中山間地域等における小規模事業所加算とは|訪問リハの10%加算

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中山間地域等における小規模事業所加算は、山間部や豪雪地帯、過疎地域などにある小さな事業所が訪問リハビリを提供したときに、基本報酬に10%を上乗せする加算です。移動に時間がかかり、利用者の数も限られる地域で、事業所がサービスを続けられるように設けられています。

ただ、対象地域の決まり方や「小規模」の基準、毎年3月の届出など、ほかの加算とは違う手順があります。この記事では、訪問リハビリの中山間地域等における小規模事業所加算について、対象地域・回数の基準・前年度実績の計算・届出・区分支給限度基準額との関係を、厚生労働省の告示と自治体の案内をもとに整理します。

この記事でわかること
  • 中山間地域等における小規模事業所加算とは何か(10%加算)
  • 対象地域の決まり方(告示の第1号)と特別地域加算との違い
  • 「小規模」の基準(訪問リハ月30回以下、予防月10回以下)
  • 前年度実績の計算方法と、毎年3月の届出
  • 区分支給限度基準額の対象外であることと、利用者への説明
目次

中山間地域等における小規模事業所加算とは

中山間地域等における小規模事業所加算とは、厚生労働大臣が定める中山間地域等に所在し、かつ規模が小さい訪問リハビリ事業所がサービスを提供した場合に、1回あたりの所定単位数に10%を加算するものです。訪問リハビリ(要介護)と介護予防訪問リハビリ(要支援)の両方にあります。

中山間地域等では、利用者の自宅が点在していて移動に時間がかかります。そのうえ利用者数も少ないため、都市部と同じ報酬では事業を続けにくくなります。この加算は、そうした地域でサービスを維持するために、事業所の運営を報酬で支える仕組みです。

項目内容
加算率所定単位数の10%
地域の要件厚生労働大臣が定める中山間地域等(告示第1号)に事業所が所在すること
規模の要件訪問リハビリ:1月あたり延訪問回数30回以下
介護予防訪問リハビリ:1月あたり延訪問回数10回以下
区分支給限度基準額対象外(限度額の計算に含めない)

厚生労働省の資料によると、この加算を算定している訪問リハビリ事業所は全体の約0.7%にとどまります(令和7年11月審査分、事業所ベース)。対象になる事業所は限られますが、該当する地域では事業の継続に関わる大事な加算です。

新人PT
新人PT

「中山間地域」って、山の中にある事業所なら全部対象なんですか?

ベテランPT
ベテランPT

見た目の地形で決まるわけじゃないんだ。豪雪地帯や過疎地域など、法律で指定された地域かどうかで決まる。さらに「特別地域加算の対象地域ではないこと」なども条件になるから、自治体の対象地域一覧で確認するのが確実だよ。

中山間地域等における小規模事業所加算の対象地域

対象地域は、「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域」(平成21年厚生労働省告示第83号)の第1号で決められています。条件は次の2つです。

  1. 1単位の単価が「その他」の地域であること地域区分(1級地〜7級地、その他)のうち「その他」の地域が対象です。ただし、特別地域加算の対象地域は除かれます。
  2. 次のいずれかに該当する地域であること豪雪地帯・特別豪雪地帯、辺地、半島振興対策実施地域、特定農山村地域、過疎地域のいずれかです。
根拠になる法律対象地域
豪雪地帯対策特別措置法豪雪地帯・特別豪雪地帯
辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律辺地
半島振興法半島振興対策実施地域
特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律特定農山村地域
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法過疎地域

特別地域加算との違い

よく似た加算に、離島や振興山村などを対象にした「特別地域加算(15%)」があります。2つの加算は対象地域が重ならないように決められていて、特別地域加算の対象地域にある事業所は、中山間地域等における小規模事業所加算の対象外です。また、特別地域加算には事業所の規模の要件がありませんが、小規模事業所加算は回数の基準を満たす必要があります。

