【おすすめ】言語聴覚士の絵カードの選び方|目的別の使い方

言語聴覚士のリハビリで使う絵カードは、「誰に・何の訓練で使うか」で選ぶのが基本です。失語症の呼称訓練に使うのか、聴いて理解する訓練に使うのか、認知症の人との会話のきっかけにするのか、子どもの言葉の発達を促すのかで、適したカードの種類・枚数・絵のタッチが変わります。
この記事では、在宅や訪問リハビリでも使いやすい絵カードについて、訓練の目的別の使い方・選び方のポイント・自作カードとの使い分け・家族と一緒に使うコツを、言語聴覚士の視点から紹介します。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
- 言語聴覚士が絵カードを使う主な場面
- 失語症・構音障害・認知症・小児など目的別の使い方
- 絵カードを選ぶときの6つのポイント
- 市販の絵カードと自作カード・アプリの使い分け
- 在宅で家族と一緒に使うときのコツと、目的別のおすすめのタイプ
言語聴覚士が絵カードを使う主な場面
言語聴覚士法では、言語聴覚士を「音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行う」専門職と定めています。絵カードは、この言語訓練や検査で使われる、もっとも身近な道具の一つです。
| 対象 | 絵カードの主な使い方 |
|---|---|
| 失語症 | 物の名前を言う(呼称)、聞いて絵を選ぶ(聴理解)、文字と絵を結びつける、文を作る |
| 構音障害(発音の障害) | 練習したい音を含む単語の絵を見て発音する |
| 認知症 | 季節や昔の道具の絵をきっかけに会話を広げる、カテゴリー分けなどの課題 |
| 子どもの言葉の発達 | 語彙を増やす、指さしや模倣を促す、2語文につなげる |
| コミュニケーションの代替手段 | 話すことが難しい人が、絵を指さして意思を伝える(コミュニケーションボード) |

絵カードって、子ども向けの道具だと思っていました。

成人の失語症の訓練でもよく使うよ。ただ、大人に子どもっぽい絵を使うと、自尊心を傷つけてしまうことがある。対象者に合わせて選ぶことがとても大切なんだ。
目的別の絵カードの使い方
失語症の呼称訓練・聴理解訓練
失語症の訓練では、身近な名詞(日用品・食べ物・動物など)の絵カードがよく使われます。絵を見て名前を言う呼称訓練では、言えないときに語頭音(最初の音)や用途のヒントを出し、少しずつヒントを減らしていきます。聴理解訓練では、複数のカードを並べ、言語聴覚士が言った名前の絵を選んでもらいます。
慣れてきたら、動詞(食べる・歩くなど)の絵カードで「○○が△△する」という文を作る練習につなげます。生活に関わる言葉から練習すると、日常生活での会話に生かしやすくなります。
構音障害の発音練習
構音障害では、練習したい音(たとえば「か行」)を語頭・語中・語尾に含む単語の絵カードを使います。文字だけの練習より、絵があると意味を思い浮かべながら発音できるため、自然な会話に近い練習になります。
認知症の人とのコミュニケーション
認知症の人には、昔の生活道具や季節の行事、ふるさとの風景などの絵や写真を使うと、昔の記憶をきっかけに会話が広がることがあります。正解を求める訓練ではなく、会話を楽しむきっかけとして使うのがポイントです。
子どもの言葉の発達支援
子どもには、はっきりした色と形の絵カードが使いやすく、まずは身近な物や動物の名前から始めます。指さし、模倣、2語文へと、発達の段階に合わせて使い方を変えていきます。
コミュニケーションボード
話すことが難しい人には、「トイレ」「痛い」「水」など、生活でよく使う言葉の絵を1枚にまとめたコミュニケーションボードが役立ちます。本人がよく使う言葉を選んで作ると、家族やヘルパーとのやりとりがスムーズになります。
言語聴覚士の絵カードの選び方6つのポイント
| ポイント | 確認すること |
|---|---|
| 1. 対象者の年齢に合った絵 | 成人には子どもっぽくない、写実的な絵や写真が向いている |
| 2. 語彙の種類と難易度 | 名詞だけか、動詞・形容詞もあるか。よく使う言葉からあまり使わない言葉まで段階があるか |
| 3. 絵のわかりやすさ | 背景がシンプルで、何の絵かすぐにわかるか。視覚の障害がある人には大きさやコントラストも大切 |
| 4. 文字の有無 | 裏面に文字があるか。文字と組み合わせる訓練に使えるか、文字が答えのヒントにならないか |
| 5. カードの大きさ・素材 | 持ちやすい大きさか、手指の動きが不自由な人でもめくりやすいか。汚れを拭ける素材か |
| 6. 持ち運びやすさ | 訪問リハビリでは、かばんに入る枚数と大きさかどうかも大切 |
成人の失語症の人に、幼児向けのかわいらしいイラストを使うと、「子ども扱いされている」と感じて訓練への意欲が下がることがあります。対象者の年齢や生活歴に合った絵を選びましょう。

市販のカードと手作りのカード、どっちがいいんでしょう?

