訪問リハビリで多い指定難病|疾患別のポイントとおすすめ本

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「パーキンソン病の利用者さんを初めて担当することになった」「ALSの方のリハビリで、何に気をつければいいのかわからない」——訪問リハビリでは、脳卒中や骨折の後遺症だけでなく、指定難病を抱える利用者さんを担当する機会も少なくありません。進行性の病気が多く、病院でのリハビリとは違う視点が求められます。
この記事では、訪問リハビリでよく出会う指定難病の特徴と、在宅でのリハビリのポイントを、疾患ごとに理学療法士の目線で解説します。40歳以上で介護保険を使える「特定疾病」との関係や、難病を学べるおすすめの本もあわせて紹介します。
- 指定難病と、介護保険の特定疾病との関係
- 訪問リハビリでよく出会う指定難病6つの特徴
- 疾患ごとの訪問リハビリのポイント
- 進行性の難病に関わるときに大切な視点
- 難病のリハビリを学べるおすすめの本
指定難病とは?訪問リハビリとの関係
指定難病は、難病法にもとづいて医療費助成の対象となる病気で、厚生労働省によると令和8年4月時点で348疾病が指定されています。訪問リハビリでは、神経の病気を中心に、さまざまな指定難病の利用者さんを担当します。
また、指定難病の中には、介護保険法施行令で定める「特定疾病」に含まれるものがあります。特定疾病が原因で介護が必要になった場合は、40〜64歳でも介護保険のサービスを利用できるため、訪問リハビリの利用につながることがあります。
| 疾患 | 指定難病 | 介護保険の特定疾病 |
|---|---|---|
| パーキンソン病 | ○ | ○(パーキンソン病関連疾患として) |
| 進行性核上性麻痺 | ○ | ○(同上) |
| 筋萎縮性側索硬化症(ALS) | ○ | ○ |
| 後縦靱帯骨化症 | ○ | ○ |
| 脊髄小脳変性症 | ○ | ○ |
| 全身性エリテマトーデス(SLE) | ○ | 特定疾病には含まれない |
医療費助成の制度については、難病医療費助成は訪問リハビリで使える?の記事で詳しく解説しています。

特定疾病に含まれるかどうかで、使えるサービスが変わるんですね。

そうなんだ。40〜64歳の利用者さんの場合は特に大事なポイントだよ。保険の種類はケアマネジャーや事業所の事務とも確認しながら進めようね。
訪問リハビリでよく出会う指定難病と在宅でのポイント
1. パーキンソン病
脳の中でドパミンを作る神経細胞が減ることで起こる病気で、ふるえ、筋肉のこわばり、動作の遅さ、バランスの悪さなどの症状がみられます。薬の効き目によって1日の中で動きやすさが変わることが多いため、訪問の時間帯と薬の飲む時間の関係を把握しておくことが大切です。
- 歩き出しや方向転換でのすくみ足に対する、声かけや床の目印などの工夫
- ストレッチと姿勢の練習で、前かがみの姿勢が強くなるのを防ぐ
- 転倒しやすい場所(トイレ・玄関・狭い通路)の環境調整
パーキンソン病の本はこちらの記事でも紹介しています。
2. 進行性核上性麻痺(PSP)
パーキンソン病に似た症状がありますが、早い時期から後ろに倒れやすく、転倒をくり返しやすいのが特徴です。目を上下に動かしにくくなるため、足元が見えにくく、つまずきやすくなります。飲み込みの障害が進むこともあります。
- 歩行器や手すりなどで、後ろへの転倒を防ぐ
- 本人が危険を感じにくいこともあるため、家族への見守りや介助方法の指導を行う
- 食事の姿勢や食形態について、言語聴覚士や医師と連携する
3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
体を動かす神経が少しずつ障害され、手足や飲み込み、呼吸に関わる筋肉が弱くなっていく病気です。進行の速さには個人差があります。疲れすぎる運動は避け、今できる動作を保つことと、先を見越した準備が大切です。
- 関節が固くならないように、関節を動かす運動やポジショニングを行う
- 呼吸の状態を確認し、咳を助ける方法や呼吸の練習を取り入れる
- 話しにくくなる前から、文字盤や意思伝達装置などの準備を一緒に考える
4. 後縦靱帯骨化症
背骨の中を通る靱帯が骨のように硬くなり、脊髄を圧迫する病気です。手足のしびれや動かしにくさ、歩きにくさが出ます。首を大きく後ろにそらす動きや、転倒による衝撃で症状が悪くなることがあるため、動作の指導では首への負担に注意します。
- 首に負担の少ない姿勢や動作を指導する
- 歩行やバランスの練習で、転倒を防ぐ
- 手指の細かい動作が難しい場合は、自助具の活用を提案する
5. 脊髄小脳変性症
小脳や脊髄の神経が障害され、ふらつきや手のふるえ、話しにくさなどが出る病気です。バランスの練習をくり返し行うことが、動作の維持に役立つと考えられています。
- 立位や歩行のバランス練習を、安全な環境でくり返し行う
- 歩行補助具の選定や、つかまれる家具の配置を考える
- 話しにくさや飲み込みについては、言語聴覚士と連携する
6. 全身性エリテマトーデス(SLE)
免疫の異常によって、皮膚・関節・腎臓などさまざまな臓器に炎症が起こる病気です。体調の波が大きく、疲れやすさや関節の痛みがみられることがあります。ステロイドなどの治療を長く続けている場合は、骨や筋肉への影響にも注意が必要です。
- 体調や疲労の程度に合わせて、運動の量を調整する
- 強い日差しで症状が悪化することがあるため、屋外での練習は医師の指示を確認する
- 関節に負担の少ない動作の方法を伝える
進行性の難病に関わるときに大切な視点
- 「今の生活」を守る:機能の改善だけを目標にせず、今できることを長く続けられるよう支援する
- 先を見越した準備:進行を見越して、福祉用具や住宅改修、コミュニケーション手段を早めに検討する
- 疲れすぎない運動:病気によっては過度な運動が負担になるため、翌日の疲れも確認する
- 家族への支援:介助方法の指導だけでなく、家族の負担や気持ちにも目を向ける
- 多職種連携:主治医、訪問看護師、ケアマネジャー、言語聴覚士などと、状態の変化を共有する
進行性の病気では、できなくなることが増えていく中で、本人や家族が気持ちの面でつらさを抱えることもあります。「できることを一緒に探す」姿勢が、リハビリ職に求められる大切な役割です。

