訪問リハビリ・訪問鍼灸・訪問マッサージの違い|選び方

「訪問リハビリと訪問マッサージ、どちらを頼めばいいの?」「訪問鍼灸も同じようなもの?」——自宅に専門職が来てくれるサービスには、訪問リハビリ、訪問鍼灸、訪問マッサージがあります。どれも「家で体のケアを受けられる」点は同じですが、担い手の資格、使う保険、対象となる症状、目的はそれぞれ異なります。
この記事では、3つのサービスの違いを5つの観点で比較し、厚生労働省の通知にもとづいて利用の条件を整理します。そのうえで、目的別の選び方と、併用するときの注意点を解説します。利用者・家族への説明や、ケアマネジャーとの調整にも使える内容です。
- 訪問リハビリ・訪問鍼灸・訪問マッサージの5つの違い
- それぞれのサービスを保険で使うための条件
- 目的別の選び方
- 併用するときの注意点
訪問リハビリ・訪問鍼灸・訪問マッサージの違い【比較表】
| 比較項目 | 訪問リハビリ | 訪問鍼灸 | 訪問マッサージ |
|---|---|---|---|
| 担い手 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | はり師・きゅう師 | あん摩マッサージ指圧師 |
| 主な保険 | 介護保険(条件により医療保険) | 医療保険の療養費 | 医療保険の療養費 |
| 医師の関わり | 医師の指示・計画にもとづく | 医師の同意書(または診断書)が必要 | 医師の同意書(または診断書)が必要 |
| 主な対象 | 生活機能の低下がある要介護者など | 神経痛・リウマチ・腰痛症など慢性的な痛みが中心の疾患 | 筋麻痺・関節拘縮などで医療上マッサージが必要な人 |
| 主な目的 | 動作の練習と環境調整による生活の自立 | 痛みなどの症状の緩和 | 筋麻痺・拘縮などの症状の緩和・改善 |
大きく分けると、訪問リハビリは「生活の中の動作を練習して自立を目指す」サービス、訪問鍼灸・訪問マッサージは「施術によって症状の緩和を目指す」サービスです。

利用者さんからは「マッサージしてくれる人」と同じに見られがちです。

体に触れる場面があるからね。違いを聞かれたら「私たちは動作の練習と生活の工夫が仕事です」と目的から説明すると伝わりやすいよ。
訪問リハビリの特徴と利用の条件
訪問リハビリは、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院が行うサービスで、事業所の医師の指示とリハビリテーション計画にもとづいて提供されます。介護保険では20分以上を1回として算定し、原則として週6回が上限です。
- 起き上がり・立ち上がり・歩行などの基本動作の練習
- トイレ・入浴・着替え・家事・外出などの練習
- 手すりや福祉用具など住まいの調整、家族への介助指導
- 言語・嚥下の評価と練習
利用するには、ケアマネジャーにケアプランへ位置づけてもらう必要があります。費用は介護保険の自己負担(原則1〜3割)で、ほかの介護サービスとあわせて区分支給限度額の範囲内で利用します。
訪問鍼灸の特徴と療養費の条件
はり・きゅうを医療保険の療養費で受けるには、厚生労働省の通知に沿った条件を満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる疾病 | 慢性病で医師による適当な治療手段のないもの。主に神経痛・リウマチと、頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症など慢性的な痛みを主症とする疾患 |
| 医師の同意 | 医師の診察にもとづく同意書(または判断できる診断書)が必要 |
| 医療との関係 | 同じ疾病について保険医療機関で治療(療養の給付)を受けている場合は、療養費との併用は認められない |
訪問マッサージの特徴と療養費の条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる症状 | 診断名によらず、筋麻痺・関節拘縮などで、医療上マッサージを必要とする症例 |
| 医師の同意 | 医師の診察にもとづく同意書(または診断書)が必要 |
| 訪問の条件 | 歩行困難など、真に安静を必要とするやむを得ない理由で通所が難しい場合に、定期的・計画的に訪問して施術(訪問施術料) |
同意書の有効期間(鍼灸・マッサージ共通)
同意書にもとづく療養費の支給は、初療または再同意の日からおおむね6か月が区切りです(初療・再同意日が月の15日以前なら5か月後の月末まで、16日以降なら6か月後の月末まで)。続ける場合は、改めて医師の同意が必要です。
医師の同意は、診察を受けたうえで行われるものです。診察なしの同意(無診察同意)は認められていません。同意を依頼するのは、原則としてその疾病で現に診察を受けている主治医です。
利用までの流れの違い
| ステップ | 訪問リハビリ | 訪問鍼灸・訪問マッサージ |
|---|---|---|
| 相談先 | ケアマネジャー(要支援は地域包括支援センターなど) | 施術所(ケアマネジャーに紹介してもらうことも多い) |
| 医師の関わり | 事業所の医師の診察と指示 | 主治医の診察と同意書の交付 |
| 計画・書類 | ケアプランへの位置づけ、リハビリテーション計画の説明と同意 | 施術所との契約、療養費の申請(施術所が代理で手続きすることが多い) |
| 継続の確認 | 開始からおおむね2週間、その後おおむね3か月ごとに計画を見直す | おおむね6か月ごとに医師の再同意、施術報告書で医師と情報共有 |
リハ職が違いを説明するときの言い方の例
利用者や家族から違いを聞かれたときは、制度の細かい話より先に、目的の違いを短く伝えると理解されやすくなります。
| 聞かれたこと | 答え方の例 |
|---|---|
| 「マッサージの人と何が違うの?」 | 「マッサージの先生は体のこわばりや痛みを和らげる施術、私たちはトイレや歩くなど生活の動作を練習して、できることを増やすのが仕事です」 |
| 「鍼もやってもらえる?」 | 「はり師さんの資格が必要なので、私たちはできません。腰痛などで希望される場合は、主治医とケアマネジャーに相談してみましょう」 |
| 「両方使っても大丈夫?」 | 「目的が違うので併用される方もいます。疲れすぎないよう、時間帯や内容をケアマネジャーさんと調整しますね」 |
目的別の選び方
| こんなとき | 検討したいサービス |
|---|---|
| トイレや入浴、歩行など、生活の動作ができるようになりたい | 訪問リハビリ |
| 手すりや福祉用具など、家の環境を整えたい | 訪問リハビリ |
| 飲み込みや言葉の練習をしたい | 訪問リハビリ(言語聴覚士) |
| 慢性的な腰痛や神経痛がつらい | 訪問鍼灸(医師の同意が得られる場合) |
| まひや拘縮で体がこわばり、通院も難しい | 訪問マッサージ(医師の同意が得られる場合) |
| 痛みを和らげながら、動作の練習もしたい | 訪問リハビリと鍼灸・マッサージの併用を、医師・ケアマネジャーと相談 |

