訪問リハビリに初回加算はある?開始時に関係する加算を解説

「訪問看護には初回加算があるけど、訪問リハビリにもあるの?」「新規の利用者さんの最初の月は、何か加算が取れる?」——訪問リハビリの請求や、ケアマネジャーとのやりとりの中でよく出る疑問です。
結論からいうと、介護保険の訪問リハビリテーションには「初回加算」はありません。ただし、利用開始の時期に関わる加算として、短期集中リハビリテーション実施加算、退院時共同指導加算、リハビリテーションマネジメント加算の医師説明の上乗せなどがあります。この記事では、訪問看護の初回加算との違いを整理したうえで、利用開始時に関係する加算と、開始時に押さえたい手続きを解説します。
- 訪問リハビリに初回加算がない理由と、訪問看護との違い
- 利用開始時に関係する訪問リハビリの加算
- 退院直後の利用者に使える加算・減算免除の仕組み
- 利用開始時に必要な手続きと注意点
- ケアマネジャーや利用者への説明のポイント
介護保険の訪問リハビリに初回加算はある?結論は「ない」
厚生労働省の資料に示されている訪問リハビリテーションの加算・減算の一覧には、初回加算は含まれていません。介護予防訪問リハビリテーションも同様です。
| サービス | 初回加算 |
|---|---|
| 訪問リハビリテーション(要介護) | なし |
| 介護予防訪問リハビリテーション(要支援) | なし |
| 訪問看護(訪問看護ステーションなど) | あり(過去2月間に訪問看護を提供していない場合など) |
| 訪問介護 | あり(サービス提供責任者が初回に同行するなど) |

訪問看護ステーションからのリハ職の訪問なら、初回加算が取れるんですか?

