訪問リハビリテーションの加算一覧|単位数と要件・減算まとめ

「訪問リハビリの加算って、全部でいくつあるの?」「うちの事業所が取れていない加算はないだろうか」——訪問リハビリの管理者や、請求を担当する事務職員、現場のPT・OT・STにとって、加算の全体像を把握しておくことは、事業所の運営にも、利用者への説明にも欠かせません。
この記事では、介護保険の訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーションの加算と減算を一覧で整理し、それぞれの単位数と主な要件を、厚生労働省の資料(令和6年度介護報酬改定、令和8年度期中改定を反映)をもとにまとめます。個別の加算の詳しい解説記事へのリンクもあわせて紹介します。
- 訪問リハビリ(要介護)の加算の一覧と単位数
- 介護予防訪問リハビリ(要支援)の加算・減算の違い
- 訪問リハビリの主な減算の一覧
- 区分支給限度基準額の枠外になる加算
- 加算を算定するときの共通の注意点
訪問リハビリの基本報酬
加算を見る前に、基本報酬を確認しておきましょう。
| 区分 | 基本報酬 | 回数の上限 |
|---|---|---|
| 訪問リハビリテーション | 308単位/回(20分以上) | 週6回(退院・退所から3月以内は医師の指示で週12回) |
| 介護予防訪問リハビリテーション | 298単位/回(20分以上) | 週6回 |
訪問リハビリの加算一覧(要介護)
| 加算 | 単位数 | 主な要件の概要 |
|---|---|---|
| 短期集中リハビリテーション実施加算 | 200単位/日 | 退院・退所日または認定日から3月以内に、集中的にリハビリを行った場合 |
| リハビリテーションマネジメント加算(イ) | 180単位/月 | 3月に1回以上のリハビリテーション会議、計画の見直し、ケアマネジャーへの情報提供など |
| リハビリテーションマネジメント加算(ロ) | 213単位/月 | (イ)の要件に加え、LIFEへの情報提出と活用 |
| リハマネ加算の医師説明の上乗せ | +270単位/月 | 事業所の医師が利用者・家族に計画を説明し、同意を得た場合 |
| 認知症短期集中リハビリテーション実施加算 | 240単位/日 | 認知症の利用者に、集中的なリハビリを行った場合(令和6年度改定で訪問リハビリに新設) |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 医師・PT・OT・STが退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った場合 |
| 口腔連携強化加算 | 50単位/回 | 口腔の健康状態を評価し、歯科医療機関とケアマネジャーに情報提供した場合(月1回まで) |
| 移行支援加算 | 17単位/日 | 終了者の通所介護等への移行割合などの要件を、前年の実績で満たす場合 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 6単位/回 | 勤続年数の長いPT・OT・STを一定以上配置 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 3単位/回 | 同上((Ⅰ)より緩い基準) |
| 特別地域訪問リハビリテーション加算 | 所定単位数の15% | 厚生労働大臣が定める地域に事業所が所在 |
| 中山間地域等における小規模事業所加算 | 所定単位数の10% | 中山間地域等に所在する小規模な事業所 |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 所定単位数の5% | 中山間地域等に住む利用者に、通常の事業の実施地域を越えて提供 |
| 介護職員等処遇改善加算 | 1.5% | 令和8年度の期中改定で訪問リハビリに新設。キャリアパス要件などを満たす場合 |

加算がこんなにあるんですね。全部取らないといけないんですか?

