認知症高齢者の日常生活自立度とは?わかりやすく解説

介護保険の現場やケアプラン作成時によく目にする「認知症高齢者の日常生活自立度」。
しかし、
- ⅠとⅡの違いがあいまい
- ⅡaとⅡbの区別が覚えにくい
- ランクと介護度の関係がわからない
と感じている方も多いのではないでしょうか。
特にケアマネジャー、訪問看護師、通所系サービス職員、福祉用具専門相談員などにとっては、正確な理解が必要な指標です。
この記事では、認知症高齢者の日常生活自立度の概要・ランクの違い・現場での活用方法をわかりやすく解説します。
ワードプレスにそのまま貼れる表も掲載していますので、実務や学習にぜひご活用ください。
認知症高齢者の日常生活自立度とは?
認知症高齢者の日常生活自立度とは、認知症による生活への影響の程度を示す指標です。
正式名称は、
「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」
で、厚生労働省が示している基準です。
この指標は主に以下の場面で使用されます。
- 要介護認定調査
- 主治医意見書
- ケアプラン作成
- 地域包括支援センターでの評価
身体機能ではなく、認知症による生活障害の程度を評価するものである点が重要です。
なぜ重要なのか?
認知症の症状は個人差が大きく、
- 記憶障害
- 見当識障害
- 徘徊
- 妄想
- 意欲低下
など多岐にわたります。
そのため、生活への影響度を共通の物差しで評価する必要があります。
認知症高齢者の日常生活自立度は、
支援の必要性を客観的に判断するための基準なのです。
認知症高齢者の日常生活自立度の区分一覧
以下が基本の区分です。
| ランク | 区分 | 状態の目安 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 自立 | 認知症の症状はあるが、日常生活はほぼ自立している。社会生活も概ね可能。 |
| Ⅱa | 軽度 | 日常生活に支障をきたす症状があるが、家庭外で目立つ。注意や見守りがあれば自立可能。 |
| Ⅱb | 軽度 | 日常生活に支障があり、家庭内でも症状がみられる。注意や見守りが必要。 |
| Ⅲa | 中等度 | 日中を中心に日常生活に支障があり、介護が必要。 |
| Ⅲb | 中等度 | 夜間を中心に日常生活に支障があり、介護が必要。 |
| Ⅳ | 重度 | 日常生活全般にわたり常時介護を必要とする状態。 |
| M | 医療対応 | 著しい精神症状や問題行動があり、専門医療を必要とする状態。 |
各ランクをわかりやすく解説
ここからは、それぞれのランクを具体例を交えて解説します。
ランクⅠ
物忘れはあるものの、基本的な生活は自立しています。
例:
- 同じ話を繰り返す
- 物をどこに置いたか忘れる
- 約束を忘れることがある
ただし、買い物や金銭管理がやや不安なケースもあります。
家族の見守りがあれば大きな問題はない状態です。
ランクⅡ(Ⅱa・Ⅱb)
日常生活に支障が出始める段階です。
Ⅱa:家庭外で支障が目立つ
- 近所で迷子になる
- 買い物で支払いを忘れる
- 外出時のトラブル
Ⅱb:家庭内でも支障がある
- ガスの消し忘れ
- 食事をしたことを忘れる
- 入浴を拒否する
誰かが注意・見守りをすれば生活できるレベルです。
ランクⅢ(Ⅲa・Ⅲb)
介護が必要な状態です。
Ⅲa:日中を中心に問題行動がある
- 徘徊
- 大声
- 被害妄想
Ⅲb:夜間にも問題行動がある
- 夜間徘徊
- 昼夜逆転
常時見守りや部分的な介助が必要になります。
ランクⅣ
常に介護が必要な状態です。
- 会話が成立しない
- 意思疎通が困難
- 全面的な介助が必要
ADLも低下しているケースが多いです。
ランクM
精神症状が著しく、専門医療が必要な状態です。
- 激しい妄想
- 暴力行為
- 自傷行為
通常の介護環境では対応困難な場合が該当します。
要介護度との違いは?
よくある疑問が、
「自立度=要介護度なの?」
という点です。
答えは違います。
- 要介護度 → 身体機能+認知機能の総合評価
- 認知症自立度 → 認知症による生活障害のみ評価
例えば、
- 身体は元気だが重度認知症 → 自立度Ⅲ以上でも要介護1のことがある
- 認知症は軽度だが寝たきり → 自立度Ⅰでも要介護4のことがある
混同しないように注意しましょう。
ケアプラン作成時の活用ポイント
ケアマネジャーにとっては、支援内容を考えるヒントになります。
ランクⅡなら
- 見守り支援
- デイサービス活用
- 家族支援
ランクⅢ以上なら
- 夜間対応
- 福祉用具の導入
- 施設入所検討
自立度が上がるほど、24時間体制の支援が必要になる傾向があります。
認知症高齢者の日常生活自立度の注意点
① 日によって変動する
認知症は体調や環境によって症状が変わります。
② 評価者によって差が出る
主観的要素が入りやすいため、チームでの情報共有が重要です。
③ 家族の負担度も考慮する
同じランクⅡでも、家族が疲弊している場合は支援強化が必要です。
まとめ
認知症高齢者の日常生活自立度とは、
認知症による生活への影響の程度を示す指標です。
ランクは以下の5段階。
- Ⅰ:ほぼ自立
- Ⅱ:注意すれば生活可能
- Ⅲ:介護が必要
- Ⅳ:常時介護
- M:専門医療が必要
要介護度とは別の指標であり、ケアプラン作成や支援方針決定に重要な役割を果たします。
認知症ケアでは、「どのくらい困っているのか」を客観的に把握することが第一歩です。
現場で迷わないためにも、各ランクの特徴をしっかり整理しておきましょう。