どちらにも良さがあるよ。市販のカードは絵の質がそろっていて、語彙も整理されている。手作りは、その人の家族や趣味など、生活に合わせた言葉を入れられる。両方を組み合わせるのがおすすめだね。
訓練の難易度の上げ方
絵カードの訓練は、同じカードでも使い方で難易度を変えられます。最初は選択肢を2〜3枚に絞った聴理解から始め、できるようになったら選択肢を増やす、似た意味の絵(りんごとみかんなど)を混ぜる、ヒントなしで呼称する、文を作る、と段階的に進めます。8割程度できる難しさで続けると、成功体験を積みながら力を伸ばしやすくなります。逆に、失敗が続く課題は本人の意欲を下げるため、すぐに難易度を戻しましょう。
市販の絵カード・自作カード・アプリの使い分け
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 市販の絵カード | 絵の質と語彙のバランスが整っている。すぐに使える | 本人の生活に関係のない言葉も含まれる。費用がかかる |
| 自作カード(写真など) | 家族・ペット・趣味など、本人にとって意味のある言葉で作れる | 作る手間がかかる。個人情報の取り扱いに注意が必要 |
| タブレットのアプリ | 音声や拡大が使える。多くの語彙を持ち運べる | 操作に慣れが必要。画面が見えにくい人もいる |
訪問リハビリでは、市販のカードで基本の訓練を行い、本人の生活に合わせた自作カードを少しずつ加えると、訓練と生活が結びつきやすくなります。家族の写真などを使う場合は、事前に本人・家族の同意を得て、取り扱いに注意しましょう。
目的別のおすすめの言語聴覚士の絵カード・道具
ここでは、Amazonでレビュー件数が多く、評価の高い商品を目的別に紹介します。成人の失語症向けの名詞の絵カードは通信販売では選択肢が少ないため、専門の教材や自作カードとの組み合わせも検討してください。
動作(動詞)の訓練に
「食べる」「歩く」などの動作が描かれたカードは、動詞の呼称や、文を作る練習に使えます。子ども向けの教材ですが、絵と文字を組み合わせた練習にも使えます。成人に使う場合は、本人が抵抗を感じないか確認しましょう。
子どもの言葉の発達支援に
写実的でわかりやすい絵の名詞カードは、語彙を増やす段階の子どもに向いています。身近な食べ物から始められます。
話すことが難しい人の意思伝達に(コミュニケーションボード)
生活でよく使う言葉や絵をまとめたボードは、話すことが難しい人と家族・介護職とのやりとりに役立ちます。
文字で確認したいときに(筆談ボード)
聞いて理解するのが難しい人や、大事な内容を確認したいときは、書いて消せるボードが便利です。
在宅で家族と一緒に使うコツ【実践編】
- 使い方を見せる:訪問時に、言語聴覚士が実際にやってみせ、家族にもやってもらう
- ヒントの出し方を伝える:言えないときにすぐ答えを言わず、最初の音や使い方などのヒントを出す方法を伝える
- やりすぎない:疲れたり、できないことが続いたりすると、本人の意欲が下がる。1回5〜10分程度、できたところで気持ちよく終えるようにする
- 生活の中で使う:食事の前に食べ物の名前を言う、外出先で見た物の名前を言うなど、訓練を生活の場面につなげる
- 記録を共有する:言えた言葉、言いにくい言葉を家族に記録してもらい、次の訪問で確認する
失語症の人の社会参加を支える取り組みとして、都道府県では「失語症者向け意思疎通支援者」の養成も行われています。地域の支援者の情報を家族に伝え、訓練の場だけでなく外出や地域の活動につなげることも、言語聴覚士の大切な役割です。
よくある質問
絵カードは何枚くらいあればいいですか?
目的によって違います。失語症の基本的な訓練なら、日用品や食べ物などの基本語彙が数十〜100枚程度あると使い回しやすくなります。訪問リハビリでは、持ち運べる枚数に絞り、その人に合わせて入れ替えるとよいでしょう。
家族だけで絵カードの練習をしても大丈夫ですか?
言語聴覚士が難易度や方法を決めたうえで、家族に練習を続けてもらうのは効果的です。ただし、難しすぎる課題を続けると本人の負担になるため、内容は担当の言語聴覚士と相談して決めましょう。
絵カードの代わりに写真を使ってもいいですか?
使えます。特に成人の場合、写真の方がわかりやすいこともあります。家族やペットの写真は意欲を引き出しやすい一方、個人情報の扱いに注意が必要です。
訪問リハビリで言語聴覚士の訓練を受けられますか?
訪問リハビリでは、PT・OTのほかSTも訪問できます。言語訓練や嚥下の訓練が必要な場合は、ケアマネジャーや主治医に相談しましょう。訪問リハビリでできることは関連記事で解説しています。
- 絵カードは「誰に・何の訓練で使うか」で選ぶ
- 失語症の呼称・聴理解、構音練習、認知症の会話、子どもの言葉の発達、コミュニケーションボードなど使い方は幅広い
- 成人には子どもっぽくない写実的な絵を選ぶ
- 市販のカードで基本の訓練、自作カードで生活に合わせた言葉を加える
- 在宅では家族にヒントの出し方を伝え、短時間で生活の場面につなげる
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

