【利用者視点】訪問リハビリのメリット・デメリットとデイケアとの違い

「訪問リハビリとデイケア、どっちがいいの?」「家に来てもらうリハビリって、実際どうなの?」——介護が必要になった家族のリハビリを考えるとき、訪問リハビリにするか、通所のサービスにするかで迷う人は多いものです。
この記事では、利用者・家族の視点から、訪問リハビリのメリットとデメリットを整理します。通所リハビリ(デイケア)との違いや、訪問リハビリが向いている人・向いていない人、デメリットを補う使い方まで解説するので、サービス選びの参考にしてください。
- 利用者視点で見た訪問リハビリのメリット
- 利用者視点で見た訪問リハビリのデメリット
- 通所リハビリ(デイケア)との違い
- 訪問リハビリが向いている人・向いていない人
- デメリットを補う上手な使い方
訪問リハビリとは
訪問リハビリは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅を訪問し、事業所の医師の指示にもとづいてリハビリを行う介護保険のサービスです。要介護・要支援の認定を受け、通院が困難な人や、自宅でのリハビリが必要な人が利用できます。費用は1回(20分以上)308単位(介護予防は298単位)で、自己負担は原則1割です。
利用者視点で見た訪問リハビリのメリット
| メリット | 具体例 |
|---|---|
| ① 自宅の環境でリハビリができる | 実際に使うトイレ・浴室・玄関・ベッドで練習でき、生活に直結する |
| ② 外出の負担がない | 送迎や待ち時間がなく、体力に不安がある人や外出が難しい人でも受けられる |
| ③ 1対1でじっくり関わってもらえる | 集団の中ではなく、本人のペースに合わせた個別のリハビリが受けられる |
| ④ 家族が一緒に介助方法を学べる | 家族が実際の場面で、介助のしかたや見守りのポイントを教わることができる |
| ⑤ 住まいの改善の助言がもらえる | 手すりの位置、段差、家具の配置、福祉用具の選び方を、家を見て提案してもらえる |
| ⑥ 退院直後から生活を立て直せる | 病院と自宅の環境の違いに合わせて、早い段階から練習と環境調整ができる |

自宅でのリハビリって、病院のリハビリ室より効果があるんですか?

