訪問リハビリの長期利用減算とは?12か月超の30単位と免除要件

「要支援の利用者さんが1年を超えたら減算になるって聞いたけど、いくら減るの?」「減算にならない方法はあるの?」——介護予防訪問リハビリを提供している事業所で、よく出る疑問です。いわゆる長期利用減算は、令和6年度介護報酬改定で単位数が大きく引き上げられた一方、要件を満たせば減算されない仕組みに変わりました。
この記事では、介護予防訪問リハビリの長期利用減算について、対象・単位数・減算されないための要件・利用開始月の数え方・運営指導で確認される記録を、厚生労働省の通知をもとに整理します。
- 訪問リハビリの長期利用減算とは何か(対象は要支援のみ)
- 減算の単位数と、令和6年度改定での変更点
- 減算されないための2つの要件(リハ会議とLIFE)
- 「12か月」の数え方と、入院で中断した場合の扱い
- 運営指導に向けて準備しておく記録
訪問リハビリの長期利用減算とは
訪問リハビリの長期利用減算とは、介護予防訪問リハビリテーションを利用開始月から12か月を超えて提供した場合に、基本報酬から減算する仕組みです。要支援の人へのリハビリは、期間を区切って生活機能を高め、通所系サービスや地域の活動につなげていくことが想定されているため、長期間の漫然とした利用を見直す目的で設けられています。
| 区分 | 長期利用減算 |
|---|---|
| 介護予防訪問リハビリテーション(要支援1・2) | 対象(12か月超で1回30単位減算。要件を満たせば減算なし) |
| 訪問リハビリテーション(要介護1〜5) | 対象外 |

要介護の利用者さんは、何年使っても減算にならないんですか?

要介護の訪問リハビリには、利用期間による減算はないよ。ただ、だからといって漫然と続けていいわけではない。リハビリテーションマネジメントの考え方で、定期的に目標と計画を見直して、終了や移行も検討していくことが求められているね。
令和6年度改定での変更点
この減算は令和3年度改定で導入され、当初は1回5単位の減算でした。令和6年度改定で、介護予防サービスのリハビリの質を評価する観点から、減算幅が1回30単位に拡大されました。その一方で、定期的なリハビリテーション会議による計画の見直しと、LIFEへのデータ提出を行っている場合は減算しないこととされました。
| 時期 | 減算の内容 |
|---|---|
| 令和3年度改定〜 | 12か月超で1回5単位減算(免除の仕組みなし) |
| 令和6年度改定〜 | 12か月超で1回30単位減算。ただし要件を満たせば減算なし |
長期利用減算を受けないための算定要件
厚生労働大臣が定める基準をいずれも満たす場合は、リハビリテーションマネジメントのもとでリハビリを継続していると考えられるため、減算は行われません。要件は次の2つです。
- 3月に1回以上のリハビリテーション会議と計画の見直し3月に1回以上リハビリテーション会議を開催し、リハビリに関する専門的な見地から利用者の状況等の情報を構成員と共有して、会議の内容を記録するとともに、利用者の状態の変化に応じて介護予防訪問リハビリテーション計画を見直していること。
- LIFEへの情報提出と活用利用者ごとの介護予防訪問リハビリテーション計画書等の内容などの情報を厚生労働省(LIFE)に提出し、リハビリの提供にあたって、その情報などを活用していること。
2つの要件は「どちらか」ではなく「両方」必要です。リハ会議を開いていても、LIFEへの提出がなければ減算の対象になります。
リハビリテーション会議のポイント
リハビリテーション会議の開催方法は、訪問リハビリ(要介護)と同じ扱いとされています。構成員は、利用者と家族を基本に、医師、PT・OT・ST、地域包括支援センターなどのケアプラン作成者、ほかのサービスの担当者などです。テレビ電話装置等を使った開催も可能ですが、利用者や家族が参加する場合は、その活用について同意を得る必要があります。
LIFEへの提出のポイント
LIFEへの提出情報や提出頻度は、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で示されています。提出するだけでなく、フィードバック情報を活用して計画の見直し(PDCAサイクル)に生かしていることが求められます。
長期利用減算の単位数
要件を満たさない場合、利用開始月から12か月を超えた期間の介護予防訪問リハビリについて、1回につき30単位が減算されます。
| 項目 | 単位数 |
|---|---|
| 介護予防訪問リハビリテーション 基本報酬 | 298単位/回 |
| 長期利用減算(要件を満たさない場合) | ▲30単位/回 |
| 減算後 | 268単位/回(加算・ほかの減算を除く) |
基本報酬の約1割にあたる減算です。たとえば週2回(月8回)の利用であれば、月に240単位の減算になります。12か月を超える利用者が多い事業所ほど、影響は大きくなります。
長期利用減算の注意点
「12か月」は利用開始月から数える
12か月は、その事業所で介護予防訪問リハビリの利用を開始した月から数えます。利用開始月から12か月を超えた月から、減算(または免除の要件確認)の対象になります。
入院による中断があった場合
留意事項通知では、入院による中断があり、医師の指示内容に変更がある場合は、新たに利用が開始されたものとするとされています。単に入院しただけでなく、医師の指示内容が変わったことが要件なので、退院後の診療と指示の記録を残しておきましょう。
要支援と要介護をまたぐ場合
要介護になると訪問リハビリ(要介護)に切り替わるため、長期利用減算の対象外になります。その後再び要支援になった場合の起算の扱いなど、判断に迷うケースは、保険者(市町村)や指定権者に確認してから請求しましょう。

減算を避けるために、12か月で一度終了して、また始めるのはどうですか?

