理学療法士の給与は上がる?5年間の推移と今後の見通し

「理学療法士の給与は、この先上がっていくの?」「物価は上がっているのに、給料はほとんど変わらない」——将来の生活を考えるうえで、給与の見通しは大きな関心事です。ネットでは「理学療法士は給料が上がらない」という声も多く見られますが、実際のデータはどうなっているのでしょうか。
この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の令和3年から令和7年までの5年間の推移をもとに、理学療法士の給与が上がっているのかを検証します。上がりにくい理由、処遇改善加算の拡充など今後の見通し、個人として給与を上げるためにできることもまとめました。
- 理学療法士の給与の5年間の推移(公的統計)
- 給与が上がりにくい理由
- 処遇改善加算の拡充など、今後の見通し
- 個人として給与を上げるためにできること
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理学療法士の給与の5年間の推移
賃金構造基本統計調査(企業規模10人以上)で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士(4職種の合算)の賃金の推移を見ると、次のとおりです。
| 調査年 | 平均年齢 | 所定内給与額 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与 | 年収換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年 | 35.1歳 | 28.5万円 | 29.6万円 | 71.3万円 | 約427万円 |
| 令和4年 | 34.7歳 | 28.9万円 | 30.1万円 | 69.8万円 | 約431万円 |
| 令和5年 | 35.6歳 | 29.0万円 | 30.1万円 | 71.4万円 | 約433万円 |
| 令和6年 | 35.5歳 | 29.9万円 | 31.1万円 | 70.5万円 | 約444万円 |
| 令和7年 | 36.2歳 | 29.8万円 | 31.0万円 | 71.7万円 | 約444万円 |
※年収換算は「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与」で計算した概算。千円の単位を四捨五入しています。
5年間で、年収換算は約427万円から約444万円へ、約17万円(約4%)増えました。所定内給与額も約1.3万円増えています。ただし、賞与はほぼ横ばいで、増加の多くは月給によるものです。特に令和5年から令和6年にかけて、所定内給与額が約0.9万円増えており、この時期の賃上げの動きが反映されていると考えられます。

少しずつは上がっているんですね。

そうだね。ただ、同じ5年間で物価も上がっているから、生活が楽になったと感じにくい人も多いと思う。数字が増えていることと、実感は別なんだ。
平均年齢の変化にも注意
平均年齢は5年間で35.1歳から36.2歳へ上がっています。年齢が上がると給与も上がる傾向があるため、増加の一部は、働く人の年齢構成の変化による可能性があります。同じ年代で比べると、伸びはさらにゆるやかになることがあります。
| 調査年 | 40〜44歳の年収換算 | 50〜54歳の年収換算 |
|---|---|---|
| 令和3年 | 約487万円 | 約540万円 |
| 令和4年 | 約498万円 | 約515万円 |
| 令和5年 | 約471万円 | 約497万円 |
| 令和6年 | 約491万円 | 約536万円 |
| 令和7年 | 約482万円 | 約549万円 |
40〜44歳・50〜54歳で見ると、年によって上下があり、5年間ではほぼ横ばいから小幅な増加にとどまります。統計は抽出調査のため年ごとのぶれもありますが、「同じ年齢なら、5年前とあまり変わらない」というのが実態に近いと考えられます。
理学療法士の給与が上がりにくい理由
- 報酬が公定価格で決まる:診療報酬・介護報酬の単価は国が決め、改定は原則として数年ごと。職場が独自に価格を上げることはできない
- 提供できる量に上限がある:1日に算定できる単位数や回数に限りがあり、1人あたりの売上を大きく増やしにくい
- 人件費の割合がすでに高い:令和7年度介護事業経営概況調査では、訪問リハビリの収入に占める給与費の割合は約66%(令和6年度決算)
- 役職の数が限られる:管理職のポストが少なく、役職手当で伸びる人は一部にとどまる
- 評価の仕組みがあいまいな職場がある:単位数以外の貢献が給与に反映されにくく、頑張りが昇給につながりにくい
今後の見通し:処遇改善の流れ
一方で、ここ数年は医療・介護分野の賃上げを後押しする制度の見直しが続いています。
| 動き | 内容 |
|---|---|
| 令和8年度介護報酬の期中改定 | 改定率+2.03%。介護従事者を対象に月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置。処遇改善加算の対象を介護職員から介護従事者に拡大し、訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援などにも加算を新設 |
| 訪問リハビリの処遇改善加算 | 加算率1.5%(訪問看護1.8%)。加算Ⅳ相当額の2分の1以上を月額賃金で配分 |
| 医療分野 | 診療報酬でも、医療関係職種の賃上げを目的とした評価が設けられている(最新の内容は厚生労働省の診療報酬改定の資料で確認) |
介護分野で働くリハ職にとっては、処遇改善加算の配分の対象になったことが大きな変化です。ただし、加算をどう配分するかは事業所が決めるため、勤務先によって給与への反映には差が出ます。
国の「月1.0万円」は制度全体で目指す水準で、一人ひとりの昇給額を保証するものではありません。勤務先が加算を算定しているか、リハ職が配分の対象か、配分の方法を確認しましょう。
働く分野ごとの今後の見通し
| 分野 | 給与に影響する制度の動き | 見通しのポイント |
|---|---|---|
| 訪問リハビリ・訪問看護 | 令和8年度から処遇改善加算が新設(1.5%・1.8%) | 加算の算定と配分の方針で差が出る |
| 介護老人保健施設・通所リハビリ・通所介護 | 処遇改善加算の対象が介護従事者に拡大 | リハ職への配分が新たに可能に。事業所の方針しだい |
| 病院・クリニック | 診療報酬の改定で賃上げを目的とした評価 | 病院の経営状況と配分の方針しだい |
| 公務員 | 人事院勧告や各自治体の人事委員会勧告にもとづく給与改定 | 民間の賃上げの動向が反映されやすい |
どの分野でも、制度の追い風が給与に届くかどうかは、勤務先の判断に左右されます。説明会や面接では、処遇改善への取り組みを具体的に確認しましょう。
個人として給与を上げるためにできること
- 勤務先の処遇改善の状況を確認する加算の算定と配分の方法を確認し、対象外なら理由を確認してみます。
- 評価される役割を担う教育、委員会、加算の算定に必要な業務など、事業所の運営に貢献する役割を引き受けます。
- 役職を目指す役職手当は、平均的な昇給より大きな上乗せになりやすいです。
- 給与水準の高い分野・法人を検討する訪問分野や賞与の多い大規模法人など、仕組みとして給与が高い職場を選ぶ方法もあります。
- 副業で補う就業規則で認められていれば、非常勤などで収入を上乗せできます。体調管理も忘れずに。

