中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算|訪問リハ5%

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中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、山間部や離島、過疎地域などに住む利用者のもとへ、事業所が「通常の事業の実施地域」を越えて訪問リハビリを提供したときに、1回あたり5%を上乗せする加算です。遠くまで訪問する事業所の負担を報酬で補い、利用者がサービスを受けられるようにするためのものです。

この加算は、交通費の扱いや「通常の事業の実施地域」との関係を正しく理解しないと、請求の誤りにつながります。この記事では、対象地域・算定要件・単位数・交通費を受け取れないルール・区分支給限度基準額との関係を、厚生労働省の告示・通知をもとに整理します。

この記事でわかること
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算とは何か(5%加算)
  • 対象地域(告示第2号)と、ほかの2つの地域加算との違い
  • 「通常の事業の実施地域を越えて」の意味
  • 加算を算定する利用者からは交通費を受け取れない
  • 届出・利用者への説明・運営指導の準備
目次

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算とは

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算とは、厚生労働大臣が定める中山間地域等に住んでいる利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えて訪問リハビリを提供した場合に、1回につき所定単位数の5%を加算するものです。訪問リハビリ(要介護)と介護予防訪問リハビリ(要支援)の両方にあります。

ほかの地域加算が「事業所の場所」で決まるのに対して、この加算は利用者が住んでいる場所で決まるのが特徴です。事業所が都市部にあっても、実施地域の外にある中山間地域等の利用者を訪問すれば対象になり得ます。

項目内容
加算率1回につき所定単位数の5%
地域の要件利用者が、厚生労働大臣が定める中山間地域等(告示第2号)に住んでいる
提供の要件通常の事業の実施地域を越えて訪問リハビリを提供する
交通費この加算を算定する利用者からは受け取れない
区分支給限度基準額対象外

厚生労働省の資料では、訪問リハビリでこの加算を算定している事業所は約3.6%、介護予防訪問リハビリでは約3.1%です(令和7年11月審査分、事業所ベース)。

新人PT
新人PT

事業所の場所じゃなくて、利用者さんの住所で決まるんですね。

ベテランPT
ベテランPT

そう。だから事業所の所在地が中山間地域でなくても関係するんだ。ポイントは「利用者の住所が対象地域か」と「その住所が自分の事業所の通常の事業の実施地域の外か」の2つだよ。

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の対象地域

対象地域は、「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域」(平成21年厚生労働省告示第83号)の第2号で決められています。次のいずれかに該当する地域です。

根拠になる法律対象地域
離島振興法離島振興対策実施地域
奄美群島振興開発特別措置法奄美群島
豪雪地帯対策特別措置法豪雪地帯・特別豪雪地帯
辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律辺地
山村振興法振興山村
小笠原諸島振興開発特別措置法小笠原諸島
半島振興法半島振興対策実施地域
特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律特定農山村地域
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法過疎地域
沖縄振興特別措置法沖縄の離島

小規模事業所加算の対象地域(告示第1号)と比べると、離島や振興山村なども含む広い範囲になっています。また、第1号のような「地域区分がその他の地域」という条件もありません。具体的な対象の市町村・旧町村は、都道府県が公表している一覧で確認してください。

3つの地域加算の違い

加算加算率判断の基準
特別地域加算15%事業所(またはサテライト)の所在地が特別地域
中山間地域等における小規模事業所加算10%事業所の所在地が中山間地域等(第1号)+小規模
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算5%利用者の住所が中山間地域等(第2号)+実施地域を越えて提供

算定要件|「通常の事業の実施地域を越えて」とは

この加算の要件で最も大切なのが、通常の事業の実施地域を越えて提供することです。通常の事業の実施地域とは、事業所が運営規程に定めている、ふだんサービスを提供する地域のことです。運営規程の記載事項として、指定基準で定められています。

  1. 利用者の住所が対象地域か確認する都道府県の一覧で、利用者の住所(旧町村の区域を含む)が告示第2号の地域に当たるか確認します。
  2. 運営規程の実施地域を確認する利用者の住所が、自分の事業所の運営規程に書かれた「通常の事業の実施地域」の外にあるか確認します。
  3. どちらも当てはまれば算定できる対象地域に住み、かつ実施地域の外の利用者であれば、1回ごとに5%を加算します。
注意

利用者が中山間地域等に住んでいても、その住所が自分の事業所の実施地域の内側であれば、この加算は算定できません。実施地域を変更する場合は運営規程の変更と届出が必要になるため、加算だけを目的に実施地域を変えるのではなく、実際にサービスを提供できる範囲として適切に定めましょう。

新人PT
新人PT

実施地域の外の利用者さんだと、交通費をもらうことが多いですよね。

ベテランPT
ベテランPT

普通はそうだね。でも、この加算を算定する利用者からは交通費を受け取れないんだ。ここが一番間違えやすいところだから、次で詳しく見ていこう。

加算を算定する利用者からは交通費を受け取れない

訪問リハビリの事業所は、通常の事業の実施地域の外に住む利用者を訪問する場合、あらかじめ説明して同意を得たうえで、移動にかかる交通費の支払いを受けることができます(指定居宅サービス等基準 第78条第3項)。

