認知症の介護のおすすめ本8選|接し方・声かけ・家族の心のケア

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「何度も同じことを聞かれて、つい強く言い返してしまう」「認知症の親の気持ちがわからず、介護に疲れてしまった」——認知症の介護は、体の介助だけでなく、気持ちのすれ違いが大きな負担になります。本人が見ている世界や気持ちを知るだけで、接し方がぐっと楽になることがあります。

この記事では、認知症の介護に役立つおすすめの本8冊を、「本人の世界を知る」「接し方・声かけ」「介護する人の心を守る」の目的別に理学療法士の目線で紹介します。認知症の人の数の推計や、介護で悩んだときの相談先、接し方のコツもあわせて解説します。

この記事でわかること
  • 認知症の人の数と、介護を一人で抱えこまない大切さ
  • 認知症の介護の本を選ぶ3つの目的
  • 認知症の介護におすすめの本8選
  • 認知症の介護で悩んだときの相談先と接し方のコツ
目次

認知症の人の数と、介護を一人で抱えこまない大切さ

厚生労働省が公表した推計(九州大学の研究班による)では、2022年の高齢者の認知症の人は約443万人(有病率12.3%)、軽度認知障害(MCI)の人は約559万人とされています。

年認知症の高齢者数有病率
2022年443.2万人12.3%
2030年523.1万人14.2%
2040年584.2万人14.9%
2060年645.1万人17.7%

同じ資料では、認知症とMCIをあわせた有病率は約28%(2022年)とされ、「誰もが認知症になり得る」という認識が示されています。2024年には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、認知症の人が尊厳を保ちながら希望を持って暮らせる社会を目指すことが定められました。

新人PT
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身近な病気なんですね。家族だけで介護している人も多そうです。

ベテランPT
ベテランPT

そうなんだ。認知症の介護は長く続くことが多いから、本で知識をつけることと、早めにサービスや相談先を使うことの両方が大切なんだよ。

認知症の介護で困りやすい場面

認知症の症状は、記憶や判断の力が低下する「中核症状」と、本人の性格や環境、体調などが影響して現れる「行動・心理症状(BPSD)」に分けて説明されることが多くあります。家族が困りやすいのは、次のような場面です。

困りやすい場面よくある例考え方のヒント
同じことを何度も聞く予定や食事のことを繰り返し聞く覚えていないことへの不安の表れと考え、毎回やさしく答える
物を盗られたと言う財布や通帳がなくなったと家族を疑う否定せず一緒に探し、本人が見つけられるようにする
介護を拒む入浴や着替えを嫌がる時間や声かけを変える、無理に進めない
外に出て行こうとする夕方になると落ち着かなくなる理由を聞き、一緒に歩く、地域の見守りの仕組みを確認する

行動・心理症状は、接し方や環境を変えることで和らぐことがあるとされています。紹介する本は、こうした場面での考え方を具体的に学べるものを選んでいます。

認知症の介護の本を選ぶ3つの目的

認知症の介護の本は、目的で選ぶと自分に合う一冊を見つけやすくなります。

目的こんな人に紹介する本
本人が見ている世界を知る行動の理由がわからず戸惑っている認知症の人が見ている世界(1〜3)、認知症世界の歩き方
接し方・声かけを知る言い合いになる、伝わらない言いかえフレーズ、「かたくなな気持ち」が穏やかになる接し方、認知症ポジティブおばあちゃん
介護する人の心を守る疲れた、限界を感じている認知症の親を介護している人の心を守る本

認知症の介護におすすめの本8選

認知症の親を介護している人の心を守る本

認知症の家族を介護している人が「介護うつ」におちいりやすい原因を4つの問題に整理し、その解消法を紹介した本です。疲れたとき、心が折れそうなときのケース別の対処法が載っており、介護する人自身の心を守るために役立ちます。

認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ

認知症心理学の専門家が、認知症の人に伝わりやすい声かけを紹介した本です。「何度も言っているでしょ?!」のようについ言ってしまう言葉を、具体的な場面ごとに○×形式で言いかえています。伝え方を変えることで、介護する側のイライラも減らせます。

マンガでわかる!認知症の人が見ている世界

認知症の介護の現場で出会ったケースを、どのように解決に導いたかをマンガで紹介した本です。認知症の人の行動の裏にある理由がわかりやすく描かれており、マンガなので読みやすいのが特徴です。

