理学療法士は体力勝負の仕事?現場で求められる体力と続けるための工夫を解説

理学療法士はリハビリの専門職として、病院・介護施設・在宅医療・スポーツ現場など幅広い場で活躍しています。
その一方で「理学療法士は体力勝負の仕事」とよく言われます。
確かに、患者の介助や長時間のリハビリ支援は体に負担が大きく、体力がなければ続けるのが難しいと感じることもあるでしょう。
本記事では、理学療法士がなぜ体力勝負と呼ばれるのか、どんな場面で体力が必要とされるのかを具体的に解説します。
また、体力的な負担を軽減する工夫や長く働き続けるためのヒントも紹介します。
これから理学療法士を目指す方や、現役で働いていて体力面で悩んでいる方に役立つ内容です。
理学療法士が「体力勝負」と言われる理由
1. 患者の移乗・介助が多い
理学療法士の業務では、ベッドから車椅子、車椅子からトイレや椅子へと患者を移乗させる動作が頻繁にあります。特に体格差が大きい場合や、全介助が必要な患者の場合、理学療法士の体への負担は非常に大きくなります。
2. 長時間の歩行訓練や運動補助
歩行訓練では、患者の横について一緒に歩きながら支える必要があります。時には何十分もつきっきりで介助するため、持久力と集中力の両方が求められます。
3. 立ち仕事が中心
理学療法士の仕事は座っている時間が少なく、1日中立ち仕事になることが多いです。加えて、患者ごとに異なる動作訓練を繰り返すため、日常的に体を酷使する環境です。
4. 多忙なスケジュール管理
複数の患者を担当するため、午前・午後を通してリハビリが詰まっており、昼休みも短いことがあります。肉体的な疲労に加え、精神的な疲れも積み重なりやすい点が「体力勝負」と言われる理由です。
現場別に見る理学療法士の体力的な大変さ
病院(急性期・回復期)
急性期病院ではベッド上でのリハビリや移乗介助が多く、体の負担が大きくなります。回復期リハビリテーション病院では1日に何人もの患者を担当するため、歩行訓練や動作訓練の繰り返しで体力が必要です。
介護施設
介護老人保健施設や特養では、高齢者へのリハビリが中心となり、全介助が必要なケースが多いです。特に立ち上がりや移乗のサポートは日常的に行われ、腰痛や肩の痛みを訴える理学療法士も多いです。
在宅・訪問リハビリ
訪問リハでは、患者の自宅環境に合わせた介助を行うため、狭いスペースや段差などで体力を使います。移動の負担も加わるため、体力的にハードな側面があります。
スポーツ現場
スポーツ分野の理学療法士は、アスリートと一緒に動きながらリハビリやトレーニングを行います。競技に合わせた動作指導を行うため、セラピスト自身もかなりの体力と運動能力が求められます。
理学療法士が体力的に苦労する場面
- 体格差の大きい患者を持ち上げるとき
- 長時間の歩行訓練でつき添うとき
- 急性期で全身状態が不安定な患者をサポートするとき
- 一日の患者数が多く、休む暇がないとき
- 体調が優れないときでも介助を続けなければならないとき
これらの場面が重なると、心身ともに疲弊しやすく「体力勝負だ」と実感する理学療法士は多いのです。
体力的な負担を軽減する工夫
正しい介助方法を身につける
腰や肩に負担をかけない移乗・介助方法を学ぶことは必須です。体幹を使った姿勢や補助具の活用で、無理なく安全に介助できます。
筋力・体力の自己管理
理学療法士自身が体を壊してしまっては元も子もありません。日常的に筋トレやストレッチを取り入れて、体力を維持することが長く働く秘訣です。
チームで協力する
重度の患者や大変な介助は、一人で抱え込まず複数人で対応することが大切です。職場全体で「無理をしない」文化を作ることが事故防止にもつながります。
スケジュールの工夫
患者ごとのリハビリを計画的に組み、体力を消耗しすぎないよう配慮することも重要です。無理な連続介助を避けるだけでも負担は減ります。
精神的な意味での「体力勝負」
理学療法士は肉体的な疲労だけでなく、精神的な消耗も大きい職業です。
- リハビリに消極的な患者への対応
- 家族からの強い要望やクレーム
- 他職種との意見の食い違い
- 思うように成果が出ないもどかしさ
これらに耐え、前向きに患者を支え続けるには「心の体力」も必要です。メンタル面のケアも欠かせない要素といえます。
新人理学療法士が体力面でつまずきやすいポイント
- 慣れない介助で腰痛や筋肉痛を起こす
- 担当患者が多くて疲労が蓄積する
- 精神的に余裕がなく、体の疲れが強く出る
- 体力不足で先輩との業務スピードについていけない
新人期は特に「体力勝負だ」と感じやすい時期です。しかし、正しい知識や工夫を身につければ少しずつ負担は軽減していきます。
理学療法士が長く働くために大切なこと
- 体を鍛える習慣を持つ:筋トレ・ストレッチ・有酸素運動を継続する
- 休養をしっかり取る:睡眠と休日のリフレッシュを優先する
- 仲間と助け合う:無理をせず、チームワークで解決する
- キャリアを見直す:訪問リハや教育分野など、自分の体力に合った働き方を模索する
体力勝負の職業であることを受け入れた上で、負担を減らす工夫を続けることが、長いキャリアを築くポイントです。
まとめ
理学療法士が「体力勝負」と言われるのは、
- 移乗介助や歩行訓練で体を酷使する
- 長時間の立ち仕事が多い
- 多忙なスケジュールで休む暇が少ない
- 精神的にもエネルギーを消耗する
といった要素が重なるからです。
しかし、正しい介助技術を学び、体力を維持する努力を続け、チームで支え合えば、負担を減らしながら働き続けることができます。
理学療法士は確かに体力勝負の仕事ですが、その先には患者の「ありがとう」や回復の喜びといった大きなやりがいが待っています。体力を味方につけて、長く充実したキャリアを歩んでいきましょう。