訪問リハビリの一日の件数は何件がベスト?目安と計算例

訪問リハビリの一日の件数に、法律や介護報酬で決められた上限はありません。現場では1回40分の訪問で1日5〜6件前後を目安にしている事業所が多いようですが、ベストな件数は「移動時間」「1件あたりの時間」「記録や連携の時間」をどう確保するかで決まります。
件数が多すぎると、記録が残業になったり、移動で焦って事故につながったりします。逆に少なすぎると、事業所の経営が成り立ちません。この記事では、一日の件数の決まり方・時間の計算例・件数を左右する条件・無理のない件数にする工夫を、労働時間のルールや事業所の収支データとあわせて解説します。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
- 訪問リハビリの一日の件数に決まりはあるのか
- 8時間勤務で何件こなせるかの計算例
- 件数を左右する5つの条件(訪問時間・移動・記録など)
- 件数と給料・事業所の経営の関係
- 件数が多すぎるときの対処法と、職場選びのポイント
訪問リハビリの一日の件数に決まりはある?
介護保険の訪問リハビリには、セラピスト1人あたりの1日の訪問件数の上限はありません。報酬のルールで決まっているのは、利用者1人あたりの回数(20分を1回として週6回まで)です。訪問看護のPT等の訪問のように、1日に2回を超えると減算になるルールも、訪問リハビリにはありません。
つまり、何件訪問するかは事業所の方針と、セラピストの働き方で決まります。ただし、件数を決めるときに守らなければならないルールがあります。
- 労働時間と休憩:労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を、労働時間の途中に与える必要がある
- 移動時間は労働時間:厚生労働省の通知では、訪問介護の利用者宅の間の移動時間は、通常は労働時間にあたるとされている。訪問リハビリでも同じ考え方で扱うのが一般的
- 時間外労働:記録や会議が勤務時間に収まらない場合は時間外労働になり、割増賃金の対象になる

上限がないなら、件数を増やせば増やすほど稼げるってことですか?

事業所の収入は増えるけど、限度があるよ。移動も記録も労働時間だから、件数を詰め込みすぎると残業や事故のもとになる。大事なのは「質を落とさずに続けられる件数」だね。
8時間勤務で何件こなせる?時間の計算例
実際に、1日8時間勤務(休憩1時間)で何件訪問できるかを計算してみます。
| 項目 | 時間の目安 |
|---|---|
| 朝の準備・ミーティング | 30分 |
| 訪問(40分×件数) | 40分×6件=240分 |
| 移動(1件あたり15分×件数) | 15分×6件=90分 |
| 記録(1件あたり5〜10分) | 約45分 |
| 連絡・調整・書類(計画書・報告書など) | 約75分 |
| 合計 | 480分(8時間) |
この例では、40分の訪問を6件で、ちょうど8時間になります。移動に20〜30分かかる地域や、計画書の作成・リハビリテーション会議がある日は、5件程度が現実的です。60分の訪問が中心なら、4〜5件が目安になります。
※上の表は一例です。地域・訪問時間・事業所の体制によって大きく変わります。
一日の件数を左右する5つの条件
1. 1件あたりの訪問時間
訪問リハビリは20分を1回として数えるため、1件40分(2回)や60分(3回)が多く見られます。同じ8時間でも、40分中心なら6件、60分中心なら4〜5件と、件数は変わります。件数だけでなく「1日に何回(20分単位)提供したか」で見ると、働き方を比べやすくなります。
2. 移動手段と訪問エリア
都市部で自転車・バイク移動なら1件あたり10〜15分、郊外や山間部で車移動なら20〜30分以上かかることもあります。駐車場探しや渋滞も影響します。訪問エリアを地区ごとにまとめるだけで、件数に余裕が生まれます。
3. 記録・書類の量
訪問リハビリでは、毎回の記録に加えて、計画書の作成・見直し、医師への報告、リハビリテーション会議の準備などがあります。電子カルテやタブレットで訪問先から記録できる環境かどうかで、1日の余裕は大きく変わります。
4. 利用者の状態
退院直後の利用者や終末期の利用者、医療的なリスクの高い利用者が多いと、1件ごとの準備や連絡に時間がかかります。新規の利用者の初回訪問や、担当者会議がある日は、件数を減らして調整する事業所もあります。初回は家屋の評価や家族からの聞き取りに時間がかかるため、通常より長めに予定を取っておくと安心です。
5. キャンセルと急な対応
訪問リハビリでは、体調不良や入院によるキャンセルが一定の割合で発生します。急な振替訪問や、利用者の急変時の対応で予定が崩れることもあるため、予定をぎりぎりまで詰めないことが大切です。

