サービス提供体制強化加算|訪問リハビリの単位数・算定要件【令和6年度改定対応】

「サービス提供体制強化加算って結局いくら取れるの?」「(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いがあいまい」「勤続年数は他法人での経験も含めていいんだっけ?」——訪問リハビリの現場では、加算ひとつをめぐって毎月のように同じ疑問が湧き上がります。算定漏れや要件解釈の誤りは、年間で数十万〜数百万円単位の収益差につながる重要テーマです。
この記事では、訪問リハビリテーションのサービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数・算定要件・勤続年数の数え方を、令和6年度介護報酬改定後の最新ルールに沿って整理します。届出の流れ、現場でつまずきやすいポイント、PT・OT・STが押さえるべき運用上の注意までを一気通貫で解説するので、明日からの算定判断にそのまま使えます。
- 訪問リハビリのサービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数
- 勤続年数7年以上/3年以上の正しいカウント方法
- 令和6年度改定で変わった点・変わらなかった点
- 届出から算定までのSTEPと、よくある算定ミス
- PT・OT・STが現場で意識したい運用ポイント

うちのステーション、勤続7年以上のPTが先月入職したばかりなんですけど、これって(Ⅰ)取れるんですか?

いい質問だね。「自事業所での勤続」だけじゃなくて、同一法人内の他事業所での年数も通算できるよ。だから前職場が法人内の老健や訪問看護でも、合算できる可能性がある。順番に整理していこう。
訪問リハビリのサービス提供体制強化加算とは|令和6年度改定後の最新情報
サービス提供体制強化加算は、勤続年数の長いリハ職を一定数配置している事業所を評価する加算です。要するに「経験のある人材が定着している事業所」を介護報酬で後押しする仕組みで、訪問リハビリテーションでは(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分が設けられています。
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、訪問リハビリにおける本加算の単位数・算定要件に変更はありませんでした。一方で、業務継続計画(BCP)未策定減算や高齢者虐待防止措置未実施減算といった「減算」が同時に動いている時期なので、加算で増やすだけでなく、減算で落とさない体制づくりもあわせて意識する必要があります。
サービス提供体制強化加算は、訪問リハビリ・介護予防訪問リハビリのどちらでも算定可能。指定(介護予防)訪問リハビリテーション事業所として都道府県知事に届け出ることが前提です。
そもそも「サービス提供体制」の評価とは何を見ているのか
この加算は、職員配置の手厚さや研修体制ではなく、「直接サービスを提供するセラピストの勤続年数」に着目しています。訪問リハビリの場合、対象となる職種は理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の3職種。看護師や事務職員は算定要件のカウント対象には含まれません。
勤続年数というシンプルな指標を用いることで、「人材定着=サービスの安定的な質」を加算で評価する設計です。新人だけで構成された事業所では取りづらく、ベテランが残っている事業所ほど取りやすい——これが本加算の基本構造です。
「訪問リハ」と「介護予防訪問リハ」の違い
訪問リハビリの保険給付には、要介護者向けの「(介護保険)訪問リハビリテーション」と、要支援者向けの「介護予防訪問リハビリテーション」の2系統があります。サービス提供体制強化加算はどちらにも設定されており、単位数も同じ(Ⅰ)6単位/回、(Ⅱ)3単位/回です。届出と算定要件のロジックも共通なので、両方を提供している事業所は同じ届出で対応できます。
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い|単位数と算定要件を一覧で比較
