理学療法士が退職する理由とは?辞める前の判断と手続き

「今の職場を辞めたいけど、この理由で辞めていいのか迷う」「辞めると決めたけど、どう伝えて、何をすればいいかわからない」——理学療法士の退職は、患者さんの担当の引き継ぎや、職場の人員の事情もあり、切り出しにくいものです。
この記事では、理学療法士が退職する主な理由を整理したうえで、辞めるべきか迷ったときの判断の目安と、前向きな伝え方、退職前に知っておきたい法律や手続きを解説します。訪問リハビリの職場を辞める場合の注意点は、関連記事で詳しく紹介しています。
- 理学療法士が退職する主な理由
- 辞めるべきか迷ったときの判断の目安
- 上司・面接での前向きな伝え方
- 退職の申し出の時期と法律のルール
- 有給休暇・雇用保険など退職前の手続き
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理学療法士が退職する主な理由
| 理由 | 具体例 |
|---|---|
| 給与・待遇 | 昇給が少ない、賞与が少ない、役職のポストがない |
| 人間関係 | 上司や先輩との関係、部署の雰囲気、多職種との連携のしにくさ |
| 働き方 | 単位・件数のノルマ、残業、休日出勤、休みのとりにくさ |
| キャリア | やりたい分野と違う、成長できない、専門性を生かせない |
| 心身の負担 | 腰痛などの体の不調、燃え尽き、気持ちの落ち込み |
| 家庭の事情 | 結婚・出産・育児・介護、転居 |
令和7年賃金構造基本統計調査では、理学療法士など4職種の平均勤続年数は8.4年です。年齢が上がっても勤続年数がそれほど長くないことから、キャリアの途中で職場を変える人が少なくないことがうかがえます。

給料が理由で辞めるのは、わがままでしょうか?

わがままじゃないよ。生活を支える大事な理由だからね。ただ、次の職場で本当に解決できるかは、事前にしっかり確認しておこう。給与規程や賞与の実績、モデル年収を聞いておくと、転職後のギャップを防げるよ。
職場別に多い退職理由の傾向
| 職場 | 多い退職理由の例 | 転職先で確認したいこと |
|---|---|---|
| 急性期病院 | 記録や業務量の多さ、患者の入れ替わりの早さ | 記録の時間の確保、担当件数 |
| 回復期病院 | 単位数のノルマ、土日出勤 | 1日の単位数の実績、休日の取り方 |
| 介護老人保健施設 | 兼務の多さ、少人数での運営 | リハ職の人数、業務の範囲 |
| 訪問リハビリ | 移動の負担、一人での判断、件数のプレッシャー | 担当エリア、相談体制、件数の目安 |
| クリニック | 外来の人数の多さ、休憩のとりにくさ | 1日の担当人数、休憩時間の実態 |
※一般的な傾向で、公的な統計にもとづくものではありません。
辞めるべきか迷ったときの判断の目安
| 辞めることを検討したほうがよい状況 | まず今の職場で相談・改善を試したい状況 |
|---|---|
| 眠れない・食欲がないなど体調に影響が出ている | 一時的な忙しさや、部署の繁忙期 |
| ハラスメントやサービス残業など法律に関わる問題がある | 業務の進め方や担当の調整で改善できそうな悩み |
| 相談しても改善の見込みがない | まだ上司に相談していない |
| やりたい分野が今の職場にない | 異動や役割の変更で実現できる可能性がある |
心身の不調がある場合は、退職の判断より先に、休養と受診を優先しましょう。大きな決断は、体調が落ち着いてからでも遅くありません。
退職理由の前向きな伝え方
上司に伝えるとき
- 不満を並べるのではなく、「今後こうしたい」という前向きな理由を中心に伝える
- 感謝の気持ちを添える
- 退職の希望日と、引き継ぎへの協力の意思を伝える
- 同僚より先に、まず直属の上司に伝える
- 忙しい時間帯を避け、落ち着いて話せる時間をとってもらう
「これまで急性期で多くの経験をさせていただき、ありがとうございました。今後は在宅で生活を支えるリハビリに携わりたいと考え、退職を決めました。担当患者さんの引き継ぎはしっかり行いますので、○月末での退職をお願いできますでしょうか」
転職の面接で伝えるとき
| 本当の理由 | 面接での伝え方の例 |
|---|---|
| 給料が上がらない | 経験や役割が評価される環境で、責任ある立場を担いたい |
| 人間関係がつらい | 多職種で情報を共有しながら支援する環境で働きたい |
| 単位のノルマがきつい | 一人ひとりの生活に時間をかけて関われる環境で働きたい |
| 残業が多い | 業務の仕組みが整った環境で、長く安定して働きたい |
退職の申し出の時期と法律のルール
民法では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の申し入れから2週間が経過すると雇用が終了すると定められています。ただし、多くの職場の就業規則では「1か月前まで」などの申し出の時期が決められています。
- 就業規則を確認する退職の申し出の期限と、退職届の提出方法を確認します。
- 直属の上司に伝える引き継ぎの期間を考え、1〜3か月前を目安に伝えると円満に進みやすくなります。
- 退職日と最終出勤日を決める有給休暇の残日数を確認し、引き継ぎの計画とあわせて決めます。
- 引き継ぎを行う担当患者さんの評価・目標・注意点をまとめ、後任者と共有します。家族への説明の内容も残しておくと安心です。
- 退職届を提出する就業規則で定められた方法で提出します。
※有期雇用契約の場合は、契約期間中の退職に別のルールがあります。雇用契約書で確認してください。
退職までのスケジュール例
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職の3か月前 | 転職活動を始める。就業規則で申し出の期限を確認 |
| 2か月前 | 内定後、直属の上司に退職の意思を伝える。退職日を相談 |
| 1か月半前 | 退職届を提出。担当患者さんの引き継ぎ計画を立てる |
| 1か月前〜 | 後任者への引き継ぎ、患者さん・家族へのあいさつ |
| 最終出勤日まで | 有給休暇の取得、貸与物の返却、書類の受け取りの確認 |
退職前に確認したい手続き
- 有給休暇の残日数(年次有給休暇は労働者の権利で、退職前の取得も可能)
- 退職金の有無と、支給の条件となる勤続年数
- 健康保険の切り替え(任意継続、国民健康保険、家族の扶養)
- 年金の切り替え(次の職場が決まっていない場合は国民年金へ)
- 雇用保険の離職票の受け取り
- 住民税の支払い方法の変更(普通徴収への切り替えなど)
- 源泉徴収票の受け取り
正当な理由のない自己都合で退職した場合、失業給付(基本手当)には給付制限があります。令和7年4月1日以降の離職では、給付制限期間は原則1か月です(5年間に2回以上の自己都合退職の場合などは3か月)。教育訓練を受けると給付制限が解除される制度もあります。

