介護予防指導士とは?国家資格?加算や運動指導員との違い

介護予防指導士とは、NPO法人日本介護予防協会の講習を修了すると認定される民間資格です。国家資格ではなく、取っても介護報酬の加算の要件にはなりません。名前が似た「介護予防運動指導員」とは、認定する団体も講習の内容も別の資格です。
この記事では、介護予防指導士とは何か、国家資格なのか、加算との関係、介護予防運動指導員との違いを整理し、PT・OT・STなどのリハ職が取る意味があるかを考えます。
- 介護予防指導士とはどんな資格か(国家資格かどうか)
- 介護予防運動指導員との違い
- 介護報酬の加算との関係
- リハ職・介護職が取るメリットと活かし方
- 取る前に確認したいこと
介護予防指導士とは?国家資格ではなく民間資格
介護予防指導士は、NPO法人日本介護予防協会が認定する民間資格です。協会の講習(10科目・計21.5時間とされています)を受けて修了すると認定され、筆記試験はないと案内されています。
講習では、高齢者の体の特徴、筋力トレーニング、ストレッチ、転倒予防、栄養、口腔ケアなど、介護予防に必要な知識と運動指導の方法を学びます。受講の対象は、介護福祉士や介護職員初任者研修の修了者、看護師、理学療法士・作業療法士など、介護・医療・運動の分野の有資格者が中心です。
講習の科目数・時間・受講料・受講対象は、時期によって変わる可能性があります。2026年10月時点で協会の講習案内ページを開けなかったため、申し込み前に必ず協会に最新の内容を確認してください。

「指導士」という名前なので、国家資格だと思っていました。

名前に「士」がついていても国家資格とは限らないよ。国家資格は法律で定められた資格で、介護予防指導士は民間団体が独自に認定している資格なんだ。
介護予防指導士と介護予防運動指導員の違い
よく混同されるのが「介護予防運動指導員」です。どちらも高齢者の運動指導を学ぶ資格ですが、認定する団体と講習のしくみが違います。
| 項目 | 介護予防指導士 | 介護予防運動指導員 |
|---|---|---|
| 認定 | NPO法人日本介護予防協会 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(指定を受けた事業者が講座を実施) |
| 講習の規模 | 10科目・21.5時間とされる | 30時間を超えるカリキュラム(実施事業者により表記に差あり) |
| 受講対象 | 介護・医療・運動分野の有資格者など | 医師、看護師、PT・OT・ST、介護福祉士、健康運動指導士、実務者研修修了者などの有資格者 |
| 費用の目安 | 協会の最新案内で確認 | 実施事業者により異なる(例:ある事業者では65,000円・税とテキスト込み) |
| 国家資格か | 民間資格 | 民間資格 |
どちらが上ということはなく、働く地域や職場でどちらが知られているかで選ぶのが実用的です。自治体の介護予防事業で講師を任されたい場合は、その自治体や委託先がどちらの資格を求めているかを確認しましょう。
介護予防指導士は加算の要件になる?
結論から言うと、介護予防指導士を持っていても、介護報酬の加算の要件にはなりません。
たとえば、通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算では、機能訓練指導員として配置する「理学療法士等」が決められています。厚生労働省の通知では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(はり師・きゅう師は一定の経験が必要)とされています。介護予防指導士はこの中に入っていません。
| よくある疑問 | 答え |
|---|---|
| 介護予防指導士がいれば個別機能訓練加算を取れる? | 取れない。機能訓練指導員は国家資格などで決められている |
| 介護予防指導士で手当はもらえる? | 職場しだい。国の制度上の手当はない |
| 介護職が持つと仕事の幅は広がる? | 体操や集団運動の進行役など、職場で役割を任されるきっかけにはなる |