件数の数字だけで職場を比べるのは危ないんですね。

そうだね。「1日6件」でも、移動5分の都市部と移動30分の郊外では負担が全然違う。面接では、訪問時間・移動手段・記録の方法までセットで聞いてみよう。
件数と給料・事業所の経営の関係
訪問リハビリの事業所の収入は、提供した回数に比例します。たとえば40分の訪問を1日6件行うと、基本報酬だけで308単位×2回×6件=3,696単位(1単位10円の地域で約3.7万円)になります。月に20日勤務すると、約74万円です。
厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査では、訪問リハビリ事業所の1か月あたりの収入は約128.5万円、そのうち給与費が約66.4%でした(令和6年度決算)。事業所はこの収入から、セラピストの給与、事務職員、車両、システムなどの費用をまかなっています。
件数に応じて給与が上がる「歩合制」や「インセンティブ」を採用している事業所もあります。ただし、件数のノルマが厳しすぎる職場では、サービスの質が下がったり、心身の負担が大きくなったりするおそれがあります。労働基準法では、出来高払制の労働者にも労働時間に応じた一定額の賃金を保障することが定められています。
件数が多すぎるときの対処法
- 1日の時間の使い方を記録する訪問・移動・記録・連絡の時間を1〜2週間記録し、どこに時間がかかっているかを把握します。
- 移動ルートと訪問エリアを見直す担当エリアを地区ごとにまとめる、曜日ごとに訪問先を固めるなど、移動時間を減らせないか検討します。
- 記録の方法を効率化する訪問先でのタブレット入力、定型文の活用、音声入力など、記録の時間を短縮できる方法を事業所に提案します。
- 管理者に相談する記録や書類が勤務時間内に終わらず、残業が続く場合は、データをもとに件数の調整を相談します。
記録や書類を自宅に持ち帰ったり、タイムカードを押した後に作業したりするのは避けましょう。業務に必要な作業の時間は労働時間です。利用者の個人情報を自宅に持ち帰ることも、情報漏えいのリスクになります。
無理のない件数で働ける職場の選び方【実践編】
これから訪問リハビリで働く人や、転職を考えている人は、面接や見学で次の点を確認しましょう。
- 1日の平均件数と訪問時間:「1日何件・1件何分が中心か」を具体的に聞く
- 移動手段と訪問エリア:車・バイク・自転車のどれか、訪問エリアの広さと移動時間の目安
- 記録の方法と時間:記録は訪問先でできるか、事業所に戻ってから書くのか
- 残業の実態:月の平均残業時間と、残業代の支払い方法
- 件数と給与の関係:固定給か歩合制か、件数のノルマがあるか
- 新人の件数の増やし方:入職直後は何件から始めて、どのくらいの期間で増やすのか
訪問リハビリの一日の流れは、関連記事「訪問リハビリの一日の流れ・スケジュールの例」で、40分訪問・60分訪問の例とあわせて紹介しています。
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よくある質問
訪問リハビリの新人は、1日何件くらいから始めますか?
事業所によって異なりますが、最初は同行訪問から始め、2〜4件程度から少しずつ増やしていくことが多いようです。入職前に、件数の増やし方と教育体制を確認しておくと安心です。
1日8件以上訪問することはありますか?
20分の訪問が中心の場合や、同じ建物に複数の利用者がいる場合などは、件数が多くなることがあります。件数よりも、1日に提供する回数(20分単位)と、移動・記録の時間が確保できているかで判断しましょう。
件数のノルマがある職場はやめた方がいいですか?
目標件数そのものは、多くの事業所が設定しています。問題になるのは、質や安全を犠牲にするほど厳しいノルマや、残業代が支払われない働き方です。詳しくは関連記事「ノルマがある訪問リハビリの職場はやめた方が良い理由」をご覧ください。
キャンセルが出たら、その時間はどうなりますか?
記録や書類の作成、ほかの利用者の振替訪問、カンファレンスへの参加などに充てることが多いです。空き時間の過ごし方は事業所によって違うため、関連記事も参考にしてください。
- 訪問リハビリの一日の件数に法律や報酬上の上限はない。40分訪問で1日5〜6件前後が一つの目安
- 件数は、訪問時間・移動・記録・利用者の状態・キャンセルで変わる
- 移動時間や記録の時間も労働時間。休憩も確保する
- 件数だけでなく「1日に何回(20分単位)提供したか」で働き方を比べる
- 職場選びでは、件数・訪問時間・移動手段・記録方法・残業・給与の仕組みをセットで確認する
- 厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」
- 厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日 基発第0827001号)
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