減算を避ける目的だけで形式的に終了・再開するのは、制度の趣旨に合わないし、運営指導で問題視されるおそれがある。必要なリハビリなら会議とLIFEの要件を満たして続ける、目標を達成したなら終了して通所系や地域の活動につなぐ、というのが本来の考え方だよ。
運営指導に向けて準備しておく記録
長期利用減算を算定していない(減算を免除している)場合は、要件を満たしていることを記録で示せるようにしておく必要があります。
| 記録 | 確認されるポイント |
|---|---|
| 利用開始月の管理表 | 利用者ごとの利用開始月と、12か月を超える月が把握されているか |
| リハビリテーション会議録 | 3月に1回以上開催され、参加者・共有内容・欠席者への情報共有が記録されているか |
| 介護予防訪問リハビリ計画書 | 会議の結果を踏まえ、状態変化に応じて見直されているか。説明・同意の記録があるか |
| LIFEへの提出記録 | 必要な情報が期限内に提出されているか。フィードバックの活用が記録されているか |
| 入院・中断の記録 | 中断後に医師の指示内容が変わったことが記録されているか |
長期利用を見すえた介護予防訪問リハビリの運営【実践編】
長期利用減算の本来の目的は、要支援の人へのリハビリを「期間を区切って成果を出す」方向に促すことです。減算対策としてだけでなく、リハビリの質を高める仕組みとして、次のような運営を心がけましょう。
- 開始時に終了の目安を決める:計画書に「サービス提供期間」と「終了の目安」を書き、本人・家族・地域包括支援センターと共有する
- 3か月ごとの会議を目標の点検日にする:リハビリテーション会議を、目標の達成度を確認し、継続・変更・終了を判断する場として使う
- 移行先を早めに探す:通所型サービス、通いの場、地域のサークルなど、訪問リハビリ終了後に活動を続けられる場を、利用中から一緒に探す
- LIFEのフィードバックを会議で使う:全国の傾向と比べた利用者の状態を会議で共有し、計画の見直しの根拠にする
12か月を超えて継続する場合は、「なぜ続ける必要があるのか」を会議と計画書で明確にしておくことが、減算の免除だけでなく、利用者への説明責任を果たすことにもつながります。
よくある質問
要介護の訪問リハビリにも長期利用減算はありますか?
ありません。長期利用減算は介護予防訪問リハビリテーション(要支援1・2)が対象です。介護予防通所リハビリにも同様の12か月超の減算(要支援1は月120単位、要支援2は月240単位)があります。
リハビリテーション会議を3月に1回開けなかった月があると、どうなりますか?
要件を満たさない期間は減算の対象になると考えられます。開催が難しい場合も、日程調整の記録や欠席者への情報共有の記録を残し、扱いに迷う場合は指定権者に確認しましょう。
リハビリテーション会議はオンラインで開催してもよいですか?
テレビ電話装置等を活用して開催できます。利用者や家族が参加する場合は、テレビ電話装置等の活用について同意を得る必要があります。
減算の免除には届出が必要ですか?
LIFEの利用やリハビリテーション会議の体制などについて、指定権者への届出や体制の届出が必要かどうかは自治体によって案内が異なる場合があります。指定権者の手引きで確認してください。
まとめ|長期利用減算は「リハ会議+LIFE」で減算なしにできる
訪問リハビリの長期利用減算は、要支援の人への介護予防訪問リハビリを12か月を超えて提供する場合に、1回30単位を減算する仕組みです。3月に1回以上のリハビリテーション会議による計画の見直しと、LIFEへの提出・活用の両方を行えば減算されません。
- 長期利用減算の対象は介護予防訪問リハビリ(要支援)のみ
- 利用開始月から12か月超で1回30単位の減算(令和6年度改定で5単位から拡大)
- 3月に1回以上のリハ会議+計画見直しと、LIFE提出・活用の両方で減算なし
- 入院で中断し、医師の指示内容が変わった場合は新たな利用開始として扱う
- 利用開始月の管理表、会議録、計画書、LIFE提出記録をそろえておく
算定の扱いで迷う場合は、厚生労働省の最新の通知・Q&Aと、指定権者の案内を確認しましょう。
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1213(令和6年度介護報酬改定に伴う留意事項通知の改正)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第239回)資料1「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 浜松市「令和7年度介護サービス事業者説明会 サービス個別D(介護予防)訪問リハビリテーション」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

