【おすすめ】とろみ剤の選び方|在宅介護で失敗しないポイント

在宅介護で使うとろみ剤(とろみ調整食品)は、「溶けやすさ」「とろみがつくまでの速さ」「味やにおいへの影響」「使える飲み物の幅」の4つで選ぶのがおすすめです。どれも同じに見えますが、商品によってダマのできやすさや、牛乳・濃厚流動食へのつきやすさが違います。
とろみの濃さを間違えると、かえってむせやすくなったり、飲む量が減って脱水につながったりすることもあります。この記事では、訪問リハビリの現場の視点から、とろみ剤の種類・とろみの濃さの目安・失敗しない選び方・上手なつけ方・代表的な商品をまとめます。
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- とろみ剤(とろみ調整食品)とは何か、なぜ必要か
- とろみの濃さの3段階と、飲み物ごとの目安
- 在宅介護で失敗しないとろみ剤の選び方5つ
- ダマにならない上手なとろみのつけ方
- タイプ別の代表的なとろみ剤と、購入前の注意点
とろみ剤(とろみ調整食品)とは
とろみ剤とは、お茶や水、みそ汁などの液体に混ぜるだけで、とろみをつけられる粉末やジェルの食品です。加熱しなくても使えるのが特徴で、原料にはキサンタンガム、グアーガム、でん粉などが使われています。
飲み込む力が弱くなると、さらさらした水やお茶は、のどを通るスピードが速すぎて気管に入りやすくなります(誤嚥)。とろみをつけると液体がまとまり、ゆっくりのどを通るため、むせにくくなります。誤嚥は肺炎の原因にもなるため、とろみ剤は在宅介護で欠かせない道具の一つです。
消費者庁の「特別用途食品」には、えん下困難者用食品の一つとして「とろみ調整用食品」の区分があります。許可を受けた商品には特別用途食品のマークが表示され、消費者庁の許可品目一覧で確認できます。
とろみが必要かもしれないサイン
次のようなサインがある場合は、飲み込む力が弱くなっている可能性があります。自己判断でとろみをつけ始めるのではなく、まず主治医や担当のリハビリ職に相談しましょう。
- お茶や水を飲むときに、むせることが増えた
- 食事の後に、声がガラガラする・痰がからむ
- 原因のはっきりしない発熱をくり返す
- 飲み物を飲むのに時間がかかる、飲む量が減った
とろみの濃さの3段階と目安
とろみの濃さは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2021」で、次の3段階に分けられています。医療・介護の現場で広く使われている目安です。
| 段階 | 見た目・性状の目安 | どんな人に |
|---|---|---|
| 薄いとろみ(段階1) | スプーンを傾けるとすっと流れ落ちる。ストローで容易に吸える | 軽いむせがある人 |
| 中間のとろみ(段階2) | スプーンを傾けるととろとろと流れる。ストローで吸うには力が必要 | 多くの嚥下障害の人の基本 |
| 濃いとろみ(段階3) | スプーンを傾けても形がある程度保たれ、流れにくい。ストローでは吸えない | 重度の嚥下障害の人 |
とろみは濃ければ濃いほど安全というわけではありません。濃すぎると口やのどに残りやすく、かえって誤嚥の原因になったり、飲みにくくて水分摂取量が減ったりします。どの濃さが合うかは、医師・歯科医師・言語聴覚士・管理栄養士などの評価に基づいて決めましょう。
農林水産省の「スマイルケア食」では、飲み込むことに問題がある人向けの食品に「赤マーク」、噛むことに問題がある人向けの食品に「黄マーク」、栄養補給が必要な人向けの食品に「青マーク」がつけられています。とろみ剤とあわせて介護食を選ぶときの参考になります。どのマークの食品が合うかは、医師・歯科医師・管理栄養士などの専門職に相談して決めましょう。

