訪問看護・訪問リハビリで自家用車で事故した場合はどうなる?

訪問看護や訪問リハビリの仕事は、利用者の自宅へ直接訪問するため、移動手段が必要です。
事業所によっては社用車を用意している場合もありますが、人手不足やコスト削減の観点から、スタッフが自家用車を使用するケースも少なくありません。
しかし、自家用車での訪問にはさまざまなリスクが伴います。
特に、万が一の事故が発生した際には、保険や補償の問題が生じる可能性があるため、事前に確認しておくことが重要です。
本記事では、訪問看護・訪問リハビリで自家用車を使用するデメリットや、事故発生時の対応について詳しく解説します。
ブラックな訪問看護や訪問リハビリは自家用車の使用の場合がある
訪問看護や訪問リハビリの業界は、慢性的な人手不足が続いており、効率的にサービスを提供するために、自家用車を使用することを求める事業所も存在します。本来であれば、訪問業務を行うための移動手段は事業所が用意すべきですが、コスト削減のためにスタッフに負担を強いるブラックな職場もあります。
特に、求人情報に「直行直帰OK」「自家用車使用可能」と記載されている場合は、勤務実態をよく確認する必要があります。自家用車を使用する場合、ガソリン代や車両の維持費が適正に支給されるのか、業務中の事故に対する補償がどのようになっているのかを事前にチェックすることが重要です。
また、労働基準法上、業務中の事故に関しては雇用主が責任を負うべきケースもあります。しかし、ブラックな訪問看護ステーションやリハビリ事業所では「自己責任」として処理されることがあり、スタッフが負担を強いられることも考えられます。そのため、自家用車の使用を求められる職場に就職を検討する際は、契約内容を細かく確認し、適正な労働環境が整っているかどうかを見極めることが大切です。
訪問看護・訪問リハビリで自家用車を使用するデメリット
訪問看護・訪問リハビリで自家用車を使用するデメリットは下記のとおりです。
交通事故を起こした場合の負担が自家用車の保険にかかる
訪問看護・訪問リハビリの業務中に交通事故を起こしてしまった場合、その補償は誰が負担するのでしょうか?自家用車での訪問を行っている場合、事故時の賠償責任は基本的に運転者本人にかかる可能性が高いです。
業務中の事故であっても、使用する車両が自家用車である場合、多くの自動車保険では「業務利用」が適用外となることがあります。特に、一般的な自動車保険(任意保険)では、業務目的での使用を明確にしていないと補償対象外となることがあり、事故の賠償を自費で負担しなければならないケースも考えられます。
また、自家用車の使用を認めている事業所でも、事前に業務利用の許可を取っていない場合、労災保険の適用が難しくなる可能性があります。そのため、訪問業務で自家用車を使用する場合は、事業所としっかり契約を交わし、保険適用の範囲を確認しておくことが必要です。
感染対策不足や汚染物を自家用車に持ち込むことになる
訪問看護・訪問リハビリの現場では、感染症のリスクが常に伴います。利用者の健康状態によっては、感染症を持っている方のケアを行うこともあり、医療用の防護具を装着する場合もあります。しかし、自家用車を使用することで、汚染物をそのまま車内に持ち込んでしまう可能性があります。
例えば、使用済みの手袋やエプロンなどの廃棄物を適切に処理できない場合、車内に細菌やウイルスが付着するリスクが高まります。また、訪問先で使用した器具や資材を車内に保管する場合、消毒が不十分だと他の利用者や家族に感染を広げる可能性もあります。
通常、病院や施設では感染対策が徹底されているため、汚染物の管理が適切に行われます。しかし、自家用車を使用する場合は個人の責任となるため、厳密な衛生管理が求められます。消毒や防護策を徹底することでリスクを減らすことはできますが、日常的に負担がかかることを考えると、自家用車を使用することは大きなデメリットとなるでしょう。
自家用車の価値が下がる(走行距離、タイヤ、オイルなど)
訪問看護・訪問リハビリの仕事では、1日に何件もの利用者の自宅を訪問するため、走行距離が増加します。特に地方や郊外で働く場合は、1日あたり数十キロ以上の移動が必要になることもあります。
走行距離が増えると、以下のような影響が車に及びます。
- 車両の査定価格が下がる:中古車として売却する際、走行距離が多いと価値が低くなる。
- タイヤやオイルの消耗が早い:頻繁に走行することで、交換頻度が高くなる。
- 車検やメンテナンス費用が増加する:ブレーキパッドやバッテリーなどの部品交換が必要になる。
自家用車を業務で使用することで、こうしたコストが増加するにもかかわらず、適切な手当が支給されない場合は、金銭的な負担が重くなる可能性があります。給与が高い場合でも、これらの出費を差し引くと実質的な収入が減少するため、訪問業務を始める際には慎重に検討する必要があります。
訪問看護・訪問リハビリが自家用車で事故した場合はどうなる?
訪問業務中に自家用車で事故を起こした場合、まず確認すべきは保険の適用範囲です。
多くの自動車保険では「業務使用」が対象外となっているため、事業所が補償してくれない限り、自己負担となるリスクがあります。
また、業務中の事故であれば、本来は労災保険の適用が可能ですが、自家用車を使用している場合、適用範囲が曖昧になることがあります。
事業所が責任を認めないケースもあるため、契約内容を事前に確認し、業務中の事故に関する規定を把握しておくことが重要です。
まとめ
訪問看護・訪問リハビリで自家用車を使用することには、多くのデメリットが伴います。
特に、業務中の事故発生時の補償問題は重要で、一般的な自動車保険では業務利用が適用外となる可能性があり、自己負担のリスクが高まります。
また、感染対策が十分でないと、車内に汚染物を持ち込むリスクもあります。
さらに、走行距離の増加により車両の価値が下がり、維持費の負担が増すことも避けられません。
これらの点を踏まえ、自家用車の使用を求める事業所では契約内容や保険の適用範囲を事前に確認することが不可欠です。
安全に働くためにも、社用車の提供や適切な補償がある職場を選ぶことが望ましいでしょう。