訪問リハビリは2か所利用できる?条件と組み合わせ方

「言語聴覚士のリハビリも受けたいけれど、今の事業所にはいない」「もう少し訪問回数を増やしたいのに、空きがない」——そんなとき頭に浮かぶのが、訪問リハビリを2か所の事業所で利用できないかという疑問です。
結論からお伝えすると、訪問リハビリを2か所で利用することは、必要性があれば可能です。ただし「なぜ1か所では足りないのか」を説明できることが前提になります。この記事では、パターン別の併用の可否、知っておきたい回数のルール、2か所利用のメリットと注意点をわかりやすく解説します。
- 訪問リハビリを2か所利用できるかどうか
- 「訪問リハ+訪問リハ」「訪問リハ+訪問看護(リハ)」などパターン別の可否
- 知っておきたい訪問リハビリの回数のルール
- 2か所利用のメリットと注意点
結論|訪問リハビリは2か所(複数事業所)利用できる
介護保険の基準には、訪問リハビリを複数の事業所で利用することを一律に禁じる規定は見当たりません(確認できた範囲)。ケアプランに位置づけ、1つの事業所では十分なリハビリを提供できない事情があれば、2か所の事業所が同じ利用者に関わることができます。
たとえば、次のような事情があるときに2か所利用が検討されます。
- 言語聴覚士(ST)のリハビリを受けたいが、今の事業所にSTがいない
- 訪問回数を増やしたいのに、1つの事業所では空きがない
- 専門性の異なる事業所から、多角的にリハビリを受けたい
ただし、利用するサービスの組み合わせによって押さえるべき点が変わります。組み合わせごとに、順に見ていきましょう。
パターン別|訪問リハビリ2か所利用の可否
① 訪問リハビリ+訪問リハビリ
2つの「訪問リハビリテーション事業所」を併用することは可能です。STのいる事業所と、PT・OTのいる事業所を組み合わせる、といった使い方ができます。
② 訪問リハビリ+訪問看護(リハビリ)
「訪問リハビリテーション」と、「訪問看護ステーションからのリハビリ職による訪問」を併用することも可能です。この2つはサービスの種類が異なるため、それぞれをケアプランに位置づけて組み合わせられます。リハビリの機会を増やしたいときに有効です。
③ 訪問看護(リハビリ)+訪問看護(リハビリ)
2つの訪問看護ステーションからリハビリ職の訪問を受けることも可能です。なお、訪問看護ステーションが関わる場合は、それぞれのステーションで看護師の訪問も必要になる点に注意が必要です。

2か所と聞くと、何だかルール違反のような気がしていました。

制度上は問題ないよ。大事なのは、ケアプランにきちんと位置づけて、事業所どうしが情報共有すること。利用者さんのための併用かどうかが基本だね。
知っておきたい訪問リハビリの回数のルール
2か所利用を考えるうえで、回数のルールは押さえておきましょう。介護保険の訪問リハビリテーションは、次のように算定されます。
| 場面 | 算定の限度 |
|---|---|
| 通常時 | 1回20分以上で、週6回まで |
| 退院(退所)日から3か月以内 | 医師の指示にもとづき、週12回まで |
退院・退所直後はリハビリの必要性が高いため、医師の指示があれば回数を増やせる仕組みです。なお、訪問看護ステーションからのリハビリ職の訪問は「訪問看護」として別の枠で扱われます。
2か所利用では、利用するサービスの合計が介護保険の区分支給限度基準額の範囲内である必要があります。回数や算定の取扱いはケースや改定で変わることもあるため、実際の利用にあたってはケアマネジャーや市区町村の窓口で必ず確認してください。
厚労省Q&Aに見る複数事業所利用の考え方
複数事業所の利用について、厚生労働省は通所リハビリテーションのQ&A(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1 問85)で、次のような考え方を示しています。
| Q&Aのポイント | 内容 |
|---|---|
| 加算の算定 | それぞれの事業所で要件を満たしていれば、リハビリテーションマネジメント加算を各々算定できる |
| 前提 | 複数事業所の利用が認められるのは、単一の事業所で十分なリハビリを提供できない等の事情がある場合 |
| 例 | PT・OTの事業所に言語聴覚士がいないため、言語聴覚療法を別の事業所で受けるケース |
このQ&Aは通所リハについてのものですが、訪問リハビリでも「なぜ1か所では足りないのか」を説明できることが大切だと考えられます。「STがいない」「必要な回数を1か所では確保できない」など、理由をケアプランやリハビリ計画に書いておきましょう。