とろみは濃い方が安全だと思っていました。

実はそうでもないんだ。濃すぎるとのどに残って、あとから気管に入ることもある。言語聴覚士の評価で決めた濃さを、家族やヘルパーさんにも同じように作ってもらうことが大事だよ。
失敗しないとろみ剤の選び方5つ
1. 溶けやすさ(ダマになりにくいか)
ダマ(かたまり)は飲み込みにくく、誤嚥の原因になります。少量の液体でもさっと溶ける商品は、家族やヘルパーが作るときの失敗が少なくなります。顆粒タイプは溶けやすいものが多い傾向があります。
2. とろみがつくまでの速さと安定性
混ぜてすぐにとろみが安定する商品と、数分かけて徐々に濃くなる商品があります。時間とともに濃くなる商品は、作ってすぐ飲むと薄く、時間がたつと濃くなるため注意が必要です。作り置きをすることが多い家庭では、とろみが安定しやすい商品が使いやすいでしょう。
3. 味・におい・見た目への影響
とろみ剤によっては、飲み物の味やにおいが変わったり、白く濁ったりします。食事を楽しめなくなると、水分摂取量が減ってしまいます。透明で無味無臭に近い商品を選ぶと、飲み物本来の味を楽しみやすくなります。
4. 使える飲み物の幅
牛乳、濃厚流動食、オレンジジュースなどの酸性飲料、炭酸飲料などは、商品によってとろみがつきにくい場合があります。普段よく飲むものにとろみがつくかどうかを、商品の説明で確認しましょう。
5. 使いやすさとコスト
1回分ずつ分かれたスティックタイプは外出時に便利で、量を間違えにくいのが利点です。大袋タイプは1回あたりの費用を抑えられます。毎日使うものなので、続けやすい価格かどうかも大切です。
ダマにならない上手なとろみのつけ方
- 決められた量を計る付属のスプーンや計量スプーンで、商品の説明に沿った量を正確に計ります。目分量は濃さのばらつきの原因になります。
- 液体をかき混ぜながら入れるスプーンで液体をかき混ぜながら、とろみ剤を一度に入れます。少しずつ入れるとダマになりやすい商品もあります。
- 30秒ほどしっかり混ぜるすぐに手を止めず、しっかり混ぜ続けます。
- とろみが安定するまで待つ商品ごとの目安の時間を待ってから、濃さを確認して飲んでもらいます。
家族・ヘルパー・デイサービスなど、作る人によって濃さが変わらないように、「コップ1杯(○mL)に○g」と決めて、紙に書いて台所に貼っておくと安心です。

作る人によって濃さが違うのは、よくありそうですね。

在宅ではとても多いよ。訪問のときに実際に作ってもらって、濃さを一緒に確認するのも大事なリハビリの一つ。写真を撮って見本にしておくと、ほかのサービスとも共有しやすいね。
タイプ別のおすすめとろみ剤
ここでは、Amazonでレビュー件数が多く、評価の高いとろみ剤をタイプ別に紹介します。どの商品が合うかは、飲む人の状態や普段の飲み物によって変わります。購入前に、担当の言語聴覚士や管理栄養士に相談しましょう。
定番で迷ったら
病院や施設でも使われることの多い定番のとろみ剤です。家族やヘルパーなど複数の人が作る家庭でも、同じ商品を使い続けると濃さをそろえやすくなります。
毎日たくさん使うなら(大容量)
1日に何杯も飲み物にとろみをつける家庭では、大容量タイプを選ぶと1回あたりの費用を抑えられます。
1回分ずつ使いたいなら(スティック)
1回分ずつ分かれたスティックタイプは、計量の手間がなく、デイサービスへの持参や外出時にも便利です。
定番メーカーのスティックを選ぶなら
スティックタイプを継続して使う場合は、使い慣れたメーカーの商品を選ぶと、濃さをそろえやすくなります。
※商品の仕様は変更されることがあるため、購入時にメーカーの最新情報を確認してください。商品ごとに1杯あたりの使用量が違うため、商品を変えたときは濃さを確認し直しましょう。
訪問リハビリでのとろみ剤の支援【実践編】
言語聴覚士だけでなく、PT・OTも嚥下や水分摂取にかかわる場面があります。訪問リハビリでは、次のような支援を意識しましょう。
- 実際に作ってもらって確認する:家族がいつもどのように作っているかを見て、量や混ぜ方を一緒に確認する
- 姿勢を整える:飲むときの姿勢(あごを引く、体を起こす)や、コップ・ストローの選び方もあわせて調整する
- 水分摂取量を確認する:とろみをつけたことで飲む量が減っていないか、1日の水分量を記録してもらう
- 多職種で濃さを統一する:ケアマネジャーを通じて、ヘルパーやデイサービスにも同じ濃さを伝える
- 変化を医師に報告する:むせの増加、発熱、痰の増加などがあれば、主治医や事業所の医師に報告する
よくある質問
とろみ剤は介護保険で購入できますか?
とろみ剤は食品のため、介護保険の福祉用具や特定福祉用具販売の対象ではありません。ドラッグストアや通信販売などで購入します。医療機関や施設で使われているものと同じ商品を、通信販売で買える場合もあります。
とろみ剤は1日にどのくらい使いますか?
使う量は、とろみの濃さと1日に飲む水分量によって変わります。商品ごとに、100mLあたりの使用量が示されているので、それをもとに計算してください。
作り置きしても大丈夫ですか?
商品によっては時間がたつと濃くなるものがあります。また衛生面からも、長時間の作り置きは避けましょう。作り置きする場合は、飲む前に濃さを確認してください。
とろみをつけた飲み物を嫌がる場合はどうすればいいですか?
味やにおいの影響が少ない商品に変える、ゼリー飲料を取り入れる、温度を工夫するなどの方法があります。嫌がって水分が不足するのは危険なので、担当の言語聴覚士や医師に相談しましょう。
- とろみ剤は溶けやすさ・とろみの速さ・味への影響・使える飲み物の幅・コストで選ぶ
- とろみの濃さは薄い・中間・濃いの3段階。濃ければ安全というわけではない
- 濃さは専門職の評価で決め、家族・ヘルパー・デイサービスで統一する
- 計量・かき混ぜながら一度に入れる・しっかり混ぜる・待つ、の手順でダマを防ぐ
- 購入前に、担当の言語聴覚士や管理栄養士に相談する
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

