訪問リハビリに将来性はある?データで見る需要と働く人の課題

訪問リハビリに将来性はあるのか。結論からいうと、利用者数・費用額ともに増え続けており、サービスとしての需要は今後も伸びると考えられます。一方で、PT・OTの数はそれ以上のペースで増えていて、「訪問リハビリで働けば安泰」とは言い切れない状況です。
この記事では、これから訪問リハビリで働きたいPT・OT・STに向けて、厚生労働省のデータでみる需要の伸び・事業所の経営状況・人材の需給・制度の動き・将来も求められるセラピストの条件を整理します。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
- 訪問リハビリの利用者数・費用額・事業所数の推移
- 訪問リハビリ事業所の経営状況(収支差率)
- PT・OTの需給推計からみた「競争」の見通し
- 令和8年度の処遇改善加算など、制度の動き
- 将来も求められる訪問リハビリのセラピストの条件
訪問リハビリの将来性をデータで確認する
利用者数は増え続けている
厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会の資料によると、訪問リハビリテーション(要介護)の受給者数は、令和7年4月審査分で約15.3万人でした。要介護度別にみても、要介護1・2を中心に、すべての区分で増加傾向にあります。
| 指標 | 数値 | 出典の時点 |
|---|---|---|
| 受給者数(要介護) | 約15.3万人 | 令和7年4月審査分 |
| 費用額(要介護) | 約587億円 | 令和6年度 |
| 請求事業所数 | 5,680事業所 | 令和7年4月審査分 |
| 1事業所あたりの受給者数 | 約21.5人 | 令和7年4月審査分 |
| 利用者1人1月あたりの費用額 | 約4.0万円 | 令和7年4月審査分 |
費用額は年々増えていて、令和6年度は介護サービス分だけで約587億円でした。介護保険の総費用に占める割合は0.5%と小さいものの、着実に伸びているサービスです。
1事業所あたりの利用者も増えている
同じ資料では、訪問リハビリの1事業所あたりの受給者数は、平成19年の約13.9人から令和7年には約21.5人に増えています。事業所の数が増えるだけでなく、1つの事業所が担う利用者も増えてきたことがわかります。一方、高齢者人口あたりの事業所数は都道府県によって大きな差があり、訪問リハビリ事業所が少ない地域も残っています。
なぜ需要が伸びるのか
- 在宅で暮らす高齢者の増加:高齢化が進み、要介護になっても自宅で暮らし続けたい人が増えている
- 入院期間の短縮:病院の在院日数が短くなり、退院直後から自宅でリハビリが必要な人が増えている
- 地域包括ケアの推進:住み慣れた地域で暮らし続けるために、生活の場でのリハビリが重視されている
- 自立支援・重度化防止:介護報酬でも、リハビリの質や成果を評価する仕組みが強化されている

利用者さんが増えているなら、将来も安心なんじゃないですか?

サービスの需要という意味では明るいね。でも、働く側からみると話は別。PT・OTの数も急に増えているから、「訪問リハビリなら誰でも歓迎される」時代ではなくなっていくと思うよ。
訪問リハビリ事業所の経営状況
厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査によると、訪問リハビリの収支差率(税引き前、物価高騰対策関連補助金を含まない)は、令和6年度決算で10.8%でした。令和5年度決算の11.8%からは下がりましたが、居宅サービスの中では比較的安定した水準です。
| 項目(1事業所・1か月あたり) | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|
| 収入 | 約126.7万円 | 約128.5万円 |
| 給与費(収入に占める割合) | 約83.1万円(65.6%) | 約85.4万円(66.4%) |
| 収支差率 | 11.8% | 10.8% |
訪問リハビリは病院・診療所・老健などが運営するサービスで、母体の医療機関・施設と一体で運営されていることが多いのが特徴です。母体の経営状況が、訪問リハビリ部門の人員配置や給与にも影響します。
PT・OTの需給からみた将来性
働く人にとって気になるのが、PT・OTの数の見通しです。厚生労働省の理学療法士・作業療法士需給分科会で示された需給推計(案)では、PT・OTの供給数はすでに需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になると見込まれています。
令和8年の第61回国家試験でも、理学療法士は約1.1万人、作業療法士は約4,900人が合格しています。毎年これだけの新しいセラピストが生まれていることを考えると、「訪問リハビリの経験がある」だけでは差がつきにくくなると考えておいた方がよいでしょう。PT全体の将来性については、関連記事で詳しく解説しています。

