訪問リハビリと外来リハビリは併用可能?不可能?根拠を元に解説
在宅で生活している要介護者の医療や介護に関わっていると、一度は疑問を抱いたことがある問題の一つとして『訪問リハビリと外来リハビリを併用できるの?』という問題があります。
この記事では、『訪問リハビリと外来リハビリの併用の可否について』わかりやすく説明しています。
この記事では下記のことがわかります。
- 訪問リハビリ(介護保険)と外来リハビリが併用できるかがわかる
- 訪問リハビリ(医療保険)と外来リハビリが併用できるかがわかる
では、できる限りわかりやすく解説をしていきます。
訪問リハビリと外来リハビリは併用できるのか?
結論からお伝えします。
訪問リハビリと外来リハビリは原則、併用できないです。
『原則』ですので、例外もありますが、基本的に訪問リハビリと外来リハビリは併用しない方が良いと思います。
訪問リハビリと言いましても下記の2つのパターンがありますので、それぞれについて説明していきます。
- 訪問リハビリ(介護保険)と外来リハビリ
- 訪問リハビリ(医療保険)と外来リハビリ
訪問リハビリ(介護保険)と外来リハビリの併用
介護保険の訪問リハビリを利用する人は、要介護や要支援といった要介護認定を受けている人だと思います。
要介護認定を受けている人は、『医療保険のリハビリより介護保険のリハビリを優先しなければいけない』というルールがあります。
下記は厚生労働省の引用となります。
10 リハビリテーションに関する留意事項について
要介護被保険者等である患者に対して行うリハビリテーションは、同一の疾患等について、医療保険における心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料(以下「医療保険における疾患別リハビリテーション料」という。)を算定するリハビリテーション(以下「医療保険における疾患別リハビリテーション」という。)を行った後、介護保険における訪問リハビリテーション若しくは通所リハビリテーション又は介護予防訪問リハビリテーション若しくは介護予防通所リハビリテーション(以下「介護保険におけるリハビリテーション」という。)の利用開始日を含む月の翌月以降は、当該リハビリテーションに係る疾患等について、手術、急性増悪等により医療保険における疾患別リハビリテーション料を算定する患者に該当することとなった場合を除き、医療保険における疾患別リハビリテーション料は算定できない。
ただし、医療保険における疾患別リハビリテーションを実施する施設とは別の施設で介護保険におけるリハビリテーションを提供することになった場合には、一定期間、医療保険における疾患別リハビリテーションと介護保険のリハビリテーションを併用して行うことで円滑な移行が期待できることから、介護保険におけるリハビリテーションの利用開始日を含む月の翌々月まで、併用が可能であること。併用する場合には、診療録及び診療報酬明細書に「介護保険におけるリハビリテーションの利用開始日」を記載することにより、同一の疾患等について介護保険におけるリハビリテーションを行った日以外の日に医療保険における疾患別リハビリテーション料を算定することが可能である。ただし、当該利用開始日の翌月及び翌々月に算定できる疾患別リハビリテーション料は1月7単位までとする。
なお、目標設定等支援・管理料を算定してから3月以内に、当該支援によって紹介された事業所において介護保険におけるリハビリテーションを体験する目的で、同一の疾患について医療保険におけるリハビリテーションを行った日以外に1月に5日を超えない範囲で介護保険におけるリハビリテーションを行った場合は、診療録及び診療報酬明細書に「介護保険におけるリハビリテーションの利用開始日」を記載する必要はなく、医療保険における疾患別リハビリテーションから介護保険におけるリハビリテーションへ移行したものとはみなさない。出典)○「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について
上記の文章を抜粋しました。
当該リハビリテーションに係る疾患等について、手術、急性増悪等により医療保険における疾患別リハビリテーション料を算定する患者に該当することとなった場合を除き、医療保険における疾患別リハビリテーション料は算定できない。
ここで疑問なのは、「当該リハビリテーションに係る疾患等」以外は併用しても良いのか?という点です。
同一疾患名でなければ、併用算定しても良いのか?????となります。
そもそも訪問リハビリテーションを実施する上では全ての疾患をリハビリ計画書や指示書に書き、リスク管理を行なった上でリハビリテーションを提供されます。ですので、どうしても同一疾患になってしまうことが考えられます。
よって、私はNGと解釈しています。
例外である『手術、急性増悪等により医療保険における疾患別リハビリテーション料を算定する患者に該当することとなった場合』の場合は併用可能だと思いますが、急性増悪等の線引きは難しいですよね。
急性増悪等とは一般的にはFIMやバーサルインデックスで5点以上悪化した場合とされていますが、この状態に関してもなかなか難しいと感じます。
例外としてホワイトな状態で訪問リハビリと外来のリハビリが併用できる場合は、下記のような医療保険から介護保険への移行期間だけだと思います。
下記の移行期間の条件であれば、訪問リハビリと外来リハビリは併用可能といえます。
逆に、それ以外は併用不可能と考えることが良いと私は思います。
例外で併用可能な場合
医療保険における疾患別リハビリテーションを実施する施設とは別の施設で介護保険におけるリハビリテーションを提供することになった場合には、一定期間、医療保険における疾患別リハビリテーションと介護保険のリハビリテーションを併用して行うことで円滑な移行が期待できることから、介護保険におけるリハビリテーションの利用開始日を含む月の翌々月まで、併用が可能。
訪問リハビリ(医療保険)と外来リハビリの併用
訪問リハビリ(医療保険)と外来リハビリは併用することはできません。
そもそも訪問リハビリ(医療保険)である在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は訪問診療の患者に提供されるサービスですので、外来に来ることができる人との併用は不可能です。
【おまけ】運営指導や適時指導で外来リハビリの併用は指導されるのか?
介護保険での運営指導においては訪問リハビリと外来リハビリの併用について指導されることはないと思います。
一方で、医療保険側の適時調査等では介護保険の認定を受けている人に対して外来リハビリを提供している場合は指導がある場合がありますので、注意が必要です。