理学療法士におすすめの小説11選|患者と家族の気持ちがわかる本

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「患者さんや利用者さんの気持ちに、もっと寄り添えるようになりたい」「専門書以外で、臨床に活きる本を読みたい」——理学療法士の仕事は、身体機能の知識や技術だけでなく、目の前の人の人生や気持ちを想像する力が問われる仕事です。
そこでおすすめなのが小説です。小説は、病気や障害、家族の葛藤、生と死を、当事者の目線で「追体験」できるのが最大の魅力です。この記事では、理学療法士が小説を読むべき理由と、テーマ別に選んだおすすめの小説・ノンフィクション11冊、読書を臨床に活かすコツを紹介します。
- 理学療法士が小説を読むべき3つの理由
- テーマ別のおすすめの小説・ノンフィクション11冊
- それぞれの本から臨床で学べること
- 忙しい理学療法士でも読書を続けるコツと、臨床への活かし方
理学療法士が小説を読むべき3つの理由
- 患者さんの「病の体験」を想像できるようになる教科書は、病気の症状や経過を教えてくれます。しかし、病気になった人が毎日何を感じ、何に悩んでいるかは、教科書だけではわかりません。小説やノンフィクションは、その「内側」を見せてくれます。
- 家族の気持ちに目を向けられるようになる訪問リハビリでは、家族と関わる場面が多くあります。介護する家族の疲れや、言葉にできない思いを想像する力は、物語を通して育ちます。
- 自分の価値観を広げられる生き方や家族の形は人それぞれです。自分とは違う人生に触れることで、「この人にとっての大切な生活は何か」という視点を持ちやすくなります。

小説って、仕事にはあまり関係ないと思っていました。

直接の知識にはならないけど、「この人はいま、どんな気持ちなんだろう」と想像する力は、物語から育つことが多いんだ。リハビリの目標を一緒に考えるときにも、その力が活きてくるよ。
理学療法士におすすめの小説・本11冊の一覧
| タイトル | 著者 | 臨床で学べるテーマ |
|---|---|---|
| 1リットルの涙 | 木藤亜也 | 進行性の病気と生きる本人・家族の思い |
| 余命1ヶ月の花嫁 | TBS「イブニング・ファイブ」編 | 若くして病と向き合う人のQOL |
| 風が強く吹いている | 三浦しをん | 目標に向かう努力とチームワーク |
| ノルウェイの森 | 村上春樹 | 喪失と、心の揺らぎ |
| 博士の愛した数式 | 小川洋子 | 記憶の障害がある人との関わり方 |
| そして、バトンは渡された | 瀬尾まいこ | 多様な家族の形 |
| ビタミンF | 重松清 | 中年期の悩みと家族関係 |
| ツナグ | 辻村深月 | 死別と、残された人の思い |
| 流星ワゴン | 重松清 | 親子関係と人生のやり直し |
| 火花 | 又吉直樹 | 仕事への情熱と葛藤 |
| 永遠の0 | 百田尚樹 | 命の重さと、高齢者の人生の背景 |
病気と向き合う人の気持ちがわかる本
1リットルの涙(木藤亜也)
15歳で難病を発症した少女が、病気と向き合いながら書き続けた日記をまとめた本です。小説ではなく実際の日記ですが、理学療法士にはぜひ読んでほしい1冊です。できることが少しずつ減っていく中で、本人が何を感じ、何を支えに生きていたかが、本人の言葉で綴られています。神経難病の利用者さんを担当する人にとって、本人と家族の思いを想像する手がかりになります。
余命1ヶ月の花嫁(TBS「イブニング・ファイブ」編)
乳がんと闘い、24歳で亡くなった女性の日々を追ったドキュメンタリー番組をもとにした本です。病気と闘いながらも、「今日をどう生きるか」を大切にする姿は、終末期のリハビリで本人の望む生活を支えることの意味を考えさせてくれます。
リハビリの目標やチームワークを考えられる小説
風が強く吹いている(三浦しをん)
寄せ集めの大学生10人が、箱根駅伝を目指す青春小説です。一人ひとりの個性と限界、仲間との信頼関係が描かれています。スポーツリハビリに関わる人はもちろん、目標に向かって少しずつ前進する過程を支えるというリハビリの本質を、改めて感じられる1冊です。チームで利用者さんを支える多職種連携のヒントにもなります。
心の揺らぎや記憶の障害への理解が深まる小説
ノルウェイの森(村上春樹)
大切な人を失った喪失と再生を描いた恋愛小説です。心のバランスを崩した人の繊細な揺らぎが描かれ、表面的な言動の奥にある、言葉にならない気持ちに目を向けるきっかけになります。精神面に不安を抱える利用者さんと関わるうえで、相手のペースを尊重する大切さを感じられるでしょう。
博士の愛した数式(小川洋子)
記憶が80分しか続かない数学者と、家政婦とその息子の交流を描いた小説で、第1回本屋大賞を受賞しています。記憶が続かない博士に、家政婦は毎日、工夫しながら関わり続けます。記憶の障害がある人の尊厳を守りながら関わるとはどういうことかを、やさしい物語の中で考えられます。高次脳機能障害や認知症の利用者さんを担当する人に特におすすめです。
家族の形や関係を考えられる小説
そして、バトンは渡された(瀬尾まいこ)
血のつながらない親の間をリレーされながら、出会う家族みんなに愛されて育った少女の物語です。家族の形は一つではないことに気づかせてくれます。訪問リハビリでは、さまざまな家族の形に出会います。「家族だからこうあるべき」という思い込みを手放し、その家族なりの支え合いを尊重する視点が持てるようになります。
ビタミンF(重松清)
中年の男性を主人公に、家族とのすれ違いや人生の悩みを描いた短編集です。働き盛りの世代が抱える悩みは、介護をする家族の姿とも重なります。利用者さん本人だけでなく、介護をする家族もまた悩みを抱えた一人の人間であることを意識できる1冊です。
生と死、人生の背景を考えられる小説
ツナグ(辻村深月)
一生に一度だけ、亡くなった人と再会させてくれる「使者(ツナグ)」をめぐる連作長編小説です。死別の悲しみや後悔を抱えた人の思いが描かれ、残された家族の気持ちに寄り添うことの大切さを考えさせてくれます。終末期のリハビリや、看取りに関わる人におすすめです。
流星ワゴン(重松清)
人生に行き詰まった38歳の男性が、不思議なワゴンに乗って、自分と同い年の父親と出会い、人生の分かれ道をめぐる物語です。親子の関係や、人生の後悔がテーマになっています。高齢の利用者さんにも、親や子との長い歴史があります。その人の人生の背景に思いをはせるきっかけになります。
火花(又吉直樹)
売れない若手芸人と、天才肌の先輩芸人の関係を描いた小説です。才能、努力、挫折、そして仕事への情熱がテーマです。理学療法士として自分は何を目指すのか、仕事への向き合い方を改めて考えたいときに読んでほしい1冊です。
永遠の0(百田尚樹)
終戦から60年目の夏、孫が亡き祖父の生涯を調べる中で、戦争の時代を生きた人の思いが明らかになっていく物語です。いま訪問リハビリで出会う高齢の利用者さんの多くは、戦中・戦後の時代を生き抜いてきた人です。利用者さんがどんな時代を生きてきたかを知ることは、その人を理解する入口になります。
忙しい理学療法士が読書を続けて臨床に活かすコツ
- すきま時間に少しずつ読む:通勤時間や寝る前の10分など、時間を決めて読むと続けやすい
- 電子書籍やオーディオブックを活用する:訪問の移動が多い人は、耳で聴く読書も選択肢になる
- 心に残った場面をメモする:登場人物のどんな言葉や行動に心が動いたかを書き留めておく
- 利用者さんに置き換えて考える:「担当している◯◯さんも、こんな気持ちなのかもしれない」と想像してみる
- 同僚と感想を話す:同じ本を読んで話し合うと、自分とは違う受け取り方に気づける
小説の登場人物と、目の前の利用者さんは別の人です。「この病気の人はこう感じるはず」と決めつけないようにしましょう。物語は想像の手がかりにとどめ、実際の気持ちは本人の言葉から聞き取ることが大切です。

