妊娠中の訪問リハビリで本人と上司が気を付けるポイントと制度

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「妊娠がわかったけれど、訪問リハビリの仕事はいつまで続けられるだろう」「つわりがつらいのに、車の運転や移乗の介助をしていて大丈夫?」——訪問リハビリで働くPT・OT・STにとって、妊娠中の働き方は大きな不安の一つです。訪問リハビリは、移動や身体介助、感染症のリスクなど、妊娠中には負担になりやすい要素があります。
この記事では、妊娠中に訪問リハビリで働く本人と、上司(管理者)が気をつけたいポイントを整理します。産前産後休業や母性健康管理など、法律で認められている制度もあわせて紹介するので、本人と職場が一緒に、無理のない働き方を考えるきっかけにしてください。
- 妊娠中の訪問リハビリで負担やリスクになりやすい業務
- 本人が気をつけたいポイントと、職場への伝え方
- 上司・管理者が配慮したいポイント
- 産前産後休業、軽易な業務への転換、母性健康管理などの制度
- 妊娠中の働き方を職場と調整する進め方
妊娠中の訪問リハビリで負担になりやすい業務
| 業務 | 負担・リスクの例 |
|---|---|
| 車・バイク・自転車での移動 | 長時間の運転による疲労、つわりによる気分不良、転倒や事故のリスク(特にバイク・自転車) |
| 移乗・歩行の介助 | 利用者を支えるときの腹部への圧迫、腰への負担、転倒に巻き込まれるリスク |
| 感染症への接触 | 利用者や家族の感染症(インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など)にさらされる可能性 |
| 住環境 | 階段の多い家、暑さ・寒さの厳しい部屋、たばこの煙やペットなど |
| 一人での対応 | 体調が急に悪くなっても、すぐに助けを求めにくい |

妊娠を職場に伝えるのは、安定期に入ってからでいいですか?

