作業療法士の退職金はいくら?相場と制度の種類・注意点

「作業療法士の退職金って、どのくらいもらえるの?」「転職を考えているけど、退職金が減るのが気になる」——退職金は、老後の生活資金の柱の一つです。一方で、作業療法士の職場には病院、介護施設、訪問看護ステーションなどさまざまな形態があり、退職金の制度や金額は大きく異なります。
この記事では、厚生労働省と総務省の調査をもとに、退職金の相場の目安を解説します。退職金制度がない職場もあること、制度の種類、自己都合退職での減額、転職時に確認したいポイント、税金の考え方もまとめました。
- 民間・公務員の退職金の相場の目安
- 退職金制度がない職場の割合
- 退職金制度の種類(一時金・企業年金・共済など)
- 自己都合退職と定年退職の違い
- 転職時に確認したいポイントと税金の考え方
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作業療法士の退職金の相場
作業療法士だけの退職金を集計した公的な統計はありません。参考として、民間企業と地方公務員の調査を見てみましょう。
民間企業(厚生労働省 就労条件総合調査)
| 区分(勤続20年以上・45歳以上の退職者) | 定年退職 | 自己都合退職 |
|---|---|---|
| 大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 1,896万円 | 1,441万円 |
| 高校卒(管理・事務・技術職) | 1,682万円 | 1,280万円 |
※令和5年就労条件総合調査(令和4年1年間の退職者)。全産業の平均で、医療・福祉に限った数値ではありません。
地方公務員(総務省 地方公務員給与の実態)
自治体の病院などで働く公務員の作業療法士の場合、25年以上勤続して定年退職した一般職員の退職手当は、平均約2,142万円です(令和6年度の退職者)。
長く勤めて定年を迎えた場合、退職金は1,500万〜2,000万円前後が一つの目安になりますが、職場の規模や制度によって大きく変わります。

2,000万円近くもらえるなら安心ですね。

それは長く勤めて、しかも退職金制度が充実している職場の場合なんだ。制度がない職場や、勤続が短い場合はずっと少なくなる。まずは自分の職場の制度を知ることが大事だよ。意外と知らない人が多いんだ。
退職金制度がない職場もある
令和5年就労条件総合調査では、退職給付(一時金・年金)制度がある企業は全体の74.9%で、医療・福祉では75.5%です。つまり、約4社に1社は退職金制度がないということです。
| 企業規模 | 退職給付制度がある企業の割合 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 90.1% |
| 300〜999人 | 88.8% |
| 100〜299人 | 84.7% |
| 30〜99人 | 70.1% |
小規模な事業所ほど制度がない割合が高くなります。訪問看護ステーションや小規模なデイサービスなどでは、求人票で退職金の有無を必ず確認しましょう。制度がない場合は、その分を給与や手当で上乗せしているかもあわせて見ておくと、比較がしやすくなります。
退職金制度の種類
| 制度 | 特徴 |
|---|---|
| 退職一時金 | 退職時にまとめて受け取る。法人の規程で計算方法が決まる。最も多い形態 |
| 企業年金(確定給付・確定拠出) | 年金や一時金で受け取る。確定拠出年金は運用の結果で受取額が変わる |
| 中小企業退職金共済(中退共) | 中小企業が加入する国の退職金制度。掛金を事業主が負担し、退職時に機構から支払われる |
| 社会福祉施設職員等退職手当共済 | 社会福祉法人などが加入できる退職手当の共済制度 |
| 公務員の退職手当 | 条例などで定められ、給料月額×支給率+調整額で計算 |
同じ「退職金あり」でも、制度によって受け取る時期、金額の決まり方、転職したときの扱いが違います。確定拠出年金や中退共は、条件を満たせば転職先に持ち運べる場合もあります。
自己都合退職と定年退職の違い
就労条件総合調査では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の場合、定年退職の1,896万円に対し、自己都合退職は1,441万円です。退職金の規程では、自己都合退職の支給率を低く設定していることが一般的で、勤続年数が短いほど差が大きくなります。
「勤続3年以上」など、支給の条件となる勤続年数が決められていることが多く、短期間で退職すると退職金がまったく出ないこともあります。転職の時期を考えるときは、規程の勤続年数の区切りも確認しましょう。
退職金は月給の何か月分?
就労条件総合調査では、退職給付額を退職時の所定内賃金(月給)で割った「月収換算」も示されています。
| 区分(勤続20年以上・45歳以上) | 定年退職 | 自己都合退職 |
|---|---|---|
| 大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 月給の36.0か月分 | 月給の30.3か月分 |
| 高校卒(管理・事務・技術職) | 月給の38.6か月分 | 月給の33.3か月分 |
※令和5年就労条件総合調査。勤続20年以上かつ45歳以上の退職者が対象です。
長く勤めた場合、退職金は月給の3年分前後が一つの目安です。一方、勤続年数が短い場合はこれよりずっと少なく、多くの規程では勤続年数が長くなるほど支給率が上がる仕組みになっています。転職のタイミングによって受け取る額が大きく変わるため、勤務先の規程で支給率の区切りを確認しておきましょう。
自分の退職金を確認する方法
- 就業規則と退職金規程を読む計算方法、支給率、勤続年数の条件、自己都合の減額を確認します。
- 人事・総務に試算を依頼する「今退職した場合」「定年まで勤めた場合」の見込み額を聞いてみます。
- 共済や企業年金の通知を確認する中退共や確定拠出年金は、定期的に届く通知で残高や見込み額を確認できます。
- 老後の資金計画に組み込む退職金と年金の見込みをもとに、不足分を自分で準備する計画を早めに立てます。
転職時に確認したい退職金のポイント
- 退職金制度の有無と、制度の種類(一時金・企業年金・共済)
- 支給の条件となる勤続年数
- 計算方法(基本給連動、ポイント制など)と、自己都合退職での減額率
- 前職の確定拠出年金などを移せるか
- 定年の年齢と、定年後の再雇用の条件