進行していく病気だと、リハビリの目標を立てるのが難しいですね。

そうだね。「歩けるようになる」より「トイレまで自分で行き続ける」「家族と食卓で食べ続ける」のように、生活に沿った目標を本人と一緒に決めるのがポイントだよ。
難病の利用者さんを支える相談先・連携先
難病の利用者さんの在宅生活は、訪問リハビリだけでは支えきれません。困りごとに応じて、次のような相談先や連携先を知っておくと、利用者さんや家族に情報を伝えやすくなります。
| 相談先・連携先 | 主な役割 |
|---|---|
| 主治医・専門医 | 病状の評価、薬の調整、リハビリの指示 |
| 訪問看護ステーション | 体調管理、医療処置、呼吸器や吸引の管理 |
| ケアマネジャー | 介護サービスの調整、福祉用具・住宅改修の手配 |
| 保健所・市区町村 | 難病の医療費助成の手続き、療養の相談 |
| 難病相談支援センター | 療養生活や就労などの相談(都道府県などに設置) |
| 患者会・家族会 | 同じ病気の人や家族との情報交換 |
リハビリ職は、利用者さんの自宅での様子を直接見ている立場です。動作の変化や転倒、飲み込みの様子などに気づいたら、早めにチームに共有することで、ほかのサービスの見直しや医療につなげることができます。
難病のリハビリを学べるおすすめの本
神経難病のリハビリを、疾患ごとの評価と具体的なアプローチから学べる本です。病期に応じたリハビリの考え方を整理するのに役立ちます。
神経難病の病態からケア、在宅での支援までを全体的に学べる本です。看護やケアの視点も含まれているので、多職種で連携するときの共通言語づくりにも役立ちます。
障害児・難病児が利用できる福祉サービスを図解でまとめた本です。小児の難病の利用者さんを担当するときや、家族から制度について相談されたときの確認に便利です。
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訪問リハビリと指定難病でよくある質問
指定難病の人は、訪問リハビリを医療保険と介護保険のどちらで受けますか?
40歳未満の難病の人は訪問リハビリを受けられますか?
進行性の病気でもリハビリを続ける意味はありますか?
- 指定難病は令和8年4月時点で348疾病(厚生労働省)。訪問リハビリでは神経の病気が多い
- パーキンソン病・PSP・ALS・後縦靱帯骨化症・脊髄小脳変性症は介護保険の特定疾病にも含まれ、40〜64歳でも介護保険を利用できる
- パーキンソン病は薬の効き目、PSPは後ろへの転倒、ALSは疲れすぎない運動と先を見越した準備がポイント
- 進行性の難病では「今の生活を守る」目標と、多職種・家族との連携が大切