両方使いたいと言われたら、どう考えればいいですか?

目的が違えば併用は珍しくないよ。ただ、同じ日に続けて体を動かすと疲れることもある。時間帯や内容をケアマネジャーと調整して、役割を分けるのが大事だね。
併用するときの注意点
- それぞれの目的を整理し、内容が重ならないよう役割を分ける
- 同じ日に利用する場合は時間帯を分け、疲労の様子を確認する
- ケアマネジャーに、介護保険外の鍼灸・マッサージの利用状況も伝えておく
- 施術で注意すべきこと(痛みの強い部位、皮膚の状態など)をお互いに共有する
- 医療保険の疾患別リハビリなどを受けている場合は、療養費との併用の可否を施術所・保険者に確認する
訪問マッサージと訪問リハビリの同日利用の詳しいルールは、関連記事で解説しています。「時間を分けて、役割を分ける」のが基本です。
よくある質問
訪問鍼灸・訪問マッサージは介護保険で使えますか?
介護保険のサービスではありません。条件を満たす場合に、医療保険の療養費として利用します。そのため、介護保険の区分支給限度額には含まれません。
訪問リハビリの理学療法士にマッサージだけお願いできますか?
訪問リハビリは、生活の目標に向けた練習や環境調整を行うサービスです。筋肉の緊張をほぐす関わりが練習の一部として行われることはありますが、マッサージだけを目的とするサービスではありません。
医師の同意書はどこでもらえますか?
その疾病で診察を受けている主治医に依頼します。施術所が同意書の様式を用意していることが多いので、まず施術所に相談するとよいでしょう。同意書の交付には、医療機関での費用がかかります。
要介護認定がなくても使えるのはどれですか?
訪問鍼灸・訪問マッサージは医療保険の療養費のため、要介護認定は条件ではありません。訪問リハビリは、要介護・要支援の人は原則として介護保険で利用し、認定のない人は条件を満たせば医療保険で利用します。
訪問マッサージは、歩ける人でも利用できますか?
療養費で訪問して施術を受けるには、歩行が困難など、通所して施術を受けることが難しいやむを得ない理由が必要です。施術所まで通える人は、通所での施術が基本になります。
「無料で体験できる」と勧誘されました。注意することは?
療養費を使う施術には、医師の診察にもとづく同意と、対象となる症状であることが必要です。条件をよく説明されないまま契約を急がされる場合は、すぐに決めず、主治医やケアマネジャーに相談しましょう。自己負担の金額と、領収書・明細の受け取りも確認しておくと安心です。
まとめ|訪問リハビリ・訪問鍼灸・訪問マッサージの違いは目的と保険
訪問リハビリは、理学療法士などが医師の指示のもとで生活動作の練習や環境調整を行い、自立を目指すサービスで、主に介護保険を使います。訪問鍼灸・訪問マッサージは、医師の同意のもとで症状の緩和を目指す施術で、医療保険の療養費を使います。目的に合わせて選び、併用する場合は時間と役割を分けて、ケアマネジャーとも情報を共有しましょう。
- 訪問リハビリは生活動作の練習と環境調整、鍼灸・マッサージは症状の緩和が目的
- 訪問リハビリは主に介護保険、鍼灸・マッサージは医療保険の療養費
- 鍼灸は神経痛・リウマチなど、マッサージは筋麻痺・関節拘縮などが対象
- 療養費には医師の診察にもとづく同意が必要で、おおむね6か月ごとに再同意
- 併用時は時間帯と役割を分け、ケアマネジャーに共有する
- 厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- e-Gov法令検索「理学療法士及び作業療法士法」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