まずは(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いを表で確認しておきましょう。数字を覚えるよりも、「何が違うか」を構造で押さえる方が、現場の判断はぶれません。
| 区分 | 単位数 | 主な算定要件 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 加算(Ⅰ) | 6単位/回 | 勤続7年以上のPT・OT・STが1名以上 | ベテラン配置を評価 |
| 加算(Ⅱ) | 3単位/回 | 勤続3年以上のPT・OT・STが1名以上 | 中堅以上の定着を評価 |
注意したいのは、(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可であること。両方の要件を満たしていれば、当然ながら上位である(Ⅰ)を選んで届け出るのがセオリーです。1名でも勤続7年以上のセラピストがいれば(Ⅰ)が算定できるため、まずは事業所内で在籍者の勤続年数を棚卸ししてみるのが第一歩になります。
1回あたり数単位でも、年単位では大きな差に
「たかが3〜6単位/回」と感じるかもしれません。しかし訪問リハビリは1人の利用者に対して週2〜3回提供することも多く、月単位・年単位で積み上がると無視できない金額になります。
たとえば月のべ400件のリハ提供をしている事業所であれば、(Ⅰ)算定で月2,400単位、(Ⅱ)算定で月1,200単位。1単位を10円換算(地域区分により異なる)で考えると、(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は年間14万円ほどの収益差になります。提供回数が多い事業所ほど、上位区分を狙う価値は大きい加算です。

1回6単位だから小さい加算かと思っていました…積み上げるとそんなに変わるんですね。

そうそう。しかも区分支給限度基準額の対象外だから、利用者さんの支給限度を圧迫しないのも嬉しいポイントだよ。
支給限度基準額への影響|実は使い勝手のよい加算
サービス提供体制強化加算は区分支給限度基準額の算定対象から外れている加算です。つまり、加算分が利用者の月の支給限度額を消費しないため、ケアプラン上の他サービスを圧迫しません。利用者・家族の自己負担増にはなりますが、「限度額が足りないから他サービスを削る」といったトレードオフは発生しません。
算定要件を徹底解説|勤続年数のカウント方法と注意点
本加算でいちばん相談が多いのが、「勤続年数の数え方」です。ここを正しく押さえていないと、本来取れる区分を取り損ねたり、逆に取れない区分を届け出てしまうリスクがあります。
勤続年数の基本ルール
- 勤続年数は「各月の前月の末日時点」で判定する
- 当該事業所での勤務年数だけでなく、同一法人等が運営する他の介護サービス事業所・病院・社会福祉施設等での勤務年数も通算可能
- 通算対象となるのは「サービスを利用者に直接提供する職員」としての勤務年数
- 非常勤・常勤の区別は問わない(ただし「直接提供する者」が要件)
たとえば同一医療法人内の老健で5年勤務し、その後法人内の訪問リハ事業所に異動して2年経っているPTは、合計で勤続7年として(Ⅰ)の対象に該当します。「自事業所だけの年数で要件を満たさない」と早合点して算定を見送るケースは、現場で意外と多い算定漏れパターンです。
産休・育休・介護休業期間の取扱い
厚生労働省のQ&Aでは、産前産後休業・育児休業・介護休業の期間中も「雇用関係が継続している」ため、勤続年数に含められると整理されています。長期休業からの復職者を要件カウントに入れ忘れていないか、年に1回は名簿を見直しておくと安心です。
休職期間の取扱いについて自治体ごとに細かい解釈が異なる場合があります。長期の私傷病休職や雇用形態変更を含むケースは、都道府県・市町村の介護保険担当窓口に事前確認しておくのが安全です。
「直接サービスを提供する」の意味
要件にある「利用者に直接サービスを提供する」とは、利用者宅でリハビリを実施するPT・OT・STを指します。管理職として実訪問を行っていないセラピストはカウント対象外と解釈されるケースがあります。
逆に、訪問件数が少なくても「直接提供している実態」があれば対象に含められます。勤続年数だけでなく「直接提供しているか」も同時にチェックすることがポイントです。
1名以上いればOK|誤解されがちな配置要件