伝える時期は本人が決めることだけど、訪問リハビリは身体介助や運転がある仕事だから、管理者にだけでも早めに伝えておくと、担当の調整がしやすいよ。体調に合わせた配慮を受けるためにも、早めの相談がおすすめだね。
妊娠中の本人が気をつけたいポイント
体調に合わせて業務の調整を相談する
- 重度の介助が必要な利用者や、階段の多い家の担当を一時的に替えてもらう
- 訪問件数を減らす、移動距離の短いエリアを担当する
- つわりや体調不良の日は、無理に訪問せず早めに連絡する
- バイクや自転車での訪問は、車への切り替えや同行を相談する
感染症への備え
訪問先で感染症の利用者がいる場合の担当の替え方を、事前に管理者と決めておきましょう。手指衛生やマスクなどの基本的な感染対策も、いつも以上に意識することが大切です。予防接種については、主治医に相談して判断しましょう。
主治医の指導を職場に伝える
妊婦健診で主治医から勤務についての指導(休憩を増やす、勤務時間を短くするなど)を受けた場合は、職場に伝えて対応してもらうことができます。そのための書式として、厚生労働省が「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用を勧めています。
妊娠の時期別に見る注意点
妊娠中の体調は時期によって大きく変わります。時期に合わせて、業務の調整を見直していきましょう(体調には個人差があるため、主治医の指導を優先してください)。
| 時期の目安 | 体調の特徴 | 訪問リハビリでの注意点 |
|---|---|---|
| 妊娠初期 | つわり、眠気、だるさが出やすい。周囲から妊娠がわかりにくい | 運転中の気分不良に注意。急な休みに備えて担当の代行体制を整える |
| 妊娠中期 | 体調が比較的安定しやすいが、お腹が大きくなり始める | 前かがみや腹部に力が入る介助を避ける。重度介助の担当を見直す |
| 妊娠後期 | お腹が大きく、足元が見えにくい。疲れやすく、むくみも出やすい | 転倒しやすい環境(階段、段差の多い家)を避け、件数と移動距離を減らす。産前休業の準備と引き継ぎを進める |
上司・管理者が配慮したいポイント
| 配慮 | 具体例 |
|---|---|
| 担当の見直し | 重度介助の利用者、感染症のリスクが高い利用者、遠方の利用者を別のスタッフに替える |
| 件数・時間の調整 | 1日の件数を減らす、移動の合間に休憩を確保する |
| 業務の転換 | 事務作業、計画書の作成、新人の指導、外来・通所の業務などへの一時的な転換 |
| 連絡体制 | 訪問中に体調が悪くなったときの連絡と、代わりのスタッフの手配の流れを決める |
| 職場の理解 | ほかのスタッフに業務の調整を説明し、本人が気をつかいすぎない雰囲気をつくる |
妊娠中の配慮は「特別扱い」ではなく、法律にもとづく事業主の責任です。本人が言い出しにくい雰囲気にならないよう、管理者から声をかけ、定期的に体調を確認しましょう。
妊娠中に使える制度
| 制度 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 産前休業 | 出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から、本人が請求すれば休業できる | 労働基準法 |
| 産後休業 | 出産の翌日から8週間は就業できない(産後6週間を過ぎ、本人が請求し医師が認めた業務は可) | 労働基準法 |
| 軽易な業務への転換 | 妊娠中の女性が請求した場合、事業主はほかの軽易な業務に転換させなければならない | 労働基準法 |
| 時間外・休日労働などの制限 | 妊産婦が請求した場合、時間外労働や休日労働、深夜業をさせてはならないなど | 労働基準法 |
| 健診の時間の確保 | 妊婦健診などの保健指導・健康診査を受けるための時間を確保する | 男女雇用機会均等法 |
| 指導事項を守るための措置 | 主治医の指導にもとづく勤務時間の変更、勤務の軽減などの措置 | 男女雇用機会均等法 |
また、妊娠・出産や、これらの制度を利用したことを理由に、解雇などの不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。
妊娠中の働き方を職場と調整する進め方【実践編】
- 管理者に妊娠を伝える出産予定日、体調の状況、主治医からの指導の有無を伝えます。
- 業務の調整を話し合う担当の見直し、件数、移動手段、感染症のときの対応などを具体的に決めます。
- 利用者・ケアマネジャーへの説明担当の変更が必要な場合は、引き継ぎの計画を立て、利用者とケアマネジャーに説明します。
- 産休・育休の時期を決める産前休業の開始日、育児休業の予定、復帰の時期の見通しを相談します。
- 体調の変化に合わせて見直す妊娠の時期によって体調は変わるため、定期的に業務の調整を見直します。
復帰後の働き方も見すえる
訪問リハビリは、訪問時間やエリアを工夫すれば、子育てと両立しやすい面もあります。一方で、職場によって短時間勤務の制度や急な休みへの対応は大きく異なります。復帰後の働き方まで含めて相談できる職場かどうかは、長く働き続けるための大切なポイントです。今の職場での両立が難しい場合は、子育てに理解のある職場を探すことも選択肢になります。
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よくある質問
妊娠中も移乗の介助をしないといけませんか?
妊娠中の女性が請求した場合、事業主はほかの軽易な業務に転換させなければならないとされています。重い介助が負担になる場合は、担当の変更や業務内容の調整を管理者に相談しましょう。
つわりがつらいとき、休むことはできますか?
主治医から勤務の軽減や休業などの指導を受けた場合、事業主は指導事項を守ることができるよう必要な措置を講じなければなりません。母性健康管理指導事項連絡カードを使って、主治医の指導を職場に伝えましょう。
妊娠を理由に訪問の仕事から外されることはありますか?
本人の希望や体調に応じた業務の調整は配慮ですが、本人の意思に反して一方的に不利益な扱いをすることは問題になります。どのような働き方を望むかを、本人と管理者でよく話し合うことが大切です。
産前休業はいつから取れますか?
出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から、本人が請求すれば休業できます。請求しなければ就業することもできますが、訪問リハビリの業務内容を踏まえて、主治医や管理者と相談して決めましょう。
非常勤(パート)でも産前産後休業や軽易な業務への転換は使えますか?
産前産後休業や軽易な業務への転換、母性健康管理の措置は、雇用形態にかかわらず対象となる制度です。育児休業など一部の制度には雇用期間などの要件があるため、就業規則や事業所の担当者に確認しましょう。
同僚に負担をかけるのが申し訳ないです。
業務の調整は、本人の努力ではなく事業所の体制で行うものです。申し訳ないと感じたら、引き継ぎの資料を丁寧に作る、事務作業でチームを支えるなど、できる形で協力すれば十分です。
まとめ|妊娠中の訪問リハビリは「早めの相談」と「制度の活用」で
妊娠中の訪問リハビリでは、移動、身体介助、感染症、一人での対応など、負担やリスクになりやすい業務があります。本人は早めに管理者へ相談し、管理者は担当の見直しや業務の調整を進めましょう。産前産後休業や軽易な業務への転換、母性健康管理などの制度を正しく理解し、無理のない働き方を一緒に考えることが大切です。本人が安心して働ける職場は、ほかのスタッフにとっても働きやすい職場になります。
- 妊娠中は移動・介助・感染症・一人での対応が負担やリスクになりやすい
- 本人は早めに管理者へ相談し、担当や件数の調整を依頼する
- 管理者は担当の見直し、業務の転換、連絡体制の整備を行う
- 産前6週・産後8週の休業、軽易な業務への転換、健診時間の確保などの制度がある
- 主治医の指導は母性健康管理指導事項連絡カードで職場に伝える
- 妊娠の時期によって体調は変わるため、業務の調整は定期的に見直す
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

