言語聴覚士はしんどい仕事?領域別の理由と乗り越え方

「職場にSTが自分一人しかいなくて相談できない」「嚥下の判断を任されるのが怖い」「言語聴覚士の仕事を周りにわかってもらえない」——言語聴覚士は、理学療法士・作業療法士とは違う種類のしんどさを抱えやすい職種です。
この記事では、言語聴覚士がしんどいと感じる理由をSTならではの視点で整理し、成人・嚥下・小児・訪問など領域別のしんどさと、乗り越えるための工夫、キャリアの広げ方を解説します。
- 言語聴覚士がしんどいと感じる5つの理由
- 領域別に見る言語聴覚士のしんどさ
- しんどさを乗り越えるための工夫
- しんどさを減らす職場選びとキャリアの広げ方
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
言語聴覚士がしんどいと感じる5つの理由
| 理由 | 具体的なしんどさ |
|---|---|
| ①少人数で孤立しやすい | 職場にSTが1〜2人だけで、評価や方針を相談できる相手がいない |
| ②成果が見えにくい | 言語やコミュニケーションの回復はゆっくりで、変化を実感しにくい |
| ③嚥下のリスク管理 | 食形態の判断や経口摂取の開始など、誤嚥や窒息のリスクに関わる判断の重さ |
| ④コミュニケーションの難しさ | 失語症などで意思の確認が難しく、本人の思いをくみ取る負担が大きい |
| ⑤理解されにくい | 多職種や家族に、STの役割や専門性が十分に伝わらない |
言語聴覚士法では、言語聴覚士は音声機能・言語機能・聴覚に障害のある人に対し、機能の維持向上を図るための訓練や助言・指導などを行う専門職と定められています。嚥下訓練も医師の指示のもとで行う業務に含まれ、「話す・聞く・食べる」という生活の根幹を支える責任の大きい仕事です。

嚥下の判断は、いつも緊張します。

責任の大きい判断だからこそ、一人で抱えないことが大事だよ。医師の指示を確認し、看護師や管理栄養士とも情報を共有して、チームで決める形をつくろう。
言語聴覚士の1日としんどさが生まれる場面
| 時間帯 | 業務の例(病院) | しんどさが生まれやすい点 |
|---|---|---|
| 朝 | 申し送り、新規患者の確認 | 嚥下評価の依頼が一度に集中する |
| 午前 | 言語訓練、嚥下評価 | 失語症の方の落ち込みに向き合う |
| 昼 | 昼食場面の評価、食事介助の指導 | 自分の休憩と食事場面の評価が重なる |
| 午後 | 訓練、カンファレンス、家族への説明 | STの役割をほかの職種や家族に説明する負担 |
| 夕方 | 記録、食形態の変更の連絡 | 判断の根拠を記録に残す責任 |
特に食事場面の評価は昼の時間帯に集中するため、自分の休憩がとりにくいという声は多く聞かれます。休憩の時間をずらすなど、職場で調整してもらいましょう。休憩は労働基準法で定められた権利です。
領域別に見る言語聴覚士のしんどさ
| 領域 | しんどくなりやすい点 | やりがい |
|---|---|---|
| 成人の言語(失語症・構音障害) | 回復に時間がかかる。本人の焦りや落ち込みに向き合う | 言葉が戻り、家族と会話できたときの喜び |
| 摂食嚥下 | 誤嚥性肺炎などのリスクと隣り合わせ。判断の責任が重い | 口から食べられるようになり、表情が明るくなる |
| 高次脳機能障害 | 症状が見えにくく、本人・家族の理解を得にくい | 工夫によって生活や仕事に戻れる |
| 小児 | 保護者の不安や期待に応える負担、長期の関わり | 子どもの成長に立ち会える |
| 訪問 | 一人で判断する場面が多い。食事場面の評価の機会が限られる | 生活の場で食事やコミュニケーションを支えられる |
言語聴覚士がしんどさを乗り越えるための工夫
孤立を防ぐ
- 近隣の病院や事業所のSTと勉強会や事例検討のつながりを持つ
- 地域や職能団体の研修に参加し、相談できる仲間をつくる
- 多職種カンファレンスで、STの視点を積極的に共有する
成果を見える形にする
- 標準化された検査で、定期的に変化を確認する
- 「家族と電話で話せた」「好きなものを食べられた」など、生活場面の変化を記録する
- 目標を回数・量・場面で具体的に設定する
嚥下の判断をチームで行う
- 医師の指示と評価の結果を記録に残し、判断の根拠を明確にする
- 食形態の変更は、看護師・管理栄養士・介護職員と情報を共有して進める
- 不安がある事例は、医師や経験のあるSTに相談してから判断する
STの役割を伝える
多職種や家族に向けて、食事介助のポイントやコミュニケーションの工夫を伝える機会をつくると、STの専門性が理解され、協力も得やすくなります。勉強会の資料は1枚にまとめると、忙しい職員にも読んでもらえます。
しんどさを言葉にできないときの考え方
コミュニケーションの専門職である言語聴覚士は、相手の気持ちをくみ取ることに長けている一方で、自分のしんどさは後回しにしがちです。
- 「しんどい」と感じることは、責任感を持って仕事をしている証拠だと受け止める
- 患者さんにかける言葉と同じ言葉を、自分にもかけてみる
- 話すのが難しければ、まず書き出して整理する