加算にならないなら、リハ職が取る意味はなさそうですね。

加算の点ではそうだね。PT・OT・STは国家資格で機能訓練指導員になれるから、資格の「肩書き」としての効果は小さい。ただ、集団向けの体操の組み立て方や、介護職への伝え方を学ぶ目的なら意味はあるよ。
そもそも介護予防とは?制度の中での位置づけ
資格を考える前に、介護予防が制度の中でどう行われているかを押さえておきましょう。介護予防は、介護が必要な状態になることをできるだけ防ぎ、すでに支援や介護が必要な人も悪化を防ぐための取り組みです。
| しくみ | 主な対象 | 内容の例 |
|---|---|---|
| 予防給付(介護保険) | 要支援1・2の人 | 介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーションなど |
| 介護予防・生活支援サービス事業(総合事業) | 要支援の人、基本チェックリストで対象となった人 | 市町村が行う訪問型・通所型のサービス |
| 一般介護予防事業(総合事業) | すべての高齢者 | 通いの場、介護予防教室、地域リハビリテーション活動支援事業など |
介護予防指導士などの民間資格が活かされやすいのは、主に一般介護予防事業の通いの場や介護予防教室、デイサービスでの集団運動です。一方、介護予防訪問リハや介護予防通所リハは、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行うサービスで、民間資格の有無は関係ありません。
リハ職が地域の介護予防に関わる場としては、市町村の「地域リハビリテーション活動支援事業」があります。通いの場や地域ケア会議などにリハ職が出向き、運動や生活の工夫について助言する事業です。資格よりも、国家資格を持つリハ職としての専門性が求められる場といえます。事業の進め方は市町村によって違うため、関わりたい人は地元の理学療法士会・作業療法士会や市町村の担当課に問い合わせてみましょう。
介護予防指導士を取るメリット
介護職にとってのメリット
- 高齢者の運動を安全に進めるための基礎知識が身につく
- デイサービスや施設で、体操・レクリエーションの担当を任されやすくなる
- 転倒予防や栄養など、介護予防を幅広く学べる
リハ職にとってのメリット
- 集団体操のプログラムづくりや進め方のヒントが得られる
- 介護職に運動を教えるときの伝え方を学べる
- 地域の通いの場や介護予防教室での講師活動につなげやすい
ただし、リハ職は養成校で運動学や高齢者の評価を学んでいるため、内容の多くは知っている範囲です。「知識を増やす」より「集団指導の型を身につける」目的で受けるかどうかを考えましょう。
介護予防指導士を取る前に確認したい3つのこと
- 何に使うかを決める職場で体操の担当になる、地域の介護予防教室で講師をするなど、具体的な使い道があると取った後に活かしやすくなります。
- 職場や自治体で評価されるかを聞く資格手当の有無や、自治体の介護予防事業でどの資格が求められているかを確認します。
- ほかの資格と比べる介護予防運動指導員、健康運動指導士、福祉住環境コーディネーターなど、目的が近い資格と内容・費用を比べてから選びます。
リハ職が介護予防の現場で活かすコツ
訪問リハや通所リハでは、介護予防の視点がそのまま役立ちます。資格を取るかどうかに関係なく、次のような活かし方ができます。
| 場面 | 活かし方の例 |
|---|---|
| 要支援の利用者の訪問リハ | 自宅でできる運動を2〜3種類にしぼり、回数と頻度を紙にして渡す |
| 通所リハの集団体操 | 座ってできる運動と立ってする運動を分け、参加者の体力に合わせて選べるようにする |
| 介護職への伝達 | 運動のポイントを「どこを見るか」「どこで止めるか」の2点にしぼって伝える |
| 地域の通いの場 | 転倒予防の話と、家でできる運動をセットにして紹介する |
介護予防で大切なのは、運動を「教える」ことより「続けてもらう」ことです。本人がやりたいこと(買い物、旅行、孫との外出など)と運動をつなげると、自主トレが続きやすくなります。
よくある質問
介護予防指導士は国家資格ですか?
いいえ。NPO法人日本介護予防協会が認定する民間資格です。
試験はありますか?
協会の案内では、講習を修了することで認定され、筆記試験はないとされています。最新の条件は協会に確認してください。
無資格でも受講できますか?
受講対象は、介護・医療・運動の分野の有資格者が中心とされています。資格がない場合は受講できないことがあるため、協会に確認してください。
健康運動指導士とはどう違いますか?
健康運動指導士は、公益財団法人健康・体力づくり事業財団が認定する資格で、養成講習会または養成校での単位取得のうえ認定試験に合格する必要があります。対象は高齢者に限らず、生活習慣病の予防など幅広い年代の運動指導です。介護予防指導士は講習の修了で認定される資格で、高齢者の介護予防に焦点を当てています。健康運動指導士については関連記事でも解説しています。
PT・OTが介護予防の仕事をするには、資格が必要ですか?
必要ありません。介護予防訪問リハや介護予防通所リハ、市町村の地域リハビリテーション活動支援事業などは、国家資格を持つリハ職として関われます。民間資格は、集団指導の方法を学ぶなど、目的がはっきりしているときに検討すれば十分です。
介護予防指導士と介護予防運動指導員、どちらを取ればいいですか?
どちらも民間資格で、加算の要件にはなりません。働く地域や職場でどちらが知られているか、講習の日程や費用が合うかで選ぶのがおすすめです。
- 介護予防指導士は日本介護予防協会が認定する民間資格で、国家資格ではない
- 講習の修了で認定され、試験はないとされている(最新情報は協会に確認)
- 介護予防運動指導員とは認定する団体も講習も別
- 個別機能訓練加算など、介護報酬の加算の要件にはならない
- リハ職は「集団指導の型を学ぶ」など目的を決めてから取る
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