しかし留意事項通知では、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を算定する利用者からは、この交通費の支払いを受けることはできないとされています(訪問介護と同様の扱いとして、訪問リハビリにも準用)。加算が、遠くまで訪問する負担を評価するものだからです。

ケース加算交通費
実施地域の外で、中山間地域等(第2号)に住む利用者5%加算を算定できる受け取れない(加算を算定する場合)
実施地域の外で、中山間地域等ではない地域に住む利用者算定できない説明・同意のうえ実費を受け取れる
実施地域の内側に住む利用者算定できない受け取れない

加算と交通費のどちらを選ぶかを事業所が自由に決められるわけではない点にも注意が必要です。扱いに迷う場合は、指定権者に確認しておきましょう。交通費の基本的なルールは、関連記事「訪問リハビリの交通費は請求できる?」で詳しく解説しています。

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の単位数

区分基本報酬加算(5%)の目安
訪問リハビリ(要介護)308単位/回約15単位/回
介護予防訪問リハビリ(要支援)298単位/回約15単位/回

※所定単位数の範囲や端数処理によって変わるため、上の表は目安です。実際の請求は単位数表と請求ソフトの計算に従ってください。

この加算は、区分支給限度基準額の計算に含めない加算です。そのため、加算によって利用者が使えるサービスの量が減ることはありません。ただし、加算分は利用者の自己負担に反映されるため、契約時に説明して同意を得ておきましょう。

届出と運営指導の準備

体制届の扱いは指定権者に確認する

介護給付費算定に係る体制等の届出(体制届)の様式には、地域加算に関する項目があります。この加算の届出が必要かどうか、どの項目に記入するかは、指定権者の案内を確認してください。

運営指導で確認される記録

準備するもの確認されるポイント
運営規程通常の事業の実施地域が明記され、利用者の住所がその外にあるか
利用者の住所と対象地域の確認資料住所が告示第2号の地域に当たることを、都道府県の一覧などで確認しているか
重要事項説明書・契約書加算の内容と利用者負担を説明し、同意を得ているか
利用料の請求・領収の記録加算を算定している利用者から交通費を受け取っていないか

遠方の利用者を訪問するときの工夫【実践編】

実施地域の外にある中山間地域等への訪問は、移動に時間がかかり、天候の影響も受けやすくなります。PT・OT・STとして、次のような工夫を意識しましょう。

  • 訪問の目的をはっきりさせる:回数が限られやすいため、計画書の目標を具体的にし、1回ごとの訪問で何を確認・指導するかを決めておく
  • 自主トレーニングと家族指導を充実させる:訪問のない日にも続けられる運動や、家族ができる介助の方法を、写真やイラスト入りの資料で残す
  • 地域の資源と連携する:近くの診療所、地域包括支援センター、民生委員など、ふだん利用者を見守っている人と情報を共有する
  • 悪天候時の対応を決めておく:豪雪や大雨で訪問できないときの連絡方法や振替の考え方を、利用者・家族・ケアマネジャーと共有しておく
新人PT
新人PT

遠い分、1回の訪問を大事にしないといけないですね。

ベテランPT
ベテランPT

そうだね。移動に時間がかかる地域ほど、訪問の合間をどうつなぐかが大事になる。家族や地域の人を巻き込んで、訪問のない日も生活の中でリハビリが続くようにしよう。

よくある質問

中山間地域等に住んでいる利用者なら、必ず算定できますか?

できません。利用者の住所が事業所の通常の事業の実施地域の外にあることも要件です。実施地域の内側に住む利用者には算定できません。

加算を算定せずに、交通費を受け取ることはできますか?

通知では「加算を算定する利用者からは交通費を受け取れない」とされています。算定するかどうかの考え方や、どちらかを選ぶ運用が認められるかは、指定権者によって案内が異なる可能性があるため、事前に確認してください。

中山間地域等における小規模事業所加算と同時に算定できますか?

小規模事業所加算は事業所の所在地と規模、居住者加算は利用者の住所と実施地域で判断する別の加算です。同時算定の可否は、指定権者の手引きやQ&Aで確認しましょう。

この加算は区分支給限度基準額に含まれますか?

含まれません。特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算と同じく、区分支給限度基準額の対象外です。

まとめ
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、中山間地域等に住む利用者へ、通常の事業の実施地域を越えて提供した場合の5%加算
  • 対象地域は告示第2号。離島・奄美・豪雪・辺地・振興山村・小笠原・半島・特定農山村・過疎・沖縄の離島
  • 判断の基準は事業所ではなく利用者の住所。実施地域の内側なら算定できない
  • 加算を算定する利用者からは交通費を受け取れない
  • 区分支給限度基準額の対象外。利用者負担には反映されるため事前に説明する

採用・管理・運営指導など学びたい人向け

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