理学療法士が苦労する点とは?現場で直面する課題と解決のヒントを解説

理学療法士は、病院や介護施設、在宅医療など幅広い分野で活躍するリハビリ専門職です。
患者の機能回復や生活支援に携わる重要な仕事であり、やりがいや社会的意義が大きい一方で、「苦労する点が多い職業」とも言われます。
実際に現場で働いてみると、勉強では分からなかった大変さを実感する人も少なくありません。
本記事では、理学療法士が苦労する点をさまざまな角度から整理し、なぜ大変なのか、その背景や解決のヒントを解説します。
これから理学療法士を目指す学生や、現役で働きながら悩んでいる方にとって参考になる内容です。
理学療法士が苦労する点【業務面】
1. 身体的負担が大きい
理学療法士は患者の移乗介助や歩行訓練、関節可動域訓練など、体を使う仕事が多いです。特に体格差のある患者をサポートする場面では腰痛や肩の痛みを抱える人も少なくありません。長期的には職業病とも言える腰痛対策が必要です。
2. 多様な疾患や症状に対応しなければならない
整形外科、神経系、呼吸器、循環器、さらには小児や高齢者まで、理学療法士が関わる対象は非常に幅広いです。常に新しい知識を学び続けなければならず、「勉強し続ける苦労」があります。
3. 仕事量が多く時間に追われる
一人で複数の患者を担当するため、スケジュール管理が大変です。リハビリの提供だけでなく、記録業務やカンファレンス参加、書類作成も多く、残業につながることもあります。
理学療法士が苦労する点【人間関係・対人面】
1. 患者との信頼関係構築
リハビリは患者の協力があってこそ成り立ちます。しかし、意欲が低い患者やリハビリを拒否する患者もおり、「どうやって関わればいいか」と悩む場面が多いです。信頼関係を築くまでに時間がかかり、精神的に消耗することもあります。
2. 家族対応の難しさ
患者本人だけでなく、その家族ともコミュニケーションを取る必要があります。「もっとリハビリをしてほしい」「早く歩けるようにしてほしい」などの要望が強く、現実とのギャップに板挟みになるケースも少なくありません。
3. 他職種との連携
理学療法士は医師・看護師・作業療法士・言語聴覚士・介護職など多職種と連携します。立場や考え方の違いから意見が対立することもあり、調整力が求められます。人間関係のストレスは大きな苦労の一つです。
理学療法士が苦労する点【キャリア・将来性】
1. 需要と供給のバランス
近年は養成校が増え、毎年多くの理学療法士が誕生しています。そのため都市部では供給過多となり、就職や転職が難しくなっている地域もあります。希望の職場に就けない苦労は無視できません。
2. 給与水準が伸びにくい
平均年収は400〜450万円程度で、他の医療職と比べると高くありません。供給が増えているため給与が上がりにくく、「努力しても待遇に結びつかない」と感じる理学療法士も多いです。
3. キャリアの幅を広げにくい
理学療法士の資格だけではできる仕事に限界があります。管理職や専門資格を目指さなければ昇給が難しいため、「将来のキャリアに不安を感じる」という声もあります。
苦労を和らげるための工夫と解決法
1. 身体的負担への対策
- 腰痛予防のための体幹トレーニングやストレッチを習慣化する
- 福祉用具や補助具を積極的に活用する
- 職場全体で介助方法を統一し、無理のない姿勢で業務を行う
2. 知識・技術のアップデート
- 学会や研修に参加して最新の知見を取り入れる
- 専門資格(認定理学療法士・専門理学療法士)を取得してスキルアップを図る
- チーム内で勉強会を開き、知識を共有する
3. 患者・家族とのコミュニケーション改善
- 傾聴を意識し、まず相手の気持ちを受け止める
- 目標を「できること」から段階的に提示し、無理のない希望調整を行う
- 他職種と連携し、家族説明はチームとして行う
4. キャリアの工夫
- 訪問リハビリや在宅医療など需要が高い分野に挑戦する
- 管理職を目指し、マネジメントスキルを磨く
- 副業やフリーランス活動など新しい働き方に挑戦する
新人理学療法士が特に苦労しやすい点
- 業務の流れに慣れるまで時間がかかる
- 知識不足で自信を持てない
- 患者や家族から厳しい意見を受けて落ち込む
- 書類や記録に追われる
新人期は苦労の連続ですが、数年の経験で大きく成長できます。周囲に相談しながら、一つずつ課題を乗り越えることが大切です。
まとめ
理学療法士が苦労する点は大きく分けて、
- 業務面(身体的負担・知識更新・時間管理)
- 人間関係(患者・家族対応、他職種連携)
- キャリア面(供給過多、給与、将来性)
に分類できます。
しかし、苦労を乗り越える工夫をすれば、理学療法士という仕事は大きなやりがいと成長をもたらしてくれます。患者の「ありがとう」の言葉や、生活機能の回復に貢献できる喜びは、苦労を上回る価値のあるものです。
理学療法士を目指す方や現役で働く方は、苦労を正しく理解し、自分なりの工夫を積み重ねながら、長く続けられるキャリアを築いていきましょう。