次の職場が決まってから辞めたほうがいいですか?

収入が途切れないし、気持ちにも余裕が持てるから、できれば在職中に決めるのがおすすめだよ。ただ、体調が悪いときは無理せず、先に休むことを優先してね。焦りは禁物だよ。
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よくある質問
人手不足を理由に退職を引き止められたら?
退職の意思が固い場合は、感謝を伝えたうえで、退職日と引き継ぎの計画を具体的に示しましょう。期間の定めのない雇用であれば、法律上は申し入れから2週間で雇用は終了します。それでも話が進まない場合は、労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
1年未満で辞めると、次の転職で不利になりますか?
短期間での退職は、面接で理由を聞かれやすくなります。理由を前向きに説明でき、次の職場で長く働く意思を示せれば、必ずしも不利にはなりません。
退職を伝えたあとの職場で気まずくならないコツは?
最後まで担当の業務を丁寧に行い、引き継ぎの資料をしっかり作ることが一番です。リハビリの業界は狭いため、円満に退職することが将来の自分を助けることにもつながります。研修会や地域の会議で、また顔を合わせることもあるからです。
退職理由を「一身上の都合」と書いてもいいですか?
自己都合で退職する場合、退職届には「一身上の都合により」と書くのが一般的です。会社都合や、ハラスメントなど正当な理由のある自己都合退職に当たる可能性がある場合は、雇用保険の扱いが変わることがあるため、ハローワークに相談しましょう。
担当患者さんに退職をいつ伝えればいいですか?
職場の方針に従い、上司と相談して時期を決めます。後任者が決まってから、引き継ぎの期間に一緒にあいさつするなど、患者さんが不安にならない伝え方を工夫しましょう。
退職代行サービスを使ってもいいですか?
どうしても自分で伝えられない事情がある場合の選択肢の一つですが、引き継ぎができず患者さんや同僚に影響が出ることもあります。まずは上司以外の相談先(人事、産業医、外部の相談窓口)も検討しましょう。
まとめ|理学療法士の退職は理由を整理し、前向きに伝えて手続きを確実に
理学療法士が退職する理由は、給与・人間関係・働き方・キャリア・心身の負担・家庭の事情などさまざまです。辞めるべきか迷ったら、体調や法律に関わる問題があるか、相談で改善できるかを目安に判断しましょう。退職を決めたら、前向きな理由で伝え、就業規則に沿って申し出と引き継ぎを行い、有給休暇・保険・雇用保険などの手続きを確実に進めることが大切です。
- 退職理由は給与・人間関係・働き方・キャリア・心身・家庭が中心
- 体調不良や法律に関わる問題があれば、退職の検討を優先
- 上司にも面接でも、前向きな理由を中心に伝える
- 民法では申し入れから2週間で雇用終了。就業規則の期限も確認
- 自己都合退職の給付制限は令和7年4月以降の離職で原則1か月
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- 群馬労働局・ハローワーク「令和7年4月1日以降に離職された方の給付制限期間」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第5表(e-Stat)
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