患者さんには「無理しないで」と言うのに、自分には言えていませんでした。

多くのSTがそうなんだ。自分を大切にすることも、良い支援を続けるための技術の一つだよ。
しんどさを減らす職場選び
- STが複数在籍している、または相談できる上司・先輩がいる
- 嚥下の評価(VF・VEなど)を医師と連携して行える体制がある
- STの業務の範囲が明確で、ほかの業務を過度に兼務していない
- 研修や学会への参加の支援がある
- 多職種カンファレンスでSTの意見が尊重されている
しんどさが続き、眠れない・食欲がないなどの状態が2週間以上続く場合は、一人で抱えず医療機関や相談窓口に相談しましょう。厚生労働省の「こころの耳」でも、働く人向けの相談窓口を案内しています。
言語聴覚士のキャリアの広げ方
しんどさの原因が今の領域や職場にある場合は、領域を変えることで働きやすくなることもあります。
| 方向性 | 例 |
|---|---|
| 領域を変える | 成人から小児へ、病院から訪問・介護へ |
| 専門性を深める | 摂食嚥下や失語症などの認定資格、学会発表 |
| 役割を広げる | 管理職、教育、地域の介護予防 |
| 働き方を変える | 非常勤、複数の職場の掛け持ち(就業規則の範囲で) |
令和7年賃金構造基本統計調査では、言語聴覚士を含む4職種の年収換算は平均約444万円です。STは人数が少ない職種のため、経験を積んだSTは求人で重宝されやすい面もあります。
経験年数別に多い言語聴覚士のしんどさ
| 経験年数 | 多いしんどさ | 乗り越えるヒント |
|---|---|---|
| 1〜3年目 | 評価や検査の解釈に自信が持てない。嚥下の判断が怖い | 判断の前に必ず相談する相手を決めておく |
| 4〜9年目 | 一人職場を任される。後輩指導と担当の両立 | 外部のネットワークと、記録・手順の標準化 |
| 10年目以降 | 管理業務、部門の運営、キャリアの停滞感 | 教育・地域・専門資格など役割の幅を広げる |
\ 訪問リハの求人を探すなら /
PT・OT・ST専門の転職支援サービス「レバウェルリハビリ」
- リハビリ職に特化した求人紹介サービス
- 訪問リハ・通所リハなど在宅領域の求人も探せる
- 希望条件を伝えて求人を提案してもらえる
\ まずは求人をチェック /
レバウェルリハビリの公式サイトを見る ▶※サービス内容・求人は時期により変わります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
よくある質問
STが一人の職場で、新人はやっていけますか?
指導者がいない環境では、評価や判断の不安が大きくなりがちです。新人のうちは、STが複数いる職場や教育体制のある職場を選ぶのがおすすめです。一人職場の場合は、外部の研修やネットワークを積極的に活用しましょう。
嚥下の判断でミスをしないか不安です。
不安を感じることは、リスクに敏感である証拠でもあります。医師の指示の確認、評価の記録、多職種での情報共有、迷ったときに相談する習慣を徹底することで、判断の質と安全性を高められます。
言語聴覚士を辞めたいと思ったら?
まずは、何がしんどいのかを書き出してみましょう。領域や職場を変えれば解決できることも多くあります。資格を生かせる別の働き方もあるため、すぐに辞める前に選択肢を比べてみることをおすすめします。
理学療法士・作業療法士との人数差がしんどいです。
リハビリ部門の中でSTが少数派だと、方針や業務の調整で意見が通りにくいと感じることがあります。STの視点が必要な場面を具体的に示し、成果を数字や事例で共有すると、理解を得やすくなります。
訪問のSTは病院よりしんどいですか?
一人で判断する場面が多く、嚥下の評価に使える検査も限られるため、責任の重さを感じやすい面があります。一方で、実際の食事の場面や家族との会話を直接支えられるやりがいがあります。主治医や訪問看護との連絡体制が整った事業所を選ぶと安心です。
しんどいときに休みを取りにくいのですが。
STが一人の職場では「代わりがいない」と感じやすいものです。しかし、有給休暇は労働者の権利で、年10日以上付与される人には年5日の取得が使用者の義務になっています。休む日の訓練内容をほかの職種に引き継ぐ方法を、日頃から職場で決めておきましょう。
まとめ|言語聴覚士のしんどさは孤立させない仕組みで軽くできる
言語聴覚士のしんどさは、少人数での孤立、成果の見えにくさ、嚥下のリスク管理、コミュニケーションの難しさ、役割の理解されにくさなど、STならではの理由から生まれます。外部とのつながり、成果の見える化、チームでの判断、役割の発信を工夫し、必要に応じて領域や職場を変えることで、しんどさを軽くしながらやりがいのある仕事を続けられます。
- STのしんどさは孤立・成果の見えにくさ・嚥下の責任などが中心
- 領域ごとにしんどさとやりがいが異なる
- 外部のネットワークと多職種でのチーム判断で孤立を防ぐ
- 成果は検査と生活場面の変化で見える形にする
- しんどさが続く場合は領域・職場・働き方を見直す
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

