退院日に訪問リハビリは入れる?算定ルールと関わり方

「退院日に訪問リハビリは入れますか?」——ケアマネジャーや利用者家族から、こう聞かれて迷ったことはありませんか? 介護保険のルールは複雑で、退院日の取り扱いは特に間違えやすいポイントです。
結論からお伝えすると、介護老人保健施設・介護医療院の退所日や、短期入所療養介護の終了日には、訪問リハビリを算定できないと厚生労働省のQ&Aで示されています。一般の病院からの退院日については明確な規定が見当たらないため、保険者への確認が必要です。この記事では、その理由と、退院日に使えるサービス・使えないサービスの違い、そして退院後に訪問リハ事業所ができる良い関わり方を解説します。
- 退院日に訪問リハビリが入れるかどうか
- 退院日に訪問リハビリが提供できない理由
- 退院日に利用できるサービス・できないサービスの違い
- 退院後の生活混乱期に、訪問リハ事業所ができる良い関わり方
結論|退院日・退所日の訪問リハビリは原則算定できない
厚生労働省のQ&A(介護報酬等に係るQ&A Vol.2)では、介護老人保健施設や介護療養型医療施設(現在の介護医療院にあたる)を退所(退院)した日と、短期入所療養介護のサービス終了日には、訪問看護費・訪問リハビリテーション費・居宅療養管理指導費・通所リハビリテーション費は算定できないとされています。
理由は、施設や短期入所でも機能訓練やリハビリを行えるためです。同じ日にリハビリ系のサービスが重なることを避ける考え方です。
| 退院・退所の元 | 退院・退所日の訪問リハビリ |
|---|---|
| 介護老人保健施設・介護医療院 | 算定できない(Q&Aで明示) |
| 短期入所療養介護(サービス終了日) | 算定できない(Q&Aで明示) |
| 一般の病院(医療保険での入院) | 明確な規定は見当たらない。保険者の判断を確認する |
病院からの退院日については、入院中に医療保険でリハビリを受けていることや、上記の考え方をふまえて、算定するかどうかは慎重に判断する必要があります。判断に迷う場合は、事前に保険者(市区町村)に確認しましょう。確認した内容と日付は、記録に残しておくと、あとで説明が必要になったときにも安心できます。窓口の担当者名も控えておきましょう。なお、医療保険で入院中の外泊のときに受けた訪問・通所サービスは、介護保険で算定できないとされています。
退院日に利用できるサービス・できないサービス
退院日には、原則として介護保険のリハビリ系サービスは提供できません。一方で、扱いが異なるサービスもあります。
| サービス | 退院日の取り扱い |
|---|---|
| 訪問リハビリテーション | 提供(算定)できない |
| 通所リハビリテーション | 提供(算定)できない |
| 居宅療養管理指導 | 算定できない |
| 訪問看護 | 主治医が必要と認めた場合は提供(算定)できる |
| 訪問介護などの福祉系サービス | 退院日でも別に算定できる |
同じQ&Aでは、退所日に訪問介護などの福祉系サービスを利用した場合は別に算定できるとされています(ただし、退所日に通所介護を機械的に組み込むような計画は適正でないとされています)。また、入所(入院)当日でも、入所(入院)前に利用する訪問・通所サービスは別に算定できます。
訪問看護は、主治医が必要と認めれば退院日にも提供できます。退院日の訪問看護はむしろ推奨されている面もあり、訪問リハビリとは扱いが異なる点を押さえておきましょう。

