訪問看護ステーションでリハビリ職が辞める理由と続ける工夫

「訪問看護ステーションに入ったけれど、リハ職として居場所がない気がする」「事業所の方針が変わって、訪問件数が減らされた」——訪問看護ステーションは、リハ職が在宅で活躍できる場として広がってきた一方で、長く続かずに辞める人がいるのも現実です。
この記事では、訪問看護ステーションでリハ職が辞める理由を、制度上の位置づけ、報酬の減算、看護との連携、件数の負担、孤立の5つから整理します。続けるための工夫、辞めたいときの選択肢、次の職場で確認したいポイントもまとめました。
- 訪問看護ステーションにおけるリハ職の制度上の位置づけ
- リハ職が辞める5つの理由
- 続けるための工夫
- 辞めたいと思ったときの選択肢
- 次の職場で確認したいポイント
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訪問看護ステーションにおけるリハ職の位置づけ
介護報酬の留意事項通知(老企第36号)では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護は、看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置づけとされています。
- 訪問看護計画書・報告書は、看護職員とリハ職が連携して作成する
- 利用開始時や状態の変化に合わせ、看護職員が定期的に訪問して評価する
- 言語聴覚士は、言語聴覚士法で認められた診療の補助の範囲で行う
つまり、訪問看護ステーションのリハ職は、看護師と一体となって支援することが前提です。この位置づけを理解していないと、入職後のギャップにつながります。「リハビリだけをすればよい職場」ではなく、看護師と目標を共有しながら、病状の変化にも気を配る働き方が求められます。
訪問看護ステーションでリハビリ職が辞める5つの理由
①報酬の減算と事業所の方針変更
令和6年度の介護報酬改定では、前年度にリハ職の訪問回数が看護職員の訪問回数を上回っている場合や、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算をいずれも算定していない場合に、リハ職の訪問に1回8単位の減算が設けられました(介護予防訪問看護で12か月を超えて訪問する場合は、さらに減算があります)。これを受けて、リハ職の訪問を減らしたり、採用を控えたりする事業所もあり、雇用や給与への不安が退職のきっかけになることがあります。
②看護との連携の難しさ
計画書や報告書を看護職員と連携して作る必要がある一方で、看護師が忙しく十分に話し合えない、リハ職の意見が反映されにくいといった悩みが生まれやすい環境です。
③訪問件数の負担
リハ職の訪問は件数がそのまま事業所の収入につながるため、1日の訪問件数の目標が高く設定されることがあります。移動や記録の時間が考慮されていないと、負担が大きくなります。件数が減ると給与も下がる仕組みの場合は、収入の不安定さも重なります。
④リハ職としての孤立
リハ職が1〜2人だけのステーションでは、同職種に相談できず、学びの機会も限られます。評価や方針に迷ったときに、一人で抱え込みやすくなります。看護師には相談できても、リハビリの専門的な判断を相談できる相手がいないことが、じわじわと負担になります。
⑤キャリアの見通しが立てにくい
ステーションの管理者は原則として看護職のため、リハ職が管理職を目指すルートが限られることがあります。将来の役割が見えにくいことも、退職の理由になります。

