理学療法士・作業療法士のキャリアアップ|7つの道と選び方

「このまま今の職場で働き続けていいのだろうか」「キャリアアップしたいけれど、何から始めればいいかわからない」——理学療法士(PT)・作業療法士(OT)として数年働くと、多くの人が将来について考え始めます。
この記事では、PT・OTのキャリアアップを7つの方向性に整理し、それぞれの特徴や向いている人を比べます。統計データで見る年収の伸び方、経験年数ごとの進め方、失敗しない選び方まで解説します。
- PT・OTにキャリアアップが必要な理由
- キャリアアップの7つの方向性
- 年齢別・企業規模別の年収データ
- 経験年数ごとのキャリアアップの進め方
- 失敗しないキャリアの選び方
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理学療法士・作業療法士にキャリアアップが必要な理由
PT・OTのキャリアアップが大切な理由は、年齢とともに給与が自然に大きく上がるとは限らないからです。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の年収(きまって支給する給与×12+賞与で算出、概算)は次のとおりです(企業規模10人以上の集計)。
| 年齢 | 年収(概算) |
|---|---|
| 25〜29歳 | 約398万円 |
| 30〜34歳 | 約432万円 |
| 35〜39歳 | 約457万円 |
| 40〜44歳 | 約482万円 |
| 45〜49歳 | 約520万円 |
また、40〜44歳の年収は、従業員1,000人以上の企業で約512万円、10〜99人の企業で約463万円と、職場の規模によっても差があります。何もしなくても上がる部分は限られるため、自分で方向性を決めて動くことが大切です。

年齢が上がれば、自然に給料も上がると思っていました。

少しずつは上がるけれど、伸び方はゆるやかなんだ。だからこそ、どの方向に進むかを早めに考えておくといいね。
理学療法士・作業療法士のキャリアアップ7つの方向性
PT・OTのキャリアアップには、主に次の7つの方向性があります。
| 方向性 | 主な内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ① 臨床の専門性 | 特定の分野を深め、認定資格などを取る | 患者さんと直接関わり続けたい人 |
| ② 管理職 | 主任、科長、事業所の管理者を目指す | チームや職場づくりに関心がある人 |
| ③ 教育・研究 | 養成校の教員、大学院での研究 | 人に教えることや探究が好きな人 |
| ④ 訪問・地域 | 訪問リハビリ、地域の介護予防事業 | 生活の場で支援したい人 |
| ⑤ 資格の取得 | ケアマネジャー、福祉住環境コーディネーターなど | リハ以外の視点も身につけたい人 |
| ⑥ 転職 | 分野や職場を変える、一般企業に移る | 今の環境で成長が見込めない人 |
| ⑦ 副業・起業 | 講師、執筆、自費リハビリなど | 収入源を増やしたい人 |
どれか1つを選ぶ必要はありません。臨床の専門性を軸に、管理職や資格を組み合わせるなど、複数を組み合わせる人も多くいます。
臨床・管理職・教育でキャリアアップする
臨床の専門性を深める
運動器、脳血管、呼吸器、小児など、特定の分野を深めることで、「この分野ならこの人」と頼られる存在になれます。職能団体の認定制度や学会の資格などを活用する人もいます。資格手当の有無は職場によって違うため、確認しておきましょう。
管理職を目指す
主任や科長、事業所の管理者になると、役職手当がつくことが多く、収入アップにつながりやすい道です。ただし、臨床の時間が減り、人や数字の管理が中心になる点は理解しておく必要があります。
教育・研究に進む
養成校の教員や研究職を目指す道もあります。教員になるには一定の臨床経験が求められ、大学では大学院の学位が求められることも多いです。
訪問・資格・転職・副業でキャリアアップする
訪問リハビリは、件数に応じた手当がある事業所も多く、収入を上げやすい分野の一つです。令和8年度の介護報酬の期中改定では、介護職員等処遇改善加算の対象が訪問リハビリテーションにも広がりました(加算率1.5%)。
資格では、ケアマネジャー(介護支援専門員)が代表的です。PT・OTなどの資格に基づく実務経験が通算5年以上かつ900日以上あれば受験できます。介護保険の全体像を学べるため、在宅分野で働くPT・OTとの相性がよい資格です。
副業については、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で、労働時間を通算して管理することなどが示されています。勤務先の就業規則で副業が認められているかを必ず確認しましょう。

副業って、本当にやっていいんですか?

