訪問リハビリの残業は多い?原因と減らす工夫・残業代のルール

「訪問リハビリは定時で帰れるって聞いたけれど、本当?」「訪問に出てから毎日記録で遅くなる」——訪問リハビリの残業は、事業所によって大きく差があります。直行直帰などで残業がほとんどない職場もあれば、記録や移動が重なって毎日のように残業が続く職場もあります。
この記事では、訪問リハビリで残業が生まれる原因を整理し、個人と事業所それぞれでできる残業を減らす工夫を解説します。あわせて、移動時間や持ち帰りの記録が労働時間になるのか、残業代のルール、求人で残業の実態を見分けるポイントもまとめました。
- 訪問リハビリで残業が生まれる5つの原因
- 移動時間・持ち帰り記録・会議は労働時間になるか
- 36協定の上限と残業代(割増賃金)の基本
- 個人と事業所でできる残業を減らす工夫
- 求人・面接で残業の実態を見分けるポイント
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
訪問リハビリの残業は多い?事業所による差が大きい
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士(一般労働者)の超過実労働時間は月平均5時間です(4職種の合算、働く場所は問わない)。ただし訪問リハビリに限った公的な統計は見当たらず、現場の声としては、「病院より少ない」という人もいれば「訪問のほうが増えた」という人もいて、事業所の仕組みによる差が大きいのが実情です。
| 残業が少ない事業所の特徴 | 残業が多い事業所の特徴 |
|---|---|
| タブレットなどで訪問先や移動中に記録できる | 記録は事業所に戻ってパソコンで入力 |
| 担当エリアが決まっていて移動が短い | 広い範囲を一人で回る |
| 訪問件数の上限と、書類作成の時間が確保されている | 件数を目いっぱい入れ、書類は時間外に |
| 会議やカンファレンスが勤務時間内 | 会議が夕方以降に設定される |
| 直行直帰のルールがある | 朝夕に必ず事業所に集合する |

訪問なら定時で帰れると思っていました。

仕組みが整っている事業所ならそうなりやすいよ。逆に記録の仕組みや件数の設定がよくないと、病院より遅くなることもある。だから事業所選びが大事なんだ。
訪問リハビリで残業が生まれる5つの原因
①記録・書類の多さ
訪問記録のほか、リハビリテーション計画書、ケアマネジャーへの報告書、主治医への報告、加算に関する書類などがあります。計画の見直しは開始からおおむね2週間、その後はおおむね3か月ごとが基本のため、見直しの時期が重なる月は書類が集中します。
②移動の読み違い
渋滞、天候、駐車場探しなどで予定より遅れると、その後の訪問も後ろにずれ、記録の時間が夕方以降に押し出されます。
③急な対応
訪問先での体調の悪化、転倒、家族からの相談などで、予定外の時間がかかることがあります。救急要請や関係機関への連絡が必要になれば、その日の予定は大きく崩れます。
④会議・カンファレンス
リハビリテーション会議やサービス担当者会議は、利用者や家族、ほかの事業所の都合に合わせるため、夕方に設定されることもあります。
⑤担当件数の多さ
人員が足りない事業所や、件数による評価が強い事業所では、1日の訪問件数が多くなり、書類の時間がとれなくなります。
訪問リハビリの残業代と労働時間のルール
「これは残業になるの?」と迷いやすい時間を、厚生労働省の通達やガイドラインの考え方で整理します。
| 時間 | 労働時間になるか(考え方) |
|---|---|
| 利用者宅から次の利用者宅への移動 | 通常の移動時間は労働時間にあたる(訪問介護の通達の考え方) |
| 事業所の指示で集まる朝礼・申し送り | 参加が義務づけられていれば労働時間 |
| 終業後の記録の入力 | 業務として必要なら労働時間。持ち帰りでも、指示や黙認があれば労働時間と判断されうる |
| 勤務時間外の会議・研修 | 参加が義務づけられていれば労働時間 |
使用者には、始業・終業の時刻を確認し、労働時間を適正に把握する責任があります。時間外労働をさせるには36協定の締結と届出が必要で、上限は原則として月45時間・年360時間です。時間外労働には25%以上の割増賃金が必要です(月60時間を超える部分は50%以上)。
「記録は家でやって」「会議は自主参加」と言われていても、実態として断れない場合は労働時間と判断されることがあります。サービス残業が続く場合は、まず実際の時間を記録しておきましょう。相談先には、事業所の管理者のほか、労働基準監督署の総合労働相談コーナーがあります。

件数払いの給与だと、残業代はどうなるんですか?