全部取る必要はないよ。大事なのは、利用者に必要なサービスを提供した結果として、要件を満たしたものを正しく算定すること。特にリハマネ加算は、リハビリの質の管理そのものだから、多くの事業所が算定しているね。
加算は「取れるから取る」ものではなく、要件となっている取り組みを実施した結果として算定するものです。要件を満たしていることを記録で示せるようにしておきましょう。
介護予防訪問リハビリの加算・減算(要支援)
介護予防訪問リハビリでは、要介護の訪問リハビリと算定できる加算が一部異なります。
| 加算・減算 | 単位数 | 要介護との違い |
|---|---|---|
| 短期集中リハビリテーション実施加算 | 200単位/日 | 算定可 |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 算定可 |
| 口腔連携強化加算 | 50単位/回 | 算定可 |
| サービス提供体制強化加算 | (Ⅰ)6単位・(Ⅱ)3単位/回 | 算定可 |
| 地域に関する加算 | 15%・10%・5% | 算定可(小規模事業所加算の回数基準は月10回以下) |
| リハマネ加算・移行支援加算・認知症短期集中 | ― | 介護予防にはない |
| 利用開始から12か月超の減算 | ▲30単位/回 | 介護予防のみ。リハ会議とLIFEの要件を満たせば減算なし |
訪問リハビリの減算一覧
| 減算 | 単位数 | 概要 |
|---|---|---|
| 診療未実施減算 | ▲50単位/回 | 事業所の医師が診療せず、別の医療機関の医師の情報提供で計画を作成した場合(退院後1か月以内の一定の場合は適用なし) |
| 同一建物減算 | ▲10%・▲15% | 同一敷地内建物等や利用者20人以上の建物の利用者に提供した場合など |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | ▲1% | 委員会・指針・研修・担当者の措置を講じていない場合 |
| 業務継続計画未策定減算 | ▲1% | 業務継続計画(BCP)を策定していない場合など |
| 12か月超の減算(介護予防のみ) | ▲30単位/回 | 要件を満たさずに利用開始から12か月を超えて提供した場合 |
算定率から見る訪問リハビリの加算の活用状況
厚生労働省の資料(令和7年10月サービス提供分)から、主な加算・減算を算定している事業所の割合を見てみましょう。
| 加算・減算 | 算定している事業所の割合 |
|---|---|
| 短期集中リハビリテーション実施加算 | 32.7% |
| リハビリテーションマネジメント加算(ロ) | 30.6% |
| リハビリテーションマネジメント加算(医師説明) | 29.6% |
| 移行支援加算 | 20.9% |
| リハビリテーションマネジメント加算(イ) | 16.2% |
| 退院時共同指導加算 | 8.6% |
| 口腔連携強化加算 | 1.0% |
| 認知症短期集中リハビリテーション実施加算 | 0.7% |
| (減算)診療未実施減算 | 22.1% |
リハマネ加算は(イ)と(ロ)を合わせると半数近くの事業所が算定している一方、令和6年度改定で新設された退院時共同指導加算、口腔連携強化加算、認知症短期集中リハビリテーション実施加算は、まだ算定している事業所が少ないことがわかります。医療機関や歯科との連携体制を整えることで、算定の余地がある加算といえます。
区分支給限度基準額の枠外になる加算
加算の中には、区分支給限度基準額の計算に含めない(枠外)ものがあります。利用者がほかのサービスを使える量に影響しないため、ケアマネジャーとの調整の際に知っておくと役立ちます。
- 特別地域訪問リハビリテーション加算
- 中山間地域等における小規模事業所加算
- 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
- サービス提供体制強化加算
- 介護職員等処遇改善加算
枠外の加算でも、利用者負担(1〜3割)は発生します。重要事項説明書で加算の内容と負担額を説明しておきましょう。
加算を算定するときの共通の注意点【実践編】
- 届出が必要な加算を確認する:体制にかかわる加算(サービス提供体制強化加算、地域に関する加算、移行支援加算など)は、指定権者への届出が必要
- 利用者への説明と同意:加算によって利用者負担が増えるため、重要事項説明書や計画書で説明し、同意を得る
- 要件の記録を残す:リハビリテーション会議の記録、情報提供の記録、研修記録など、要件を満たした根拠を残す
- ケアプランへの反映:サービス利用票に加算が正しく反映されているか、ケアマネジャーと確認する
- 改定ごとに見直す:報酬改定で単位数や要件が変わるため、改定のたびに算定状況を点検する
よくある質問
訪問リハビリに初回加算はありますか?
介護保険の訪問リハビリには、訪問看護の初回加算のような加算はありません。利用開始時の集中的な関わりは、短期集中リハビリテーション実施加算などで評価されます。
一番算定されている加算は何ですか?
厚生労働省の資料(令和7年10月サービス提供分、事業所ベースの算定率)では、短期集中リハビリテーション実施加算が32.7%、リハビリテーションマネジメント加算(ロ)が30.6%、(イ)が16.2%、移行支援加算が20.9%、退院時共同指導加算が8.6%でした。一方、認知症短期集中リハビリテーション実施加算は0.7%、口腔連携強化加算は1.0%と、算定がまだ少ない加算もあります。なお、診療未実施減算を算定している事業所は22.1%でした。
処遇改善加算はPT・OT・STの給与に反映されますか?
令和8年度の期中改定では、処遇改善加算の対象が介護従事者に拡大され、訪問リハビリにも新設されました。加算額の配分方法は事業所が定める賃金改善の計画によるため、具体的な反映方法は事業所に確認してください。
加算を算定し忘れていた場合、さかのぼって請求できますか?
届出が必要な加算は、届出の受理状況によって算定できる時期が決まるため、届出前の分をさかのぼって算定することはできません。届出が不要な加算で請求漏れがあった場合の扱いは、国保連の請求の期限なども関係するため、指定権者や国保連に確認してください。
まとめ|訪問リハビリの加算は「全体像」を押さえて正しく算定する
訪問リハビリには、リハビリの質を評価する加算、医療との連携を評価する加算、地域や体制に関する加算など、多くの加算があります。要介護と要支援で算定できる加算が異なる点や、減算の仕組みもあわせて理解し、要件を満たした記録を残したうえで正しく算定しましょう。
- 基本報酬は要介護308単位、要支援298単位(20分以上1回)
- 主な加算は短期集中200、リハマネ(イ180・ロ213、医師説明+270)、認知症短期集中240、退院時共同指導600など
- 介護予防にはリハマネ・移行支援・認知症短期集中がなく、12か月超の減算がある
- 減算は診療未実施▲50、同一建物▲10・15%、虐待防止・BCP未策定▲1%など
- 処遇改善加算(1.5%)が令和8年度期中改定で訪問リハビリにも新設
単位数や要件は改定で変わります。算定前には最新の告示・通知・Q&Aを必ず確認しましょう。
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第259回)資料4「訪問リハビリテーション」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第239回)資料1「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回)資料1「令和8年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1213(令和6年度介護報酬改定に伴う留意事項通知の改正)
※2026年10月時点で確認した情報です。制度は改定されるため、算定・運用の際は最新の通知・Q&Aと指定権者(都道府県・市町村)の案内をご確認ください。