(Ⅰ)も(Ⅱ)も、要件を満たすセラピストが1名以上いれば算定可能です。「常勤換算で◯名以上」や「全員が勤続◯年以上」といった条件ではありません。少人数の事業所でも、1人ベテランがいれば届け出られる設計になっています。
サービス提供体制強化加算の単位数まとめ|訪問リハ・介護予防訪問リハ
令和6年度改定後も単位数は据え置きです。1回あたりの算定単位を整理しておきましょう。
| サービス | 区分 | 単位数 | 支給限度基準額 |
|---|---|---|---|
| 訪問リハビリテーション | サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 6単位/回 | 対象外 |
| 訪問リハビリテーション | サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 3単位/回 | 対象外 |
| 介護予防訪問リハビリテーション | サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 6単位/回 | 対象外 |
| 介護予防訪問リハビリテーション | サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 3単位/回 | 対象外 |
「1回につき」算定なので、月単位ではなく実訪問回数に連動して積み上がります。提供回数の多い利用者ほど寄与額が大きくなり、ステーション全体の利益率を底上げします。
届出から算定までの流れ|STEP1〜5で確認
「要件は満たしているのに、まだ届け出ていない」という事業所は意外と少なくありません。ここでは届出から算定までの基本フローを整理します。
- 在籍セラピストの勤続年数を棚卸し同一法人内の他事業所での勤務年数を含めて、PT・OT・STごとに通算年数を一覧化します。エクセル等で「氏名・職種・自事業所入職日・法人内通算年数」をまとめると判定が早くなります。
- (Ⅰ)か(Ⅱ)かを判定勤続7年以上が1名以上いれば(Ⅰ)、3年以上が1名以上いれば(Ⅱ)。両方の要件を満たすなら(Ⅰ)を選択します。併算定はできません。
- 届出書類の作成都道府県(または指定権限のある市町村)が定める「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」「体制等状況一覧表」「サービス提供体制強化加算に関する届出書」等を作成します。勤続年数を証明する勤務表・辞令等の根拠資料を整えておきます。
- 所管行政庁へ届出算定を開始したい月の前月15日までに届出を提出します(自治体により締切日が異なる場合あり)。期限を過ぎると算定開始月が1か月ずれるため要注意です。
- 翌月以降のレセプトで算定受理後、算定開始月のレセプトから加算コードを乗せて請求します。算定要件の維持状況は毎月確認し、外れた月は速やかに変更届を提出します。
届出の様式名・締切日・添付書類は自治体ごとに微妙に異なります。必ず管轄の都道府県・市町村の公式ページから最新様式を入手してください。
サービス提供体制強化加算で押さえておくべきQ&A・現場の疑問
厚生労働省のQ&Aや自治体の解釈通知を踏まえ、訪問リハの現場で頻出する疑問を整理します。
Q1. 要件を満たしていた職員が退職した場合は?
要件を満たすセラピストが退職や異動でいなくなった場合、その月から算定要件を満たさなくなります。速やかに変更届を提出し、加算を取り下げる必要があります。要件を満たさないまま算定を継続すると、指導監査で過誤調整(返還)の対象となります。
Q2. (Ⅰ)と(Ⅱ)の同時算定はできる?
できません。1事業所につき算定できるのは(Ⅰ)または(Ⅱ)のどちらか一方のみです。要件を満たす上位区分を選択します。
Q3. 育休中の職員も勤続年数に含めてよい?
含めて差し支えありません。雇用関係が継続している期間は、産休・育休・介護休業ともに勤続年数に算入できます。
Q4. パートタイマーや非常勤も対象になる?
「直接サービスを提供している」セラピストであれば、雇用形態に関わらず対象になり得ます。常勤要件はありませんが、訪問実態のないセラピストは対象外と判断されることがあるため、訪問記録で実態を残しておくことが大切です。
Q5. 同一法人での通算は、どのサービスまで含められる?
