退院時共同指導加算(訪問リハ)の算定要件と600単位の取り方|PT・OT・ST向け解説

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退院前カンファレンスから戻ってきて、「あれ、これって退院時共同指導加算って取れるんだっけ?」と手が止まったことはありませんか。算定要件は決して難しくないのに、カンファ参加→初回訪問リハ→記録という一連の流れの中で「どの瞬間に何をすればよいか」が意外と整理されていないため、現場でモヤモヤしているPT・OT・STは少なくありません。

この記事では、介護保険の訪問リハビリテーションにおける退院時共同指導加算(600単位/回)の算定要件と実務フローを、厚生労働省の通知をもとにセラピスト視点で整理します。読み終える頃には、「次の退院前カンファ、ここを押さえれば算定漏れしない」というチェックリストが頭に入った状態になるはずです。

この記事でわかること
  • 訪問リハの退院時共同指導加算の定義と単位数(600単位/回)
  • 算定要件と「退院後初回訪問日に算定する」というタイミングの考え方
  • テレビ電話装置等を活用する際の同意・遵守事項
  • 通所リハと訪問リハの両方で算定できるケース・できないケース
  • PT・OT・STが現場で押さえるべきカンファ準備〜記録〜計画反映のコツ
  • 厚労省Q&Aと現場のよくある質問への回答
目次

訪問リハビリの退院時共同指導加算とは?

退院時共同指導加算は、入院中の利用者が退院するにあたり、訪問リハビリテーション事業所の医師またはPT・OT・STが退院前カンファレンスに参加し、医療機関側の主治医や療法士等と情報共有のうえ、本人・家族に在宅でのリハビリに必要な指導を共同で行った場合に算定できる加算です。算定対象は退院後の初回訪問リハビリで、退院1回につき1回限り算定できます。

ここでいう「退院時共同指導」は単なる挨拶や顔合わせではありません。厚生労働省の通知では、医療機関の主治医・療法士その他の従業者と利用者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、本人または家族に対して在宅リハに必要な指導を共同で実施し、その内容を在宅での訪問リハビリテーション計画に反映させることと定義されています。

新人PT
新人PT

カンファに行っただけじゃ算定できないってことですか?

ベテランPT
ベテランPT

そう。「相互に情報共有」「本人・家族へ共同指導」「計画に反映」の3点が揃って、初めて算定の土台ができるよ。さらに退院後に初回訪問リハを実施して、ようやく算定が確定する仕組みなんだ。

なぜこの加算が設けられているのか

退院直後は、医療機関から在宅へリハビリのバトンが受け渡される極めて重要な時期です。入院中のADL・嚥下・認知面・服薬・住環境などの情報が在宅側に伝わらないと、転倒や再入院リスクが一気に高まります。この加算は、「医療→介護のリハビリ連携を退院前から始めてください」という政策的メッセージであり、退院後早期の継続的なリハ提供を後押しするために設計されています。

退院時共同指導加算の単位数と算定回数

訪問リハビリ(介護予防訪問リハビリ含む)における退院時共同指導加算の単位数と算定回数は以下のとおりです。

項目内容
単位数600単位/回
算定回数退院1回につき1回まで
算定タイミング退院後の初回訪問リハビリ実施日
対象保険介護保険(介護予防含む)
算定可能職種事業所の医師、PT、OT、ST
POINT

算定するのはカンファ当日ではなく「退院後初回訪問日」です。カンファに参加した日に算定する加算ではない点を勘違いしやすいので、レセプト担当との認識合わせが大切です。

1か月に複数回算定できるケース

退院時共同指導は退院1回につき1回が原則ですが、入退院を繰り返した場合、退院ごとに条件を満たせばその都度算定可能です。厚労省の訪問看護Q&A(訪問リハも同様の考え方)では、次のように整理されています。

ケース流れ算定可否
2回算定OK入院→退院時共同指導→退院→訪問リハ実施→再入院→退院時共同指導→訪問リハ実施2回算定可
1回のみ入院→退院時共同指導→退院→訪問リハ未実施のまま再入院→退院時共同指導→訪問リハ実施1回のみ算定可

つまり、「カンファに参加した」だけでは算定権利が確定せず、退院後に1度でも訪問リハを実施して初めて1回分として成立します。1度も訪問リハを実施せず再入院した場合は、最初のカンファ分は算定できません。

退院時共同指導加算の算定要件をPT・OT・ST視点で分解する

厚労省通知の算定要件を、現場で「やること」に置き換えると次の4点に集約されます。

  • 医療機関の主治医・PT・OT・ST等と相互に情報共有している
  • 本人または家族に対し、在宅でのリハに必要な指導を共同で実施している
  • その内容を在宅の訪問リハ計画書に反映している
  • 退院時共同指導の内容を記録している

「相互に情報共有」とはどこまで具体的に?