減算のことは、入職するまで知りませんでした。

制度の変化は、リハ職の働き方に直接影響するからね。転職するときは、看護職員とリハ職の人数のバランスや、加算の算定状況も確認しておくと安心だよ。
リハ職が辞める理由と背景の整理
| 辞める理由 | 背景 | 入職前に確認できること |
|---|---|---|
| 減算・方針変更 | リハ職の訪問が看護を上回ると減算の対象になる | 看護職員とリハ職の人数、訪問回数の比率 |
| 看護との連携 | 計画書・報告書を連携して作成する必要 | カンファレンスの頻度、情報共有の方法 |
| 件数の負担 | 件数が収入に直結 | 1日の訪問件数の目安、件数による給与の変動 |
| 孤立 | リハ職が少数 | リハ職の人数、法人内のリハ職のつながり |
| キャリア | 管理者は原則看護職 | リハ職のリーダー職の有無、評価制度 |
訪問看護ステーションで続けるための工夫
- 看護師との情報共有の時間をつくる短い時間でも、定期的に利用者の状態と目標を共有する場を持ちます。
- 看護の視点を学ぶ病状の観察や医療的な注意点を看護師から学ぶと、リハ職としての判断の質も上がります。
- リハ職の価値を見える化する動作の改善や介護負担の軽減など、リハビリの成果を記録や報告で共有します。
- 外部のつながりを持つ地域や法人内のリハ職と事例検討や勉強会を行い、孤立を防ぎましょう。
- 働き方を相談する件数や担当の偏りは、記録をもとに管理者に相談します。
リハ職がいることのステーションにとっての価値
リハ職が長く働き続けるためには、事業所にとっての価値を理解してもらうことも大切です。
| 価値 | 具体例 |
|---|---|
| 利用者の生活機能の維持・向上 | 移動やトイレ動作が安定し、介護量や転倒が減る |
| 看護師の負担の軽減 | 動作や環境の評価をリハ職が担い、看護師が医療的なケアに集中できる |
| 家族の介護負担の軽減 | 介助方法の指導や福祉用具の提案で、在宅生活が続けやすくなる |
| 地域からの信頼 | ケアマネジャーから、リハビリも任せられるステーションとして選ばれる |
こうした成果を、カンファレンスや報告書で具体的に伝えることで、リハ職の役割が事業所の中で理解されやすくなります。
入職前に確認したい質問リスト
- 看護職員とリハ職の人数、常勤・非常勤の内訳
- 前年度の看護職員とリハ職の訪問回数のバランス
- 緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算の算定状況
- リハ職の1日の訪問件数の目安と、件数による給与の変動
- 看護師との情報共有の方法と頻度
- リハ職のリーダー職や評価制度の有無
辞めたいと思ったときの選択肢
| 選択肢 | 特徴 |
|---|---|
| 別の訪問看護ステーション | 看護の体制が整い、リハ職も複数いる事業所を選ぶ |
| 訪問リハビリ事業所 | 病院・診療所・老健などが運営し、事業所の医師の指示でリハビリを行う。減算の仕組みが異なる |
| 通所リハビリ・介護老人保健施設 | リハ職が複数在籍し、チームで働ける |
| 病院 | 医療的な経験を積み直したい場合に |
同じ訪問看護ステーションへの転職でも、看護職員とリハ職のバランスが悪い事業所を選ぶと、同じ悩みを繰り返す可能性があります。次の職場では体制を数字で確認しましょう。

辞めるかどうか、まだ迷っています。

迷っているなら、まずは辞めたい理由を書き出してみよう。今の職場で変えられること、変えられないことを分けて考えると、答えが見えてくるよ。体調に影響が出ているなら、無理せず早めに動いてね。
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よくある質問
訪問看護ステーションのリハ職は将来なくなりますか?
制度の見直しで、看護と一体となった提供がより求められるようになっていますが、在宅でのリハビリのニーズは高く、役割がなくなるわけではありません。看護との連携を前提に、リハ職の専門性を発揮できる事業所が求められています。
訪問看護の処遇改善加算はリハ職にも配分されますか?
令和8年度の期中改定で、訪問看護にも処遇改善加算(1.8%)が新設され、対象は介護従事者に広がりました。リハ職への配分は事業所の方針によるため、算定の有無と配分方法を確認しましょう。
辞める前に管理者に相談したほうがいいですか?
件数の調整や情報共有の方法など、相談で改善できることもあります。辞める決意が固まっていても、理由を具体的に伝えることで、円満な退職と職場の改善の両方につながります。
訪問リハビリ事業所と訪問看護ステーション、リハ職にはどちらがよいですか?
訪問リハビリ事業所は、事業所の医師の指示のもとリハビリを中心に提供し、リハ職が複数在籍していることが多いのが特徴です。訪問看護ステーションは看護師と一緒に支援でき、医療的な視点を学べます。リハビリに集中したいか、看護との連携の中で働きたいかで選ぶとよいでしょう。
入職して1年未満ですが、辞めても大丈夫でしょうか?
体制の問題が理由であれば、早めに環境を変えることも一つの判断です。次の面接では、辞めた理由を前向きに説明し、次の職場で確認したことを伝えられるようにしておきましょう。
まとめ|訪問看護ステーションのリハ職は「看護との一体性」を理解して選ぶ
訪問看護ステーションのリハ職は、看護業務の一環としてリハビリを行う位置づけです。令和6年度改定の減算や事業所の方針変更、看護との連携の難しさ、件数の負担、孤立、キャリアの見通しの立てにくさが、辞める理由になりやすい点です。続ける場合は看護師との情報共有と外部のつながりを工夫し、転職する場合は看護職員とリハ職のバランスや体制を数字で確認しましょう。
- リハ職の訪問は看護業務の一環という位置づけ
- 令和6年度改定でリハ職の訪問に減算(1回8単位など)
- 辞める理由は減算・連携・件数・孤立・キャリアの5つ
- 続けるには看護との情報共有と外部のつながりが鍵
- 次の職場では看護職員とリハ職のバランスを確認する
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料3「訪問看護」
- 羽曳野市「理学療法士等による訪問看護関係(老企第36号 第2の4(4)等)」参考資料
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1「令和8年度介護報酬改定について」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