利用者さんとの会話で、本の話をしてもいいんでしょうか?

利用者さんが好きな本や作家の話は、会話のきっかけとしてとてもいいよ。昔読んだ本の話から、その人の若いころの話や、大切にしてきたことが聞けることも多いんだ。
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よくある質問
理学療法士は、専門書と小説のどちらを優先して読むべきですか?
知識や技術を身につけるには専門書が欠かせません。そのうえで、小説は患者さんの気持ちを想像する力を育ててくれます。どちらか一方ではなく、専門書の合間に小説を読むなど、両方をバランスよく取り入れるのがおすすめです。
読書が苦手でも読みやすい本はありますか?
この記事の中では、短編集の『ビタミンF』や、200ページほどの『火花』が比較的読みやすい本です。物語がやさしく進む『博士の愛した数式』もおすすめです。
小説を読むと、本当に臨床に役立ちますか?
小説を読むだけで技術が上がるわけではありません。ただ、病気や障害を抱える人、家族の気持ちを想像する手がかりになり、利用者さんの話を聞く姿勢や、目標を一緒に考えるときの視点が変わったと感じる人もいます。
新人の理学療法士に1冊すすめるなら、どれがいいですか?
担当する利用者さんによって変わりますが、記憶の障害がある人との関わり方を考えられる『博士の愛した数式』や、病気と向き合う本人の思いが綴られた『1リットルの涙』は、多くの理学療法士に読んでほしい本です。
まとめ|理学療法士は小説で「人の気持ちを想像する力」を育てよう
理学療法士が小説を読むことは、患者さん・利用者さんの病の体験や家族の気持ちを想像し、自分の価値観を広げることにつながります。病気と向き合う人の思いがわかる『1リットルの涙』、記憶の障害がある人との関わり方を考えられる『博士の愛した数式』、多様な家族の形を描いた『そして、バトンは渡された』など、テーマに合わせて選んでみてください。物語を想像の手がかりにしながら、目の前の利用者さんの言葉に耳を傾け、その人らしい生活を支えるリハビリにつなげましょう。
- 小説は、病気や家族の葛藤を当事者の目線で追体験できる
- 理学療法士が読むと、患者さんと家族の気持ちを想像する力が育つ
- 病気と向き合う本人の思い:『1リットルの涙』『余命1ヶ月の花嫁』
- 記憶の障害・心の揺らぎ:『博士の愛した数式』『ノルウェイの森』
- 家族と人生の背景:『そして、バトンは渡された』『流星ワゴン』『永遠の0』など
- 物語で決めつけず、実際の気持ちは本人の言葉から聞き取る

