訪問リハビリで行う物理療法とは?種類・効果・注意点を徹底解説

訪問リハビリは、自宅で生活する高齢者や障害を持つ方の心身機能を維持・改善するためのサービスです。
理学療法士・作業療法士が自宅に訪問してリハビリを提供しますが、その中で注目されるのが物理療法です。
物理療法は、温熱・電気・光・水など物理的なエネルギーを利用して痛みを和らげたり、血流を改善したりする方法です。
では、訪問リハビリにおいて物理療法はどのように活用されているのでしょうか?
本記事では、訪問リハビリで行う物理療法の種類や効果、注意点を詳しく解説します。
利用者や家族、ケアマネジャーにとって役立つ内容です。
物理療法とは?
物理療法(physical therapy modalities)とは、物理的な刺激を身体に与えることで、生理的な反応を引き出し、症状の改善を目指すリハビリ方法です。
- 温熱療法:温めて血流を促進し、痛みやこわばりを軽減する
- 寒冷療法:冷やして炎症や腫れを抑える
- 電気療法:筋肉や神経に電気刺激を与えて筋力維持や鎮痛を図る
- 水治療法:温浴や渦流浴で関節を動かしやすくする
病院やクリニックのリハビリ室で多く行われていますが、訪問リハビリにおいても一部の物理療法は導入可能です。
訪問リハビリで行える物理療法の種類
1. 温熱療法
- ホットパックや蒸しタオルを使用
- 筋肉や関節を温め、血流改善や痛みの緩和に効果的
- 関節可動域訓練の前に行うと動かしやすくなる
2. 寒冷療法

- 保冷剤やアイスパックを使用
- 急性の炎症や腫脹がある場合に有効
- 関節痛や捻挫などに使われるが、高齢者では低温やけどに注意
3. 電気刺激療法(低周波・TENS)
- 携帯型の低周波治療器を使用するケースあり
- 神経痛や慢性腰痛、筋力低下の改善に効果が期待できる
- 医師の指示や適切な管理のもとで行われる必要がある
4. 簡易的な温浴療法

- 自宅での足浴や手浴を利用
- リハビリ前に温めることで関節や筋肉を動かしやすくなる
- リラクゼーションや精神的安定にも効果あり
訪問リハビリで物理療法を行うメリット
1. 痛みの軽減
物理療法を行うことで、慢性腰痛や関節痛の緩和が期待できます。痛みが減るとリハビリへの意欲も高まります。
2. 関節可動域の改善
温熱療法などで筋肉を緩めると、関節可動域訓練(ROM運動)が行いやすくなり、機能維持に役立ちます。
3. 筋力維持・促通
電気刺激療法を取り入れることで、寝たきりや廃用症候群の利用者でも筋力を維持しやすくなります。
4. 精神的リラックス効果
温熱や水治療法は心身をリラックスさせ、不安や緊張の軽減にもつながります。
訪問リハビリで物理療法を導入する際の注意点
医師の指示が必要
訪問リハビリは医師の指示書に基づいて行われます。物理療法を導入する場合も、必ず医師の許可や指示が必要です。
機器の使用制限
訪問リハビリでは、大型機器(赤外線、渦流浴など)を持ち込むことは難しいため、簡易的な方法が中心となります。
安全管理が重要
高齢者は感覚が鈍くなっていることが多く、やけどや凍傷のリスクがあります。施術中は皮膚状態や体調をこまめに確認する必要があります。
保険制度の制約
介護保険・医療保険での訪問リハビリには制約があり、物理療法はあくまで補助的に行われます。主軸は運動療法や日常生活動作訓練です。
訪問リハビリで物理療法を活用する実例
- 変形性膝関節症の利用者
訪問時にホットパックで膝関節を温めた後に関節運動を行い、可動域の改善と痛みの軽減が得られた。 - 脳梗塞後の麻痺患者
低周波治療器を用いて筋肉を刺激し、廃用性萎縮の予防と筋収縮の促通を図った。 - 在宅療養中の高齢者
足浴を取り入れることで血流改善とリラクゼーション効果が得られ、夜間の安眠にもつながった。
訪問リハビリにおける物理療法の位置づけ
訪問リハビリでの物理療法は、病院で行うような本格的な治療機器を用いたものではなく、補助的な役割として活用されます。
基本は運動療法・動作訓練・生活指導であり、物理療法はそれらを効果的に行うための前準備や補助という位置づけです。
まとめ
訪問リハビリにおける物理療法は、
- 温熱療法
- 寒冷療法
- 簡易的な電気刺激療法
- 足浴などの温浴療法
といった形で実施され、痛みの軽減・関節可動域改善・筋力維持・リラックス効果が期待できます。
ただし、機器の制約や安全管理、保険制度の限界があるため、物理療法はあくまで補助的手段です。主軸は運動療法や生活動作訓練であることを理解したうえで、バランスよく取り入れることが大切です。
訪問リハビリを受ける方や家族、ケアマネジャーは、物理療法の特徴を理解して上手に活用することで、在宅生活の質を高めることができるでしょう。