需要は増えるけど、セラピストも増えるから競争になるんですね。

そう。だからこそ、訪問リハビリで評価される力を身につけておくことが大事なんだ。次で、制度の動きとあわせて見ていこう。
訪問リハビリをめぐる制度の動き
令和8年度:訪問リハビリにも処遇改善加算
令和8年度の期中改定で、それまで対象外だった訪問リハビリにも介護職員等処遇改善加算(加算率1.5%)が設けられました(令和8年6月から)。訪問看護(1.8%)や居宅介護支援(2.1%)なども新たに対象になっています。賃金改善の配分方法は事業所によって異なりますが、在宅サービスで働く職員の処遇を改善しようとする国の方向性が表れています。
リハビリの「質」と「成果」がより問われる
近年の改定では、リハビリテーション会議やLIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出、通所サービスなどへの移行支援が評価されるようになっています。要支援の利用者では、12か月を超えると減算になる仕組みもあります。漫然と続けるリハビリではなく、目標を立て、成果を出し、次の生活につなげるリハビリが求められる流れは、今後も続くと考えられます。
医療と介護の連携
退院前のカンファレンスに参加して自宅での生活を見すえた指導を行う「退院時共同指導加算」や、医療機関のリハビリ計画書を使った情報連携など、病院から在宅への切れ目のないリハビリも重視されています。病院と在宅の両方の視点を持つセラピストは、今後さらに必要とされるでしょう。
将来も求められる訪問リハビリのセラピストの条件
| 求められる力 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 生活を見る力 | ADL・IADLを評価し、家事・外出・役割など「参加」につながる目標を立てられる |
| リスク管理 | 医師や看護師がそばにいない環境で、バイタルや病状の変化を判断できる |
| 連携・調整力 | ケアマネジャー、訪問介護、福祉用具、主治医などと情報を共有し、チームを動かせる |
| 制度の理解 | 加算・減算や計画書・会議のルールを理解し、運営指導に耐える記録を作れる |
| 終了・移行を支える力 | 通所サービスや地域の活動へつなぎ、リハビリを「卒業」させられる |
加えて、管理者として事業所を運営する力や、営業・地域連携の経験も強みになります。訪問リハビリでキャリアを積みたい人は、臨床・制度・連携の3つをバランスよく身につけることを意識しましょう。
これから訪問リハビリで働きたい人へ【実践編】
- 病院での経験を積んでおく:急性期・回復期で疾患やリスク管理の知識を身につけておくと、在宅で一人で判断する場面に強くなる
- 同行訪問や教育体制を確認する:入職後に先輩と同行できる期間や、困ったときに相談できる体制があるかを確認する
- 母体の安定性を見る:病院・老健など運営母体の経営状況や、訪問リハビリ部門の位置づけを確認する
- 給与体系を確認する:固定給か歩合制か、処遇改善加算の配分方法など、給与の仕組みを面接で確認する
訪問リハビリへの転職を考えている人は、求人の条件を比べながら、自分に合う職場を探すことが大切です。
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よくある質問
訪問リハビリの需要は今後も増えますか?
厚生労働省のデータでは、受給者数・費用額ともに増加しています。在宅で暮らす要介護者の増加や入院期間の短縮を考えると、サービスとしての需要は今後も伸びると考えられます。ただし、地域によって事業所数や需要には差があります。
PT・OTが増えすぎて、訪問リハビリの仕事がなくなることはありますか?
仕事がなくなるとは考えにくいものの、需給推計ではPT・OTの供給が需要を上回る見通しが示されています。訪問リハビリでも、生活を見る力や連携力など、成果を出せるセラピストかどうかで評価の差が開いていくと考えられます。
訪問リハビリの給料は今後上がりますか?
令和8年6月から訪問リハビリにも処遇改善加算(1.5%)が設けられ、賃金改善に充てることが求められています。ただし、配分の方法や対象職員は事業所ごとに決まるため、実際の給与への反映は職場によって異なります。
新卒から訪問リハビリで働いても大丈夫ですか?
制度上は新卒でも働けますが、一人で訪問して判断する場面が多いため、教育体制の整った事業所を選ぶことが大切です。詳しくは関連記事「訪問リハビリは何年目から働ける?」をご覧ください。
- 訪問リハビリの受給者数は約15.3万人(令和7年4月)、費用額は約587億円(令和6年度)と増加が続いている
- 事業所の収支差率は10.8%(令和6年度決算)と比較的安定している
- 一方で、PT・OTの供給は需要を上回り、2040年頃には約1.5倍になる見通し
- 令和8年6月から処遇改善加算(1.5%)。リハビリの質・成果・連携がより問われる流れ
- 生活を見る力、リスク管理、連携力、制度の理解を身につけたセラピストが将来も求められる
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」
- 厚生労働省 第3回理学療法士・作業療法士需給分科会 資料2
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1(令和8年度介護報酬改定)
- 厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