「退院日からすぐ関わりたい」と思っても、訪問リハは入れないんですね…。

サービス提供(算定)はできない。でも「関わり方」は工夫できる。次でその方法を見ていこう。
退院前から関われる退院時共同指導加算
退院日に訪問リハビリを算定できなくても、退院前から病院と連携して関わる仕組みがあります。それが、令和6年度の介護報酬改定で新設された「退院時共同指導加算(600単位)」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 病院・診療所から退院する利用者 |
| 行うこと | 訪問リハビリ事業所の医師またはリハ職が、退院前カンファレンスに参加し、病院の職員と共同で在宅でのリハビリに必要な指導を行う |
| 算定のタイミング | 退院後、初回の訪問リハビリを行ったときに、1回の退院につき1回 |
入院中から住環境や生活の目標を共有しておけば、退院翌日からでもスムーズに訪問リハビリを始められます。退院が決まったら、ケアマネジャーや病院の地域連携室に、カンファレンスへの参加を早めに相談しましょう。
厚生労働省の審議会資料によると、令和7年10月サービス提供分で、この加算を算定している訪問リハビリ事業所は8.6%にとどまっています。病院と在宅の橋渡しを強みにできる余地が大きい加算といえます。
退院後は「生活混乱期」|早期の関わりが大切
退院直後は、身体的にも精神的にも、生活環境の面でも大きな変化がある時期で、「生活混乱期」とも呼ばれます。本人も家族も強い不安を抱えているため、できるだけ早く医療・介護の専門職が関われることが望ましい時期です。
退院日に訪問リハビリそのものは提供できなくても、事業所として工夫できることはあります。
退院日・退院直後の訪問リハ事業所の良い関わり方
- 退院日に契約やサービス担当者会議で訪問するサービス提供(算定)ではないため料金はかからないが、退院日に顔を見せ、相談に乗るだけでも本人・家族は安心できる。
- 退院した週のうちに初回訪問を計画する他サービスとの兼ね合いを見ながら、退院日の翌日以降のなるべく早い日に訪問リハビリを振り替えて計画する。
- 不安や困りごとを早めに把握する退院直後の生活で何に困っているかを聞き取り、リハビリ計画や多職種連携につなげる。
制度上、退院日に訪問リハビリを提供できないのは仕方のないことです。だからこそ、「算定はできなくても、安心は届けられる」という視点で関わることが大切です。
退院日の訪問リハビリに関するよくある質問
退院日の翌日からなら訪問リハビリは入れますか?
退院日でなければ、ケアプランに位置づけられた範囲で訪問リハビリを提供できます。退院した週のなるべく早い時期に初回訪問を計画するのがおすすめです。
退院日に事業所が自宅を訪問するのは問題ありませんか?
契約やサービス担当者会議など、サービス提供(算定)にあたらない形での訪問は問題ありません。料金は発生しませんが、本人・家族の安心につながる大切な関わりです。
退院後はリハビリの回数を増やせますか?
介護保険の訪問リハビリは通常週6回までですが、退院(退所)日から3か月以内は、医師の指示にもとづき週12回まで算定できます。回数の取り扱いはケアマネジャーに確認しましょう。
制度の細かい取り扱いはどこで確認できますか?
厚生労働省の介護サービスに関するQ&Aや、お住まいの自治体(市区町村)の介護保険担当窓口で確認できます。判断に迷う場合は、ケアマネジャーや自治体に確認するのが確実です。
退院日に訪問看護を入れると、どんなメリットがありますか?
退院直後の体調確認、服薬の管理、家族への介護指導などを早期に行えます。主治医が必要と認めれば退院日にも提供でき、生活混乱期の不安を和らげる助けになります。
退院日に訪問リハビリを入れてしまうとどうなりますか?
退院日の訪問リハビリは算定できないため、提供しても介護報酬を請求できません。ルールを正しく理解し、サービス担当者会議や契約のための訪問にとどめましょう。
退院前カンファレンスには訪問リハの担当者も参加すべきですか?
可能であれば参加が望ましいです。入院中のリハビリの経過や目標を直接引き継げると、退院後の訪問リハビリをスムーズに、かつ一貫した方針で始められます。
退院前からできる準備|スムーズな在宅移行のために
退院日に訪問リハビリが提供できないからこそ、退院する前からの準備が大切になります。退院前にできる関わりには、次のようなものがあります。
- 退院前カンファレンスへの参加:入院先の医療スタッフ・ケアマネジャー・在宅サービス担当者が集まり、退院後の方針を共有する場。リハの引き継ぎを行う
- 退院前訪問指導:退院前に自宅を訪問し、手すりの位置や段差など住環境を確認。必要な改修や福祉用具を提案する
- リハビリ内容の引き継ぎ:入院中のリハビリの経過・目標を、在宅の訪問リハ事業所が把握しておく
こうした準備をしておくと、退院した翌日以降の初回訪問から、スムーズにリハビリを始められます。
退院後の流れ|在宅リハビリ開始までのステップ
- 退院前:情報共有と環境調整退院前カンファレンスや退院前訪問で、方針と住環境を確認しておく。
- 退院日:契約・担当者会議で訪問サービス提供ではない形で自宅を訪れ、本人・家族の不安に寄り添う。
- 退院した週:初回訪問リハビリなるべく早い日に初回訪問を計画し、在宅でのリハビリを開始する。
- 退院後3か月以内:必要に応じ回数を調整医師の指示にもとづき、必要なら訪問回数を増やして集中的に支援する。
まとめ|退院日は「算定」より「安心」を届ける
退院日の訪問リハビリについて、要点を整理します。
- 老健・介護医療院の退所日、短期入所療養介護の終了日は訪問リハビリを算定できない
- 一般の病院からの退院日は明確な規定が見当たらず、保険者に確認する
- 訪問看護は主治医が認めれば退院日に提供可、福祉系サービスは別に算定可
- 退院日は契約や担当者会議で訪問し、退院した週のうちに初回訪問を計画する
退院日に訪問リハビリを算定できなくても、顔を見せ、不安に寄り添うことはできます。制度を正しく理解し、生活混乱期の利用者・家族を支えていきましょう。
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