マンガでわかる!認知症の人が見ている世界2

シリーズの2冊目です。1冊目で認知症の人の見ている世界をつかんだ人が、さらに多くの場面での接し方を学べます。

マンガでわかる!認知症の人が見ている世界3

シリーズの3冊目です。シリーズを通して読むと、さまざまな場面での考え方と対応の例を知ることができます。

認知症世界の歩き方

認知症のある人が実際に見ている世界を、スケッチと旅行記の形式で紹介した本です。本人の頭の中をのぞいているような感覚で、認知症のことを楽しみながら学べます。チェックリストなどもあり、家族だけでなく支援者にも役立ちます。

認知症ポジティブおばあちゃん~在宅介護のしあわせナビ~

YouTubeチャンネル「認知症ポジティブおばあちゃん」の投稿者(家族)による本で、人気の動画をマンガにしています。認知症のおばあちゃんとしあわせに暮らす15のコツがまとめられており、在宅介護に前向きに向き合うヒントがもらえます。

認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方

訪問介護ヘルパーとデイサービスの経営者という、認知症の対応に慣れた2人による本です。認知症の人が「かたくな」になる理由と、気持ちを逆なでしない接し方を、ケース別に紹介しています。ストーリー仕立てでイメージしやすいのも特徴です。

新人PT
新人PT

8冊のうち、最初に読むならどれがいいですか?

ベテランPT
ベテランPT

行動の理由がわからなくて困っているなら「認知症の人が見ている世界」、言い合いが多いなら「言いかえフレーズ」がおすすめだよ。介護に疲れていると感じるなら、まず「心を守る本」を読んでほしいね。

認知症の介護で悩んだときの相談先

認知症の介護は、一人で抱えこまないことが大切です。困ったときは次の窓口に相談しましょう。

相談先相談できること
地域包括支援センター介護全般の相談、要介護認定の申請、サービスの紹介
ケアマネジャー介護保険のサービスの調整、ケアプランの見直し
かかりつけ医・認知症の専門医療機関診断、治療、症状の変化への対応
認知症カフェ・家族の会同じ悩みを持つ家族との交流、情報交換

デイサービスやショートステイを使えば、介護する家族が休む時間をつくれます。介護保険のサービスの種類は介護保険のリハビリの種類の記事でも紹介しています。

認知症の人との接し方のコツ

本で学んだことを日々の介護に生かすときは、次のポイントを意識してみましょう。

  • 否定しない:記憶違いや思い込みを正そうとせず、本人の気持ちを受け止める
  • 短く、ゆっくり伝える:一度に伝えることは一つにし、わかりやすい言葉を使う
  • できることは本人にしてもらう:役割があると、自信や落ち着きにつながる
  • 環境を整える:トイレや部屋の場所をわかりやすく示し、危険な物は手の届かない場所に置く
  • うまくいった方法を続ける:反応がよかった声かけや関わり方は、家族で共有する
ポイント

理学療法士の立場からは、体を動かす機会を保つこともおすすめします。散歩や家事などの役割は、生活のリズムを整え、体の力を保つことにもつながります。訪問リハビリなどを利用している場合は、リハビリ職に相談してみましょう。

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よくある質問

認知症の介護の本は、家族向けと専門職向けで違いますか?
紹介した本は、家族が読みやすいものを中心にしています。マンガやイラストを使った本が多く、介護の仕事をしている人が家族への説明に使うこともできます。
認知症かもしれないと思ったら、どこに相談すればいいですか?
かかりつけ医や、本人が住む地域の地域包括支援センターに相談しましょう。早めに相談することで、必要な診断やサービスにつなげやすくなります。
介護に疲れてしまったときはどうすればいいですか?
ケアマネジャーや地域包括支援センターに、疲れていることをそのまま伝えましょう。デイサービスやショートステイを増やすなど、介護する人が休める方法を一緒に考えてもらえます。
MCI(軽度認知障害)とは何ですか?
認知機能の低下はあるものの、日常生活には大きな支障がない状態をいいます。厚生労働省の資料では、2022年の高齢者のMCIは約559万人と推計されています。
認知症の本はシリーズで読んだほうがいいですか?
「認知症の人が見ている世界」は1冊ずつでも読めます。まず1冊目を読み、ほかの場面での対応も知りたくなったら2・3冊目に進むとよいでしょう。
まとめ
  • 2022年の認知症の高齢者は約443万人と推計され、誰もが認知症になり得る時代になっている
  • 本は「本人の世界を知る」「接し方・声かけ」「介護する人の心を守る」の目的で選ぶ
  • 行動の理由を知るなら「認知症の人が見ている世界」、声かけなら「言いかえフレーズ」がおすすめ
  • 悩んだときは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、一人で抱えこまない
  • 否定しない、短く伝える、できることはしてもらうなど、接し方を工夫する

採用・管理・運営指導など学びたい人向け

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