筋力をつけるような訓練は、機器のそろった場所のほうがやりやすいこともある。でも、「自分の家のトイレに一人で行ける」といった生活の動作は、実際の環境で練習するのが一番。どちらが良いかは、目的によって変わるんだ。
利用者視点で見た訪問リハビリのデメリット
| デメリット | 具体例 |
|---|---|
| ① 人との交流が少ない | ほかの利用者と話したり、刺激を受けたりする機会が少ない |
| ② 使える機器や道具が限られる | 病院やデイケアのような訓練機器は使えない |
| ③ 時間が短い | 1回20〜60分程度が一般的で、入浴や食事などのサービスはない |
| ④ 家族の負担を減らす時間にはなりにくい | デイケアのように日中に家族が休める時間にはならない |
| ⑤ 自宅に人が入ることへの抵抗 | 家の中を見られることや、片づけが気になる人もいる |
| ⑥ 事業所が近くにない場合がある | 地域によっては訪問リハビリ事業所が少なく、希望どおりに利用できないことがある |
通所リハビリ(デイケア)との違い
| 比較項目 | 訪問リハビリ | 通所リハビリ(デイケア) |
|---|---|---|
| 場所 | 自宅 | 病院・介護老人保健施設などの施設 |
| 時間 | 1回20分以上(20〜60分程度が多い) | 数時間〜1日(送迎あり) |
| 関わり方 | 1対1の個別リハビリ | 個別リハビリと集団での活動 |
| 得意なこと | 自宅での生活動作、環境調整、家族への指導 | 体力づくり、交流、入浴・食事などのサービス |
| 家族の休息 | なりにくい | 利用中は家族が休める |
制度上は、通院や通所で同じリハビリが受けられる場合は、通所系サービスが優先されるという考え方があります。一方で、通所リハビリだけでは自宅でのADLの自立が難しい場合などは、ケアマネジメントの結果必要と判断されれば、訪問リハビリを利用できます。両方を組み合わせて使うことも可能です。
訪問リハビリの費用の目安
訪問リハビリの費用は、回数と加算、地域区分、自己負担割合によって決まります。1割負担の場合のおおよその目安は次のとおりです(1単位10円として計算した概算。加算や地域による差は含みません)。
| 利用のしかた | 月の自己負担の目安(1割) |
|---|---|
| 週1回・1回40分(20分×2回) | 約2,500円(308単位×2回×4週) |
| 週2回・1回40分(20分×2回) | 約4,900円(308単位×2回×8回) |
実際には、リハビリテーションマネジメント加算などの加算が加わることが多く、地域区分によって1単位あたりの金額も変わります。正確な金額は事業所の重要事項説明書で確認しましょう。介護保険のサービス全体で区分支給限度基準額を超えた分は、全額自己負担になる点にも注意が必要です。
利用者・家族によくある悩みと解決の例
| 悩み | 解決の例 |
|---|---|
| 「訪問の日しか運動しない」 | 担当者に、毎日できる簡単な運動と記録表を作ってもらい、家族と一緒に取り組む |
| 「家にばかりいて気分が沈む」 | 外出練習を目標に入れ、デイケアや地域の通いの場への参加を検討する |
| 「家族が介護に疲れている」 | ケアマネジャーに相談し、デイケアやショートステイの利用を組み合わせる |
| 「いつまで続けるのかわからない」 | 計画書で目標と見直しの時期を確認し、達成したら終了・移行することを話し合う |
訪問リハビリが向いている人・向いていない人
向いている人
- 退院直後で、自宅での生活に不安がある人
- 体力や病状の理由で、外出や通所が難しい人
- トイレや入浴など、自宅の環境での動作に課題がある人
- 家族が介助方法を学びたいと考えている人
- 集団の場が苦手で、個別の関わりを望む人
向いていない(ほかのサービスも検討したい)人
- 外出ができ、体力づくりや交流を目的にしている人
- 家族の介護負担を減らすため、日中に預けられるサービスを必要としている人
- 入浴や食事のサービスもあわせて受けたい人
訪問リハビリとデイケアは「どちらか一方」ではなく、目的に応じて組み合わせたり、時期によって切り替えたりするものと考えると、選びやすくなります。
デメリットを補う上手な使い方【実践編】
- 目的と期間を決めて使う「1か月で家の中を一人で歩けるようにする」など目標を決め、達成したらデイケアなどへ移行する計画にします。
- デイケアや通いの場と組み合わせる交流や体力づくりは通所で、自宅の動作練習は訪問で、と役割を分けます。
- 自主練習を続ける訪問のない日に行う運動や動作の練習を教わり、家族と一緒に続けます。
- 家族も積極的に参加する訪問の時間に家族が同席し、介助方法や注意点を一緒に確認します。
- 困りごとは遠慮なく伝える「家の中を見られるのが気になる」なども含め、気になることはケアマネジャーや担当者に相談します。
訪問リハビリの利用開始から終了までの流れ
- ケアマネジャーに相談困っていることや、リハビリでできるようになりたいことを伝えます。
- 事業所の医師の診療訪問リハビリ事業所の医師が診療し、リハビリの内容や注意点を指示します。
- 計画の説明と契約目標や内容が書かれた計画書の説明を受け、同意して契約します。
- 訪問リハビリの開始と見直し開始からおおむね2週間で見直し、その後もおおむね3か月ごとに目標の達成状況を確認します。
- 終了・移行目標を達成したら終了し、必要に応じてデイケアや地域の活動に移行します。
よくある質問
訪問リハビリはどのくらいの頻度で受けられますか?
介護保険では、1回20分以上を1回として、原則週6回まで利用できます(退院・退所から3月以内は医師の指示で週12回まで)。実際の回数は、ケアプランと区分支給限度基準額の範囲で決まり、週1〜2回の利用が多い傾向です。
訪問リハビリの時に、部屋を片づけておく必要はありますか?
普段の生活の様子を見ることもリハビリの一部なので、特別に片づける必要はありません。ただし、歩く通路やリハビリをする場所に物があると危ないため、安全のための整理は担当者と相談しながら進めるとよいでしょう。
訪問リハビリを始めるには、どこに相談すればよいですか?
担当のケアマネジャー(要支援の人は地域包括支援センターなど)に相談しましょう。要介護認定を受けていない場合は、市町村の窓口や地域包括支援センターで申請の相談ができます。
訪問リハビリとデイケアを両方使うことはできますか?
ケアプランに位置づけられれば、併用することは可能です。訪問リハビリでは自宅での動作練習や環境調整、デイケアでは体力づくりや交流と、目的を分けて使うと効果的です。
担当のリハ職と相性が合わない場合はどうすればよいですか?
遠慮せずにケアマネジャーや事業所の管理者に相談しましょう。担当者の変更や、関わり方の工夫を検討してもらえます。気持ちよくリハビリを続けられることも、効果を出すための大切な条件です。
まとめ|訪問リハビリは「自宅の生活」に強いサービス
訪問リハビリは、自宅の環境で1対1のリハビリが受けられ、家族への指導や住まいの改善の助言も受けられる、自宅の生活に強いサービスです。一方で、交流の少なさや時間の短さ、家族の休息にはなりにくいといったデメリットもあります。目的と期間を決め、デイケアや通いの場と組み合わせて上手に活用しましょう。迷ったときは、ケアマネジャーに「何のためのリハビリか」を伝えて相談するのが近道です。
- 訪問リハビリのメリットは自宅の環境で1対1のリハビリが受けられること
- 家族への介助指導や住まいの改善の助言が受けられるのも強み
- デメリットは交流の少なさ、機器の制約、時間の短さ、家族の休息になりにくいこと
- デイケアとは得意なことが違い、組み合わせて使うこともできる
- 目的と期間を決め、達成したら通所系などへ移行する使い方がおすすめ
- 費用は加算や地域区分で変わるため、重要事項説明書で確認する
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第258回)資料3「通所リハビリテーション」
- 浜松市「令和7年度介護サービス事業者説明会 サービス個別D(介護予防)訪問リハビリテーション」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