件数払いなどの出来高払いでも、労働基準法の労働時間や割増賃金のルールは適用されるよ。給与の計算方法は雇用契約書と就業規則で確認しておこう。
残業が続くと起きること
残業が続くと、本人の体調だけでなく、訪問の安全や質にも影響します。
| 影響する範囲 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 本人 | 疲労の蓄積、睡眠不足、腰痛などの体の不調、気持ちの落ち込み |
| 訪問の安全 | 運転中の集中力の低下、移乗介助でのけが、確認もれ |
| サービスの質 | 記録が簡略化する、計画の見直しが遅れる、家族への説明が不十分になる |
| 事業所 | 離職の増加、残ったスタッフへの負担の集中、採用コストの増加 |
特に訪問リハビリは車や自転車での移動が多いため、疲れたままの運転は事故の危険を高めます。残業の問題は、働きやすさだけでなく安全の問題として考えることが大切です。

残業がつらくても、利用者さんのためと思うと言い出しにくいです。

その気持ちはわかるよ。でも無理を続けて体を壊したら、結局利用者さんに迷惑がかかる。数字で記録して、仕組みの問題として相談しよう。
残業を減らす工夫【個人編】
- 訪問の終わりの5分で、記録の要点をメモする
- 記録の定型文や、よく使う評価の書き方を自分用にまとめておく
- 空き時間は記録と電話連絡に優先して使う
- 計画書の見直し時期を一覧にし、月末に集中しないよう前倒しする
- 移動に余裕を持たせ、遅れそうなときは早めに連絡する
- 抱えきれない業務は、早い段階で管理者に相談する
残業を減らす工夫【事業所編】
| 工夫 | 具体例 |
|---|---|
| 記録の仕組み | タブレットやスマートフォンで訪問先から入力できる記録システム、テンプレートの統一 |
| スケジュール | 地域ごとの担当分け、1日の件数の上限、書類作成の時間を予定に組み込む |
| 会議 | 勤務時間内の設定、オンライン会議の活用、議題を事前に共有して短くする |
| 勤怠 | 移動時間や記録時間も含めて勤怠を記録し、残業の多いスタッフを早めに把握する |
| 働き方 | 直行直帰のルール整備、急な対応が出たときにほかのスタッフが応援する体制 |
残業を個人の努力だけで減らすには限界があります。記録の仕組みと件数の設定は、事業所の仕組みとして見直すことが近道です。
求人・面接で残業の実態を見分けるポイント
- 求人票の数字を確認する月平均の残業時間、固定残業代の有無と時間数、1日の訪問件数の目安を確認します。
- 記録の方法を聞く訪問先で入力できるか、事業所に戻ってから入力するかで、終業時刻は大きく変わります。
- 会議の時間帯を聞くカンファレンスや委員会が勤務時間内か、夕方以降かを確認します。
- 実際の1日の流れを聞く何時に最後の訪問が終わり、何時に退勤する人が多いかを具体的に質問します。
\ 訪問リハの求人を探すなら /
PT・OT・ST専門の転職支援サービス「レバウェルリハビリ」
- リハビリ職に特化した求人紹介サービス
- 訪問リハ・通所リハなど在宅領域の求人も探せる
- 希望条件を伝えて求人を提案してもらえる
\ まずは求人をチェック /
レバウェルリハビリの公式サイトを見る ▶※サービス内容・求人は時期により変わります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
よくある質問
固定残業代(みなし残業)がある事業所は避けたほうがいいですか?
固定残業代そのものが違法なわけではありません。ただし、何時間分の残業代がいくら含まれているかが明示されていること、その時間を超えた分は追加で支払われることが前提です。求人票や雇用契約書で内容を確認しましょう。
直行直帰なら残業はなくなりますか?
移動の時間は減りますが、記録や連絡の仕組みが整っていないと、帰宅後に記録をすることになりかねません。直行直帰のルールとあわせて、記録の方法や勤怠の付け方を確認することが大切です。
残業が多いと感じたら、まず何をすればいいですか?
1〜2週間、実際の始業・終業時刻と、何に時間を使ったかを記録しましょう。原因が記録・移動・件数のどれにあるかがわかれば、管理者に具体的な改善を相談しやすくなります。
残業代が出ない「サービス残業」をさせられたら、さかのぼって請求できますか?
未払いの賃金は、法律で定められた期間内であれば請求できます(法律上は5年ですが、経過措置により当面は3年)。請求には、実際に働いた時間がわかる記録が重要です。勤怠の記録、業務メールの送信時刻、日々のメモなどを残しておき、労働基準監督署や専門家に相談しましょう。退職後でも請求は可能です。
まとめ|訪問リハビリの残業は仕組みで減らせる
訪問リハビリの残業は、記録・書類、移動の読み違い、急な対応、会議、担当件数の多さから生まれます。利用者宅間の移動や義務づけられた会議、業務として必要な記録の時間は労働時間にあたり、時間外労働には割増賃金が必要です。個人の工夫とあわせて、記録の仕組みや件数の設定を事業所として見直し、転職時は記録方法や会議の時間帯まで確認しましょう。
- 訪問リハビリの残業は事業所の仕組みによる差が大きい
- 原因は記録・移動・急な対応・会議・担当件数の5つ
- 利用者宅間の移動や業務として必要な記録の時間は労働時間
- 36協定の上限は原則月45時間・年360時間、割増は25%以上
- 求人では残業時間、固定残業代、記録の方法、会議の時間帯を確認する
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第5表(e-Stat)
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- 厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日 基発第0827001号)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

