言語聴覚士のセカンドキャリア8選|資格要件と選び方

「臨床はずっと続けられるだろうか」「言語聴覚士の経験を生かして、別の働き方もしてみたい」——40代・50代を迎えると、体力や家庭の事情、キャリアの停滞感から、セカンドキャリアを考える言語聴覚士は少なくありません。
この記事では、言語聴覚士のセカンドキャリアを8つ紹介し、それぞれの資格要件と、ST資格がそのまま使えるのか追加の資格が必要なのかを整理します。中には「言語聴覚士の資格だけではなれない」仕事もあるため、事前に確認しておきましょう。
- 言語聴覚士がセカンドキャリアを考えるきっかけ
- 言語聴覚士のセカンドキャリア8選と資格要件
- ST資格だけではなれない仕事と注意点
- 年代別のセカンドキャリアの選び方
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言語聴覚士がセカンドキャリアを考えるきっかけ
- 病院のST部門は人数が少なく、役職のポストが限られている
- 年齢とともに、移乗介助などの体力面の負担が気になってきた
- 家族の介護や子育てで、働き方を変える必要が出てきた
- 臨床で得た知識を、教育や地域づくりなど別の形で生かしたい
言語聴覚士法では、言語聴覚士は音声機能・言語機能・聴覚に障害のある人に対し、その機能の維持向上を図るための訓練や助言、指導などを行う専門職とされています。コミュニケーションと食べることを支える専門性は、臨床以外の場でも価値があります。
言語聴覚士のセカンドキャリア8選と資格要件
| セカンドキャリア | ST資格だけで可能か | 主な要件 |
|---|---|---|
| ①ケアマネジャー | 追加の試験・研修が必要 | 法定資格での実務5年以上(900日以上)で受験資格。試験合格と研修修了 |
| ②機能訓練指導員(デイサービスなど) | 可能 | 言語聴覚士は機能訓練指導員になれる資格の一つ |
| ③通所・訪問事業所の管理者 | 多くは可能 | サービスによって管理者の要件が異なる |
| ④発達支援・療育 | 可能(役職は要件あり) | 児童発達支援管理責任者などは実務経験と研修が必要 |
| ⑤養成校の教員・研修講師 | 教員は経験年数などの要件あり | 養成校の教員は一定の実務経験が必要。学位を求める学校も |
| ⑥補聴器・聴覚関連の企業 | 可能 | 聴覚の知識が強み。業界の認定資格がある |
| ⑦嚥下食・介護食・医療機器の企業 | 可能 | 摂食嚥下の知識を商品開発・営業・研修に生かす |
| ⑧地域の介護予防・自治体の仕事 | 可能(採用試験あり) | 口腔機能・認知機能の介護予防、地域ケア会議の助言など |
①ケアマネジャー
言語聴覚士は、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格となる法定資格の一つです。資格にもとづく業務の実務経験が通算5年以上かつ900日以上で受験でき、合格後に実務研修を修了して登録します。嚥下やコミュニケーションの視点を持つケアマネジャーは貴重です。
②機能訓練指導員
通所介護(デイサービス)などに配置される機能訓練指導員は、言語聴覚士の資格で就くことができます。日中のみの勤務が多く、体力面の負担を抑えやすい働き方です。口腔機能の向上や、利用者同士の会話を促す活動など、STならではの関わりも求められています。
③事業所の管理者
デイサービスや訪問看護ステーション、訪問リハビリ事業所などの管理者は、サービスごとに要件が決まっています。たとえば訪問看護ステーションの管理者は原則として保健師または看護師、介護老人保健施設の管理者は原則として医師です。「どの事業所でも管理者になれる」わけではない点に注意しましょう。
④発達支援・療育
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、ことばの発達や吃音、構音の支援でSTの専門性が求められます。事業所の責任者である児童発達支援管理責任者になるには、一定の実務経験と研修の修了が必要です。
⑤教員・講師
養成校の教員や、介護職員向けの研修講師、自治体の介護予防教室の講師などがあります。養成校の教員になるには一定年数以上の実務経験が求められ、学校によっては大学院の学位も重視されます。
⑥⑦関連企業
補聴器の販売・調整、嚥下食や介護食品の開発・営業、医療機器のメーカーなどでは、STの知識が直接生かせます。臨床とは違い、商品や情報を通じて多くの人に貢献できるのが魅力です。
⑧地域・自治体
介護予防の口腔機能向上や認知症予防、地域ケア会議での助言など、地域づくりに関わる仕事です。自治体の採用試験や会計年度任用職員の募集などで採用されます。

介護福祉士や福祉用具専門相談員も、STの資格でなれますか?