制度が変わるのを待つだけじゃだめなんですね。

制度の追い風はあるけど、それが自分の給与にどう反映されるかは職場しだいなんだ。制度を知ったうえで、自分から動くことが大切だよ。まずは給与明細を見直してみよう。
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よくある質問
理学療法士の給与は今後も上がり続けますか?
過去5年間では、年収換算は少しずつ増えています。今後も処遇改善の制度の見直しは続く見込みですが、報酬が公定価格で決まる仕組みは変わらないため、大きく上がり続けると考えるのは慎重であるべきです。個人として役割や職場を選ぶことが、給与を左右します。
理学療法士は人数が多すぎて給与が下がるのでは?
理学療法士の数は増え続けており、将来は需要を上回る可能性が指摘されています。ただし、在宅や介護予防の分野ではリハ職の役割が広がっています。経験と専門性を持つ人は、引き続き求められると考えられます。
この統計は理学療法士だけの数字ですか?
賃金構造基本統計調査では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士がまとめて集計されています。理学療法士だけの公的な数字はありません。
物価の上昇に給与が追いついていない気がします。
給与の額面が増えても、物価がそれ以上に上がれば、実際に使えるお金の価値は目減りします。給与の伸びだけに頼らず、支出の見直しや、役割・職場の選び方で収入を増やすことをあわせて考えましょう。
給与が上がらない職場にいる場合、何から始めればいいですか?
まず給与規程と評価制度を確認し、どうすれば給与が上がる仕組みなのかを把握しましょう。そのうえで、上司との面談で今後の見通しを確認し、見込みが乏しければ、同じ地域の求人と比べて転職も検討します。情報を集めるだけなら、在職中でもすぐに始められます。
まとめ|理学療法士の給与はゆるやかに上昇、伸ばすには行動が必要
賃金構造基本統計調査では、理学療法士など4職種の年収換算は、令和3年の約427万円から令和7年の約444万円へ、5年間で約17万円増えました。ただし、同じ年代で比べると伸びはゆるやかで、報酬が公定価格で決まる仕組みが背景にあります。令和8年度からは介護分野で処遇改善加算の対象が広がるなど追い風もあるため、制度を確認したうえで、役割・役職・職場選びで自ら給与を伸ばしていきましょう。
- 年収換算は5年で約427万円→約444万円(約17万円増)
- 増加の多くは月給。賞与はほぼ横ばい
- 同じ年代で見ると伸びはゆるやかで、年によって上下もある
- 令和8年度から介護分野で処遇改善加算の対象が介護従事者に拡大
- 制度の追い風を生かしつつ、役割・役職・職場選びで給与を伸ばす
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第5表(e-Stat)
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種第5表(e-Stat)
- 厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」職種第5表(e-Stat)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1「令和8年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