加算加算率要件
特別地域加算15%離島・振興山村など特別地域に事業所(またはサテライト)がある
中山間地域等における小規模事業所加算10%中山間地域等(第1号)に事業所がある+小規模
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算5%中山間地域等(第2号)に住む利用者に、通常の事業の実施地域を越えて提供

どの市町村・どの旧町村が対象になるかは、都道府県が一覧で公表しています。たとえば大阪府では、特定農山村地域と過疎地域に当たる一部の町村が対象として示されています。市町村の全域ではなく、旧村の区域だけが対象になっている場合もあるため、事業所の住所で確認しましょう。

小規模事業所の基準と算定要件

訪問リハビリは月30回以下、予防は月10回以下

「小規模」かどうかは、事業所全体の1月あたりの延訪問回数で判断します。

サービス小規模事業所の基準
訪問リハビリテーション1月あたりの延訪問回数が30回以下
介護予防訪問リハビリテーション1月あたりの延訪問回数が10回以下

訪問リハビリと介護予防訪問リハビリは、それぞれの回数で判断します。どちらか一方だけが基準を満たす場合もあります。

回数は前年度の月平均で計算する

延訪問回数は、その月の実績ではなく、原則として前年度の実績の月平均で判断します。自治体の案内では、次のように整理されています。

事業所の状況判断に使う実績
前年度の実績が6か月以上ある前年度(4月〜2月。3月を除く)の1月あたりの平均延訪問回数
前年度の実績が6か月未満(新規開設など)直近3か月の1月あたりの平均延訪問回数
新人PT
新人PT

年度の途中で利用者が増えて30回を超えたら、すぐ算定できなくなるんですか?

ベテランPT
ベテランPT

原則は前年度の平均で翌年度の算定可否が決まる仕組みだから、毎年3月に前年度の実績を計算して判断するんだ。新規開設の事業所は直近3か月で判断するなど扱いが違うから、自治体の案内をよく読んでおこう。

中山間地域等における小規模事業所加算の単位数

加算は、1回あたりの所定単位数の10%です。基本報酬だけで計算した場合の目安は次のとおりです。

区分基本報酬加算(10%)の目安
訪問リハビリ(要介護)308単位/回約31単位/回
介護予防訪問リハビリ(要支援)298単位/回約30単位/回

※所定単位数には、ほかの加算・減算の扱いや端数処理が関わるため、上の表は目安です。実際の請求は単位数表と請求ソフトの計算に従ってください。

月30回以下の事業所であれば、加算額は月に最大でも1,000単位程度です。金額だけを見ると大きくありませんが、利用者の少ない地域で事業を続けるうえでは、貴重な収入になります。

届出の方法と注意点

算定開始の前月15日までに体制届を出す

この加算は、体制等に関する届出(体制届)が必要です。新潟県の案内では、算定しようとする月の前月15日までに届出が必要とされ、翌年度から新たに算定する場合は3月15日までに届け出るよう求めています。届出の締切は指定権者によって異なることがあるため、所在地の都道府県・市町村の案内で確認してください。

毎年3月に前年度の実績を確認する

前年度の実績で翌年度の算定可否が決まるため、毎年3月に前年度(4月〜2月)の延訪問回数を集計します。

  • 新たに算定する場合:前年度の平均が基準以下になったら、期限までに体制届を出す
  • 算定をやめる場合:前年度の平均が基準を超えたら、速やかに届け出て翌年度から算定しない
  • 計算の根拠を残す:月ごとの延訪問回数と平均の計算表を保存しておく
注意

回数が基準を超えたのに届け出ず算定を続けると、過誤調整(返還)の対象になります。利用者が増えた年度ほど、3月の確認を忘れないようにしましょう。

区分支給限度基準額の対象外

中山間地域等における小規模事業所加算は、特別地域加算や中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算と同じく、区分支給限度基準額の計算に含めない加算です。交通の便が悪い地域で事業所の経営を安定させるという政策上の配慮から、限度額の外に置かれています。

