訪問リハビリの駐車場代(コインパーキング代)は利用者負担?事業所負担?

「利用者さんの家に駐車場がないとき、コインパーキング代は誰が払うの?」——訪問リハビリの現場で、地味に悩ましいのが駐車場問題です。駐車スペースのない家もあれば、祝日に家族の車が停まっていることもあります。
結論からお伝えすると、訪問リハビリの駐車場代は基本的に事業所負担と考えられます。この記事では、その理由と、利用者から徴収できるケース、駐車場がないときの対応(駐車許可制度)まで解説します。
- 訪問リハビリの駐車場代は利用者負担か事業所負担か
- 「事業所負担」と考えられる理由
- 例外的に利用者から徴収できるケース
- 利用者宅に駐車場がないときの対応(駐車許可制度)
結論|訪問リハビリの駐車場代は基本「事業所負担」
コインパーキングなどに車を停めたときの駐車場代は、基本的に事業所が負担すると考えられます。ただし正直なところ、全国一律の明確なルールがあるわけではありません。
たとえば新潟県や和歌山県では、自治体のQ&Aや集団指導資料で「通常の事業の実施地域内の利用者から駐車料金を徴収することはできない」と明記されています。取り扱いは自治体によって示され方が異なるため、迷う場合は担当の自治体に確認するのが確実です。
なぜ事業所負担と考えられるのか
ポイントは、駐車料金は「交通費」に含まれるという考え方です。
訪問リハビリでは、事業所が運営規程で定める「通常の事業の実施地域」内の交通費は、介護報酬のなかに包括されています。つまり、その地域内であれば交通費(駐車料金を含む)は介護報酬でまかなわれており、利用者から別途徴収することはできないのです。

つい「駐車場代だけ利用者さんに…」と思ってしまいそうでした。

通常の実施地域内なら、駐車料金も交通費の一部。利用者さんへの請求はできないんだ。指導でも指摘されやすいポイントだよ。
利用者から徴収できるケースもある
例外的に、利用者から駐車料金を含む交通費を徴収できる場合もあります。それは、「通常の事業の実施地域」を越えてサービスを提供する場合です。
この場合は、移動費用を評価した加算を算定するか、実費の範囲内で交通費を徴収するか、いずれかの対応をとることになります。利用者ごとにどちらを選ぶこともできますが、利用者間で不公平が生じないよう整合性をとることが必要です。
駐車料金・交通費の取り扱いは、自治体や事業所の運営規程によって異なります。実際の対応にあたっては、運営規程の「通常の事業の実施地域」を確認し、担当の市区町村・自治体に確認してください。
利用者宅に駐車場がないときの対応|駐車許可制度の活用
そもそも利用者宅に駐車場がないとき、どこに停めればよいのでしょうか。近くのスーパー(私有地)や公共施設に無断で停めるのはトラブルのもとなので避けるべきです。
そこで活用したいのが、「訪問診療等に使用する車両に係る駐車許可」という制度です。訪問リハビリもこの対象に含まれます。
これは、訪問先に駐車場所がなく、やむを得ず駐車禁止場所に駐車せざるを得ない場合に、警察署長の駐車許可を受けられるというものです。令和6年3月には警察庁から、訪問診療等の業務の実情をふまえ、許可事務の簡素化・申請者の負担軽減に努める旨の通知も出されています。利用者宅に駐車場がない地域では、こうした制度の活用を検討しましょう。
駐車でやってはいけないこと
近隣住民の私有地への無断駐車は絶対に行わないこと。駐車マナーに留意し、近隣の迷惑にならないよう配慮しましょう。駐車許可の取得や、駐車場所の事前確認など、ルールを守った対応が、事業所の信頼を守ります。
訪問リハビリの駐車場代に関するよくある質問
利用者の家族に「駐車場代を出してほしい」と言われたら?
通常の事業の実施地域内であれば、駐車料金は交通費として介護報酬に含まれるため、利用者・家族から徴収することはできません。事業所負担になる旨を丁寧に説明しましょう。
駐車許可の申請は誰が行いますか?
一般に、車両を使用する事業所が、訪問先を管轄する警察署に申請します。必要書類や運用は地域によって異なるため、管轄の警察署に確認しましょう。
駐車場代の負担について、自治体で取り扱いが違うのですか?
基本の考え方(通常の実施地域内は徴収不可)は共通ですが、Q&Aや指導資料での示され方は自治体により異なります。迷ったら担当の市区町村・自治体に確認するのが確実です。
駐車場のトラブルを防ぐために事業所ができること
駐車場問題は、放っておくと近隣トラブルや指導での指摘につながります。事業所として、次の備えをしておきましょう。
- 事前に駐車場所を確認する新規利用者の初回訪問前に、自宅周辺の駐車事情(駐車スペースの有無、近隣のコインパーキング)を確認しておく。
- 駐車許可の取得を検討する駐車場所がない地域では、警察署への駐車許可申請をあらかじめ進めておく。
- 駐車場代の取り扱いを統一する運営規程で「通常の事業の実施地域」を明確にし、駐車場代を誰がどう負担するかを事業所内でそろえておく。
利用者から駐車場代について聞かれたときの伝え方
「駐車場代はこちらで出しましょうか?」と利用者・ご家族から申し出があったとき、現場で迷わないよう、伝え方を決めておくと安心です。
たとえば「駐車料金は交通費にあたり、通常の対応地域内ではいただかない決まりになっています。お気づかいありがとうございます」のように、感謝とあわせて丁寧に説明すれば、角は立ちません。あいまいに受け取ってしまうと、後でトラブルになりかねないため、対応を統一しておきましょう。

駐車場の問題は「事前確認」がすべて。初回訪問の前に周辺を見ておくだけで、当日あわてずにすむよ。
駐車場所を確保するための選択肢
- 利用者宅の敷地内に停められるか、家族に事前確認する
- 近隣のコインパーキングの場所と料金を把握しておく
- 駐車場所がない場合は、警察署長の駐車許可を申請する
- 私有地への無断駐車は絶対にしない
まとめ|駐車場代は「交通費」として事業所が負担
訪問リハビリの駐車場代について、要点を整理します。
- 駐車場代は基本的に事業所負担。通常の実施地域内は利用者から徴収できない
- 理由は、駐車料金が「交通費」に含まれ、介護報酬に包括されているため
- 通常の実施地域を越える場合は、加算の算定か交通費の徴収で対応する
- 駐車場がないときは「駐車許可」制度を活用。無断駐車は絶対に避ける
駐車場問題は、ルールを知らないと指導で指摘されたり、トラブルになったりします。制度を守り、安全に訪問リハビリを提供していきましょう。
