理学療法士の闇とは?給料・供給過多の実態と将来の備え

「理学療法士は闇が深い」「やめとけと言われた」——インターネットやSNSでは、理学療法士(PT)の仕事について厳しい声を目にすることがあります。これから目指す人も、今働いている人も、不安になるのは自然なことです。
この記事では、理学療法士の「闇」と言われるものを統計や国の資料で確かめられる事実と、職場によって差が大きいものに分けて整理します。そのうえで、闇に振り回されないための職場選びと、将来への備えを解説します。
- 理学療法士の闇と言われる5つのこと
- 給料の伸び方と5年間の推移
- 国の需給推計が示す供給過多の見通し
- 職場によって差が大きい闇
- 闇に振り回されないための備え
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理学療法士の闇と言われる5つのこと
理学療法士の闇としてよく挙げられるのは、次の5つです。
| 闇と言われること | 実態 |
|---|---|
| 給料が上がりにくい | 統計でも、年齢に対する上がり方はゆるやか |
| 供給過多 | 国の推計で、将来は供給が需要を大きく上回る見通し |
| 無給の勉強会や学会準備 | 職場によって差が大きい。業務として義務づけられていれば労働時間 |
| 上下関係が厳しい | 職場の文化による差が大きい |
| 理想と現実のギャップ | 報酬制度や担当数の制約で、思うようなリハビリができないことがある |
大切なのは、職種全体の構造の問題と、職場ごとの問題を分けて考えることです。構造の問題には備えが必要ですし、職場の問題は職場選びで避けられることもあります。

ネットの「闇」の話を読んで、少し怖くなってしまいました。

不安になるのは当然だよ。でも、数字で確かめられることと、一部の職場の話を分けて見ると、冷静に判断できるようになるね。
理学療法士の闇① 給料の伸び方と5年間の推移
厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の年収(きまって支給する給与×12+賞与で算出、概算)の推移を見てみましょう(企業規模10人以上の集計)。
| 調査年 | 平均年齢 | 年収(概算) |
|---|---|---|
| 令和3年 | 35.1歳 | 約427万円 |
| 令和4年 | 34.7歳 | 約431万円 |
| 令和5年 | 35.6歳 | 約433万円 |
| 令和6年 | 35.5歳 | 約444万円 |
| 令和7年 | 36.2歳 | 約444万円 |
5年間で約17万円の増加にとどまっています。令和7年の年齢別では、20〜24歳で約338万円、40〜44歳で約482万円、50〜54歳で約549万円でした。
給料が上がりにくい背景には、病院や介護事業所の収入の多くが、国が決める診療報酬や介護報酬で決まるという仕組みがあります。一人あたりが提供できるリハビリの量には上限があり、収入を大きく伸ばしにくいのです。
ただし、同じ調査でも企業規模や年齢によって差があり、令和7年は従業員1,000人以上の企業で約461万円、10〜99人の企業で約442万円でした。職場の規模や分野によって、給料の伸び方は変わります。
令和8年度の介護報酬の期中改定では、介護職員等処遇改善加算の対象が訪問リハビリテーションなどにも広がりました(訪問リハの加算率は1.5%)。制度の変化で、働く分野ごとの給与の差が変わる可能性もあります。
理学療法士の闇② 国の推計が示す供給過多
厚生労働省の理学療法士・作業療法士需給分科会(2019年)で示された需給推計(案)では、PT・OTの供給数はすでに需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるという結果が出ています。
同じ資料では、養成施設の数や定員が増え続けてきた一方で、国家試験の合格率が下がる傾向があり、養成の質の低下を指摘する意見があることも示されています。
- 病院の求人は、地域や時期によって競争が激しくなることがある
- 「資格があれば一生安泰」とは言い切れない
- 一方で、在宅や予防など、需要が広がる分野もある

供給が1.5倍になるなら、仕事がなくなってしまうんですか?

