医療保険の訪問リハビリを徹底解説!(条件・料金・回数・対象疾患など)

「医療保険の訪問リハビリって、そもそも何?」「介護保険の訪問リハとどう違うの?」——訪問リハビリには医療保険と介護保険の2つがあり、医療保険のほうは特に分かりにくいと感じる方が多いものです。
この記事では、医療保険の訪問リハビリ(C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)について、対象となる条件・料金・回数・対象疾患・介護保険との違いまで、制度をわかりやすく解説します。
- 医療保険の訪問リハビリ(C006)とは何か
- 医療保険の訪問リハビリを受けられる条件と算定要件
- 料金(点数)・指示書・利用できる回数
- 対象疾患・よくある対象者
- 医療保険と介護保険の訪問リハビリの違い
医療保険の訪問リハビリとは?
医療保険の訪問リハビリは、正式には「C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」といいます。
提供できるのは病院・診療所のみです(介護老人保健施設や介護医療院などからは提供できません)。
正直なところ、医療保険の訪問リハビリは「提供しにくく・利用しにくい」サービスです。算定要件が厳しく、対象となる人がかなり限られているためです。順に詳しく見ていきましょう。
医療保険の訪問リハビリを受けられる条件
医療保険の訪問リハビリを受けられるのは、原則として次の「パターン①」に当てはまる人です。
| パターン | 条件 |
|---|---|
| パターン①(原則) | 下記をすべて満たす場合:①在宅で療養している ②介護保険の認定を受けていない ③通院が困難(原則、訪問診療を受けている/例外あり) ④毎月の(訪問)診療がある(例外あり) |
| パターン②(例外的) | 要支援・要介護の認定を受けているが、バーセル指数またはFIMが5点以上悪化し、頻回のリハビリが必要と医師が認めた場合に、一定期間に限り可能 |
ポイントは、介護保険の認定を受けていない人が対象という点です。介護保険の認定を受けている人は、原則として介護保険の訪問リハビリが優先されます。

医療保険の訪問リハって、あまり見かけないと思っていました。

そう、対象がとても狭いんだ。多くの高齢者は介護保険の認定を受けているから、介護保険の訪問リハになる。医療保険は「介護保険を使えない人」のための制度と覚えておこう。
医療保険の訪問リハビリの算定要件・ポイント
C006の算定要件は厚生労働省の通知で細かく定められています。実務上、特に押さえておきたいポイントを整理します。
- 医師の診療にもとづき、計画的な医学管理のもとで行う
- その医療機関に所属する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を訪問させ、20分以上の指導で「1単位」
- 訪問診療を行う医療機関で、医師の診療があった日から1か月以内に行うのが原則
- 他の医療機関でC006を算定している患者については算定できない
- 介護老人保健施設で通所リハビリを受けている月は算定できない
- 医師は指示内容の要点を診療録に記載し、PT・OT・STは指導内容の要点と時間を記録する
診療報酬の算定要件や点数は、改定によって変更されることがあります。実際の算定にあたっては、必ず厚生労働省の最新の診療報酬点数表・通知、および担当の地方厚生局の案内で確認してください。
医療保険の訪問リハビリの料金(点数)
C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料(1単位)の点数は、次のとおりです(令和6年度診療報酬改定時点)。
| 区分 | 点数(1単位=20分) |
|---|---|
| 同一建物居住者以外の場合 | 300点 |
| 同一建物居住者の場合 | 255点 |
診療報酬は「1点=10円」で計算します。同一建物居住者以外の場合、20分の訪問で300点=3,000円、40分(2単位)で6,000円、60分(3単位)で9,000円が目安です(自己負担割合に応じた額を負担します)。なお、訪問にかかった交通費は患家の負担(実費)とされています。
医療保険の訪問リハビリと指示書
医療保険の訪問リハビリでは、厳密には「指示書」という決まった書式は必須ではありません。ただし、医師の指示そのものは必ず必要です。
そのため、指示があったことを記録として残す意味で、「指示書」という形をとっておくことをおすすめします。様式に決まりはないため、事業所オリジナルのもので問題ありません。
医療保険の訪問リハビリの利用できる回数
| 場面 | 回数の限度 |
|---|---|
| 原則 | 週6単位(1単位20分=週120分)まで |
| 退院日から3か月以内 | 入院先の医師の指示にもとづき、週12単位(週240分)まで |
| 急性増悪等で頻回の指導が必要なとき | 6か月に1回、診療日から14日以内の期間で、14日を限度に1日4単位まで |
なお、末期の悪性腫瘍の患者の場合は、週6単位の限度の例外とされています。
医療保険の訪問リハビリの対象疾患・よくある対象者
医療保険の訪問リハビリの対象になりやすいのは、64歳以下で、介護保険の16の特定疾病以外の疾患により、訪問診療が必要なほど重度の状態にある人です。
たとえば「50歳代で頸髄損傷があり、寝たきりの状態」といったケースが典型例です。高齢者の多くは介護保険の認定を受けるため、医療保険の訪問リハビリの対象になるのは、こうした限られた人たちです。
医療保険と介護保険の訪問リハビリの違い
訪問リハビリには医療保険と介護保険の2種類があります。病院・診療所が行う訪問リハビリでは、原則として介護保険が優先されるというルールがあります。
| 項目 | 医療保険の訪問リハ | 介護保険の訪問リハ |
|---|---|---|
| 主な対象 | 介護保険の認定を受けていない人 | 要支援・要介護の認定を受けた人 |
| 提供元 | 病院・診療所 | 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院など |
| 優先順位 | 介護保険が使えない場合に利用 | 原則こちらが優先 |
| 回数の目安 | 週6単位(退院後3か月以内は週12単位) | 週6回(退院後3か月以内は週12回) |
医療保険の訪問リハビリのよくある質問
医療保険の訪問リハビリでリハビリ計画書は必要ですか?
C006の算定にあたって、リハビリ計画書の作成は必須とはされていません。ただし、医師の指示や指導内容の記録は必要です。
交通費は請求できますか?
請求できます。訪問にかかった交通費は患家の負担(実費)とされており、金額は各医療機関で設定します。
契約書は交わす必要がありますか?
必須の決まりはありません。ただし自宅でリハビリを行うため、実施内容・緊急時の対応・連絡先・交通費・料金などを含めた契約書を交わしておくことが望ましいでしょう。
指定難病医療費助成制度の対象になりますか?
対象になります。指定難病の医療費助成を受けている方は、制度の範囲で自己負担が軽減されます。詳細はお住まいの自治体や医療機関に確認してください。
介護老人保健施設や介護医療院から医療保険の訪問リハビリはできますか?
できません。医療保険の訪問リハビリ(C006)を提供できるのは、病院・診療所に限られます。
特養に医療保険の訪問リハビリは入れますか?
入れません。特別養護老人ホームには、医療保険・介護保険いずれの訪問リハビリも提供できません。
まとめ|医療保険の訪問リハビリは「対象が限られた制度」
医療保険の訪問リハビリについて、要点を整理します。
- 医療保険の訪問リハビリは「C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」
- 提供できるのは病院・診療所のみ。介護保険の認定を受けていない人が主な対象
- 点数は同一建物居住者以外300点/同一建物居住者255点(1単位20分・令和6年度時点)
- 回数は週6単位(退院後3か月以内は週12単位)。算定要件は厳しく対象は限られる
医療保険の訪問リハビリは対象が限られた制度です。算定要件や点数は改定で変わるため、実務では厚生労働省の最新情報や地方厚生局で必ず確認しましょう。