「なんとなく両方使いたい」では難しいということですね。

そうだね。利用者さんにとって必要な理由を、ケアマネジャーや両方の事業所で共有しておくことが大事なんだ。
訪問看護のリハビリと組み合わせるときのルール
訪問看護ステーションからのリハビリ職の訪問は、看護業務の一環としてのリハビリという位置づけです。そのため、訪問リハビリとは違うルールがあります。
- 理学療法士等の訪問が、看護職員の訪問回数を上回るような計画は適切ではないとされている
- 利用開始時や状態の変化に合わせて、看護職員が定期的に訪問して状態を評価する
- 計画書・報告書は、看護職員とリハビリ職が連携して作成する
訪問リハビリと訪問看護のリハビリを組み合わせるときは、それぞれの役割と目標を分けて、同じ内容を二重に行わないように調整しましょう。
たとえば、訪問リハビリでは歩行や屋外移動の練習を、訪問看護のリハビリでは服薬や体調管理とあわせた自宅内の動作練習を担当するなど、役割を分けておくと、利用者さんや家族にもわかりやすくなります。カンファレンスや報告書で経過を共有しましょう。
訪問リハビリを2か所利用するメリット・注意点
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| メリット | STなど必要な専門職のリハビリを受けられる/訪問回数を増やせる/多角的な視点が入る |
| 注意点 | 事業所間の情報共有が必要/支給限度額の範囲を意識する/利用者の負担(時間・費用)も考慮する |
1つの事業所に絞れば事業所内での連携が取りやすい一方、2か所が関わることで多角的な視点が加わります。どちらが利用者さんにとって良いかを、ケアマネジャーと相談しながらプランを組むことが大切です。利用開始後も、目標の達成状況を見て、2か所の利用を続けるかを定期的に見直しましょう。
訪問リハビリの2か所利用に関するよくある質問
訪問リハビリは3か所以上でも利用できますか?
3か所以上を明確に禁じる規定は見当たりませんが、事業所が増えるほど必要性の説明や情報共有が難しくなります。保険者(市区町村)によって判断が異なることもあるため、ケアマネジャーを通じて確認し、必要な範囲にとどめましょう。
2か所利用すると費用は高くなりますか?
利用したサービスの分だけ費用は発生します。介護保険の区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担になるため、ケアマネジャーに見込みを確認しておくと安心です。
2か所の事業所はどうやって決めればよいですか?
「STのリハを受けたい」「回数を増やしたい」など目的を明確にし、ケアマネジャーに相談しましょう。目的に合った専門職や空き状況をふまえて、事業所を提案してもらえます。
2か所利用するとき、事業所同士は連携しますか?
利用者さんのために、情報共有は欠かせません。ケアプランを軸に、リハビリの方針や経過を事業所間で共有し、ばらばらの支援にならないよう調整します。
2か所目の訪問リハビリでも、医師の診察や指示は必要ですか?
必要です。訪問リハビリは、それぞれの事業所の医師が診療を行い、その指示にもとづいて計画を立てて提供します。事業所の医師が診療を行わずに提供する場合は、診療未実施減算の対象になります。2か所目の事業所でも、受診や情報提供の方法を事前に確認しておきましょう。
訪問リハビリの2か所利用を始めるまでの流れ
2か所利用を検討するときは、自己判断で進めず、ケアマネジャーを中心に進めます。基本の流れは次のとおりです。
- 目的を整理する「STのリハを受けたい」「回数を増やしたい」など、2か所利用したい理由をはっきりさせる。
- ケアマネジャーに相談する目的を伝え、併用が適切か、支給限度額の範囲で収まるかを一緒に確認する。
- 2か所目の事業所を選ぶ必要な専門職や空き状況をふまえ、ケアマネジャーに事業所を提案してもらう。
- ケアプランに位置づけ、利用を開始する2か所をケアプランに反映。事業所間で方針・経過を共有しながら支援を進める。
こんなときはケアマネジャーに相談を
- 受けたいリハビリ(STなど)が、今の事業所で提供されていない
- 訪問回数を増やしたいが、1事業所では空きがない
- 退院直後で、集中的にリハビリを受けたい
- 2か所利用で費用が支給限度額を超えないか不安がある
2か所利用は便利な選択肢ですが、利用者さんの負担や事業所間の連携も含めて考える必要があります。判断に迷ったら、まずはケアマネジャーに相談しましょう。
まとめ|訪問リハビリの2か所利用は「目的に合えば」有効
訪問リハビリの2か所利用は、制度上問題なく行えます。最後に要点を整理します。
- 訪問リハビリは、1か所で十分に提供できない事情があれば2か所で利用できる
- 「訪問リハ+訪問リハ」「訪問リハ+訪問看護(リハ)」などの併用が可能
- 訪問リハは週6回まで、退院・退所後3か月以内は医師の指示で週12回まで
- 支給限度額の範囲や事業所間の連携に注意し、ケアマネジャーと相談する
2か所利用は、「その利用者さんにとって本当に必要か」を基準に。ケアマネジャーと相談しながら、最適なプランを組み立てていきましょう。
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 羽曳野市「理学療法士等による訪問看護関係(老企第36号 第2の4(4)等)」参考資料
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