すぐに仕事がなくなるわけではないよ。ただ、選ばれる人とそうでない人の差は広がりやすくなる。だからこそ、強みをつくることが大切なんだ。
理学療法士の闇③ 無給の勉強会と長時間労働
「業務後の勉強会が実質強制で、残業代が出ない」という声もよく聞かれます。厚生労働省のガイドラインでは、参加が業務上義務づけられている研修や、使用者の指示で業務に必要な学習を行った時間は労働時間とされています。
また、「自主的な研修」とされていても、実際に使用者の指示のもとにある時間であれば、労働時間として扱わなければならないとされています。
参加しないと評価が下がる、欠席すると叱られるといった状況は、実質的に義務づけられている可能性があります。まずは記録を残し、上司や人事、必要に応じて労働基準監督署に相談しましょう。
理学療法士の闇④⑤ 上下関係と理想とのギャップ
上下関係が厳しい、意見が言いにくいといった人間関係の闇は、職場ごとの差がとても大きいものです。同じ病院の中でも、部署や上司で雰囲気は変わります。合わない環境で我慢を続けるより、異動や転職で環境を変えることで、仕事への気持ちが前向きになる人も少なくありません。
理想とのギャップも、多くのPTが感じる悩みです。「患者さん一人ひとりにじっくり関わりたい」と思っていても、担当数や算定のルールの中で時間が限られ、思うようなリハビリができないこともあります。
| ギャップ | 向き合い方 |
|---|---|
| 時間が足りない | 短い時間でも効果を出せる評価と目標設定を磨く |
| 改善が見えにくい | 生活の変化や維持できていることも成果として記録する |
| 意見が通らない | データや具体例を添えて、相手の困りごとに合わせて提案する |
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闇が少ない職場を見分けるチェックポイント
職場ごとの闇は、入職前の確認でかなり避けられます。見学や面接では、次の点を具体的に聞いてみましょう。
| 確認すること | 闇のサイン | 安心できるサイン |
|---|---|---|
| 勉強会・研修 | 業務後の参加が当然で、残業代の説明がない | 勤務時間内に実施、または参加が任意と明確 |
| 残業 | 「みんな残っている」と曖昧 | 月の平均残業時間を数字で答えられる |
| 給与 | 昇給の基準が説明されない | 評価の基準と昇給の実績が示される |
| 人の入れ替わり | 若手の退職が続いている | 中堅やベテランが長く働いている |
| 相談体制 | 困ったときに誰に相談するか決まっていない | 教育担当や定期的な面談がある |
質問しにくいと感じるかもしれませんが、働く条件を確認するのは当然のことです。答え方があいまいな場合は、ほかの職場と比べて慎重に判断しましょう。

面接で残業のことを聞くと、印象が悪くならないか心配です。

「長く働きたいので確認させてください」と前置きすれば大丈夫だよ。きちんと答えてくれる職場のほうが、入職後も安心できるね。
理学療法士の闇に振り回されないための備え
構造的な闇は、個人の力で変えることはできません。ただし、自分の働き方を選ぶことで、影響を小さくすることはできます。
- 強みとなる分野をつくる在宅、呼吸器、小児、予防など、専門性や経験を積める分野を意識して選びます。
- 給与の仕組みを確認する基本給、手当、賞与、昇給の基準を確認し、将来の収入の見通しを立てます。
- 労働時間のルールを知る研修や残業の扱いを確認し、無給の業務が当たり前の職場は避けます。
- 職場の外にもつながりを持つ勉強会や地域の活動に参加し、相談できる仲間や情報源をつくります。
- キャリアの選択肢を広げる管理職、教育、ケアマネジャー、一般企業など、将来の道を早めに考えておきます。
よくある質問
理学療法士は「やめとけ」と言われるのは本当ですか?
給料の伸び方や供給過多など、確かに知っておくべき課題はあります。一方で、在宅や予防など需要が広がる分野もあり、職場や働き方によって満足度は大きく変わります。
理学療法士の給料は今後上がりますか?
統計では、ここ数年はゆるやかな上昇にとどまっています。報酬改定の内容によって変わるため断定はできませんが、分野や職場、役職によって差が出やすくなっています。
闇の少ない職場はどう見分ければいいですか?
研修や残業の扱い、離職率、1日の担当数、給与の決め方などを見学や面接で確認しましょう。実際に働くスタッフの話を聞くと、雰囲気がよくわかります。
理学療法士の資格は、将来も役に立ちますか?
高齢化が進む中で、リハビリの専門職の役割はなくなりません。ただし、資格だけで安泰とは言い切れないため、経験と強みを積み重ねることが大切です。
訪問リハビリは闇が少ないと言われるのは本当ですか?
訪問リハビリは件数に応じた給与体系の事業所もあり、病院より収入を上げやすい場合があります。一方で、一人で判断する場面や移動の負担もあるため、教育体制や給与の仕組みを確認して選ぶことが大切です。
- 理学療法士の闇は、職種全体の構造の問題と、職場ごとの問題に分けて考える
- 年収(概算)は5年間で約427万円から約444万円と、伸びはゆるやか
- 国の推計では、2040年頃に供給数が需要数の約1.5倍になる見通し
- 業務上義務づけられた研修や学習の時間は労働時間にあたる
- 強みづくり、職場選び、キャリアの選択肢を広げることで影響を小さくできる
- 厚生労働省 理学療法士・作業療法士需給分科会(第3回)資料2「今後の方向性について」
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種別第5表)
- 厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種別第5表)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1「令和8年度介護報酬改定について」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