単に病院側の説明を聞いて帰ってくるだけでは「相互」にはなりません。在宅側の住環境、家族構成、これまでのADLや生活歴、過去のリハ歴、家屋評価の結果など、訪問リハ事業所が把握している情報を医療機関に提供することがポイントです。逆に病院側からは、入院中のADL・FIM/BI、麻痺・筋力、嚥下、認知、内服、医師の指示・禁忌、退院後の医学的リスクなどを共有してもらいます。

「共同で指導」とは誰が誰に何をするのか

指導の対象は利用者本人または家族です。医療機関と訪問リハ事業所のスタッフが同席(テレビ電話含む)し、退院後の生活で必要な動作練習・自主トレ・転倒予防・福祉用具の使い方・受診タイミングなどを一緒に説明します。「先生から○○の練習を続けてくださいと話があった通り、在宅では訪問リハで週○回フォローします」というように、医療と介護の役割分担を本人・家族に見える化することが本質です。

「計画に反映」と「記録」はワンセット

共同指導で確認した情報・指導内容は、そのまま訪問リハ計画書とカンファ記録(指導記録)に落とし込むことが必須です。実地指導や運営指導で見られるのは、計画書の中身が「カンファで共有された情報」を踏まえて作られているかどうか。コピペのテンプレ計画書のままだと、要件未達と判断されるリスクがあります。

注意

「カンファに参加した」記録だけでは不十分です。共有された情報・行った指導内容・家族の反応・計画への反映点まで具体的に残しましょう。

テレビ電話装置等を活用する場合の注意点

令和6年度介護報酬改定で、退院時共同指導はテレビ電話装置等を活用しての実施が明確に認められています。遠方の医療機関や移動コストが大きい地域では、現実的な選択肢として広がっています。

テレビ電話等を使う際の3つの条件

① 利用者または家族の同意を得ること(書面・記録に残すと安全)
② 個人情報保護委員会・厚労省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」を遵守すること
③ 厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守すること

新人PT
新人PT

同意って口頭でも大丈夫ですか?

ベテランPT
ベテランPT

口頭でも要件は満たすけど、後々のトラブルを避けるならカンファ記録に「テレビ電話で実施・同意あり」と明記しておくのがおすすめだよ。書面の同意書テンプレを用意しておくと、運営指導時にも安心。

使うツールは何でもいい?

厚労省は具体的なアプリ名を指定していませんが、通信内容が暗号化されていること、医療情報を扱える設計であることが前提です。一般的なフリーのビデオ通話よりも、医療・介護向けに提供されているサービスや、自治体・医療機関が指定する遠隔会議システムを使うほうが安全です。