同一法人等が運営する介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等で「利用者・患者に直接サービスを提供する職員」として勤務した年数が通算対象です。医療機関でのPT・OT・ST勤務も、同一法人であれば原則通算可能と整理されています。
PT・OT・STが現場で意識したい運用ポイント
制度の理解だけでなく、現場で「取り続ける」ための運用が重要です。リハ職の視点で押さえておきたいポイントをまとめます。
① 退職・異動が起きたら「翌月の算定」を必ず再確認する
要件を満たしていた唯一のベテランが退職した月は、その時点で(Ⅰ)または(Ⅱ)の要件を失う可能性があります。月初の勤怠締めと同じタイミングで「サービス提供体制強化加算の要件確認」をルーティン化しましょう。

退職届が出た時点で「次の体制でも要件を満たすか?」を一緒に確認する流れを作っておくといいよ。
② 法人内人事異動はチャンス|通算年数を可視化する
同一法人内に老健や訪問看護、医療機関がある場合、人事異動でやってくるセラピストの法人内通算年数を可視化しておくと、ベテラン要件を満たしやすくなります。入職時の面談で「法人内通算年数」をヒアリングシートに加えるだけで、人事との連携がスムーズになります。
③ 加算取得を「採用ブランディング」にも活用する
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)を算定している事業所は、「ベテランが残っている=働き続けやすい職場」というメッセージにも転用できます。求人票やステーション紹介ページに記載しておくと、転職検討中のセラピストへの訴求材料になります。
④ 減算リスクと一緒にチェックする
令和6年度改定では、高齢者虐待防止措置未実施減算や業務継続計画(BCP)未策定減算が動き始めています。加算で増やすことだけに目を向けるのではなく、減算で取りこぼさない体制づくりも同時に進めましょう。
⑤ 勤続証明の根拠資料を整える
指導監査や実地指導で必ず確認されるのが、勤続年数の根拠資料です。雇用契約書、辞令、勤務表、健康保険資格取得確認通知書などをセラピストごとにファイリングしておきましょう。「届け出ているけれど根拠資料がない」状態が、もっとも危ない運用です。
よくある質問(FAQ)
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?
併算定はできません。要件を満たす上位の区分(Ⅰ)または(Ⅱ)を選択して届け出ます。両方の要件を満たす場合は、単位数の大きい(Ⅰ)を算定するのが一般的です。
勤続年数はいつの時点で判定しますか?
「各月の前月の末日時点」で判定します。たとえば6月の算定要件を判定する場合は、5月末日時点の勤続年数で見ます。新規入職者の要件カウント開始タイミングもこのルールで判定します。
他法人での勤務経験は勤続年数に含められますか?
含められません。通算できるのは「同一法人等」が運営する介護サービス事業所・病院・社会福祉施設等での勤務経験に限られます。経営主体が異なる場合は通算対象外です。
非常勤や週1日勤務のPT・OT・STも対象になりますか?
勤務形態にかかわらず、「利用者に直接サービスを提供している」セラピストであれば対象に含められます。ただし訪問実績がないと「直接提供している」とみなされない可能性があるため、訪問記録で実態を残しておきましょう。
令和6年度改定で単位数や要件は変わりましたか?
訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーションともに、サービス提供体制強化加算の単位数および算定要件に変更はありませんでした。(Ⅰ)6単位/回・(Ⅱ)3単位/回が引き続き適用されます。
要件を満たすセラピストが退職した月はどう対応しますか?
退職により要件を満たさなくなった月から算定不可になります。速やかに変更届を提出し、誤って算定を続けないようレセプトのチェック体制を整えてください。継続して算定すると過誤調整(返還)の対象になります。
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まとめ|算定漏れゼロで、訪問リハの収益と質を両立させよう
サービス提供体制強化加算は、訪問リハビリテーション事業所にとって「ベテランの定着」をそのまま収益に変えられる、コストパフォーマンスの高い加算です。1回あたりは数単位でも、年単位で見れば事業所の経営を支える柱になり得ます。
- 訪問リハのサービス提供体制強化加算は(Ⅰ)6単位/回・(Ⅱ)3単位/回。令和6年度改定でも単位数は据え置き
- 勤続年数は同一法人内の他事業所・病院・施設等での年数を通算可能。産休・育休・介護休業も算入できる
- (Ⅰ)(Ⅱ)の併算定は不可。要件を満たす上位区分を選択する
- 判定は「各月の前月の末日時点」。退職・異動の月は速やかに見直す
- 区分支給限度基準額の対象外なので、ケアプランの限度額を圧迫しない
- 勤続証明の根拠資料を整えておくことで、指導監査リスクも下げられる
勤続年数の棚卸しと根拠資料の整備を、月初のルーティンに組み込むことから始めてみてください。算定漏れを防ぐだけで、年間数十万円の収益改善が見込めるはずです。