どちらもSTの資格だけではなれないんだ。介護福祉士は国家試験が必要だし、福祉用具専門相談員は指定講習の修了などが必要になる。要件は必ず公式の情報で確認しようね。
言語聴覚士の資格だけではなれない仕事
| 仕事 | 必要なこと |
|---|---|
| 介護福祉士 | 実務経験と実務者研修などを経て国家試験に合格 |
| 福祉用具専門相談員 | 指定講習の修了など(STは講習免除の対象資格に含まれていない) |
| 介護老人保健施設の管理者 | 原則として医師(都道府県知事の承認) |
| 訪問看護ステーションの管理者 | 原則として保健師または看護師 |
※要件は制度改正で変わることがあります。応募や受講の前に、所管の自治体や実施機関の最新情報を確認してください。
セカンドキャリアで生きる言語聴覚士の強み
| STの強み | 生きる場面の例 |
|---|---|
| 摂食嚥下の評価と食形態の知識 | ケアプランでの食事の支援、介護食の商品開発、介護職員への研修 |
| コミュニケーションの評価と工夫 | 認知症の人との関わり方の助言、相談業務、家族支援 |
| 聴覚の知識 | 補聴器の調整・相談、聞こえの介護予防 |
| ことばの発達の知識 | 療育、保育所・学校への助言、保護者の相談 |
| わかりやすく説明する力 | 講師、営業、企業の顧客対応 |
自分の強みを書き出しておくと、次の仕事の面接で「何ができるか」を具体的に伝えられます。

臨床から離れるのは、少しさみしい気もします。

非常勤で臨床を続けながら新しい仕事に挑戦する人も多いよ。いきなり全部を変えず、少しずつ比重を移していく方法もあるんだ。
年代別のセカンドキャリアの選び方
| 年代 | 考え方 | 選択肢の例 |
|---|---|---|
| 30代 | 臨床の専門性を深めつつ、次の道の準備を始める | 認定資格、ケアマネの受験準備、発達支援の経験 |
| 40代 | 管理・教育・地域など、役割を広げる | 管理者、講師、ケアマネ、企業への転職 |
| 50代 | 体力と経験のバランスで、長く続けられる形を選ぶ | 機能訓練指導員、ケアマネ、教員、地域の仕事 |
| 60代以降 | 短時間・非常勤で経験を生かす | 非常勤の訪問、介護予防の講師、相談員 |
セカンドキャリアを考えるときの進め方
- やめたいこと・続けたいことを書き出す体力的な負担、夜間の勤務など避けたいことと、続けたい関わりを整理します。
- 必要な資格と期間を調べる受験資格や研修の期間、費用を確認し、逆算して準備します。
- 今の職場で経験を積む管理業務、教育、地域の活動など、次の仕事につながる役割を引き受けます。
- 収入の変化を試算する転職直後に収入が下がる場合も考え、家計の計画を立てます。家族とも話し合っておきましょう。
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よくある質問
言語聴覚士から一般企業への転職は可能ですか?
可能です。補聴器、嚥下食、医療機器、医療系の教育サービスなど、STの知識が生かせる企業があります。営業や企画の経験がない場合は、臨床で培った説明力や多職種との調整力を具体的に伝えましょう。
ケアマネジャーになると給料は上がりますか?
職場によって異なります。令和8年度の期中改定では、居宅介護支援にも処遇改善加算(2.1%)が新設されました。給与だけでなく、仕事内容の違い(直接のリハビリから、ケアプランの作成と調整へ)も理解して選びましょう。
言語聴覚士の経験はどの仕事でも評価されますか?
嚥下・コミュニケーション・認知機能の知識は、介護、教育、企業など幅広い場で評価されます。ただし、そのまま評価されるとは限らないため、相手の仕事にどう役立つかを言葉にして伝えることが大切です。
セカンドキャリアの準備はいつから始めればいいですか?
ケアマネジャーのように受験資格に実務経験が必要な仕事もあるため、早めに情報を集めておくと選択肢が広がります。40代前半までに方向性を考え始め、必要な資格や経験を少しずつ準備するのが現実的です。
言語聴覚士として非常勤で働き続けることはできますか?
STは人数が少ない職種のため、訪問リハビリや介護施設、クリニックなどで非常勤の求人が見られます。体力に合わせて勤務日数を調整しやすく、セカンドキャリアと組み合わせやすい働き方です。
まとめ|言語聴覚士のセカンドキャリアは資格要件の確認から
言語聴覚士のセカンドキャリアには、ケアマネジャー、機能訓練指導員、事業所の管理者、発達支援、教員・講師、関連企業、地域の仕事などがあります。ST資格だけで就ける仕事もあれば、試験や研修が必要な仕事、そもそも別の資格が求められる仕事もあります。要件と準備期間を確認し、年代と自分の希望に合った道を選びましょう。
- STのコミュニケーションと食べることを支える専門性は臨床以外でも生きる
- ケアマネは実務5年以上かつ900日以上で受験資格
- 機能訓練指導員はST資格で就ける
- 介護福祉士・福祉用具専門相談員・老健や訪問看護の管理者はST資格だけではなれない
- 年代に応じて、準備と役割の広げ方を考える
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