退院時共同指導加算を取るまでの流れ【STEP解説】

実際に訪問リハ事業所のPT・OT・STがどう動けばよいか、典型的な流れを5ステップで整理します。

  1. 医療機関・ケアマネからカンファ案内を受ける退院日が見え始めた段階で、医療機関のMSWやケアマネジャーから退院前カンファレンスの開催連絡が入ります。担当療法士の参加可否をできるだけ早く返答しましょう。日程調整のため、訪問スケジュールの組み替えが必要になることが多いです。
  2. 事前準備(在宅側情報の整理)住環境(段差・手すり・トイレ・浴室・寝室)、家族の介護力、過去のリハ歴、利用予定の他サービスをまとめておきます。可能であれば家屋写真や福祉用具の検討メモも持参。「在宅側のリアル」を病院側に伝えるほど、退院後の生活設計がブレません。
  3. 退院前カンファレンスに参加して共同指導を実施主治医・病棟看護師・病棟療法士・MSW・ケアマネ・本人・家族と同席し(テレビ電話可)、入院中の状態・退院後のリスク・必要なリハ内容を相互共有。本人・家族に対し、在宅で必要な動作練習・自主トレ・受診タイミング・緊急時対応を共同で説明します。
  4. 共同指導の内容を記録し、訪問リハ計画書に反映カンファ記録(共有情報・指導内容・参加者・実施方法・同意の有無)を作成。その内容を踏まえて訪問リハ計画書を作成または更新します。短期目標・長期目標・週あたりの実施回数・他職種連携の方針まで落とし込みましょう。
  5. 退院後初回訪問リハを実施 → 算定退院後、初めて訪問リハに伺った日に退院時共同指導加算(600単位)を算定します。初回訪問では、カンファで共有された情報と実際の在宅状況のギャップ(手すりが足りない、想定より歩行が安定している/不安定 など)を再評価し、必要に応じて計画を微修正します。
退院後初回訪問日に注意

カンファ実施月から間が空きすぎると算定が認められない場合があります。訪問看護のQ&Aでは「退院後初回訪問月の同一月または前月に退院時共同指導を実施した場合に算定可」とされており、訪問リハでも同様の運用と解釈されます。退院後はできるだけ速やかに初回訪問を組みましょう。

通所リハ・他事業所と算定が重なるときの考え方

同じ利用者が訪問リハと通所リハを併用するケースは多く、「両方の事業所で算定できるのか?」という質問が現場で頻発します。原則は以下のとおりです。

ケース算定可否
訪問リハと通所リハが別事業所で、各事業所の医師等がそれぞれカンファに参加し共同指導を実施各事業所で算定可
訪問リハと通所リハが一体的に運営されている事業所で、両方算定したい場合併算定不可(どちらか一方)
訪問看護と訪問リハが別事業所で、それぞれ退院時共同指導加算を算定各事業所で算定可(要件を満たす場合)

「一体的運営」とは、同一の医療機関等の中で訪問リハと通所リハを一体的に提供している場合などを指します。人員・設備・運営が独立しているかどうかで判断が分かれるため、自施設の運営形態を確認しておくと安心です。

PT・OT・STが現場で押さえるべき実務ポイント

セラピストとして「ただカンファに行く」のではなく、退院時共同指導加算の趣旨を活かす動き方を意識すると、利用者の予後にも算定にも好影響があります。

① カンファ前に「聞きたいこと」を3つに絞っておく

限られたカンファ時間で全部を聞こうとすると焦点が散ります。事前に「動作面で確認したいこと/医学的リスクで確認したいこと/家族支援で確認したいこと」を各1つずつに絞ってメモしておきましょう。質問が具体的だと、病院側の療法士からも実践的な回答が返ってきます。

② 在宅側の情報は「数字」と「写真」で持っていく

「玄関に段差があります」より、「玄関上り框25cm/手すり右側のみ」のほうが圧倒的に伝わります。家屋の段差・寝室から玄関までの動線・トイレと寝室の距離・浴室の浴槽縁の高さなどは、可能であれば数値で押さえて共有します。在宅復帰後のリスクを病院側がイメージしやすくなり、共同指導の質が一段上がります。

③ 共同指導は「家族の不安」を引き出す場でもある

本人より家族の不安が大きいケースは少なくありません。共同指導の場で「退院後の生活で一番心配なことは何ですか?」と一言聞いてみるだけで、訪問リハの初回介入の目的が明確になります。家族の不安=初回訪問の優先課題として、計画書の短期目標に反映させると、家族からの信頼を得やすくなります。

④ 計画書には「カンファで共有された情報」を必ず一文入れる

記録のテクニックとしておすすめなのが、訪問リハ計画書の「課題・目標」の根拠欄に、「退院前カンファ(〇年〇月〇日実施)で病院PT〇〇氏より、入院中BI〇点、麻痺側肩関節屈曲〇度との情報共有あり。これを踏まえ〜」と一文入れる方法です。要件充足のエビデンスとして、運営指導でも強い説明力を持ちます。

セラピストの差がつくポイント

退院時共同指導は単発のイベントではなく、「医療→在宅のリハビリの引き継ぎ会議」。ここで得た情報が、その後数か月の訪問リハの方向性を決めます。算定600単位以上の価値を、ぜひ初回訪問で利用者・家族に返してあげましょう。

厚生労働省Q&A・現場でよくある質問

退院時共同指導加算の解釈について、厚生労働省は訪問看護に関するQ&Aを示しています。訪問リハでも基本的な考え方は共通すると解釈されているため、参考として整理します。

1か月に入退院を繰り返した場合、複数回算定できる?

