訪問リハビリは退院3ヶ月間が重要!その理由と退院後の加算について解説

病院での入院生活を終え、退院した後の生活は、多くの患者さんや家族にとって大きな変化となります。特に、退院後3ヶ月間は「生活混乱期」とも言われ、身体的にも精神的にも不安定な時期です。この期間に適切なリハビリを受けることで、転倒や健康状態の悪化を防ぎ、スムーズな在宅生活へ移行することが可能になります。
訪問リハビリは、退院後の生活環境に適応しながら自立した生活を維持するために重要な役割を果たします。しかし、退院後は入院中と比べてリハビリの機会が減り、適切な支援が受けられないと身体機能が低下するリスクもあります。そこで、訪問リハビリを積極的に活用し、退院後の3ヶ月間を充実させることが大切です。
さらに、介護保険制度では、退院後3ヶ月間の訪問リハビリに対して特別な加算が設けられており、適切なサービスを受けることでリハビリの効果を最大限に引き出すことが可能です。本記事では、退院後3ヶ月間の訪問リハビリの重要性と加算の仕組みについて詳しく解説します。
退院3ヶ月間は生活混乱期で訪問リハビリが重要な理由
退院後3ヶ月間は、患者にとって最も生活が変化する時期であり、適切な支援がなければ再入院のリスクも高まります。
この時期に訪問リハビリを導入することで、生活環境の変化に適応し、身体機能の低下を防ぐことができます。
ここでは、なぜ退院後3ヶ月間の訪問リハビリが重要なのか、具体的な理由を解説します。
退院後0~3ヶ月は転倒や転落が多い
退院後の患者さんは、入院中の環境と異なる自宅での生活に適応する必要があります。
しかし、入院生活では病院スタッフのサポートがあったため、急に一人で動くことになると転倒や転落のリスクが高まります。
転倒の原因
- 筋力低下:入院中は安静にしている時間が長いため、筋力やバランス能力が低下しやすい。
- 環境の違い:病院では手すりや床の滑り止めが整備されているが、自宅では転倒しやすい段差や家具の配置がある。
- 歩行の不安定さ:病院ではリハビリスタッフのサポートがあったが、退院後は自分で移動することが増えるため、転倒しやすくなる。
訪問リハビリでは、転倒リスクの高いポイントを確認し、安全な歩行指導や住環境の調整を行うことで、転倒事故を未然に防ぐことが可能です。
退院後は家族が介助方法をわからないことが多い
退院後、家族が介護を担うことになりますが、多くの場合、適切な介助方法を知らないため、負担が大きくなります。特に、車いす移乗・トイレ介助・入浴介助などは、初めて行う家族にとって難しい作業です。
介護負担が大きくなる理由
- 介護の知識がない:病院での指導が十分でない場合、退院後に戸惑うことが多い。
- 移乗や動作のサポートが難しい:適切な介助ができないと、患者の負担も大きくなり、転倒のリスクも高まる。
- 介護者の負担が増加:介護方法がわからないまま無理をすると、家族の疲労やストレスにつながる。
訪問リハビリでは、家族に対して介助方法の指導を行い、適切なケアができるようサポートします。
退院後は生活環境が変わるため精神的に不安定になる
入院中は病院スタッフが常にそばにいてくれるため、安心して生活できます。しかし、退院すると一人の時間が増え、不安を感じることが多くなります。
精神的不安の要因
- 生活の変化に適応できない:病院では決まったスケジュールで生活していたが、退院後は自己管理が求められる。
- 孤独感が強くなる:一人暮らしや日中家族がいない場合、精神的な孤独を感じる。
- 「元に戻らないのでは」という不安:思うように動けないことで、焦りや落ち込みを感じることがある。
訪問リハビリでは、定期的な訪問によって患者のメンタル面をサポートし、生活の不安を和らげる役割も担っています。
入院時はリハビリが多いが退院後は一気に運動量が低下する
入院中は毎日リハビリを受けられる環境にありますが、退院後はリハビリの頻度が大きく減ります。その結果、身体機能が急激に低下するリスクがあります。
退院後の運動量低下の影響
- 筋力低下が進行:入院中は病院スタッフと一緒に運動できたが、退院後は自主トレーニングが必要になる。
- 関節可動域の低下:動かさないことで関節の動きが悪くなり、日常生活に支障が出る。
- ADLの低下:入院中はリハビリのサポートがあったが、退院後は自分で行動する機会が減るため、生活動作の低下が見られる。
訪問リハビリを活用することで、退院後も継続的に運動を行い、身体機能の維持・向上を図ることができます。
訪問リハビリの退院3ヶ月間の加算はどんなものがある?
退院後3ヶ月間に関係する訪問リハビリテーションの加算を紹介します。
退院後1ヶ月間は訪問リハ計画診療未実施減算なし
訪問リハビリの介護保険制度では、通常訪問リハ計画診療を実施していないと減算されるルールがありますが、退院後1ヶ月間に限りこの減算が適用されません。
つまり、計画診療がなくても訪問リハビリを実施しやすい環境になっています。

退院退所3か月間は短期集中リハビリテーション実施加算あり
退院後3ヶ月間は、通常より集中的なリハビリが可能であり、「短期集中リハビリテーション実施加算」が適用されます。
この加算により、より多くのリハビリを受けることができ、身体機能の回復を促進することができます。

退院・退所後は訪問リハビリが有効!積極的に活用しよう!
退院後の3ヶ月間は、生活が大きく変化する重要な時期です。この時期に適切なサポートを受けることで、患者の身体機能を維持し、再入院のリスクを防ぐことができます。訪問リハビリは、自宅環境に合わせたリハビリができるため、転倒防止や日常生活動作(ADL)の向上に効果的です。また、家族への介助指導も行うため、介護負担の軽減にもつながります。
さらに、退院後3ヶ月間は週2日以上の利用の場合は、短期集中リハビリ加算が適用されるため、集中的にリハビリを受けることで回復を促進できます。
退院直後は運動量が減りやすく、精神的にも不安定になりがちなため、定期的な訪問リハビリを活用することで、心身の安定を図ることが可能です。退院後の生活を安心して送るためにも、訪問リハビリを積極的に活用しましょう。