就業規則で認められていれば可能だよ。ただ、本業に支障が出ないように、労働時間や体調の管理には気をつけてね。
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キャリアアップの方向性別|収入への結びつき方
キャリアアップの方向性によって、収入にどう結びつくかは大きく違います。目指す道を選ぶときの参考にしてください。
| 方向性 | 収入への結びつき方 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 臨床の専門性 | 資格手当や評価で少しずつ反映。職場によって差が大きい | 数年単位 |
| 管理職 | 役職手当で上がりやすい | 役職の空き状況による |
| 教育・研究 | 大学や養成校の給与体系による | 大学院を含め数年 |
| 訪問リハビリ | 件数手当やインセンティブで上がりやすい | 転職直後から変わることも |
| 資格の取得 | 手当や職種の変更で反映。活かし方しだい | 受験準備に1年前後 |
| 副業 | 本業とは別の収入源になる | 始めてから軌道に乗るまで時間がかかる |
短期間で収入を上げたい場合は、訪問リハビリへの転職や管理職への挑戦が候補になります。長い目で見て市場価値を高めたい場合は、専門性や資格を積み上げる道が向いています。
ただし、収入だけで選ぶと、仕事の内容が合わずに長続きしないこともあります。「どんな仕事をしているときに充実感があるか」も一緒に考えて、自分に合った組み合わせを見つけましょう。
経験年数ごとのキャリアアップの進め方
- 1〜3年目:基礎を固める評価・治療・リスク管理の基本を身につけ、さまざまな疾患を経験します。
- 4〜6年目:方向性を決める興味のある分野を絞り、研修や資格の取得を始めます。後輩指導も経験しておきましょう。
- 7〜10年目:強みを形にする専門分野での実績、役職、資格など、外から見てわかる形にします。学会発表や研修の講師を経験しておくと、転職や昇進の場面でも強みとして伝えやすくなります。
- 10年目以降:役割を広げる管理、教育、地域活動など、チームや地域全体に関わる役割を担います。
キャリアアップの計画は、1年ごとに見直すのがおすすめです。人事評価の面談の機会を使って、上司に目標を伝えておくと、役割を任されやすくなります。目標は「いつまでに」「何を」まで具体的に決めておくと、行動に移しやすくなります。
キャリアアップで失敗しない選び方
- 「何をしたいか」と「いくら稼ぎたいか」の両方を書き出す
- 資格は、取ったあとにどう活かすかを決めてから取る
- 転職は、今の職場で解決できないかを先に考える
- 収入が上がる仕組み(手当、評価、昇給)を事前に確認する
- 家族の状況や体力など、長く続けられるかも考える
資格を取っても、手当や役割に結びつかなければ収入は変わらないことがあります。費用と時間をかける前に、職場での評価のされ方を確認しましょう。
キャリアアップの相談先
一人で考えていると、視野が狭くなりがちです。職場の上司や先輩、養成校時代の同級生、研修で知り合った他施設のPT・OTなど、いろいろな立場の人に話を聞いてみましょう。実際にその道を選んだ人の話は、求人票や資料からはわからない情報の宝庫です。転職を考えている場合は、転職支援サービスで市場の動きを聞いてみるのも一つの方法です。
よくある質問
キャリアアップのために転職するのは何年目がいいですか?
決まった時期はありませんが、基礎を身につけた3〜5年目に方向性を決めて動く人が多いです。目的がはっきりしていれば、年数にこだわる必要はありません。
大学院に進むとキャリアアップにつながりますか?
教育や研究の道を目指す場合は有利になります。臨床で働き続ける場合は、給与への反映が職場によって異なるため、目的を明確にしてから進学を考えましょう。
今の職場で給料を上げる方法はありますか?
役職への挑戦、資格手当のある資格の取得、人事評価で成果を示すことなどが考えられます。評価の基準を確認し、上司と目標を共有することから始めましょう。
作業療法士にもキャリアアップの道はありますか?
あります。精神科や小児、就労支援など、作業療法士ならではの分野で専門性を深める道や、管理職、教育、ケアマネジャーなど、PTと同じように多くの選択肢があります。
ケアマネジャーの資格を取ると、PT・OTとしての仕事に役立ちますか?
介護保険の仕組みやケアプランの考え方を深く理解できるため、訪問リハビリや通所リハビリでの連携に役立ちます。ケアマネジャーとして働く道も開けます。
- PT・OTの年収の伸びはゆるやかで、自分で方向性を決めることが大切
- キャリアアップには臨床・管理職・教育・訪問・資格・転職・副業の7つの方向性がある
- 訪問リハビリは処遇改善加算の対象にもなり、収入を上げやすい分野の一つ
- 経験年数ごとに、基礎→方向性→強み→役割の拡大と進める
- 資格や転職は、活かし方と収入の仕組みを確認してから選ぶ
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種別第5表)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1「令和8年度介護報酬改定について」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

