訪問リハビリと外来リハビリは併用可能?不可能?根拠を元に解説

在宅で生活する利用者の医療・介護に関わっていると、一度はぶつかるのが「訪問リハビリと外来リハビリは併用できるの?」という疑問です。両方受けられれば手厚い支援になりそうですが、制度上はどうなのでしょうか。
結論からお伝えすると、訪問リハビリと外来リハビリは、原則として併用できません。この記事では、その制度上の根拠と、例外的に併用できるケースまでをわかりやすく解説します。
- 訪問リハビリと外来リハビリが併用できるかどうか
- 介護保険の訪問リハビリと外来リハビリの関係(給付調整のルール)
- 例外的に併用できる「移行期間」とは
- 医療保険の訪問リハビリと外来リハビリの併用について
結論|訪問リハビリと外来リハビリは原則併用できない
訪問リハビリと外来リハビリは、原則として併用できません。「原則」なので例外もありますが、基本的には併用しない前提で考えるのが安全です。
訪問リハビリには「介護保険の訪問リハビリ」と「医療保険の訪問リハビリ」の2種類があります。それぞれについて、外来リハビリとの関係を見ていきましょう。
介護保険の訪問リハビリと外来リハビリの併用
介護保険の訪問リハビリを利用するのは、要支援・要介護の認定を受けた人です。ここで重要なのが、要介護認定を受けている人は、医療保険のリハビリより介護保険のリハビリが優先されるというルールです。
厚生労働省の「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項」では、要介護被保険者等が、同一の疾患について医療保険の疾患別リハビリテーション(脳血管疾患等・運動器・廃用症候群など)を行ったあと、介護保険のリハビリの利用開始日を含む月の翌月以降は、原則として同じ疾患について医療保険の疾患別リハビリテーション料は算定できないとされています(手術・急性増悪等の場合を除く)。
訪問リハビリでは、利用者の疾患をリハビリ計画書や指示書に記載し、リスク管理をしたうえでリハビリを提供します。そのため「同一疾患」になりやすく、外来リハビリとの併用は基本的にNGと考えるのが安全です。

違う疾患なら併用してもいいのでは?と思ってしまいました。

理屈ではそうだけど、訪問リハは全疾患をふまえてリスク管理するから、実際は同一疾患になりやすい。だから原則NGと考えるのが無難なんだ。
例外|医療保険から介護保険への「移行期間」は併用できる
例外的に併用が認められるのは、医療保険のリハビリから介護保険のリハビリへ移行する期間です。
医療保険の疾患別リハビリを実施する施設とは別の施設で介護保険のリハビリを提供することになった場合、円滑な移行のために、介護保険のリハビリの利用開始日を含む月の翌々月まで、両者を併用できるとされています。
この移行期間に併用する場合の主なポイントは次のとおりです。
- 診療録・診療報酬明細書に「介護保険におけるリハビリテーションの利用開始日」を記載する
- 利用開始日の翌月・翌々月に算定できる疾患別リハビリテーション料は、1月あたり7単位までとする
- 目標設定等支援・管理料を算定してから3月以内に、紹介された事業所で介護保険リハを「体験」する目的で行う場合は、1月5日を超えない範囲なら移行とはみなさない
給付調整のルールは細かく、改定で変わることもあります。実際の算定にあたっては、必ず厚生労働省の最新の留意事項通知や、地方厚生局・自治体に確認してください。
医療保険の訪問リハビリと外来リハビリの併用
医療保険の訪問リハビリ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)と外来リハビリも、併用することはできません。
医療保険の訪問リハビリは、通院が困難で訪問診療を受けている患者に提供されるサービスです。外来リハビリに通える状態の人とは前提が異なるため、そもそも併用は想定されていません。
運営指導・適時調査で指摘される?
介護保険の運営指導では、訪問リハビリと外来リハビリの併用について指摘されることは一般的に少ないと考えられます。一方、医療保険側の適時調査などでは、介護認定を受けている人に外来リハビリを提供しているケースが指摘されることがあります。給付調整のルールを正しく理解し、適切に運用しましょう。
訪問リハビリと外来リハビリの併用に関するよくある質問
要介護認定を受けたら、外来リハビリはすぐ受けられなくなりますか?
介護保険のリハビリ利用開始日を含む月の翌月以降は、同一疾患について医療保険の疾患別リハビリ料は原則算定できません。ただし移行期間として翌々月までの併用が認められています。詳細は厚生労働省の通知や厚生局に確認しましょう。
急性増悪したときは外来リハビリを受けられますか?
手術や急性増悪等により、医療保険の疾患別リハビリテーション料を算定する患者に該当することとなった場合は、例外として算定が認められます。ただし「急性増悪等」の判断は難しいため、医師・厚生局に確認が必要です。
訪問リハビリと外来リハビリ、どちらを選べばよいですか?
通院が可能か、生活の場での支援が必要かによって変わります。要介護認定を受けている方は介護保険のリハビリが優先されます。ケアマネジャーや主治医と相談して決めましょう。
訪問リハビリと外来リハビリ、どう使い分ける?
原則併用できないとなると、「どちらを選べばよいか」が次の悩みになります。判断の目安を整理します。
| こんな状況 | 向いているリハビリ |
|---|---|
| 通院が困難で、生活の場での支援が必要 | 訪問リハビリ |
| 通院でき、医療機関の設備を使った訓練が必要 | 外来リハビリ |
| 要介護認定を受けている | 原則、介護保険のリハビリ(訪問・通所)が優先 |
| 退院直後で、在宅生活に移行する時期 | 移行期間として一定の併用が可能な場合あり |
大切なのは、利用者の生活と状態に合った形を選ぶこと。判断に迷う場合は、主治医やケアマネジャーに相談しましょう。
併用の可否で迷ったときの確認先
給付調整のルールは複雑で、個別のケースで判断が分かれることもあります。迷ったときは、次の窓口に確認するのが確実です。
- 厚生労働省の「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項」通知
- 地方厚生局(医療保険の算定に関すること)
- 市区町村の介護保険担当窓口(介護保険に関すること)
- 担当のケアマネジャー(ケアプラン全体の調整)
まとめ|訪問リハと外来リハは「原則併用不可」
訪問リハビリと外来リハビリの併用について、要点を整理します。
- 訪問リハビリと外来リハビリは、原則として併用できない
- 要介護認定を受けている人は、介護保険のリハビリが優先される
- 例外は、医療保険から介護保険への移行期間(翌々月まで・1月7単位まで等)
- 医療保険の適時調査では、介護認定者への外来リハ提供が指摘されることがある
給付調整のルールは複雑です。判断に迷ったら、自己判断せず厚生労働省の通知・地方厚生局・自治体に確認しましょう。
