護保険の訪問リハビリの自己負担は、医療費控除の対象になる医療系サービスに含まれます。確定申告の際には、事業所が発行する領収書を保管しておきましょう。詳しくは関連記事「訪問リハビリは医療費控除の対象?」をご覧ください。
区分支給限度基準額にも注意
介護保険には、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限(区分支給限度基準額)があります。上限を超えた分は全額自己負担になります。ほかのサービスと合わせた利用量は、ケアマネジャーが管理しています。
利用者・家族に費用を説明するときのコツ【実践編】
費用の説明は、契約時のトラブルを防ぐ大切な場面です。PT・OT・STが説明にかかわるときは、次の点を意識しましょう。
- 「20分ごと」と「月額」の両方で伝える:1回あたりの金額だけでなく、予定している回数での月額の目安を示す
- 時期によって変わる費用を伝える:退院直後の短期集中加算など、期間限定の加算がある場合は、いつまで続くかを説明する
- 介護保険以外の費用を忘れずに:医師の診察代(医療保険)や、実施地域外の交通費など、別にかかる費用を事前に伝える
- 負担割合証を一緒に確認する:1〜3割のどれかで金額が大きく変わるため、契約時に負担割合証を確認する
よくある質問
訪問リハビリの1回の料金はいくらですか?
要介護の人は20分1回308単位で、1単位10円の地域・1割負担なら約308円です。要支援の人は298単位で約298円です。地域区分や加算、負担割合によって実際の金額は変わります。
医療保険で訪問リハビリを受ける場合の料金は違いますか?
医療保険の訪問リハビリ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)は、料金の決まり方も自己負担の割合も異なります。要介護認定を受けている人は原則として介護保険が優先されます。医療保険の場合の料金は関連記事で解説しています。
生活保護を受けている人の自己負担はどうなりますか?
65歳以上の生活保護受給者は、介護保険の9割に加えて、残りの1割が介護扶助から支払われるため、原則として自己負担はありません。事業所が生活保護法の指定介護機関であることが必要です。
訪問リハビリと訪問看護のリハビリでは、どちらが安いですか?
訪問看護ステーションのPT・OT・STによる訪問看護は1回(20分)294単位で、訪問リハビリの308単位より少し低い設定です。ただし加算や医師の診察代の有無などが異なるため、単純な比較はできません。必要なサービスの内容で選ぶことが大切です。
- 訪問リハビリの基本料金は20分1回308単位(要支援は298単位)。1割負担なら20分約300円が目安
- 短期集中・リハマネ・サービス提供体制強化などの加算と、令和8年6月からの処遇改善加算(1.5%)が上乗せされる
- 1単位の単価は地域区分で10.00〜11.10円
- 週2回40分・1割負担なら月約5,300円(その他地域、加算の組み合わせによる)
- 医師の診察代(医療保険)や実施地域外の交通費は別にかかる。高額介護サービス費などの制度も確認する
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1(令和8年度介護報酬改定)
- 川口市「地域区分の変更に伴う1単位あたりの単価」
- 船橋市「高額介護サービス費」
- 埼玉県「介護扶助」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