訪問看護の初回加算は、新たに訪問看護計画書を作成した利用者に初回の訪問看護を行った場合などに算定するもので、訪問看護としての要件があるよ。リハ職の訪問だけで算定できるかどうかを含めて、訪問看護の要件を確認する必要があるね。訪問リハビリ事業所とは別のルールだと考えておこう。
訪問看護の初回加算の概要
参考までに、訪問看護の初回加算は、過去2月間に当該事業所から訪問看護を提供していない利用者に対して、新たに訪問看護計画書を作成して初回の訪問看護を行った場合などに算定します。単位数は、退院日に看護師が初回訪問した場合の(Ⅰ)350単位/月と、それ以外の(Ⅱ)300単位/月です。訪問リハビリにはこの仕組みがないため、請求ソフトで誤って初回加算を探したり、ケアマネジャーに誤った説明をしたりしないよう注意しましょう。
利用開始時に関係する訪問リハビリの加算
初回加算はなくても、利用開始の時期に関わる加算はあります。
| 加算 | 単位数 | 開始時との関係 |
|---|---|---|
| 短期集中リハビリテーション実施加算 | 200単位/日 | 退院・退所日または認定日から3月以内に、集中的なリハビリを行った場合 |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った場合 |
| リハマネ加算(医師説明) | +270単位/月 | 事業所の医師が計画を説明し、同意を得た場合 |
| 認知症短期集中リハビリテーション実施加算 | 240単位/日 | 認知症の利用者に、集中的なリハビリを行った場合 |
短期集中リハビリテーション実施加算
退院・退所の直後や、要介護認定を受けた直後は、生活機能を集中的に高めるチャンスです。短期集中リハビリテーション実施加算は、この時期に集中的なリハビリを行うことを評価する加算で、実質的に「利用開始の時期」を評価する役割を持っています。
退院時共同指導加算
令和6年度介護報酬改定で新設された加算です。訪問リハビリ事業所の医師・PT・OT・STが、入院先の医療機関の退院前カンファレンスに参加し、医療機関の職員と情報を共有したうえで、利用者や家族に在宅でのリハビリに必要な指導を共同で行い、その内容を訪問リハビリ計画に反映させた場合に算定します。テレビ電話装置等を使った参加も、利用者・家族の同意を得れば可能です。
退院直後から訪問リハビリを始める場合は、退院時共同指導加算と短期集中リハビリテーション実施加算をセットで検討しましょう。入院中から医療機関と連携することが、利用者のスムーズな在宅復帰にもつながります。
退院直後の利用開始で知っておきたい仕組み
医療機関の計画書の受け取りは義務
リハビリを受けていた医療機関から退院した利用者の計画を作成する際は、医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等で情報を把握することが運営基準で義務づけられています。
退院後1か月以内は診療未実施減算がかからない場合がある
事業所の医師が診療できず、別の医療機関の医師の情報提供で計画を作成した場合は、通常1回50単位の診療未実施減算となります。ただし、入院中にリハビリを受けていて、入院先の医療機関から情報提供を受けている利用者については、退院後1か月以内の訪問リハビリに限り、この減算は適用されません。
医療機関の計画書を計画書とみなして開始できる
医療機関から別紙様式2-2-1で情報提供を受け、事業所の医師が利用者を診療して内容を確認し、開始して差し支えないと判断した場合は、その計画書を訪問リハビリ計画書とみなして算定を開始できます。この場合も、算定開始月から3月以内に、事業所の医師の診療にもとづいて次の計画を作成します。
利用開始時に必要な手続き【実践編】
- ケアマネジャーから依頼を受ける利用者の状態、目標、希望する開始時期、退院予定日などを確認します。
- 医療機関・主治医から情報を受け取る退院の場合はリハビリ実施計画書等、在宅の場合は主治医の診療情報提供書などを受け取ります。
- 事業所の医師が診療する医師が診療し、リハビリの目的や留意事項、中止の基準などを指示します。
- 計画書を作成し、説明・同意・交付する重要事項説明書の説明と契約もあわせて行います。
- サービスを開始し、2週間以内に見直す開始後おおむね2週間以内に評価・見直しを行い、以降はおおむね3か月ごとに見直します。
初回訪問で確認しておきたいこと
初回加算がないからといって、初回訪問の重要性が下がるわけではありません。むしろ、最初の数回の訪問で、利用者の生活と環境を正確に把握できるかどうかが、その後のリハビリの成果を左右します。初回訪問では次のような点を確認しましょう。
| 確認項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 本人・家族の希望 | 「何ができるようになりたいか」を具体的に聞く。興味・関心チェックシートの活用も有効 |
| 体調とリスク | 血圧・脈拍、服薬、痛み、転倒歴。医師の指示にある中止の基準を確認 |
| 自宅環境 | 玄関・廊下・トイレ・浴室・寝室の段差や手すり、家具の配置、福祉用具の有無 |
| 生活の流れ | 1日の過ごし方、日中に一人になる時間、家族の介助の状況 |
| 緊急時の対応 | 緊急連絡先、主治医、急変時の連絡手順 |
| ほかのサービス | デイサービス、訪問介護、福祉用具など、利用中のサービスと担当者 |
初回訪問で把握した内容は、開始後おおむね2週間以内の評価・見直しに生かします。最初の計画は情報が限られた段階で作ることが多いため、2週間の見直しで実態に合った計画に仕上げるという意識を持っておくとよいでしょう。
初回訪問の時間配分の工夫
初回は、説明や聞き取りに時間がかかり、リハビリそのものの時間が短くなりがちです。重要事項説明書の説明や契約は事前の訪問で済ませておく、聞き取りの項目を事前にケアマネジャーから情報収集しておくなど、初回からリハビリの時間をしっかり確保できるよう段取りすることが、利用者の満足度にもつながります。
よくある質問
訪問リハビリの利用を再開した場合も加算はありませんか?
再開時にも初回加算はありません。入院後の再開で、退院・退所日から3月以内であれば短期集中リハビリテーション実施加算の対象になる場合があります。介護予防の場合は、入院で中断し医師の指示内容が変わった場合、12か月超の減算の起算が新たになる扱いもあります。
利用開始月にリハマネ加算は算定できますか?
リハビリテーション会議の開催や計画の説明・同意など、要件を満たしていれば、開始月から算定できます。開始月は会議や説明の準備が重なるため、日程を早めに調整しておきましょう。
ケアマネジャーに「初回加算はつきますか」と聞かれたら?
訪問リハビリには初回加算がないことを伝え、短期集中リハビリテーション実施加算や退院時共同指導加算など、算定予定の加算と単位数をサービス利用票に反映してもらうよう依頼しましょう。
短期集中リハビリテーション実施加算と退院時共同指導加算は同じ利用者に算定できますか?
それぞれの要件を満たしていれば、同じ利用者について算定することは考えられます。退院前カンファレンスで共同指導を行い、退院後に集中的なリハビリを行う流れは、在宅復帰を支える典型的な関わり方です。具体的な算定の可否は、告示・留意事項通知で確認してください。
まとめ|訪問リハビリに初回加算はないが、開始時の加算はある
介護保険の訪問リハビリテーションには初回加算はありません。利用開始の時期には、短期集中リハビリテーション実施加算、退院時共同指導加算、リハマネ加算の医師説明の上乗せなどが関係します。退院直後の利用では、医療機関の計画書の受け取りや診療未実施減算の免除の仕組みもあわせて押さえておきましょう。
- 訪問リハビリ・介護予防訪問リハビリに初回加算はない(訪問看護・訪問介護にはある)
- 開始時期に関係するのは短期集中200単位/日、退院時共同指導600単位/回など
- 退院者は医療機関のリハビリ実施計画書等で情報を把握することが義務
- 退院後1か月以内は、一定の条件で診療未実施減算が適用されない
- 開始後おおむね2週間以内に見直し、以降は3か月ごとに見直す
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料3「訪問看護」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第239回)資料1「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1213(令和6年度介護報酬改定に伴う留意事項通知の改正)
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