転職すると、退職金はどうしても不利になりますか?

勤続年数がリセットされるから、一つの職場に長く勤めるより少なくなりやすいのは確かだね。でも、転職で年収が上がれば、その分を貯蓄に回して補うこともできる。生涯の収入で比べるのが大事だよ。目先の月給だけで決めないようにね。
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退職金にかかる税金
退職金は「退職所得」として、ほかの所得と分けて課税されます。勤続年数に応じた退職所得控除があり、控除後の金額の2分の1が課税の対象です(勤続5年以下の役員等などは例外あり)。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数−20年) |
たとえば勤続10年で退職金が300万円なら、控除額は400万円となり、税金はかかりません(概算)。「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておくと、源泉徴収で課税が完了します。提出しないと、一律の高い税率で源泉徴収され、確定申告で精算が必要になるため注意しましょう。
よくある質問
作業療法士と理学療法士で退職金に違いはありますか?
職種による違いより、勤め先の制度と勤続年数による違いのほうが大きいのが一般的です。同じ法人であれば、同じ規程で計算されることがほとんどです。職種より職場選びが重要です。
パート・非常勤でも退職金はありますか?
法人の規程によります。正職員のみを対象としている職場も多いため、非常勤で働く場合は就業規則や雇用契約書で確認しましょう。
退職金が少ない職場で働く場合、どう備えればいいですか?
個人型確定拠出年金(iDeCo)や積立など、自分で老後資金を準備する方法があります。制度の内容は変わることがあるため、公的機関の最新の情報を確認したうえで、無理のない範囲で始めましょう。
中退共に加入している職場から転職したら、退職金はどうなりますか?
中退共は、退職時に機構から退職金が支払われる仕組みです。転職先も中退共に加入していれば、一定の条件のもとで掛金の納付月数を通算できる制度があります。詳しくは中退共の案内で確認しましょう。
退職金の金額は求人票でわかりますか?
求人票には「退職金制度あり」「勤続3年以上」などの記載が多く、具体的な金額まで書かれていることは少ないです。面接や内定後の条件確認の場で、モデル額や計算方法を質問しましょう。
まとめ|作業療法士の退職金は制度と勤続年数で大きく変わる
作業療法士だけの退職金の統計はありませんが、民間の調査では勤続20年以上の定年退職で1,700万〜1,900万円前後、地方公務員の25年以上勤続の定年退職では平均約2,142万円が目安です。一方で、退職金制度がある企業は約75%にとどまり、小規模な職場ほど制度がない割合が高くなります。制度の種類、勤続年数の条件、自己都合退職の減額を確認し、転職では生涯の収入で比べましょう。
- 民間の定年退職(勤続20年以上)は1,700万〜1,900万円前後が目安
- 地方公務員の25年以上勤続の定年退職は平均約2,142万円
- 退職金制度がある企業は約75%。小規模ほど制度がない割合が高い
- 自己都合退職は減額され、勤続年数の条件で出ないこともある
- 退職所得控除があり、勤続が長いほど税負担は小さい
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」退職給付(一時金・年金)制度
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」退職給付(一時金・年金)の支給実態
- 総務省「令和7年地方公務員給与の実態」第9表の1(退職者数及び退職手当額)
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