そのため、この加算によって利用者が使えるサービスの量が減ることはありません。ただし、加算分は利用者の自己負担(1〜3割)に反映されます。利用者・家族には、重要事項説明書などで事前に説明し、同意を得ておきましょう。

新人PT
新人PT

利用者さんにとっては、負担が少し増えるんですね。

ベテランPT
ベテランPT

そうだね。だから契約のときに「この地域では10%の加算がある」ことを、理由とあわせて説明しておくのが大切。あとから請求書を見て驚かれることがないようにしたいね。

運営指導に向けて準備しておく記録

準備するもの確認されるポイント
体制届の控え算定開始前に、期限までに届出が行われているか
事業所所在地が対象地域であることの確認資料都道府県の対象地域一覧などで、所在地が第1号の地域に当たるか
月別の延訪問回数の集計表前年度(3月を除く)の平均、または直近3か月の平均で正しく計算されているか。訪問リハと予防を分けて計算しているか
重要事項説明書・契約書加算の内容と利用者負担が説明され、同意を得ているか

中山間地域の訪問リハビリで大切にしたいこと【実践編】

中山間地域等の訪問リハビリは、報酬の仕組みだけでなく、現場の働き方にも特徴があります。

  • 移動計画を立てる:訪問先が点在するため、地区ごとに曜日をまとめるなど、移動時間を減らすスケジュールを組む
  • 冬の訪問に備える:豪雪地帯では、積雪や路面凍結で訪問が難しくなる日がある。代わりの日程や家族への連絡方法を事前に決めておく
  • 地域の資源をつなぐ:通所サービスや通いの場が少ない地域こそ、近所の人や民生委員、地域の集まりなど、生活の中で続けられる活動を一緒に探す
  • 家族・介護職への指導を厚くする:訪問の回数が限られる分、家族やほかのサービスの職員に、自主トレーニングや介助の方法を伝えておく

中山間地域等に住む利用者へ、通常の事業の実施地域を越えて訪問する場合は、別の加算(5%)の対象になることがあります。詳しくは関連記事をご覧ください。

よくある質問

特別地域加算と中山間地域等における小規模事業所加算は、両方算定できますか?

できません。中山間地域等における小規模事業所加算の対象地域(告示第1号)は、特別地域加算の対象地域を除いて決められているため、同じ事業所が両方の対象になることはありません。

訪問リハビリは月35回、予防は月8回の場合はどうなりますか?

訪問リハビリは30回を超えるため対象外ですが、介護予防訪問リハビリは10回以下のため、ほかの要件を満たせば予防のみ算定できると考えられます。訪問リハと予防は、それぞれの基準で判断します。

新しく開設した事業所でも算定できますか?

前年度の実績が6か月未満の場合は、直近3か月の平均延訪問回数で判断する扱いが示されています。開設直後の届出のタイミングは、指定権者の案内を確認してください。

この加算は区分支給限度基準額に含まれますか?

含まれません。特別地域加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算と同じく、区分支給限度基準額の対象外です。ただし、加算分は利用者の自己負担に反映されます。

まとめ
  • 中山間地域等における小規模事業所加算は、中山間地域等にある小規模な事業所の訪問リハビリに10%を加算するもの
  • 対象地域は告示第1号。地域区分「その他」の地域のうち、豪雪地帯・辺地・半島・特定農山村・過疎地域。特別地域加算の対象地域は除く
  • 小規模の基準は、訪問リハ月30回以下、予防月10回以下(事業所全体の延訪問回数)
  • 原則は前年度(3月を除く)の月平均で判断。毎年3月の確認と体制届を忘れない
  • 区分支給限度基準額の対象外。利用者負担には反映されるため事前に説明する

採用・管理・運営指導など学びたい人向け

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