算定できます。ただし、退院後に1度も訪問リハを実施せず再入院した場合は、その回の退院時共同指導は算定不可です。退院→訪問リハ実施→再入院→退院→訪問リハ実施という流れであれば、各退院につき1回ずつ算定可能です。

退院時共同指導から退院後初回訪問まで時間が空いた場合は?

退院後初回訪問月と同一月、または前月に退院時共同指導を実施していれば算定可能とされています(訪問看護のQ&Aより)。2か月以上空くと算定できない運用が一般的なので、退院日が決まったら初回訪問日を早めに調整しましょう。

通所リハと訪問リハの両方で算定できる?

原則として、別事業所であり、それぞれの医師等がカンファに参加して共同指導を行えば、両方で算定できます。ただし、同一法人内で訪問リハと通所リハが一体的に運営されている場合は併算定不可です。

テレビ電話でのカンファでも算定できる?

算定できます。ただし、利用者または家族の同意を得たうえで、厚労省の個人情報・医療情報安全管理のガイダンスを遵守する必要があります。記録には実施方法(対面・テレビ電話の別)と同意の有無を明記しましょう。

退院時共同指導加算を算定した月にリハマネ加算も算定できる?

退院時共同指導加算とリハビリテーションマネジメント加算は別の趣旨の加算であり、要件を満たせば同月の算定が可能です。それぞれの要件・記録・計画反映を独立してクリアしているかを確認してください。

退院時共同指導の記録は何を残せばいい?

最低限、①実施日・場所・実施方法(対面/テレビ電話)/②参加者の氏名・職種・所属/③共有した情報の要旨/④本人・家族への指導内容/⑤訪問リハ計画への反映点/⑥テレビ電話の場合は同意の有無を残しておくと安全です。

関連加算と一緒に押さえておきたいポイント

退院時共同指導加算は、退院直後の連携を評価する加算ですが、訪問リハではほかにも退院後の集中介入や連携を評価する加算があります。セットで理解しておくと、利用者の経過に応じて適切な算定計画を立てやすくなります。

加算主な趣旨
退院時共同指導加算退院前カンファレンスでの医療・介護連携を評価
短期集中リハビリテーション実施加算退院後3か月以内に集中的に訪問リハを提供する場合の評価
リハビリテーションマネジメント加算計画的なリハマネジメント・多職種連携・LIFEへの提出等を評価

特に退院直後の利用者は短期集中リハ実施加算とセットで考えるケースが多いので、退院時共同指導加算を算定するときは、同時に短期集中リハの算定可否も検討しておきましょう。

まとめ|退院時共同指導加算は「カンファ+初回訪問+記録」で完成する

訪問リハの退院時共同指導加算は、単位数こそ600単位/回ですが、その本質は「医療から在宅へリハビリのバトンを丁寧に渡すための仕組み」です。算定要件を満たすだけでなく、利用者・家族の安心と退院後の生活の質に直結する加算だからこそ、PT・OT・ST一人ひとりの動き方が問われます。

この記事のまとめ
  • 退院時共同指導加算は600単位/回、退院後初回訪問日に退院1回につき1回算定
  • 算定要件は「相互の情報共有」「本人・家族への共同指導」「計画への反映」「記録」の4点セット
  • テレビ電話装置等の活用OK。ただし同意と個人情報・医療情報ガイドラインの遵守が必須
  • 別事業所同士なら訪問リハと通所リハで同時算定可。一体的運営なら不可
  • カンファ前準備・在宅情報の数値化・計画書への一文反映が、要件充足と利用者満足度を両立させるコツ

「カンファに出ました」だけで終わらせず、共同指導の内容を計画と記録に丁寧に落とし込むことが、訪問リハのプロとしての差になります。次の退院前カンファから、ぜひ実践してみてください。

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